前向きの撤退
 平成15年某有名病院にて、手術に失敗した医師達が懲戒退職という処分になった。手術中何度も麻酔科医がオペの中止と術式の変更を頼んでいたという報告も聞かれた。(手術中は執刀医チームと患者さんの全身管理をする麻酔科チーム、そして介助・補助をする看護士チームなどが役割を分担する。外科医はただ手術のみに専念しているわけである。)

 病院初めての手術に成功することによる様々なメリット。失敗の仕方によるデメリット。この境界線は難しい。一度撤退してから再挑戦というのがなかなか出来ないということを最悪の結果により教えてくれることになった。

 お店を開業するのは資金さえあれば簡単なことであるが、継続していくというのは大変なこと。剣道の団体も創るのは簡単なこと。
 何事においても、どうしようもなくなる前に勇気を持って撤退し、再度構想を練って出直す機会を窺う。撤退の時期が遅すぎると再挑戦の機会もずっと遅れるか永久に無くすことになってしまう。

 怪我。なぜか、出稽古中や大会前の大切な時期に限ってよく起きる気がする。有名な先生を前にして止めれなかったとか、選手選考の微妙な位置にいるとか、出来ないことも無いなど、様々な思いが中断の心を妨げる。さて、軽症のうちにスパッと止めてれば、復帰の機会も早くなるという心を強く持ちたいものである。こんな簡単そうなことが、凄い勇気のいることなんだ。

 5人制の団体戦。先鋒・次鋒が相次いで敗れた。当然、中堅は勝てばいいのだが流れは完全に相手にあるわけである。ここで、少し分があってもあえて無理せずに引き分けで流れを変えることにより、対戦相手も副将に心の変化が生まれる。うしろ二人に信頼があればそうしたいものである。

 学生時代よくお世話になった元M大学野球部の居酒屋マスターが曰く、1点差9回裏二死満塁。2−3のカウントで、ストライクからボールになる球を投げれるか?この勇気のあるピッチャーが勝つ!