あの時息が止まるかと思った

心臓が鷲掴みにされた様に痛んだ


スクリーンと共に落ちるなんて正気じゃない

でもそれをさせたのは俺自身


あの時の出会いはあの邂逅への布石で

でもあの時の俺はそれを知らなくて


出逢えた事に…運命を感じたのは

きっと最初から仕組まれた出逢いだったから

(04/07/26)






大切なモノなんて作るべきじゃなかった

本当に大切なモノになんて近寄るべきじゃなかった


けれど、それが解った時はもう遅かった


殺したのは他ならぬ俺

居なくなったのは大切な大切な貴方


割れた石はもう二度と元に戻る事はない…

(04/07/27)






馬鹿みたいだと思った

こんなにもお前に捕らわれてしまっている自分が


ずるいと思った

こんなにも俺を夢中にさせたお前が


捕らえようと思ったのは俺

それなのにその咎人に捕らわれたのは俺


誰にも捕まらない筈の白い鳥は

俺にも捕まえられず


そして、永遠に空へと消えていった…

(04/07/30)






毎日飲んでいる薬

その効能を他人に尋ねられる度

何処が悪いのかと聞かれる度


――心が壊れてます――


と笑い飛ばしたくなるのを必死に堪えている


それは決して治る見込みのない

不治の病なのだから

(04/08/02)






溶けた理性は再生する事無く歪み続け

積み上げられた経歴は全て無へと還った


堪えられない想いは

まごう事無き真実で


伝えられない想いは

存在してはならない夢幻


叶うなら今この瞬間に

罪深い自分をこの世から消して下さい

(04/08/08)






歪みだした世界

狂いだした想い


それに抗える程俺は強くなくて

それに飲み込まれるのは時間の問題で


だから、名探偵

叶うなら俺を…殺してくれないか…?

(04/08/09)






想いは同じだった

願いも同じだった


けれどそれを告げられる程

俺は強くはなくて

それを告げる為には

俺達は多くのモノを背負い過ぎていて


だから俺は

お前に何も言えなかったんだ…

(04/08/10)






気付かない筈が無かった

解らない筈が無かった


どうして今になって…

全てが元通りになった筈だったのに…


そう思っても考えても

事実は変わる事は無い


だから俺は

『探偵』として全てを確かめる

(04/08/12)






読み解かれたヒント

気付かない筈のない言葉


それら全てが俺に向けられたメッセージ


気付かなくていいのなら幸せだった

見ない振りが出来たなら幸せだった


けれど過去の傷は痛みを伴って膿み始め

終わらない後悔は全てを終わらす事を求めていた


だから俺は…

全てを読み解く決意をしたんだ

(04/08/12)






嘗て彼が見せた翳りはこれだったのかと

嘗て彼が見せた闇はこれだったのかと


気付いた瞬間愕然としたの


彼に出逢って彼は変わった

彼に出逢って彼は救われた


それなのにその関係が今では互いの柵になっている


もう少し素直に

もう少し貪欲に


お互いを求められたら

もう少し違った現在(いま)があったのかしら…?

(04/08/15)




top詩再録第九段。
再録が激しく激しく遅くなりました…;

back