拈華微笑
「こんばんわ、愛しの名探偵」
「…………」
深夜の工藤邸に舞い降りた白き怪盗。
その姿を視界に入れ、この家の住人である探偵は小さく溜息を付いた。
「また来たのか?」
「ええ…、何度でも。貴方をこの手に収めるまでは…」
「………懲りないヤツだな」
にっこりと微笑む怪盗。
何もない手のひらをぽんっと鳴らせ、いつものように真紅の薔薇を差し出す。
1本だけのそれは、彼が此処を訪れる度に増えていき…
「なあ、名探偵? 今日で何本目か…解るか?」
…いつものように何も言わす受け取った探偵に怪盗が尋ねた。
その問いに、探偵は黙ったまま目の前の怪盗を見つめ、
「…お前は怪盗…」
と、呟いた。
この呟きだけで、先の答えが解ってしまった怪盗のポーカーフェイスが一瞬崩れる。
すぐに嵌め直すものの、『名探偵』である目の前の探偵には誤魔化しようもなく…
「──お前は怪盗。怪盗は……欲しいものをどうするんだ?」
くすり…と不敵な笑みを浮かべて問う。
「……盗みます」
予測していた答えではなく、質問を返された怪盗は内心で首を傾げながらも答えた。
「そうだな。…じゃあ、狙った獲物は…?」
「必ず手に入れます」
「それがどんなに困難でも? 難攻不落と言われる物でも?」
「はい」
手にした薔薇の花に目を落とし、そして再び怪盗を見つめる。
真っ直ぐに視線をぶつけ、探偵は最後の質問を口にする…
「お前に盗めないものは?」
「ありません」
そこまでハッキリと言い切った怪盗に、満足そうな笑みを浮かべる探偵。
その笑みに怪盗が目を奪われていると、
「──なら、正々堂々、盗んでみたらどうだ?」
そう言って、手にしていた薔薇を唇に当てた…。
楽しそうに笑う探偵。
言葉の意味を理解した怪盗の顔にも、不敵な笑みが浮かぶ。
「…解りました。全身全霊をかけて、盗み出してみせますよ」
──貴方と言う、至上の宝石を…
「楽しみにしてるぜ」
「私に盗めない物はありません。ご覚悟を…」
「今更だな」
…とうの昔にその覚悟は出来てるさ。
最初に、この薔薇を受け取った時からな…──
「それでは、本日はこれで失礼致します」
「ああ」
「……次に薔薇をお渡しするのは、私の腕の中だとお思いください」
「期待してる」
「それでは…」
探偵の手の甲へ口付けを落とし、いつものように去っていく怪盗。
…次の薔薇が、最後の薔薇。
今日受け取った薔薇を、既に数本の薔薇が飾られている水差しへ入れる。
部屋に飾られているドライフラワー。
その全ての数を数え、探偵はまた楽しげな笑みを浮かべた。
──次の薔薇は……19本目…。
【桜月様後書き】
【お誕生日おめでとうなのだ♪】
──ってことで由梨香サン。
お誕生日おめでとぉございます☆
ささやかながら本日更新分である桜月の駄文を差し上げます。どうかお納め下さい(平伏)
実は初め、この話は『ragazza』で作成する予定でした(笑)←つまり優希。
だけどそしたらプレゼント出来ないことに気付き(遅っ)、急遽ノーマルバージョン(…)に変更。
内容は同じなんで、脳内変換でよろしく(爆)←それとも…希望なら優希バージョンもアップしようか?(ぇ)
では最後に…
……短くてゴメンナサイ(泣逃)
【思いっきりツボをつかれた薫月からの告白v(笑)】
きゃぁ〜vvvvvvv(思いっきり黄色い叫び)
やばい…新一さんの色香にクラクラです…(///)←だから何故赤くなる?(爆)
かっこ色っぽい新一さん………正に萌え度MAXの代物です!!(力)
ほんと見事に僕のツボをついて下さった雪花姉に感謝!
一人パソ前で「正に拈華微笑!!これぞ正に拈華微笑よぉ!!」と力一杯一人で力説していたのは言うまでもありません(妖しいってι)
いやぁ…修羅場にも関わらず素敵なツボつきブツを送って下さった桜月様、本当に有難う御座いましたvv ………優希バージョンも見たいかも……(オイ)←厚かましさ満開。
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