選挙制度についての試論2

単記移譲式(STV)を軸にボーナス議席のつけ方を考えてみる。

A案 中選挙区(3〜5人区)STV:350議席,中選挙区の獲得議席数が最も多い政党(含む政党連合)にボーナス100議席(1票式)
・ボーナス100議席は中選挙区の落選者から惜敗率(移譲後得票÷ドループ基数)順に当選
・政党連合が成立しないと3割程度の相対多数政党がボーナスを受けることになる。
・選挙区で落選した議員を復活当選させる是非の問題

B案 中選挙区STV:350議席,全国区勝者総取り(IRV,即時決選投票)100議席(2票式)
・全国区と中選挙区の重複立候補は認めない
・IRVなので全国区での絶対多数があり,正統性が高い
・復活当選の問題がない代わり,全国区議員は国民からの距離が遠く,職業政治家になりにくい
・全国区議員の国会での扱い(公設秘書の必要性等)や政党内での扱い(党首選の投票権等)が問題になる

C案 A案とB案の折衷。中選挙区STV:350議席,政党名IRV100議席(2票式)
・政党名IRVは中選挙区の落選者から惜敗率順に当選
・正統性は高いが,復活当選の問題は残る

なお,1位の政党が中選挙区で126議席(36%)獲得していればボーナスを含めて過半数,200議席(57%)獲得していれば3分の2の議席を得られることになる。

追記1 移譲式は複数を同一順位とすることを認める。A・B・Cの3人を1位とした場合,1/3票を3人に按分し,Cが足切りされた場合,1/6票をA・Bに移譲する。

追記2 復活当選が問題になる場合,全国区の100議席をまず「得票/ドループ基数」の高い順に勝ち抜けさせ,その候補の票は移譲させるという方法もある。モナコの方法に近い。
ただし,選挙区は70〜80程度になるので,3人区で2人勝ち抜けた場合,選挙区で2人分の得票があるのに1人しか候補が残っていないということがありうる。
これを回避するためには3人区で同じ党から4人立候補させる必要がある。それでいいといえばいいが,不自然ではある。
復活当選方式なら全国単位で調整できるので,その面では優位。

追記3 全国区の定数を選挙区の数とそろえて,各選挙区から一人ずつ勝ち抜けに統一する方法もある。
ただし,全国区の割合が減ると過半数や安定多数のハードルが高くなる。

TOP