オペラ座の怪人 


                              福岡シティ劇場 1階 S席 B列13番



                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 高井 治  クリスティーヌ 村田恵理子  ラウル子爵 内海雅智
  カルロッタ  河合和代    メグ・ジリー 安食智紀    マダム・ジリー 西島美子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 半場俊一郎  ムッシューレイエ 長 裕二
  ムッシュールフェーブル 深見正博





年明け初の「オペラ座」観劇。個人的な通算回数は8月以来26回目になりました。
この日は高井さんのバースデーだそうで、いつにもまして高井ファンが多いんだろうなあ
と思いつつ会場へ。

主役3人のキャストは4連休を挟んでも、12月初旬からの顔ぶれに変更なし。
久しぶりの下手ブロック最前列は、当然ながら舞台が近ーく感じられました。



第1幕


オークション
目の前が内海老ラウル。ん?内エビじゃありませんよ(当たり前だ)。
内海さん、以前はささやき声で歌うつもりが、コントロールがうまく行かないのかちょっと
声が出ない日もありましたけど、老ラウルの歌声も上手になりました。
考えてみれば、物語の最初にシーンとした中で、ひとり歌い出すのはものすごい
プレッシャーでしょうね〜。


「ハンニバル」リハーサル
毛皮を被った俳優さんが目の前に立って、生声がびんびん響いてきます。
おお、最前列の醍醐味ですね。息づかいまではっきり聞き取れます。



支配人さん登場。深見ルフェーブルは、昨年の9月頃はコワモテの印象が強かったのですが、最近、私の中ではすっかりおもしろキャラ(笑)になってしまいました。
だって「マダム、マダムジリー・・・・マダムジリー!!」の最後の呼びかけが
「マママママダムジリッ!」って「マ」がどんどん増えていくんですもの(笑)。

その上「いつもなにかを夢見ているような娘でしてな」のセリフでは、
胸の前で手を軽くあわせて小首を軽くかしげる「夢見る乙女のポーズ」☆。
ホントは別に単なる話なんだからポーズはいらないはずなんだけど、
この深見さんの味付けはちょっと可愛くて好きです。


リハーサルシーンは、登場人物が多いうえにそれぞれが色んなことをしてるので、どこに
注目するかいつも迷うところ。支配人ファンの私は、どうしてもアンドレさん中心になって
しまいます。
だって林アンドレのにこやかな笑顔が見られるのは、このシーンだけなんですもの。
カルロッタへのうやうやしいキスがいつも楽しみですが、今日は下手寄りなのであまり
見えません。そのかわり青木フィルマンさんとばっちり視線があって、楽しいです。



村田クリスの「Think of me」
ここで今日の調子はどうかなあと皆が、推し量るところでしょうね。
11月後半からの連続登板ですが、まだまだ声が綺麗です。



西島マダム・ジリーは2ヶ月ぶり。 西島さんお帰りなさーい。
「お母さんがいない間、もう大変だったんだよー」ってお留守番してた子供みたいに
嬉しいです(笑) いやはやホントに秋山マダムに関しては大変だったんだから☆

「あなたダンサーでしょう?」の言い方ひとつ取っても西島マダムには、こまやかな情が
感じられますね。



さて、いよいよファントム登場。
高井さん、お誕生日なんだし気合いを入れてお願いしますよ。
いやがうえにも高まる期待です。正直言って12月の後半はちょっと、まったりムードというか、穏かに安定しすぎかな、という日もありましたので。


「私の宝物に〜」の美声が降り注ぎます。
私が高井さんの声を好きだなと思うのは一種の清涼感というか、男性的な中にも清潔感のある輝きが感じられるから。
いつも語尾の処理が綺麗でうっとり。ミラーの中のファントムも下手ブロックで、どうかなと思ったのですが、ぎりぎり見えました。



「The phantom of the opera」

舞台に満ちるのは、高井ファントムのほの暗い喜び。
クリスが夢に支配される眩暈と陶酔が高まっていきます。



高井ファントム、マントさばきが今日も派手で美しい!
村ファントムはなぜか、ここはあっさり、ざっとたたんでソファに置いちゃうんですよね。

過去のファントム俳優さんが洗濯物を干すように、マントをパンッとやったことがあると聞いて、すごく笑ったことがありますけど、やっぱりここは生活感ナシで華麗に決めてほしいものです。

髪を撫でつけるポーズも自己陶酔のきわみで、あくまでセクシーにやって欲しい。
「キャッツ」のタガーなんかもそうですけど、日本人離れしたこういう表現は中途半端が一番恥ずかしいですもの☆


ファントムの髪撫でつけポーズ、どうしても手に注目しちゃいますけど、
私、ポイントは実は彼の視線だと思います。
外国人的な発想でいうと、体を下から撫であげる動作というのは
視線を求め挑発する意味なんですね。


つまり単に身だしなみを整えてるだけじゃなくて、
あくまでクリスに「見せつけている」セクシュアルな姿態なので、
指の先まで自信にあふれて
目線をそらさず熱くクリスをみつめながらゆっくりやるところに、あの赤面ものの
(ホントお子様には見せられん☆)動作のカッコ良さがあるんだと思います。



今回は下手最前列なので、アンマスクシーンがばっちり。

「地獄へ行け!」最近は以前ほど怒鳴らなくなりましたね、高井さん。


「呪われろ」も最初に拝見した頃はクリスに向かって言ってる感じでしたが、
今日は背中を丸めてうずくまるところで、絞り出すようにおっしゃっています。
呪っているのはクリスではなく、自分自身のいまいましいこの顔、この人生。
そんな風に感じます。



支配人のオフィス
オフィスのシーンは支配人ファンの私には、いつも楽しみな部分ですが、
内海ラウル、若いせいか声が大きい!
たぶん音量調整してもこれなんでしょうね。

目の前で歌われると、他の人の声が聞き取れなくなるほど。
つられて他の俳優さん達も声を張っているような印象を受けます。
若さとは暴走することなのね・・(遠い目) でも世間知らずで
クリスティーヌひとすじのあまり、ファントムを全く理解できない子爵様という
設定にはかなり現実感があるかも。


私がファントムなら、佐野ラウルの完璧さには限りない嫉妬をおぼえ、
内海ラウルには単純に「おまえなんかにクリスを渡すもんか」と子供みたいな
意地を感じそう☆



「イル・ムート」
ドン伯爵はここのところ須郷さんではありません。
須郷さんのキョーレツ伯爵さまに慣れたせいか、ちょっとヨボヨボぶりがもの足りないような。



オペラ座の屋上
スミマセン。なぜかこの日、この場面の印象が全く残っていません。
寝てたわけじゃないんです、ホントです〜。


エンジェル像がほとんど見えない席だったせいか・・な? 
苦しい言い訳でしょうか。

前方すぎる席はここがネックです。




第2幕


ラウルがマダムを問いつめてファントムのことを聞き出すシーン。
あの〜できれば、もうちょっと女性を優しく扱っていただけないでしょうか。
「それで!」とか「そうだろう!」の言い方もえらく厳しいけど、
マダムの腕をつかんだりするのが少々乱暴すぎます〜(泣)
カンテラが揺さぶれてグラグラしてるじゃないか、一般人とはいえ
相手は年上の女性なんだよ、ラウルくん。・・って、いったい誰?(爆) 



「The point of no return」
ここでちょっとしたハプニングが。カーテンを勢いよく開けた高井ファントムですが、
勢い良すぎたのか、閉めるときになって右手がカーテンの端に届かず。
つかみ損なって再度チャレンジしていらっしゃいました。
笑うところじゃないけど、ちょっとカワイイ☆


歌はもちろん良かったですよ。
ただ、「未知の愛の喜び」のところ、
以前はもっと強く、輝かしく歌ってらっしゃったような気がします。
トーンが早めに下がってきて腰掛けるのがちょっと残念。



ファントムが寝室の方にクリスを導こうとして逃げられるところ。
いつもは指をからませかけた途端に逃げられるのに、今日はからませただけでなく、
しっかり手を握りあっちゃいました。
「あなたとひとつになる〜」のところで、結びあう手のような印象。
うーん、これは初めて見たような気がします。




そして再び地下へ。


クリスがファントムにキスするのを見て衝撃を受ける内海ラウルの表情、
なんか呆然としてる日もありましたが、最近は自然になってきましたね。


鈴木ラウルは歯をくいしばってホントに悔しそうでしたが、
内海ラウルは悔しそうというより、見てはいけないものから目をそらしているような。
まるで注射針が刺さるところが見れなくて、顔をそむけている子供みたい☆ 



ファントムへのキスシーンは席の目の前。
クリスの抱擁からのがれて立つ高井ファントム、
目が合いそうでちょっぴりハラハラしてしまいました。


ここはクリスのキスがもたらす一瞬の空白と、押し寄せる
すさまじい感情の洪水にバラバラになりそうになりながらも、
彼がかろうじて立っているシーン。


その目には絶対に何も映してはならないと思います。
狂気のふちから戻れるかどうかの瀬戸際ですから。



高井ファントム、最後の「I love you」の綺麗さはさすがです。
それまでのドロドロした争いや嫉妬、憎しみや悲しみがこの一言、この旋律で
清められてしまうような印象さえ受けて。



今年最初の観劇は、綺麗に心おだやかに終えることができました。


さて、今年はどんな一年になるのかなあ。





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2004年 1月17日(土) ソワレ