「これ、流川か??」

「あ、そうそう。面影あるでしょ?昔からあの目つき・顔つきなのよ…」

「お…こっちはお前と…?へー、お前って小さいときはもっとガイジンぽかったんだな」

「うん。かわいいでしょ??この頃のあたしとはね、フランス人形と日本人形って言われて

そりゃあチマタでは可愛がられたもんよ」

「うっわ、ってこのころから美人だったんだなー」

「…聞いてる?人の話…」

















の部屋で、オレはアルバムを見せてもらった。

オレんちで自分のガキんときの写真見られたからな…その仕返し(?)とか思って。

でもまあ、はすんなりとOKしてくれて、何冊もアルバムを持ってきた。

生まれたときのから順番に見てたんだけどよ、その中に流川を発見!

そういや幼なじみって言ってたっけ?

しっかし…流川にもこんな頃があったんだな…あとでからかってやろう!

他にもとか、中学時代の彩子の写真なんかもあってけっこうおもしれえ。

ぎゃあぎゃあ騒ぎながらアルバムをめくって、もうが湘北に入ってきた当時の写真になってきた。

















「あれ…これ…」

「へへ、寿の写真〜」















友達と撮った写真たちの中に、一枚だけオレの写真はあった。

携帯で撮ったものをプリントしただろうその写真は、他のものと比べるとかなりぼやけて…

おまけに、明らかに隠し撮りされたもの。

しかもそれは、が高1の頃に撮った…つまりはオレがグレてた時の写真。















「この頃、寿あんまり学校いなかったからさ〜、これ撮るの苦労したんだよ?

『三井先輩が学校来てる』って聞くと引き連れて学校中探してさ〜。やっと撮った写真なんだぁ」

「………」





















はちょっとテレながら、うれしそうに当時のことを話してるけどよ…

オレはなんか…ショックだった。

まあ…忘れようと思ってたときのこと、一気に思い出さされたっていうか…そんな感じ…。

もちろんには、グレてた時のこと知られてるのはわかってんだけど…

やっぱさ、あんときのことは忘れて、今のオレを見てほしいじゃん?

こんな写真大事にされてると…なんつうか…やだ?

















「寿、どうしたの?急に黙っちゃって…。あ、もしかして隠し撮りしたこと怒ってる?」

「あ?ちげーよ」

「ほんと?でもごめんね?やっぱいい気持ちしないよね」

「…お前さ、何でこんな写真撮ったわけ?」

「え?だって、寿の写真ほしかったんだもん」

「や、そーじゃなくてよ…。よくこん時のオレなんか撮ろうと思ったな?

自分で言うのもアレだけどよ…こん時のオレってかなりヤベぇべ。こんなもん捨てろって」

「やだ!これは思い出の写真なの!」

「思い出?」















自分で自虐的なこと言ってんのはわかってるけど…ほんとのことだ。

は…視線だけでちょっと天井を見てる。















「…あたしさ、中学の頃から寿のこと好きだったんだよねー。実は」

「…らしいな?さっき親父さんにも聞いた」

「うん。偕…って弟ね?バスケやっててさ。その関係で寿のこと知ったの。

でね、ずっと寿の写真ほしかったけど、学校も違ったからなかなかチャンスなくてさ。

試合も見に行ってたけど…試合中の寿ってばちっともじっとしてないんだもん!

あたしのカメラなんかじゃろくな写真撮れやしない」

「ったりめーだろ!バスケの試合なんだから!…でもよ、けっこう売られてたみたいだぜ?オレの写真」

「あ、知ってる。なかなかの人気だったもんねぇ。

でも、ほかの女の子が撮った写真って…なんかヤだったんだもん」

「そんなもんかねぇ…」

「そうだよぉ。だからさ、寿が湘北に行ったって聞いてね、

こりゃあもうあたしも湘北行って、寿の生写真ゲットしなきゃって。

この写真には、こーいうあたしの涙ぐましい努力がつまってるんだから捨てられないの!」



















…こぶしまで握って力説することか?それ…。

しかし…オレを追っかけて湘北来たってのは…マジだったんだな…

けどそれじゃあ…やっぱこん時のオレの姿って…けっこうショックだったんじゃなーのかな…

















「…んじゃびびったべ?最初。オレ見たとき…」

「ああ…んーまーね。

でもほら、寿がバスケ辞めてグレたっていうのは、湘北に行く前から噂に聞いてたから。

あ、ほんとだったんだなーって思ったぐらい?」

「…バスケ辞めたの知っててよく湘北来たな?」

「だってあたし、バスケしてる寿っていうより、寿の顔に惚れたんだもん。

バスケしてなくても問題なし!」

「…あ?」

















…顔…

そりゃオレはいい男だけどよ…てっきりもオレのプレイに惚れたんだとばっかり思ってたぜ…

…言いたかねーけど…顔なら流川の方がよくねえか?

女ってああいう綺麗な顔が好きなんじゃねーの?

オレがそう聞けば、のヤツは鼻で笑いやがった。

















「…綺麗なカオぉ??ふっ…そんなの流川とパパさんで見飽きてるって。

あたしはね、もっと荒い造りの…男っぽい精悍な顔が好きなの!

高校に入って男っぽくなった寿を見た時の感動は今でも忘れてないわっ!」

















…フランス料理も毎日じゃ飽きる…そういうことなのか?

まあ…褒められてんだよな??

そういうことにしとこう…

















「ね、寿?」

「あ?」

「写真…撮っていい?」

「は?」

















それまでの勢いはどこ行ったんだって思うぐらい小せぇ声でそう言って、はオレに擦り寄ってきた。

なんでだ?緊張してるっぽいカオ…

















「あのね、今度は隠し撮りじゃない写真、ほしいのね?」

「別にいいけど…あ、この写真捨てんなら撮ってもいいぞ?」

「もー!そう言うと思ったぁ!それはやだってば!!」

「オレだってな、いつまでもこんな写真残されてんのいやなんだよ!」

「ダメ!却下!!」

「却下って…オレも却下だ!お前だってロン毛のオレより今のオレのがいーべ??」

「ダメったらダメなの!

ロン毛の寿も今の寿も、どっちもあたしのなの!寿の写真は全部とっておくの!!」

「っ…」

















すっかり興奮してるコイツのことだから…自分がいま何言ったのか、わっかんねーだろうな…

「どっちもあたしの」なんて…けっこうな殺し文句よ?

やっぱオレ、コイツには勝てねーや。















「ったく。…変な女だよな、お前」

「むっ。変てなによぉ」

















誰がどう見たって、今のオレの方がいいべよ。

ロン毛もいいなんて…やっぱは変わってる。

…でも、コイツがこういう変わった女じゃなかったら…オレなんかとっくに見限られてるわけで…

















「…お前が変な女でよかったぜ…」

「だーかーら!変じゃないよぉ!!」

「はいはい。写真撮るんだろ?なんなら二人で撮ろうぜ」

「あ、いいね!」



















いままで怒ってたかと思いきや、はいそいそとデジカメの準備を始めやがった…。

この性格ちょっと羨ましいかも?



テーブルに雑誌とか本を積んで、ちょうどいい高さにデジカメをセットしたは、

セルフタイマーを動かして素早くオレの隣に戻ってきた。

















「赤いランプ、3回点滅したら、4回目で撮れるからね」

「ふーん…3回ね」













































点滅 1回目













































2回目











































3回目

さあ次だ























































「え…」





















































「おー、けっこう綺麗に撮れてんじゃん。この写真、あとでオレにも一枚な?」

「だ、だめ!!消すんだから!」

「あ?オレの写真はぜんぶとっとくんだろ?」

「うっ…で、でもこれだと横顔だけだしっ」

「んじゃもっかい撮る?今度は反対で」

「い、いらない!!」





















オレが何したかは、まあわかんだろ?










後書き

写真一枚でここまで引っ張ってみました。
キスプリクラみてて思いついたネタw
このシリーズ開始以来、最短時間で書きあがったのはなぜでしょう?



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