朝っぱらから出されたその甘そうな物体に

 新一は溜息を吐いたのだった








〜今日は何の日?(11月18日編)〜








「お前何なんだよこれは…ι」
「大丈夫v 新一のは甘さ控えめだから♪」
「ちげーよ。俺が問題にしたいのは甘さじゃない!」
「ん?」

「俺が問題にしたいのは形だ形!!」

「ああ」


 工藤邸の朝食に出された快斗お手製のホットケーキ。

 快斗の物にはたっぷりの蜂蜜。
 新一の物には軽くバターが塗ってある。

 快斗が新一用に作るものであるから甘さも控えめで、食べるには非常に問題ないのだが新一が言う様に形が問題だった。

 直径8cm程の大きな丸の右上と左上に器用にシンメトリーでつけられている小さな二つの丸。
 その形はまるで…。


「ミ○キーだよ♪」
「ミッ○ーって…ι」


 ディズ○ーの人気キャラクターであるミッ○ーマウス。
 いかにそっち方面に疎い名探偵といえども流石にそれぐらいは知っていたようである。


「…何でミッキーなんだよ。」


 と、溜息混じりにけれど呆れたように言えば何故か得意げに


「今日はミッキーの誕生日なんだよ♪」


 という答えが返ってきた。


「誕生日…?」
「そう、誕生日」
「キャラクターに誕生日は必要なのか?」
「そりゃ必要でしょ♪ちゃんとキ○ィーちゃんとか、ピン○゛ーとかにも誕生日あるし♪」


 快斗のルンルンの回答に新一は嫌々ながらも引っ掛かった事を聞いてみる。


「…お前キテ○ーちゃんとピ○グーの誕生日まで知ってるとか言わないよな?」
「ん?キテ○ーちゃんは11月1日で、ピ○グーは10月28日だよ♪」
「………」


 名探偵絶句。


(これは男子高校生の会話か!?)


 と内心したくも無い突っ込みをしてしまう。


「でも、今年はミッ○ーは75周年だからさ♪」

 だからお祝いとは言わないまでも、せめて気分にだけは浸ろうと思って♪

「………何でンな事まで知ってんだよお前は…ι」


 はあ…と溜息をつき思いっきり呆れている新一に、快斗はついでとばかりにその豆知識を提供する。


「そうそう、キ○ィーちゃんの生まれた場所はね…新一君の大好きなロンドンなんだよ?」
「!?」


 一瞬目を見開いた新一に、ロンドンから思い出したんだけど…と快斗は続ける。


「そういえば新一君。今年の1月6日は随分楽しそうだったって蘭ちゃんが言ってたなあ♪」
「………何で聞いてんだよ」
「そりゃ新一君の事は全部知りたいですからねえvv」


 バツの悪そうな顔をする新一に快斗は笑みを零す。

 1月6日といえば新一の大好きなシャーロック・ホームズの誕生日である。
 明確に記述してある訳でもないにも関わらずその日が誕生日だと言われるのにはそれなりの訳がある。
 有名なシャーロッキアン団体BSI(ベイカー・ストリート・イレギュラーズ)の創立者の一人であるクリストファー・モーリーが、自分の誕生日である1月6日をホームズの誕生日と決めてしまった、などという説があったりするのだが、それでもやっぱり大好きなホームズの誕生日という事で新一が毎年この日を密かに祝っているという事を快斗は蘭に密かに聞いていたのだった。


「だから、俺の気持ちは解るでしょ?」
「ホームズとミッ○ーを一緒にするな!」
「新一君…それは全世界のミッ○ーファンに失礼じゃない?」
「うっ………ι」


 思いっきり正論を告げられ、言葉に詰まってしまった新一に快斗は笑みを深めた。


「だから、ミッキーの誕生日も祝ってあげようねv」

 もちろん来年の1月6日は盛大にお祝いしてあげるからさv

「………わあったよ」


 どうやら交換条件に乗せられたらしい名探偵。

 来年の1月6日の方を取った模様(爆)


 かくして工藤邸の11月18日は平和に過ぎて行ったのであった…。






 っていうか、来年の1月6日は書いてる余裕なんか無いぞ!?←(作者心の叫び)








END.


朝のニュースで今日がミッキーの誕生日だと聞いて触手が…(違)
長さ的にはss何だが…最初の8月8日がnovelにあるのでこっちにup
………シリーズに移すかな…(爆)





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