暖かく、穏やかな空気が流れる…
The day which all finished -全てが終わった日-
敵対する組織の根本が同じだと気付いてから、何の躊躇いも無く手を組んだ。
…元々相反する関係ながらに認め合っていた2人。
手を組む事に抵抗は無く……逆に、これ以上に無いパートナーだと認識していた。
全てを語らなくてもその先が解る。お互いの考えが手に取るように解る。
──最強で最高の相棒──
──漸く終りを告げた戦い。
予想していた通り…否、それ以上に苦戦を強いられた組織戦。
極力、自分達だけの力でやり遂げようとしたこの戦い。
しかし世界規模で展開していた黒の組織に、個人だけの力は限界があり…最終的にはICPOやFBI。当然の事ながら日本警察も巻き込んでの大捕り物に発展した。
新一は表の力を駆使し、警察と権力を使い組織に荷担していた政治家達を…
…反面、キッド──快斗は裏から組織の情報等を表……新一へと流し、捕り物の際のカモフラージュとして自らが囮になった。
そうして攻防を続け…2人は傷だらけになりながらもなんとか勝利を収めた。
「キッドの目的」であったパンドラは、組織の中でも見つける事は出来なかった。
それでも、伝説である『ボレー彗星の近づく時』は過ぎ去り…次に訪れるまでには気が遠くなるほどの余裕がある。
戦いの最中で偶然にも手に入れた『APTX4869』のデータ。
「戦う理由」であった組織の壊滅と、元の姿を取り戻す事を達成した新一。
解毒剤は完璧で…だが、いつどんな変化があるのかは未知の領域。なんせ、試薬出来る人間が2人しかいないのだから…
製作者である哀は、新一の姿が完全に安定するまで…それまでは服用しないと公言している。
勿論、これについては新一も快斗も了承している。
彼女にもしものことがあれば……データがあっても意味が無いのだから…。
「ん…」
小さく寝息を漏らした新一に、その隣で起きていた快斗はくすっと小さな笑みを漏らす。
既に時刻はお昼過ぎ。外は晴天。洗濯日和。
工藤邸の庭は、生い茂る草木から優しい木漏れ日が溢れている…
「…ぁれ…? かぃと…?」
半覚醒の状態で、傍らにいる筈の快斗を探す新一。
その姿に、快斗は優しい笑みを浮かべて新一の肩を抱く。
「此処にいるよ?」
そう耳元で囁けば、同時に感じた温もりに一層その身を寄せる。
「も、何処にも……ぃくな…よ?」
「行かないよ? ずっと此処にいる」
「……かま…ぇた…」
「うん。とっくの昔に、オレは新一に捕まってるよ?」
快斗の返答ににっこりと微笑みを浮かべる。
そして、全身で快斗の存在を認識した新一は、再び穏やかな眠りの中へと意識を沈める。
…きっと、今のやり取りなど、起きた時には忘れているだろう。
それでも良いと…新一の髪を撫でながら快斗は思う。
昨日までの殺伐とした日々から解放され…漸く、『普通』の生活が戻ってくる。
人並みのような『普通』は無理でも、戦いの最中に2人で語り合った『普通』は、きっと叶える事が出来る。
今まで『普通』とはかけ離れた生活をしてきたのだ。
今くらいは…今だけは…
この穏やかな空気を、守りたい。
腕の中で可愛らしい寝息を立てる新一に、起こさないように気をつけながら口付ける。
そして新一ごとその眠りを守るよう優しく抱き締めて、快斗も再び眠りに付く。
起きたらきっと夕方だろうし、とっておきの珈琲を入れよう。
それからお隣りに顔を見せに行って…
…どうせだから、皆一緒にご飯を食べよう!
メニューは何にしよう?
リクエストを聞いて…買い物に……行こ…う…
これからも夜空を翔けるであろう怪盗と
明日から残務処理などで大忙しだろう探偵の……一時の休息──
『15 English titles』 titles 15.The day which all finished -全てが終わった日-
Author by 桜月 雪花
【桜月様後書き】
今回はタイトルからシリアスを連想しそうなんで(てかオレがした;)、裏切り行為第2段(…)として『ほのぼの〜♪』を目標にして見ました!
……裏切れたかどうかは、これまた皆さんに判断してもらうとして(爆)
こんな感じのほのぼのは、もしかしたら初めてかもしれない;
だからか? 思いっきり短いデス(殴)
しかも初めから短いつもりで書いて……ご、ごめんなさい(逃)
|
【薫月コメント】
うわ…うわぁ…(///)らぶらぶだ〜vvv(叫)
新一さんが可愛いvv可愛い〜vvvv
題名からシリアスを予想していた(やっぱり予想してたらしい・爆)ので、思いっきり裏切られましたわv(笑)
雪花姉の書くほのぼのも大好きだ〜vvvv(めっちゃ告白)
|