「ねぇちょっと、聞いてる?」

「……………」

「なによその態度!ムカツク!!」

















大学でも当然バスケ始めて、それ以来イヤになるほど誘われる飲み会。

酒は飲めねぇからって断わっても、センパイどもは聞きやしね…。

強引に連れて来られた店は妙に薄暗い。

酒と煙草と…なんだかしらねー化粧品っぽいこの匂い…吐き気がする。

わけわかんねぇ音楽ははっきり言ってうるせーけど、

見たこともねぇ女どもの話し声も消してくれっからまあいい。













飲み会だって言われて来てみれば、いつも必ず知らねぇ女が何人かいる。

そろいもそろって馴れ馴れしく話しかけてきやがっけど、そんなもん相手にしたことねぇ。

喋り捲るのをシカトしとけばそのうちどっか行っちまうから、それを待ってる。

今…何時だ?ねみい…

あと5分そのままでいたらぜってー寝てた。

あいつが話し掛けてさえこなかったら…

















「ねぇキミ、あたしと付き合わない?」

「…あ…?」

















テーブルを挟んだ正面の席に、誰かが座った。

半分寝てた頭に聞こえてきたコトバの意味が飲み込めねぇ…

何だと思って顔上げれば、また知らねぇ女がいた。

















「あ、起きた?おはよ〜」

「…誰だオメー」

「あたし?あたしはっていうの。キミは?」

「…流川楓…」

「へ〜。なんか綺麗な名前ね、流川楓クン?」

















別に答えてやる必要なんかねぇのかもしんねぇけど

バカみたいに笑いながらオレに手を振ってたコイツにつられちまった…のか?

















「…なんか用か?」

「うん、だからね?キミ、あたしと付き合う気ない?」

「…ねぇ…」

「ないの!?うわぁ…玉砕…ッ!しかも速攻!?ショック〜」

















ちょっとぐらい悩んでよ!とか言ってっけど

全然ショック受けてるようには見えねぇし。

なんだコイツ…

















「用が済んだならどっか行け…」

「い・や」

「あ?」

「あたし、今日はキミ狙いって決めたんだもん」

「…んだそりゃ…」

「だってキミが一番カッコイイ」

















意味わかんねぇ…

















「あ、グラス空だね。新しいのもらってくるわ。なに飲んでる?」

「…オレンジジュース」

「…はい?」

「酒は飲めねぇ」

「あ、そうなんだ?」

















いったんどっか行ったと思ったら、そいつはすぐに戻ってきた。

グラスを二つ持って、その片方をオレに渡す。

















「はい、オレンジジュース。あたしも同じのにしちゃった」

「……………」

「あ〜、オレンジジュースなんて久しぶり!たまにはいいねぇ。おいしい」

















シカトしてりゃどっか行くだろって思ってた。

けどこいつはけっこう粘る。

















「キミさ、ずっとつまんなそうな顔してるよね?」

「…るせー…」

「合コン来て女と話もしないなんて、変ってる。もしかしてオトコの方がスキな人?」

「………………」

















…うぜぇ…

















「アンタには関係ねぇダロ」

「あるよ。キミのこと口説いてるんだもん」

「…アンタと付き合う気はねぇ」

「アンタじゃない。っていうの、あたし」

















こいつもか…ヒトの話聞いてねぇ…

















「じゃあさ、ホンキで付き合ってくれなくてもいいよ?

 なんなら今夜だけでもOK。あたしとセックスしてみたくない?」

「…ベツに…」

「そんなこと言わないでさ〜。今時の大学生たるもの、

 セフレの一人や二人いるもんでしょ」

「…アタマわりぃダロ…オメー」

「あら〜、成績はいいのよ?」

















ぜってーコイツ…どあほうだ…

















「オメーとヤりてぇヤロウなんかいくらでもいるダロ。ほかアタれば?」

「ほか…ねぇ…」

「うちのセンパイたちなら喜ぶんじゃね?どあほうばっかだし」

「う〜ん…でもやっぱりキミがいいな」

















しつけーとか…思わねぇでもねぇけど

セックスにキョウミねぇわけでもねぇし…セフレってのにもちょっとグラついてる。

















「…んなにオレとヤりてぇのか?」

「うん」

「…言っとっけど…セックスなんかしたことねぇぞ?」

「そうなの?じゃあ…よろしければ、初をあたしに」

「…あくまでセフレ…」

「おっけーおっけー」

「…じゃーヤってやる」

「よし、決まり!」

















二人で店から抜け出して、ヤる場所探した。

初めてなのにラブホでいいのかって聞かれたけど…

女じゃねぇんだ。場所なんかどこだっていい。

そう答えたら、気に入ってるホテルがあるとかで

そこに連れて行かれた。











初めてホテルに来た感想は…まあ…派手だなってぐれぇのもんだ。

あとは…思ったより明るい…。

















「あたし先にシャワーしていい?」

「いらねー」

「えー…?」

















コイツとヤるって決めて、ココまで来た。

あんまりしつけぇから付き合ってやるって思ってたけど

部屋入ったら急に…やべーぐれぇ興奮した。

シャワーとか待ってる余裕なんかねぇ。

なんか言いたそうだったクチビル塞いでベッドに押し倒した後は…よくおぼえてねぇけど

自分でもおどろくぐれぇガッツいてヤった…ような気がする。

















「…ねぇ…もうシャワーしていい?」

「…まだ…」

「だってほら…なんかもうさすがに外、明るくなってきたよ?」

「む…?」

















何回ヤった…?

まだヤってもイイような気もすっけど…そう言われると眠くなってきた…。

















「楓は?シャワーどうする?」

「…オレねみー…オメー入れば…?」

















セックスってのはけっこー疲れるもんだな。

もしかしてバスケより体力使うんじゃねーの?

がベッドを降りた後、チェックアウトの時間だって起されるまでオレは暴睡したらしい。

ホテル出てもまだねみいし。











…天気いーな…まぶしい…。

















「付き合ってくれてアリガトね。気が向いたらまた呼んで?」

「おー」

「じゃ、あたし帰るね。バイバイ」

















コッチが拍子抜けするぐれぇ、はさっさと帰った。

残ったのはだりぃカラダとの連絡先。

ねみぃけど…送ってくぐれぇはさせられるとか思ってた。

こんなてきとーでイイなら、セフレってのも悪くねぇ。











歩くのもめんどくせーからしばらく突っ立ってたけど

これから練習あるの思い出した。

とりあえずオレも家に帰るか。







後書き

続き物のつもりで書いたけど…続くかは微妙。
新連載とか言いながら…ある日突然、短編の部屋に移ってるかもな…。
連載か短編か…決まるまでタイトルは内緒にしとこう。



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