「………地球が排除にでてるのかねぇ…」


ぼそっと呟いた快斗の視線の先を見て、ああそういう事か、と納得した。








寄生虫








「今度は鳥か」

「らしいよ」


快斗の視線の先のテレビの画面には鳥インフルエンザの被害にあった養鶏場が映し出されていた。

積み重ねられた鳥の死骸。

それは生き物だった筈のモノ。


「BSEの次は鳥インフルエンザ。食品業界は大変だな」

「そうだね」

「牛がきて鳥がきたから次は豚か?」

「それは困るなあ…」

献立を考える主夫にとっては大問題だよ。


苦笑しつつけれど二人の瞳は酷く真面目な物。


「肉が食べられなくなったらやっぱさか…」

「そ、それも水銀があるでしょ!!」

「……お前の場合はそれだけじゃねえだろうが」

「………ι」


何も言えなくなった快斗に新一は満足して、流れる様にその話題を論じている画面を見詰める。


「人への感染の疑いもあるらしいな」

「うん。SARSもあるし、今年は大変だね」

「………そういや中国では飼われてた白鼻心が大分捨てられたって話しだな」

「うん…そうだね」


何て身勝手な話しだろうと思う。

病気が出たと解った瞬間に直ぐに処分される動物達。

それは確かに自分が病に掛かりたくないと思うのは当然だけれど、彼らだって人間と同じく一つの命を持った生き物なのに。


「寄生虫だからな。人間は」


複雑そうな顔をしている快斗に新一はそうぼそっと呟いた。

彼が何を考えているかなんて聞かなくてもその表情が全てを物語っていて、お前は優しすぎるのだと言いたくなる。

誰も全てのものを守る事なんて出来ないから。


「そうだよね…」


地球という星に生まれた人間。

昔は確かに共存していた筈なのに、最近の人間の行動は確かに目に余るものがある。


森林を伐採、大気汚染、水質汚染、オゾン層の破壊。


例を挙げれば際限なく出てくる悪行の数々。

それは明らかに地球を内側から食い潰していく寄生虫の行動に他ならない。

だから…。


「排除されてもしょうがねえだろうな」


そう思う。

そして、ふと先日テレビを見ていた時に誰かが言っていた言葉を思い出す。


『地球が怒っているんだよ』


その言葉はきっとピッタリなのだろうと思う。

これだけボロボロにされたのだ。

逆襲に出ても不思議ではないと。


「でもさ…」

「ん?」

「頑張ってる人も居るよね」

「ああ」


にっこりと微笑む快斗に新一も頷く。

そうやって地球を食い潰していく人間の多い中で、必死に頑張っている人達も居る。


それは植林であったり、リサイクルであったり、近くのゴミ拾いであったり。


形や規模は様々だけれど、それらは確かに環境の保護になる。

例え道端に落ちている空き缶を一つ拾う事だったとしても。


「今度さ…」

「ん?」

「町会のゴミ拾いあるんだけど」


一緒に出ない?とお誘いをかけてくれる快斗に新一は苦笑する。

ああ、ここまで完璧に読んだ上での最初の発言だったのかと。


「…わあったよ」


ここまで話しをして、出たくないなんて言えなくて。

偶には地域の行事に参加するのもいいかと思う。


その返事に快斗はにぱっと可愛らしく微笑んだ。





貴方と暮らして行く星だから。

貴方と幸せを築きたい場所だから。

少しでも長く、綺麗であって欲しいと思うんだ。






END.


微妙……(爆)
これのせいで『?』を作らないといけなくなった…(爆死)


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