>                                   主人
>公である早乙女乱馬という男が、作品全般に渡ってとにかく受け身一方だというこ
>と…。自分から積極的に何かをやろうとか、強くなってどうしようとか、明確な目
>的がほとんどない。

 やっぱり乱馬は竜之介の後継者なんですねー。
 
 グラフィック12で先生ご自身が
 「(竜之介は他人に対する働きかけが)いっさいない。たいてい一人で考えごと
  してると他人がかまってくる。」
 
 といってますし。

 ただ、感情移入しにくい、ということに関しては、私は「先生自身が感情移入して
 いなかった」からと考えています。

 ○○さんは『らんま』を「子供の世界」とおっしゃいましたが、それはあくまで
 「大人の視点」から見た「子供同士がガチャガチャ楽しくやってる世界」では
 ないでしょうか。

 この「一歩引いた視点」が『うる星』や『めぞん』との大きな違いの一つだと
 私は考えています。(うる星でも竜之介や真吾、キツネなど中期以降のキャラ
 にはこーゆー視点が見えますが。)

 このために読者も乱馬達の住む(ある意味)理想的な世界を「外から」眺めると
 いう構造になるわけです。
 ここが一刻館や友引高校と、天道家あるいは風林館高校の大きな違いでしょう。

 女の子があかねに感情移入できるのは・・・あかねというキャラがすばらしい
 から・・・というわけではなく、いや、もちろんそれもありますが、とにかく、
 まぁ、そーゆーことです。(そうです。私はあかねfan)

 実際あかねは心理描写も多いですし、大抵のエピソードはあかねの視点から
 描かれています。『らんま』の主人公はあかねだったのだ。


 みなかみさんの指摘された、「すべてが『乱馬とあかね』に奉仕している」という
 ことに関しては私もそのとうりと思いますが、それは『めぞん』(とくに後期)
 でもそうではなかったでしょうか。

 『らんま』は『うる星』にくらべてラブコメの面が強く出ていますから、
 このことは自然な流れであったともいえます。

 ちなみに私は『うる星』と『らんま』の違いは、『うる星』が「異常な状況と
 キャラクターとが対決する」という構図なのに対し、『らんま』は「異常な状況
 の中での人間関係」がテーマになっているところだと思っています。無論
 『うる星』にも人間関係はありますが、それはパワーにまかせてぶつかりあって
 いるというのが大部分で、『めぞん』のような微妙なかけひきは少なかったように
 思います。
 (「ボーイ・ミーツ・ガール」に代表されるようにあることはありますが)
 その意味で『らんま』は最初から最後まで「『めぞん』と『うる星』の中間」
 であり続けたと思います。
 (「中間」というのは先生自身が『らんま』の連載前に次回作のことを
  語った中にでてきたことです。たしか東京三世社の『SFコミック大全集』
  だったよーな・・・すいません 詳細は忘れました)


 脇役達については、かすみやなびき、良牙などのキャラが確立して独自の魅力を
 発揮しだしたのはむしろ後期、末期であったと思います。かすみがエピソードの
 中心になったのは(最初期を除けば)この時期からですし、この時期の良牙のボケ
 は特筆すべきものがあります。

 

 なんだかんだ書きましたが、ひいき目なしにみて『らんま』の完成度はかなり高い
 と思います(私は『めぞん』や『うる星』はコミックスでしか知らないのですが)。
 この種のラブコメディーとしては最高峰に位置するといっていいでいしょう。
 (恋愛をコメディタッチで描いた作品というよりは、ラブをネタにしたコメディー
  という意味での「ラブコメ」です)

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