表裏一体

 表があれば、必ず裏があります。

 物事の原則は表のはずなんですが、表からだけに拘ると行き詰ることに気づかされます。
 でも、裏をメインにしたり、裏の使い方を誤るとそれは本道から大きく外れることになるのも事実ですね。

 剣道では、「表」、「裏」、それと「ど真ん中の一点」というのがあるようです。
 オペが上手い先生に左利きが多いらしいですね。しかも右手も使える左利きです。表裏の両方に目がいくし、両手を自由自在に使われたら太刀打ち出来ません。
 オペ中に、術者から見た側が表となりますから、介補についている助手側が裏になります。裏についている人からの視野は全く違う場合もあります。裏側からのアドバイスも重要なんですね。
 人の話も自分が聞いている話だけに耳を傾けてしまうと本道は分かりません。都合が良いことだけが表の話。それに隠れている部分は見えてきませんよ。表と裏を両方知って選択することが大事ですね。

 物事の採決は表舞台ですが、たとえ正論であっても抵抗する勢力につぶされる可能性があります。いわゆる「根回し」という裏工作に成功の鍵があったりするものですね。正しいものがいつも正しいとなるとは限らないのが世の中ですからね。
 私の七段審査は、裏からのメン3本の有効打でした。最初から裏から出る機会を狙って表を攻めていたのですが、表から行って採れる確信が無かったのも事実です。表はみんなある程度出来ていますから、一瞬の隙は裏に出るというのは人間の本能だと思っています。

 でも、裏は悟られたら脆いですよ。こだわらず、表裏一体。これって中心の一点ではないんです。点だけではなく両方ですね。超強豪選手と竹刀を合わせると、表と裏を一緒に攻めて来られます。打つ前に「参った」と感じる瞬間ですね。とても今の実力では太刀打ち出来ないと体が萎縮するのを感じます。