Bedeutung in etw
いつものように気配も物音もなく舞い降りた白い鳥。
鳥を追いかけている筈の赤色灯の明かりは遥か遠く、近くでは騒がしいだろう喧騒も此処には届かない。
場所は古びたビルの屋上。
この景気の悪さにテナントも入らず、錆びれてしまった廃屋同然の建物。
そんな人気のない、何処かもの悲しい処へと降り立った白い鳥の前に佇むのは…1人の少年。
少年はこの白い鳥を追いかける事が出来る──鳥が追いかけることを許した──唯一のハンター。
…そして、鳥がその羽根を休めることが出来る唯一の止まり木。
「お待たせしてしまいましたか?」
カツン…と、1つだけ靴音を響かせ、淡く輝く瞳を小道具で隠した少年へと問う。
すると少年は不敵な笑みを口元に浮かべ、
「…ギリギリだな」
と、答えた。
こうして人目を盗み、月明かりの下でのみ逢瀬を繰り返す。
──陽の光の中で顔を合わせ、声を聞き、言葉を交わす。
それを夢見たことは1度や2度ではないけれど…
…今の2人は偽りの姿でしかないから──
正体を晒せない怪盗と、元に戻れない探偵の苦しいルール…。
「ギリギリ、ですか?」
「もう少し遅かったら帰る処だった」
「それはつれない。間に合って良かったですよ」
睦言のような会話を繰り返し、気が付けば2人の間に距離はない。
少年は鳥が飛来してから1歩も動いてはいないのだから…その距離を埋めたのは紛れもなく白い鳥。
「…今宵も、私とお付き合い頂けますか?」
逢瀬の度に繰り返される白い鳥からの問い。
それに少年は腕を伸ばすことで答える。
「名探偵…」
「──キッド」
抱き締められ、耳元でその呼び名を口にした白い鳥に、少年は軽く身体を捩り険しい表情と口調を彼へと向ける。
「今のお前は唯の“子供”だ」
『怪盗キッド』ではなく、唯の“子供”。
なら、その“子供”と向かい合っているのは…?
「…失礼致しました──コナン」
「解れば良い」
ポツリと呟き、再び鳥の腕の中へと収まる。
そんな少年に、叱られた“子供”も優しげな笑みを浮かべて抱き締めた。
「なぁ…」
そのまま過ぎるかと思われた穏やかな時の流れを止めたのは、意外にも少年の方で…
「なんでしょう?」
「…キス、してくれよ」
その呟きにゆっくりと問い返せば、少年は普段では絶対に言わないような事を鳥へと告げた。
「良いですよ」
催促に驚くものの、拒む理由もない鳥が微笑みながら了承すれば、誘うようにその蒼き宝石に自ら蓋をする少年。
「…キスはお好きですか?」
額、瞼、頬…そして唇。
優しく温かな温もりを落としていきながら、時々合間を縫って尋ねる“子供”。
「ああ…、お前の気持ちがダイレクトに伝わってくるからな」
くすくすと、降り注ぐ口付けを受け止める少年。
くすぐったそうに…時には、気持ち良さそうに…
「お前って、本当にオレが好きなんだな」
「お解り頂けて光栄です」
普段は“言葉”に出来ない2人だから…
「……お前も、オレの気持ち…受け止めてみるか?」
「…私が否と言うとでも?」
言葉以上にその行動で…極上の愛を囁く。
「だったら、もう少し屈めよ…」
そうしなきゃ、届かねぇだろ?
──いつものお返しに、ありったけの気持ちを込めて…
Copyright (C) 2004. Setsuka ougetsu & Whisper of Night. All rights reserved.
【桜月様後書き】
【感謝感謝の大絶叫!!】←マテ。
祝!! いちまんひっとぉぉぉぉぉぉぉ!!!(シャウト)
「1年くらいで行ったらいいよなぁ…それまではサイト存続に励もう♪」とか言ってた時期が懐かしいです(爆)
ま、まさかこんなにも早くこの数字にお目にかかれるとは…すげぇよ桜月サン!!←興奮。
普段カウンターをあまり見ない(きっと皆様もそうでしょう。ちっこいし・笑)桜月にとって、この数字はまさに予想外だった為、大慌てでフリーを作成(笑)
今までを振り返り…あまり桜月が書いていないモノを書こう! と、バカな事を考えました;
出来上がりはともかく、桜月にしては珍しいブツが出来たのではと思っておりやす(笑)
こんなのでもお気に召しましたらフリーなのでご自由にお持ち帰りください♪
事前事後の報告は不要!(でも教えてくれたら狂喜乱舞v)
これからも一つ、Whisper of Night(ついでに桜月)をよろしくお願い致します(平伏)
『Bedeutung in etw』=『意味を込める』
【薫月の感想】
10000hitおめでとう御座います☆
そして…うわぁvvvビバ誘い受け!!(興奮)←最初にその発言もどうだ?
もう全体を通してのアダルティーさにめろめろvですよvvv
コナンさんの催促の辺りなんかもう…っ!(///)
ふふふvこれからもますますのご発展期待してますわよ?(妖笑)
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