1.国会は廃止する。
・内閣は公選される。
・法律は内閣が制定する。

2.内閣は国民の過半数の信任によって選ばれる。
・内閣候補は政権公約(マニフェスト)を明示し、国民は政策とその執行機関としての内閣を選ぶ。
(首相が死亡・辞任しても、継承順位に従って次の首相が就任し、内閣は存続する。)
(閣僚人事と継承順位決定は首相の専権事項とする。)
(首相以外の閣僚の全会一致により,首相の職権を無期限で停止することができる。)

3.内閣は国民の過半数が不信任した場合は総辞職する。
・国民は内閣不信任の登録、および取り下げを自由にできる。
(独裁や無能な指導者を排除するため。内閣支持率の制度化であり、現代版の陶片追放。)

4.内閣は政権公約を破棄して総辞職できる。

5.四年の任期を満了した内閣は総辞職する。

*内閣の立候補に制限はない。(大臣、知事、市長などが現職のまま候補となれる)
*公選の際、過半数を穫る候補が無い場合は、上位過半数の得票を穫った候補で決選投票を行う。
(上位2つ、としないのは、例えば得票11%と10%の候補が残って極左と極右しか選択肢がない、という事態を避けるため。)
(過半数の得票を穫る候補が出るまで決選投票を続ける。)
*予備選挙と決選投票で閣僚や政権公約を変更することは認められる。
(敗れた候補者と連合を組めるようにするため。)
(当選後は閣僚人事の変更はできるが、政権公約は変更できない。)
*決選投票の辞退は認められない。
(候補者の談合で選択肢が無くなることを防ぐため。)
*有権者名簿に登録を行った国民が投票できる。
(信任・不信任が名簿に登録されるが、登録者は公表されない。)
*政権に関する情報は公開される。
(政権の監視はマスコミ・ミニコミが行い、報道と言論の自由を保証する。)

行政と立法の分離というのは、もともとイギリスで行政権を持つ国王に対して「法の支配」をテコに市民が制限を加えるという趣旨ですから、行政権者を民選するなら必要がない制度だと考えます。アメリカの大統領制は「民選の君主」なので、議会が制限しているのでしょうが。
実際戦後の日本でも行政と立法は両方与党の手にあったわけですし。

・国民の信任を受けた内閣候補は天皇に政権公約を上奏し、天皇は内閣を任命して政権公約の執行を内閣に命じる。
・二組の候補による公選の結果、得票が同数であった場合は、天皇がくじを引いて当選を決定する。
・有権者の過半数が4週間にわたって内閣の不信任を表明した場合に、内閣は国民の信任を失ったとみなす。
・国権の発動としての交戦権は認めない。
・軍隊を持つことは認めない。
・国民の権利を守るために、国内に国連軍が常駐することを認める。
・国内に駐留する国連軍の最高指揮権は国連安全保障理事会が持つ。
・上記二項の条文は、日本が国連安全保障理事会の理事国であり、かつ安全保障理事会の決定に拒否権を持つ場合でなければ効力を持たない。
・内閣は最長6ヶ月の期間、非常事態を宣言して政権公約を停止できる。
・非常事態期間中は、内閣は総辞職できない。
・非常事態期間中に制定された法律は、非常事態が終了すると同時に効力を失う。
・非常事態の終了と同時に、内閣は政権公約を破棄して総辞職する。
・非常事態を宣言できるのは、1内閣につき1回に限られる。
・非常事態は延長できない。
・非常事態期間中も、憲法の効力は停止できない。
・非常事態期間中は、死刑や国外追放等の刑を執行できない。
・非常事態期間中も、内閣不信任の登録と不信任登録者数の公表は停止できない。
・個人の人格に関する情報は、本人の同意が無ければ公開できない。
・国政に関する情報は、下記の条文に定める場合を除いて公開する。
・他国の政治に関する情報で、その国の同意がないものは公開されない。
・現に捜査中の犯罪に関する情報は公開されない。

天皇
公約は国民に対するものと同時に天皇に対する約束となり、「これぐらいの公約が守れなかったことはたいしたことじゃない」という発言は不敬行為となります。

不信任規定
これは電子投票と有権者名簿のオンラインデータベースを前提としています。そうでなければ事実上不可能。
インターネットで24時間受け付けるのが理想ですが、IDカードと暗証番号による本人認証が現実的でしょう。
過半数即不信任とならないのは、内閣が法律の取り下げや閣僚の更迭、首相の辞任などの対策をとる猶予のため。
実際過半数を超えるまで不信任して、過半数を超えたら取り下げるという投票行動は十分ありえます。

安全保障
常任理事国入りしない間は、今までどうり自衛隊と在日米軍のままです。この条文にも矛盾しません。
国内に常駐する国連軍は個人として志願した日本人とアメリカ軍が中心となることを想定します。
今と名目が変わるだけで、実体は変わりません。

非常事態宣言
国難の時は誰がどうやっても批判されるという状況がありうるので、「最悪の決断でも決断しないよりマシ」という意味で非常事態宣言を規定します。
この規定は侵略を受けて戦争状態になったときも使えますが、
基本的には日本の財政が破綻して、日本発の世界恐慌が起こる可能性がある事態を想定しています。

100%に近い財産税などをかけて債務整理し、外国にデフォルトを依頼します。
汚れ仕事ですが、仕方ありません。
だから「総辞職しなくてよい」ではなく「総辞職できない」のです。

情報公開
外交上の機密と犯罪捜査に関する機密は守ります。
民主主義国とだけ外交関係を結ぶというわけにはいかないので。
犯罪捜査のための機密保持は当然です。ただし、捜査が終われば遡って公開します。
軍事機密は認めません。こちらから戦争を仕掛けることはないので、機密にする必要がありません。
装備に関する情報も公開します。情報の公開が抑止力になり、軍の行動予定を公開することで侵略の意思がないことを示します。
情報が発達した現代では装備や配備に関する機密は事実上ありえません。(核兵器の配備は別だが、核を持つことは想定しない。)
「いつ攻め込まれるかわからない」という脅威は抑止力にならず、地域の不安定化を招くだけです。
相手が挑発したり戦端を開いた場合は、当然反撃するので作戦を秘密にする意味はありません。
公開されるのは国政に関する情報なので、企業秘密などは守られます。

改正
憲法を改正するためには,政権公約に明記された改正案に従って内閣が発議し,国民投票によって国民の過半数が改正を可とすることが必要である。

政権公約に明記してあれば,複数の条文を組み合わせた改正案を国民投票にかけることができる。

複数の改正案を同時に国民投票にかけることはできない。

改正後の条文と矛盾する条文は,効力を失う。

公選の手続きに関する法律は,憲法の改正と同様の手続きを経なければ,制定・廃止・改正ができない。

内閣公選に関する法律
・候補は首都で選挙活動を行う。
・選挙管理委員会は,憲法裁判所が任命する。
・選挙管理委員会は,政権公約・閣僚名簿・首相継承順位の提出をもって立候補を受け付ける。
・選挙管理委員会は,国民に候補の政権公約・閣僚名簿・首相継承順位を発表する。
・候補は他の候補に対し,選挙管理委員会を通じて公開質問状を送付できる。
・候補は他の候補からの公開質問状に対し,選挙管理委員会を通じて回答を送付できる。
・選挙管理委員会は,複数回の立ち会い演説会を主催し,国民に公開する。
・選挙管理委員会は,複数回の討論会を主催し,国民に公開する。
・選挙管理委員会と候補が使用した選挙費用は,国庫から支出する。公開されない費用を使うことはできない。

憲法改正手続き
通常の法律でも、重要法案の文面・予算・期限は政権公約に明示しますが、一字一句拘束されるわけではありません。変更が公約違反にあたるかは国民が不信任登録で判断します。
ただ、憲法改正案の文面は拘束力を持ちます。

内閣公選法
自らの地位に関する法律を自らの手で制定することはできないので、(衆議院議員選挙法を衆議院で審議するのと同様)憲法に準じる扱いを受けます。
国民が直接に候補や選挙管理委員会に質問することはできません。特定の候補を通じて質問を提案することはできますが、どの質問を採用するかは各候補者の裁量によります。公開質問状に回答する義務はありません。
質問するためだけにマスコミが候補を立てることはできます。費用も国庫から出ます。ただし立候補の辞退はできません。

選挙権
日本国籍を持ち、国政について義務教育修了に相当する判断能力を持つ者は、有権者登録を選挙管理委員会に届け出ることができる。
*義務教育は高校までを想定しています。民主主義国である以上、国民は国政に参加する権利があり、ゆえに国政について判断できるだけの教育を受ける権利があります。
国民の権利は、裏返せば国の義務なので、義務教育を高校までとします。
判断能力の有無の認定は、マークシート方式の試験で行います。
政治理論・経済理論・憲法理論・日本の統治機構・政治情勢・経済情勢・日本地誌・日本歴史・世界地誌・世界歴史
の全10分野について、各分野1000題のデータベースからランダムで10題ずつ出題。(なお、現在のセンター試験の「政治経済」は60分で38問前後です)
制限時間はなく、90%以上の正解で合格となります。
不合格でも、いつでも何回でも無料で受験可能です。問題データベースと解答は公開されますが、当然カンニングは禁止です。
更新制で、有効期限は10年です。


被選挙権
内閣候補の被選挙権に制限はない。
思想・信条・財産・性別・年齢・人種・民族・国籍その他一切を制限してはならない。
匿名、筆名、ハンドルネームでの立候補を妨げない。
人間以外が候補となることを妨げない。
地球人以外が候補となることを妨げない。
非生命体、コンピュータプログラムが候補となることを妨げない。
死亡した人物が候補となることを妨げない。
空想上の存在、小説、漫画、アニメの主人公が候補となることを妨げない。

政権公約を執行する能力がないものは候補の資格がなく、その判断は国民に委ねられる。
内閣は政策の執行のために国民に雇用されるものであり、人格的な尊厳を問われない。

世界の制度を見ても、行政と立法府の多数が同一の与党にあるのが正常な状態で、対立しているのは異常な状態です。
国政が停滞・混乱している状態であり、速やかに解消すべきです。

中曽根案はアメリカ型で、二大政党が発達すれば機能しますが、しなければ議会勢力は政権勢力の圧倒多数になるか(大半の地方議会の状態)、小党分立化して国政が停滞します(イスラエルの状態)。
前者がチェック機能になるとは言えないし、後者は最悪です。

民主党案は小沢案も鳩山案もイギリス型の、実質一院制・二大政党制・議院内閣制です。
完全小選挙区にすれば機能はしますが、無党派層が増大して国民の利害が多様化・流動化している現代では政党組織が国民に根付くのは難しいでしょう。

ドイツ型の比例代表の議院内閣は現在主張する意見はありませんが、これも機能はします。
第3勢力がキャスティングボートを握るという問題点はありますが。
政党の集合離散で政府が決まるので、国民の意思から乖離し、政権も不安定です。

立法と行政を一体化して公選すれば、これらの問題は起こりません。
公選の際、過半数を得るために有力落選者と連立工作をする必要が生じて少数意見が無視されることはないし、連立の結果を民意で問うので、国民の意思と乖離することもありません。
ただ、この制度は決定までに時間がかかり、限られた時間で連立工作をする必要があり、さらにいつ終わるか解らない、という心理的負担も大きいので、候補者にとっては非常に過酷な選挙になるでしょうが。
実際は第3回投票までで大抵決着はつくと思いますが。アメリカ大統領選挙は一年かけるので、それぐらいは許容範囲でしょう。

チェック機能が失われた例としてナチスの全権委任法がありますが、これは政府に立法権を与えた第1条よりも、むしろ政府の法律が憲法に違反できるとした第2条がキモで、これで政権への抑制が皆無となりました。

不信任登録と常設の憲法裁判所による違憲審査をチェック機能とすれば、国会よりもよほど有効でしょう。
ポピュリズムに陥る可能性はありますが、それは民主主義である以上本質的な危険です。
演説がうまいヒトラーは比例代表で、ケネディは大統領制で選ばれたので、制度とはあまり関係ありません。
駄目だったときに速やかに政権を交代させられるかがポイントです。

むしろ問題は独裁よりも国難のときほど支持率が下がって政権が不安定になることで、こっちの方が問題です。

もう一つの問題として、原理的に世襲や多選を排除することができず、王朝化する可能性があるということです。
地方の首長や小選挙区では実際そうなっているので、可能性はあります。
国政がうまくいっていればそれでもいいとは言えますが。

言論の自由を保証して野党勢力を保存することができるかが問題です。
個人的には、公選の落選者が政治評論家や大学教授としてマスコミで政権批判を続ける環境ができればよいと思いますが。
腐敗や汚職対策、それに対する捜査権の確立は憲法に明文化すべきでしょう。

もう一つ、保守派からは
国政と地域コミュニティを結ぶ中間組織がなくなって個人と政権が直接結びつくのは悪しき個人主義を助長する。神と個人が結びつくキリスト教的伝統がない日本の文化にはあわない。
という批判がありえます。

しかし、それを体現する小選挙区制度が中央集権的な二大政党の支部となるか、55年体制下の自民党のような地域エゴの集合体となったことを考えると、賛同はしかねます。

地域的コミュニティは地方分権によって、政治的・文化的に実現すべきものでしょう。

憲法裁判所
・憲法裁判所裁判官は15名の定員とする。
・憲法裁判所裁判官は国際刑事裁判所から派遣を受ける。
・国際刑事裁判所は派遣した憲法裁判所裁判官を弾劾・罷免できる。
・選挙管理委員会は憲法裁判所の管轄に置く。
・有権者登録は憲法裁判所の管轄に置く。
・内閣不信任登録は憲法裁判所の管轄に置く。
・汚職等、権力犯罪の捜査権は憲法裁判所の管轄に置く。
・憲法判断を必要とする裁判、行政裁判は憲法裁判所の管轄に置く。
・一般裁判は地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所の管轄に置く。ただし、その判決に不服がある場合は憲法裁判所への提訴ができる。

報道権
・言論・表現・報道の自由を認めるが,報道の独占・寡占は禁ずる。
・報道に関する裁判は,憲法裁判所の管轄に置く。

*報道の独占・寡占は公取委に準ずる独立委員会が監視する。
*自由競争であることで多様化と真実を追求する。
*従って,いかなる偏向や捏造も公的な規制を受けない。
*現在のテレビ報道が画一的なのは保護産業であるためで,本来情報は「他と異なっていること」が存在価値であるから,他と同じ報道は淘汰され,多様化していく。
*自由競争であるため,捏造を隠蔽し続けることはできなくなる。真実の報道が最も力があり,効率的である。

*公的な情報は公開され、私的な情報は公開されないが、どんな公人でも私的な面はあり、どんな私人でも公的な面はあるので、「知る権利」と「知られない権利」の対立が生じる。
*報道人は私人なので、これは形式的には私人間の争いとなるが、報道は三権の一角なので、政府ではなく、憲法裁判所の管轄となる。
*報道事件については法律はなく、個別の事件に応じた判例が法律の役割を果たす。
*政府は憲法裁判所の判例に異議を唱えることはできないが、憲法改正の手続きに従って「判例○号は効力を持たない」と加筆改憲すれば、判例は効力を失う。
*その場合は、損害賠償を貰った側に返還の義務はないが、損害賠償を払った側は国家賠償請求ができる。
*憲法裁判所はこれによって責任を問われることはないが、世論調査などで国民の意見と乖離しない判決を下すことが求められる。
*憲法裁判所裁判官が被告、もしくは原告となった場合の規定はない。辞任するのも、判決に加わらないのも、自分に有利な判決を下すのも、自分に不利な判決を下すのも、すべて自らで判断しなくてはならない。

*内閣の公選に関する法律と同様,憲法裁判所の管轄に関する法律(裁判職員・汚職捜査官の人事や身分を定めたもの,汚職の定義に関するもの)も,憲法改正と同様の手続きを経なければ制定・廃止・改正ができない。
*これらの特別法の改正と判例の無効を定める加筆改憲の差は,加筆改憲が違憲審査の対象にならないのに対し,これら特別法は違憲審査の対象となることである。

*その場合の手続きは,
1.特別法改正案を政権公約に明記して公選で勝利
2.特別法改正案を国民投票にかけて改正
(憲法裁判所の違憲判決)
3.判例の無効を定める改憲案を政権公約に明記して公選で勝利
4.判例の無効を定める改憲案を国民投票にかけて改正
と,最大4回の民意の表示が必要となる。
*抽象的違憲審査なので、裁判官の入れ替えがなくても判例の変更はいつでも裁判所の責任でできる。

*憲法裁判所裁判官が、選挙戦における候補の政権公約に合憲か違憲か、支持か不支持かの判断を述べることについては、規定しない。
*候補が裁判官に見解を求めることも自由であり、裁判官がその求めに応じるかどうかも自由であり、その見解を後に翻すのも自由である。
*裁判官が政治的に中立であるべきか、積極的に意見を述べるべきかは、慣習と世論を背景にして自己の良心に基づいて決定しなくてはならない。

執政権(立法+行政)・報道権(言論の自由と知る権利)・審査権(憲法裁判所)の三権を分立する。

TOP