滴り落ちる赤
その鮮やか過ぎる赤が唯一つ確かな絆
『15 English titles』 titles 9. Red Bonds -赤い絆-
「新一!!」
「ん?」
「『ん?』じゃないでしょ!何やってるの!!」
叫びながら快斗は慌てて新一の手からそれを奪い取る。
が、そんな快斗とは対照的に新一は冷静そのもの。
「………切ってる」
「切ってるって…」
新一の言葉とその行動に、快斗はそれ以上言葉を継げる事ができなくなる。
いつの頃からか目を離すと新一は自分の手首に刃物を滑らすようになった。
それは昼夜を問わず行われる行為。
「…とにかく手当てしようね?」
快斗のその言葉に新一は抵抗するでもなく素直に頷いた。
「ねえ新一…。どうしてこんな事するの?」
痛いでしょ?
快斗は手当てをしながらいつもの問いを投げかける。
「………」
けれどその問いに対する答えは何時もの様に沈黙。
どんなに尋ねてもこの問いに対する答えだけは返ってこない。
「新一…」
「………ごめん」
そしていつも最後には新一から謝ってくる。
それはこの事に関する会話を終わらせたいという事。
同時に快斗の問いに答えるつもりはないという事。
「…いいよ。謝らなくていいから」
快斗は手当てを終えた新一の手首を包帯の上からそっと自分の手で包み込む。
「ねえ新一…。俺ってそんなに頼りない?」
新一が抱え込んでいる事を話せない程頼りない奴かな?
「………ごめん」
瞳を潤ませながら俯き謝ってくる新一。
その様子に快斗は胸を抉られる様な思いを抱えながらもそっと新一を抱きしめる。
「いいよ。俺がずっと側にいるから」
ずっと側にいて君を止め続けるから。
呟かれた言葉に新一もまた胸を痛めるのだった。
快斗が心配してくれているのは知っている。
卑怯なやり方だとも解っている。
それでも、快斗に引き付けられる人間は多いから。
彼が自分から離れて行かないように。
優しい彼が自分から離れられないように。
気がつけば自分の手首に刃を突きつけている。
こうすれば彼は心配で自分の元から居なくなれないから。
こうすれば彼は自分のもので居てくれるから。
こうしなければ彼が居なくなる気がして
こうしなければ一緒に居られないと思って
それは彼を縛り付ける為の赤い絆…
Author by 薫月 由梨香
【薫月後書き】
ごふっ…(吐血)
何だって最初に書き上げたのがこんな…ι
一杯一杯ですιこんなブツでもいいですか?(汗)
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【桜月様コメント】
ナニを仰いますか、オーナー!
最高じゃないですかっ! 萌えですよ、萌えっ!!←興奮。
オレには絶対真似出来ない心理描写…凄いっス!
……どうしよう;
益々オレのブツを渡すのが嫌になってきた(泣)
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