──私立・鳳雛学園、高等部。
その名の通り、将来素晴らしい大物になると期待される、特にすぐれた才能をもつ──神童と呼ばれる者達が集う学園。
小中高の他にも大学・大学院まであり、学園敷地内には膨大な書庫を有する図書館や食堂・スポーツ施設の他にも、病院や銀行・遊楽施設なども点在し…ある種の都市のような状態になっている。
学園に通う全ての学生は、最低限の衣食住の保証をされる好待遇。
希望者には無償で寄宿舎を提供し、個人個人の状況に応じて奨学生制度も設けてある。
小中高は基本的に10のクラスに分かれており、振り分けはアルファベットでA〜J。
そのうちのA〜Iクラスまでは、学力・能力を均等に選別し割り当てられているのだが……最後のJクラスだけは、各々の学年で最も秀でた生徒だけが集められている。
その生徒達を、通称『joker』と呼んでいる…
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Star Field 〜ROOM 4〜
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某月某日。
今日も今日とて、とても穏やかな快晴に恵まれた金曜日……の夜。
とあるビルの屋上で衣を風に纏いながら夜景を眺める怪盗が1人、何処からともなく取り出した冷たい宝石を月に翳し、遮るもののない光の満ち方に溜息をつく。
「う〜ん…、今日も結構あっさりしてたなぁ…;」
落胆を隠せない表情とは裏腹に言葉は発する。
すると、
「…ンなこと言ってると、そのうち白馬の前でボロ出すぞ?」
と、背後から声がかかった…。
「私がそんなヘマをするとお思いですか?」
「『お前』なら思わねぇけど、『アイツ』ならやりそうだ」
「酷いですねぇ…、どちらも同じだと言うのに…」
フェンスの上に立つ怪盗は、風に流される事なく背後を振り返る。
危なげないバランス感覚でマントを靡かせ、声をかけ自分を見つめる探偵を見返す。
「同じだから、『アイツ』は白馬に助力してンだろ?」
「助力…と言うほどのものでもありませんよ?」
普段、怪盗を追いかけている白馬と親しい間柄にある『アイツ』は、彼からの相談に良く応じている。
その相談は専らその怪盗の事で…白馬は怪盗と同じマジックの使い手である『アイツ』の意見や考えを貪欲に吸収しようとしている。
そうすれば、いつかあの確保不能な怪盗に手が伸ばせると信じて…
「……ま。助力があっても此処まで来れねぇんじゃ、まだまだだけどな」
溜息混じりにそう同業者を評価した探偵。
その評価に、怪盗は苦笑を零す。
「此処まで何のヒントもなしに来られるのは…貴方だけですよ、名探偵」
犯行場所とその日の天候、風向き。そして彼だけが持ち合える様々な知識と計算で、彼はこの場所を探り当てた。
…予告状には記されていない。
気紛れのように、自分を追いかける探偵への技量を測るかのように書かれることがある中継地点を示す暗号。
それは予告状の様々な文字を組み合わせ、そこから現れた複雑な暗号を解き…漸く導き出される。
誰1人としてこの場所に辿りつく事は出来なかった。
今までその暗号を正確に、そして完璧に解いてきたのは目の前の彼だけ。
「褒め言葉として受け取っておく」
「褒め言葉ですよv」
憮然とした表情で呟いた探偵に、怪盗はにっこりと本意を告げる。
その言葉に気を良くしたのか、漸くその表情を緩める探偵。
「で? そいつも違ったンだろ?」
「ええ…、ご返却をお願いしても宜しいですか…?」
「今日は大丈夫だ。貸せよ」
「お願い致します」
手を伸ばした探偵へ冷たい宝石を投げ込む。
空を舞う宝石は月光りに輝き──探偵の手の中へと堕ちる。
危なげなく受け取ったそれを、探偵はそっと月に翳した…
「…ほんとーに、何も見えねぇな」
そう呟く彼の瞳に、月光と宝石の輝きが映し出される。
しかしそれ以上に輝く…探偵の瞳…。
「見えるようになるまで、続けるだけですよ」
探偵の言葉に苦笑を押さえ呟く怪盗。
それは独り言のように些細なものだったのだが、探偵はその言葉に答えるように口を開く。
「それまでは、オレが見えないヤツを受けとってやるよ」
「…名探偵…?」
「付き合ってやるから、のんびり探せ」
──お前は1人じゃないから…
協力は出来ない。でも、見守る事は出来るから…
どれだけ先が長くても、最後まで付き合ってやるから…
…焦らず、落ちついて探せ──
「〜〜〜っ、しんいち〜ぃ」
「ぅわっ! …おい、こらっ!!」
がばっ!! と音がしそうなほど勢い良く抱きついてきた怪盗に探偵が抗議の声を上げた。
しかしもう『怪盗』ではなくなった怪盗は力強く探偵に抱きつき、離れようとはしない…。
「はあ…、ったく」
抗議も早々に諦めた探偵が、甘えるように頬を摺り寄せている怪盗の髪を撫でてやる。
そして自分も『探偵』を脱ぎ、
「…おい、快斗。とりあえずその衣装を何とかしろ」
と、彼の頭を小突いたのだった…。
──帰宅(寮?)後。
「くどー? くろばぁ? おるか〜?」
そう言いながら既にドアを開ける服部。
「…なんだよ…」
「服部君…好い加減『ノックする』を習得しようよ;」
早々疲れ気味な新一と、相変わらずの服部に苦笑を浮かべる快斗。
そんな2人に構う事無く、服部は爽やかな笑み(…)を浮かべ、
「白馬のヤツがな、まぁたキッドを取り逃がしたらしいンや。せやから慰め会でもしよか考えてんやけど…やるやろ?」
と、言った。←彼に悪気はありません(多分)。
内容は提案。お誘いの言葉だが、限りなく強制に近いお誘いである(笑)。
「は? まぁた駄目だったの? この前助言してやったのに…」
「相手はキッドだからな。臨機応変で望まないと無理なんじゃねぇの?」
服部の言葉にわざとらしく文句を言う快斗と、やはりわざとらしく正論を口にする新一。
「工藤が獲りものに参加したら、ちぃとは違うンちゃう?」
「駄目だよ、服部。これ以上のオーバーワークはオレが許さない」
「…って言うから無理だな」
「このバカップルが…」
何度目になるか解らない提案はすっぱりと一刀両断。
それを普通に受け入れている新一。普段は誰からの指図も受けないプライドの高さを誇る彼だが…相手が快斗となれば話は別である。
「──ともかく、これから何処か行こう思うンやけど、希望あるか?」
「別に〜? 何処でも良いよ」
「……人が少ない処。煩くない処。落ちつける処」
「工藤のは認識済みや。…ほな、30分くらいしたら迎えに来るわ」
「「りょ〜かい」」
すっかり慣れた服部の訪問・提案・お誘いに、新一と快斗は扉が閉まったと同時に溜息と苦笑を零す。
「…どーするの?」
「あ? ああ…、どさくさに紛れて白馬の服にでも返却しておく」
「それだったらオレがやるよ。その方が手っ取り早いし」
「だな。んじゃ…」
主語のない問いかけに答えれば、それに乗ってくる快斗。
その返事を聞き、新一はポケットに隠し持っていた冷たい宝石を快斗の手に置いた。
宝石はずっと新一が持っていたせいか、ほんわかと温かみを帯びていた…。
【桜月様後書き】
言い訳と書いて遺言と読む。←言切。
あれ?
別にこれ、『ROOM』で書かなくても良かったんじゃないのか…?
──とかなんとか、書き終わってからセルフで突っ込んでみた桜月デス(殴)
それはさておき、由梨香サン。25000hitおめでとうございます!!
既に恒例となっている(…)由梨香サンのサイトメモリアル記念。
このまま『ROOM』シリーズは贈呈品用で確定しそうです(笑)
本業修羅場でまともな執筆時間が皆無な桜月。
今回は限りなく駄文に近く、しかも短いのですが…良ければ受け取ってください!
……やっぱこれは『ROOM』じゃない!! と思った桜月サン。
とりあえず『ROOM』らしくなるようにおまけを…
【薫月の声にならない黄色い叫び】
うきゃぁぁぁぁvvvv(叫)
ROOMでのKIDさま初登場に非常に萌え〜vv
新一さんの「付き合ってやるから、のんびり探せ」にノックダウンですよ!!もう最高ですvv
はぅぅぅvv(喜)
しかもしかもおまけが甘くて甘くてv最高ですわ雪花姉vv
こんな素敵ブツをどうもありがとう御座いましたvv
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