君の名は。

セカイ系はSFの大道具を使った私小説、と評したことがあったけど、これもそのへんの設定はかなりガバガバ。

大きいとこでは、彗星が3度も落ちるのに必然性がない。「カタワレ時」とか巫女の舞とか見ると、同じように割れて同じように落ちたらしいけど、そんな偶然あるわけない。
地球の意思とか、なんでもいいんだけど、そういう裏設定の影すらなかった。
確かにクレーターは風景としての伏線にはなってるけど、理屈は通ってない。
伏線なら瀧の親が官僚なんだから、復興庁のチョイネタとかで出せたんじゃないか。

日付や曜日については、記憶が曖昧になってるってことでなんとかしのげるか。首相とかも変わってるはずだけど、高校生ならしょうがない。
あと、町長がなんで避難指示だしたのか分からない。娘が変電所爆破したら町長辞めなきゃとか考えるだろ。二葉と入れ替わりしてたのが町長だったとかなら分かるけど、そうでもないし。

セカイ系ってウジウジした男子と都合のいい女子が出てくるもんだけど、これは逆。まぁ、セカイ系は少女漫画でやってることを少年向けにはめ込んだものだから、一周して元に戻ったとも言える。
男女の一人称が入れ替わったりするとことかも、「男性向け」「女性向け」のカテゴリーを無化する傾向に乗ってる作品ではあるけど、ベースラインは女性の快感原則に従って作られてる。
三葉が地味系で瀧がリア充だったり、三葉の東京生活の描写はあるのに、逆はないってことからもそれは分かる。
三葉の視点で見ると、東京生活を楽しんで、危ないところを男の子が助けてくれるって話だから、こんないいことはない。
なんで瀧が三葉を好きになるのか分からないって、そりゃラノベの主人公がなんでモテるのか分からないって言ってるようなもんだよ。

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