今まで暗闇に包まれていた工藤邸に明かりが灯る。
 それを合図に、専門書に耽っていた隣人がふと顔を上げた…

「ああ、もうこんな時間なのね」

 …どうせあの人の事だから、晩御飯もまだなんでしょうね。


 そう呟いた志保は、のんびりとした動きで腰を上げた…──





Milky Way──After...?





「……で? これは一体、どういうことなのかしら」

 工藤邸のリビングで優雅に薫り高き紅茶を楽しみながら、今一番の権力者であろう志保は、目の前にいる二人に問い尋ねた。

「どう…と言われても…なぁ」
「…良いわ。それじゃあ、私の質問に答えて頂戴」

 珍しく口篭もる新一に、志保は手にしていたカップをテーブルに置き話を先に進めた…



 事の起こりは30分程前。
 新一の帰宅に気付いた志保は、放って置くと食事をしない新一の為に、晩御飯(…というか夜食?)のお裾分けに…と、気を利かせ工藤邸を訪れた。
 予想通り何の準備も、まして冷蔵庫にも何も入っていなかった為、少々の小言と共に、阿笠邸での晩御飯──シチュー──を温め始めた…

 …その時。

「こんばんわ、名探偵v お約束通り、ニ時間以内で参りましたよ♪」

と、純白の怪盗が庭先の窓から侵入してきたのだ。

 …その背には大きなスポーツバックを背負っていたりする(爆)。
(以降、暫くは『スポーツバックを背負ったKID』を頭に入れてお進み下さい・笑)


 思わず動きが止まる新一。

 別れてから一時間弱。
 まさかこんなにも早く来るとは誰が思おうか? いや、思うまい!(反語)

「あら…こんばんわ、怪盗さん」
「ご機嫌麗しく、お嬢さん」
「そう見えるなら、明日にでも眼科へ行った方が良いわね」
「おや、お厳しい」

 言葉の節々になにやら『毒』を感じマス;
 それでも関係無く、フリーズしている新一そっちのけで会話を続ける二人。
 しかし、志保さんの手はしっかりと動いております。

 …だって。シチューが焦げたら、大変ですもの♪

「それで? なにしに来たのかしら?」
「おや? お聞きではないのですか?」
「工藤君が帰宅してからまだ数分。残念なことに、私も今来たばかりなの」
「そうでしたか。少々、急ぎすぎてしまいましたかねぇ…」

「……おい」

 漸く解凍(笑)された新一さん。
 爽やかな笑顔を浮かべつつも繰り広げられている会話バトル(?)に、とりあえず割り込んでみる。

「工藤君。とりあえずコレ、食べてくれるかしら」
「え? あ、ああ…」

 暖め終わったシチューを皿に盛り、問答無用で新一に手渡す志保。

 ──割り込み失敗(笑)。


「…お話はそれからでも構わないかしら?」
「ええ。勿論ですよv」
「ありがとう。…ひとまず私、紅茶が飲みたいわ」
「それでしたら良いリーフがありますよ♪ キッチン、お借りしますね」
「よろしく」

 端から紅茶を入れさせるつもりの志保と、端からそのつもりの快斗。
 背負ったままだったスポーツバックから快斗お薦めのリーフ缶を取り出す。
(漸く床に置かれたスポーツバック。以下、通常のKID様をお楽しみください…)←?


 …ナチュラルに家主そっちのけ(笑)。


 しかし。『類は友を呼ぶ』とでも言うのか?
 家主も家主で、

「…ま、いっか」

と、大人しくシチューを食す事にしたのだった…。

 ……まぁ、このまま食べなかったら、その後の志保さんが恐いものねぇ;



 ──そんなこんなで30分。

 新一の晩御飯(?)が終わり、人数分の紅茶がテーブルに行き渡った処で、志保が先程のセリフを口にしたのだった。

 …ちなみに志保の紅茶は3杯目である。よほどお気に召したらしい(笑)。


「なんでここに怪盗さんが来るのかしら?」

 ストレートですね、志保さん;

「オレが来いって言ったから…?」
「まぁ確かに、名探偵からのお誘いだったねv」

 首を傾げつつ答える新一に、快斗もにっこりと頷く。
 そんな二人に、なんとな〜ぁく(…)先が解ってきた志保は、

「…怪盗さんのそのバックの中身は?」

と、問う。

「え? お世話になる為の…用意?」
「だな。ってかお前、それだけしかねぇのか?」
「ん〜? あるといえばあるけど、これだけでも充分だし♪」
「バーロー、ちゃんと用意してこいよ(呆)」
「だって、早く名探偵に会いたかったんだもんv(微笑)」
「…ったく、しょうがねぇな///。明日、他のモンも取りに行くぞ」
「一緒に来てくれるの?」
「……一人じゃ運べねぇだろ」
「〜〜〜っ(感涙)」
「それと──」
「?」
「『名探偵』はやめろ」
「! そうだったねv 新一vV」
「///」

 ………以上。甘々馬鹿ップルの現場からお伝え致しました。──じゃなくて!


 …あ。志保さん、脱力してマス;

「もう、良いわ(脱力)」
「「へ?」」
「同じタイミングで返すのは止めて」

 すっかり二人の世界(笑)に入っていた新一と快斗は、同じ声の高さと同じタイミングで志保に向き返る。

「だいたいの事は解ったから…これ以上、あてられるのはごめんだわ」

 だいぶ冷めてしまった紅茶を飲み干し、溜息一つ。
 そして…

「ねぇ、怪盗さん」
「…なんでしょう」

 …それまでと打って変わった空気の温度。
 底冷えのする冷たい志保からの視線に、快斗は背筋を伸ばし話を促す。

 それまでとは雰囲気を変え…夜を翔ける怪盗のそれを身に纏う。


「貴方の危険を、工藤君には一切向けないで頂戴」
「勿論です」
「約束は違えないと…誓える?」
「…名探偵の持つ、至宝のブルーサファイアに誓って」
「そう…」

 至宝のブルーサファイア。
 それは新一の真実を見抜く瞳の事。

 ──つまり、新一自身に誓うと言う事だ。


「…最後に一つ…」

 快斗の言葉の意味を、今一つ理解出来ていない名探偵・工藤 新一(笑)。
 そんな新一を横目に、志保は軽く口元に苦笑を浮かべてから言い放った。

「──工藤君の健康管理は、任せたわよ」

 …………。

「…おい、宮野…」
「返事は? 怪盗さん?」
「…勿論。誠心誠意、務めさせて頂きますよ」
「なら良いわ」

 それまでの疑問を一切忘れ、思わず志保の名前を呟く新一。
 しかし。相変わらず家主を無視して進む(笑)、快斗と志保のやり取り…

「それでは、認めて頂けるのですか?」
「別に…工藤君に害が無いなら、どうでも良いわ」
「…どうでもってなんだよ;」

 志保の返事を聞き、これまでの空気を一掃し、快斗は本当に嬉しそうな笑みを浮かべる。
 逆に新一は訝しげな表情を浮かべ、ぶすっと腕を組んだ(笑)。

「紅茶、もう一杯如何ですか?」
「そうね…戴くわ」

 にっこりと微笑みながらキッチンへと消えていく怪盗。
 その姿を見送りつつ、志保はそれまでと声の大きさを変えること無く…

「…それより怪盗さん。そろそろお互いに自己紹介でもしましょうか」
「そうですね。ではまず私から…」
「ああ…その格好も好い加減止めてくれる? 探偵の家には不釣合いよ」



 深夜の工藤邸で始まるティー・パーティ。
 この日を堺に、日常の中で設けられる様になったその時間。

 その切欠は…



──幾多の瞬きが二人を巡り合わせた夜。





【このお話しは『Milky way』(novel参照)のその後として書いて下さったものです。】


きゃ〜(///)ザラメ吐く勢いのラブラブっぷりVv←特に『甘々馬鹿ップルの現場から〜』がVv
いやんVvもう甘々好きにはたまりません♪(頬緩みっぱなし)
そして『ナチュラルに家主そっちのけ』に爆笑!(笑)ツボです!
哀ちゃん…あなた素敵過ぎVv(笑)
あんな訳の解らん話しにAfterなんて作ってくれてありがとう雪花姉♪


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