福岡はこの数日前から、珍しく大雪になりました。積雪の量そのものは大したことないみたいですが、なにしろ雪に不慣れなもので交通機関も一時的にマヒするし、凍った道で転倒するケガ人続出で、大変な週でした。

さて観劇当日。風が弱くて朝から牡丹雪がふわふわ。キャナルシティ博多もうっすらと雪化粧です。気温が低い日が続いて、出演者の皆さんも体調管理が大変だろうなあ。




第1幕



今日の席は前から5列目下手ブロックですが、中央よりの通路席なのでとっても見通しがよくて快適です。今回チケットを譲って下さった方に感謝♪
しかもスピーカーの位置が正面に近いみたいで、「オーヴァチュア」なんて音楽の振動が体に直接びりびり伝わる感じ。
うん、これは高井ファントムの歌声が楽しみだわ〜♪



「ハンニバル」リハーサル

支配人さんたち登場。
カルロッタに歌をおねだりするアンドレさんの声に、ムッシュー・レイエがむっとして台本を閉じるところ、長レイエはいまひとつタイミングがあわないような気がします。
「もちろん、ムッシュー・レイエのご異存がなければですが」というアンドレさんの、ちょっと慌ててつけ足したような感じとピッタリくれば、笑いが取れるところだと思うんだけどな。



カルロッタファンのアンドレさん、あこがれのプリマドンナに歌ってもらう間がいつもホントに嬉しそう。なんたって
「貴女の素晴らしい舞台は
すべて拝見させていただきましたよ、シニョーラ!」(笑) 
ですから。 今日は「あなたの胸に〜」のところで河合カルロッタに手を
差し伸べられると、思わず胸に手をやって「え、私ですか?いやあ、照れちゃうな〜」
って感じのカワイイ喜びようで、隣の女の子にクスクス笑われちゃってます。



村田クリス「鉄のノド」というスゴイあだ名があるみたいですけど、登板10週目になって、この安定ぶりはやっぱり驚異的です。昨年の京都公演でも、結構長い登板をこなされたみたいですね。
日によって多少のブレがないわけではないのですが、平均点が下がることがないというか、男性陣みたいに「ああ、今日は調子悪いなー」とハッキリわかるような調子の崩れがほとんどありません。
やっぱり、なんだかんだ言っても女性の方が持続力があるってことなのでしょうか。



内海ラウル登場。

こちらももう2ヶ月近くの登板ですね。ラウル役にもかなりしっくり馴染んできた感じ。
観てるこっちもだいぶん慣れました(笑)



でも、クリスの楽屋で

「僕が濡れねずみになって取ってきてあげたんだから」


「・・・・・・・・・」


 ん? あれ?


「・・・14歳のとき」


いつもより長い間が。・・・まさか忘れていたのではあるまいな。ラウル☆



「パパは亡くなったけれど・・」と話すクリスを見つめるときの内海ラウルの笑顔、結構好きです。場面の流れからすると、美しい歌姫に育った幼なじみへのときめきが必要なんでしょうけど、そういう感じは残念ながら佐野ラウルには、まだかなわない。
でも、内海ラウルには小さい子を見つめる若いパパみたいな暖かみというか、誠実さがあるような気がします。



どうもこの方、私にとっては特権階級の貴族様というよりは、まじめに働く誠実な青年市民というイメージなんですよね。以前、某所で書いたことがありますが、プレイボーイというよりは早く結婚したがりそうなタイプ(爆)の子爵さま。



高井ファントム登場。

「私の宝物に〜」
ソフトにゆったりと始まりました。
村ファントムはここ、最初から圧倒的な声量で始めることが多いような気がしますが(最近ちょっとご無沙汰で、記憶があいまいですけど)今日のファントムさまは、若造への優越感というか、からかいあやすような口調を含んでいるような印象を受けました。

こういう残忍なやさしさというのも、ファントムの魅力的な持ち味ですね。

高井さんそのもののイメージとはちょっと違うかもしれないけど、天使と悪魔、善と悪、美と醜がプリズムのようにその時々で、きらめき現れる複雑さはやっぱりファントム。



気温が低いせいか、最近はかなりスモークが威勢良く出るようになりました。


「Music of the night」
高井さん、絶好調とは言えないかもしれませんが、十分に余裕があります。
「空に高く」伴奏ぎりぎりまでのばす声が、空気に溶けるように綺麗。
いつもここのところ、透き通った水のきらめきが脳裏に浮かびます。



ただ、この日、舞台全体を通してなのですが、ところどころでマイクのノイズが入っていたような気がします。それだけが残念☆



支配人のオフィス
大好きな「プリマ・ドンナ」支配人さんの右往左往ぶりがいつも楽しみ。カルロッタがおだてられて椅子の上で振りまく愛嬌も、河合カルロッタはホントに魅力的で大好きです。



「イル・ムート」
5番ボックス席で観ている内海ラウル。笑顔になる余裕が出てきたかな。
佐野ラウルと比べるのは、あまりにもキャリアの差があるので気の毒なんだけど、やっぱりどうしてもね〜。
伯爵さまも頑張ってます。でもちょっと声が良すぎて、おじいちゃんっぽくないような。



オペラ座の屋上
今日はちゃんと観なきゃ(笑) 
いつもこのあたりで、会場が暗くなるのもあって集中力がとぎれてしまうんですよね〜☆
寝てませんよ、ホントです。 でも気がつくとファントムさまが、もうエンジェル像に(笑)



「許しはしないぞー!」の最後、高井さんもしかして最近マイブームですか?
シャンデリア落とすのに、間に合うのか心配になるくらい伸ばしていらっしゃいます。
ホントすごいわ・・。




第2幕




マスカレード
西島マダムのマスカレード、人が変わったように楽しそうです。 前方でクリスやラウルが踊っている間、階段の近くで林アンドレがマダムの背後から、そっと自分のマントを着せかけてびっくりさせる演技があるんです。ご存知?・・って、私くらいでしょうか、そんなマニアックなところ観てるのは(笑)


アンドレさんてば、きっと少しお酒に酔ってるのね。そうでなければ、あのマダム・ジリーに対して、あんなじゃれ方ができるはずがない☆
マダムも驚いて振りかえり「なーんだ、アンドレさん。もう、びっくりしたわ〜」みたいな笑顔で楽しそうに応じてます。
新年パーティなんだもの。 いいよね、ちょっとくらいハメをはずしても。
そんな気分で私も観ています。
しかしこの演技、秋山マダムの時にもやってたのかなあ? うーむ、次回の要チェックだ。



墓場にて
今日はちゃんと見なきゃ(爆) またかいと言われそうですが、暗くなるとついつい。
十字架から出てきた高井ファントム、「いとしいクリスティーヌ」の「いとしい」のところで、声がひっくりかえっちゃいました。
また、珍しいところで・・と正直ビックリ。
でもこういう高いところ、高井さんの本来の音域から少しはずれるのかな、あまり得意じゃないのかも。



「ドンファンの勝利」
パッサリーノも須郷さんがはずれているので、違う俳優さん。やっぱり須郷さんは細かいところが工夫されてるんですね。剣にキスをするのは、決められた演技ではないようで、この方(港さんとおっしゃるのでしょうか)はやりません。
笑い声もひとつ足りないような気がする。


須郷さんのパッサリーノは、なんというか小悪党って感じ。主人同様、ロクでもないヤツ(笑)なのでしょうか。 でも、だからこそ黒マントのファントムの声だけの美しさが引き立つんですよね。



ラスト
ところどころでマイクのノイズが入るのが、ちょっと気になりましたが、ラストはいつもの通り、綺麗です。


内海ラウル「なさけ知らず!」が実感ありますね。「なさけなど持たない」と言い返す高井ファントムのいら立ちと、精一杯の強がり。


愛し合っている恋人同士を引き裂こうとしている邪魔者は自分、それがわかっているからこそ、愛するクリスにも辛く当たってしまう。 
ラウルのようにひざまずいて彼女の愛を求めるなんて、彼のプライドが許さないんですね。
(ルルー氏の原作では、
クリスの足元にひざまずいて涙をこぼすファントムなので驚きますけど☆)

「今宵は素晴らしい夜になりそうだ」とか「哀れみはいらぬ」とか
そういうファントムの屈折した言葉が、クリスの「絶望に生きたあわれなあなた・・」という感情につながっていく。

こんなとき、年齢の差を越えて、女性は相手の本質を見抜いてしまうものなのではないのかな、と思います。基本的に男性の方が、深いところでは子供の側面を強く残しているものでしょうし。



ラスト「我が愛は終わりぬ」急に振り返って歌うのが、高井さんの特徴ですね。
もうすこし早目に振り返って、ゆっくり歌いだしても良いような気もするのですが、これも演出なのでしょうか。



ベールの投げ方が潔い感じです。
誇り高いファントムさまは、いくぶん胸を張り、静かに玉座に消えていきました。


 
雪の降りしきる「オペラ座」観劇。  味わい深いものがありました。






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2004年1月24日(土)マチネ

                  オペラ座の怪人 


                              福岡シティ劇場 1階 S席 F列15番



                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 高井 治  クリスティーヌ 村田恵理子  ラウル子爵 内海雅智
  カルロッタ  河合和代    メグ・ジリー 安食智紀    マダム・ジリー 西島美子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 半場俊一郎  ムッシューレイエ 長 裕二
  ムッシュールフェーブル 深見正博