剣道の続け方
 
●高校生の剣道

1)高校生の特徴
男子の場合、将来自分はどうしたいのか。ここが原点だと思っています。
 大学とその後の就職に剣道を絡めるなら、高校もしっかりした指導者の下での研鑽が必要です。中学生の貯金でできるほど甘い世界ではありません。
例えば、中高の教員になりたい場合、勉学がゼロなら、運よく大学は卒業できたとしても、結局教員試験には受かりません。
剣道が好きで、学校で部活動を指導したいと考える人は多いのですが、その中で剣道で教員の正式採用となるとほんのごく一部。県内で年間2〜3名のイメージがあるけど、正式なデータはどうなのでしょうね。
そして悲しいことに強豪高校の指導者になれる人となると、その中のまたほんの数名です。教えたくても、高校においては生徒が来ないということも覚悟の上ですね。
実際のところ、中学校の顧問は、体育系大学というよりは、勉学で一般入試で教員になって剣道部の指導をしている人の方が圧倒的に多いでしょう。高校の場合は体育系大学が中心ですが、講師のまま試験を受け続けている人も多いのです。

 警察官は、自分が頑張っても、過去に親戚の不祥事とかがあると就職できないことは有名な話ですよね。剣道が多少できても殆どが一般警察官で、剣道特練生というのは、人数の関係もあり、非常に狭き門となります。
 剣道を絡めた一般企業の受け入れは、OBなどの繋がりでほどよく行われているように聞きますが、選択業種が少ないというイメージはあります。
 
勉学との両立は?
全国レベルの強豪高校からも、一般入試で超のつく難関大学に合格している人がいるという事実からすると、両立が不可能というのは本人の甘えでしかないと考えてます。

2)高校だけの剣道部で大丈夫なのか?
部活がお休みの日に出身道場で稽古するというのは、最高の環境にあると思います。
 出身道場や中学校での稽古日というものがある学校が多いです。
顧問の先生に所用がある場合、そういうことになっていますが、後輩との繋がりを持っていてほしいというのも隠れた狙いでもあるでしょうね。
 
 普段は学校中心の活動にならざるを得ませんが、遠征等の行事がほとんどない学校や部員不足の学校も多いです。そういう環境である場合は、積極的に出身道場を活用すれば思いがけないほどの効果を期待できる場合もありますよ。

3)道場だけの剣道で高校生として大丈夫なのか?
高校も道場剣道だけでとなると、試合が強くなることはありえないでしょう。
しかし、目的がすでに勝敗以外の部分にあるとすれば、それはそれで素晴らしいこと。
 
剣道を何のためにやるか?
勝ち負けや試合は一つの手段といわれますが、試合もしないで続けるというのは若い世代では至難のことだと思います。
しかし、部活を辞めて道場に戻って楽しく稽古している子は昔から沢山存在しています。
 

4)学校を変わりたい場合は?
高校でも転校という方法はあり得ます。
 高校では、県内での転校、県外への転校ということで公式戦出場停止期間というものが存在します。また、一年生からやり直す場合は前学校との累積年数が3年間までしか公式戦には出場できません。
 できれば、剣道トラブルの転校は好ましくありません。高校時代の挫折は後を引き、繰り返すこともあります。
 成功例は多くはありませんが、特例として、顧問が下の学年のみを中心に指導なり対外試合を設定している場合。そんな顧問とは離れて別の環境で仕切り直しというのは勿論いいのではないかな。でも、たった3年間だからアッという間に終わっちゃいますよ。



 

5)いわゆる強豪高校の選手決めは?
 高校の選手決めは?
 中堅レベルの学校の選手決めは、平等のように思います。例えば、大会ごとに部内戦の結果で決定したり、最後の大会は稽古を熱心に続けている3年生は優先するなど、選手選考の基準がはっきりしているようです。こういう学校の中からも、全国大会の切符を手に入れる指導者が存在するのは嬉しいことです。

 すでに入学前の段階から、使わなければならない選手と、公式戦ではたぶん使う予定のない選手の構想が実はほぼ内定してしまっている強豪校の顧問は多く存在しています。そういう学校に推薦ではなく一般入学で剣道部に入部した場合、力があっても、試合ではまず控えが続く可能性が高いです。運よく、数少ないチャンスを与えられたなら、誰にも負けない結果を残すということが唯一の打開方法と心すべきですが、チャンスがあるかなぁ?

 顧問と生徒の親との関係、顧問と生徒の中学生までの指導者との関係も関与してくるものです。これは、体育系の多くの種目にありえる話です。タイムで順位が決まる競技は別として、勝負やチームという対人競技ではよくあることです。
オリンピックの選考でも、優勝した人が必ずしも選ばれていない種目がありますから、理解できると思います。

 一般的な話として、高校指導者に自分の教え子を御願いする場合、同じ大学の同級生・後輩、あるいは師匠が同じなど、繋がりがある人が頼みやすいのです。預かる側からすると、有力選手を継続して自分に送ってもらうためには、預かった生徒をしっかり成長させて育てるということが必須となることは容易に想像できますね。

 強豪高校は、余程の好条件でのお誘いがなかったら行ってはいけないという話は聞くことがあると思います。本当の理由はこういうところにあるのではないかな。特に苦い経験した先輩などがいるとよく解りますよ。

 しかしながら、問題はそれから先です。選手であれ、控えであれ、過ごした高校時代に染み付いた基礎は一生の宝となっています。これから先はもっともっと長い。インターハイで活躍しようが、将来全く関係なくなります。