―――ことん。

預けられた重みに笑みが零れた。








ソファーとクッションと貴方の温もり








 重みの掛かった肩に顔を向けて。
 すっかり安心しきった様子で眠ってしまっている彼を見詰める。

 その姿は何時もの名探偵をしている時からは想像がつかない程幼く可愛らしい。
 しかもその腕にクッションを抱え込むというオプションまで付けてくれているのだからその可愛らしさは犯罪級だ。


「工藤ってば可愛い顔して寝ちゃって…」


 まったく…流石は無自覚で有名な名探偵殿。
 この状況がいかに危機的状況なのかさっぱり解っていらっしゃらない。


「そんな顔して寝てると襲っちゃうよ?」


 クスッと笑ってそんな事を呟く。
 もちろん本当にそんな事をするつもりはないけれど、流石にこれは…………結構ヤバイかもしれないなんて内心で苦笑しながら。

 手にしていた本を彼を起こさない様に静かに手を伸ばして机に置いて。
 そっと彼の肩に手を回す。


「んっ…」


 それに新一は少しだけ身動ぎしたが、余計に快斗へと体重を掛ける形で落ち着いて。
 気持ち良さそうにすやすやと眠っている。

 それは快斗の努力の賜物でもあるのだが。

 だって、そうなる様に今日までどれだけ神経を使って、優しく優しくこの名探偵を甘やかしてきたか解らない。
 そうやって甘やかしながらこの状態に徐々に徐々に慣らしていって。

 彼の無自覚なところにつけこんで、彼の隣に居場所を作った。


「ねえ…新一…」


 それは起きている時の彼には紡いだ事のない言葉。


「俺は何処まで許される?」


 呟かれた言葉に答える事の出来る人から返ってくるのは穏やかな寝息だけ。


「好きだよ、新一」


 彼が起きている時には決して紡げない言葉。
 それどころか想う事すら本当はいけない事。

 だって自分は彼に触れるには、彼の心に入り込むには汚れ過ぎている身だから。


愛してる


 囁かれた想いは…彼に届く事無く空気へと溶け込んだ。









桜月様のサイト10000hit記念で贈りつけたブツ。
相変わらず短いι ほんと…もうちょい書けよ、自分(爆)

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