「ねえ新一。どうして冬が寒いか知ってる?」

「…んなもん決まってんじゃねえか」








寒い冬には貴方の温もりを








「太陽の高度、日照時間の短さ、西高東低の気圧配置。もっと詳しく説明されてえか?」
「…新ちゃんてばリアリスト…」

 もうちょっとロマンって物がないの!!


 本から少しだけ顔を上げて冷たくそう言い放った新一に対しぷうっと頬を膨らませて、さも文句がありますという態度を示す快斗に新一は呆れの篭った溜め息を吐いた。


「じゃあお前は何だって言いたいんだよ」

 そのロマンって物を説明して貰おうじゃねえか。

「ん?説明して欲しい?♪」

 もちろん快斗君がたーっぷり語ってあげる♪

「………」


 何だか快斗の思惑通りに事が運んでしまったらしい。
 新一は今更ながらに自分の言った言葉を後悔しつつ、仕方がないので聞いてやる。


「…さっさと説明しろ」
「うんvあのね、冬が寒いのは暖かさを確認する為なんだよv」
「………は?」

 寒いのに暖かさを確認する?


 さっぱり解らないと瞳を数回瞬かせた新一に快斗はふふ〜ん♪と得意げに説明を続ける。


「寒いからこそ、より暖かさが実感できるのv」
「………何の暖かさをだ?」
「もちろん恋人の暖かさに決まってるじゃんvvv」
「………」


 その説明に無言になった新一に快斗は、


「だからね、実感させてあげる〜vv」


 と言って新一からさっさと本を取り上げてしまうと、ぴとっとくっついた。


「ね? 暖かいでしょ?♪」
「まあ氷よりは暖かいんだろうな」
「新ちゃんの意地悪……」


 快斗はいじけつつも更に新一にくっ付くべく肩を引き寄せて、そのままぎゅーっと新一を抱き締めてしまう。


「ぎゅー♪」
「………頼むから擬音を自分で言うのは止めてくれι」
「だって『ぎゅー♪』だもん♪」
「………ι」


 ぎゅーぎゅー♪言いまくって抱き締めてくる快斗に新一はそれ以上何かを言うのを諦めて。
 ぴったりとくっ付かれている所から伝わってくる温もりに意識を向けた。


(………確かに暖かいかも)


 そこから伝わってくるのは確かに暖かい相手の温もりで。
 それが酷く心地良い。

 確かに快斗の言う通りなのかもしれない。


「ん。悪くない」
「………え?」


 一人頷いて何やら納得したらしい新一に、何の説明もされていない快斗は首を傾げてしまう。


「偶にはいいかもな」
「しんいち?」


 やっぱり解らないままの快斗は相変わず首を傾げたままで。
 けれど新一は説明することをせずに、抱き締められている身体を快斗に素直に預ける。

 そんな素直な新一の様子に快斗は一瞬きょとんとして。
 けれど次の瞬間には満面の笑みで新一を更にぎゅーぎゅー♪と抱き締める。


「………解んないけど…ま、いっかv」




 寒かった筈の冬はらぶらぶバカップルにとっては暖かいものでしかないのかもしれない…。








END.


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見返せば見返す程、粗が目立つサイトでは御座いますがこれからも遊びに来て頂ければ幸いです。

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(急いで書いたので粗が目立ちまくりなブツですがι)
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