「はあ…」

「なに?さっきからため息ばっかりね?」















本日の練習試合の会場となった市立体育館の前で、は何度目かのため息をついた。

それを不思議そうに見つめるのは、の親友でもある

試合中はあれほど元気で、三井の勇姿に目を輝かせていたが、なんだか元気がなくて…















「…三井先輩…かっこよかったなぁ…」















少しだけ微笑んでが言う。

それを聞いたも、少し笑った。

の元気がないと感じたのは調子が悪いのではなく、三井の勇姿に中てられたせいのようだ。















「…うん…ほんと…かっこよかったよ…」













今までだって、は三井を見てきた。かっこいいと思ったのも、今に始まったことではない。

だけど今日の三井は、今まで見てきたそれよりも魅力的で…。











男らしい精悍な顔とそのノリのよさで、今や湘北高校でも結構な人気を誇る三井。

そんな彼に、出会う先々で声をかけてもらったり、かまってもらえるだけで幸せだと思っていた。

三井に憧れる女たちの中でも親しくしてもらっていると感じられるから、それでいいと思っていた…

だた…試合中に見せつけられた三井の情熱。ゴールを捕らえる鋭い視線。

今まで以上に三井の「男」部分を感じてしまった

今はもう三井に惹かれる気持ちを、自分でもどうしていいかわからないのだ。













ぼんやりと試合の余韻に浸っている

それを邪魔するのも忍びなくて、退屈しのぎには辺りを見回した。

試合を見に来ていた人々が次々と体育館から出てくるのが見える。













「…あら…」













の視線の先に、こちらに向かって全力疾走する男が…

体力のない男・三井寿。

そんな彼が、試合直後とは思えないスピードでこちらに近づいてくるではないか…













「……三井先輩がいる…」

「はえ?ど、どちら???」













急に三井の名前を出され、間抜けな返事を返す

よほど動揺しているのだろう。あらぬ方向を見渡して彼の姿を探す。















「いや…いるっていうか…来る?」

「へ??うわっ…」











が三井の姿を確認したとき、三井はすでにの目の前にいた。

さすがに疲れたのか、大きく肩で息をする三井。

だがその視線は、まっすぐにを見つめている…。















「…三井先輩?どうか…したの?」















普段の不敵な表情とは違い、どこか戸惑ったような三井の表情に

は少しだけ不安げな声で問いかける。















…」

「ん?」



















「お前さ…」

「うん?」





















「お前、オレのこと好きだろ!!」

「うん…って…は、はいぃ?」



















「あっ!! お前、今うなずいたな?」

「え!!ち、ちが…」

「いーや、違わねえ!つうか認めねえし?」

「ちょ…それずるい!!」



























三井の雰囲気に思わず正直な返事をしてしまっただが、すぐに失言に気づき…

何とかごまかそうとに救助の視線を求めるが、いつの間にか彼女は二人から距離をとっていた。

それでも会話は聞こえいるのだろう。の反応に、は必死で笑いをこらえているし…















『……あとで覚えてなよ〜!!!』













心の中で親友に悪態をついてはいるものの…

すっかり普段の雰囲気を取り戻した三井を前に、の顔は赤くなる一方で、

うつむいたまま顔を上げることもできない。

これをどう誤魔化せというのだろう。

















『なんでバレたの??あたし…何かした??』





















上目遣いに三井の顔を覗き見ると…したり顔でニヤつく三井…















『…なんか…気まずいのってあたしだけ??』

















なんだか無性に腹が立ち、は思い切って顔を上げる。



















「あたしは…あたしは三井先輩が好き!だから何?迷惑だってことなのっ?」

「はぁ?誰がんなこと言ったよ!」















逆切れ気味の。そのせいで三井の口調も強くなる。

なぜかにらみ合う二人…。

















「…帰る…」

「あぁ?」

「帰る!」













これ以上こうしていたら泣き出しそうで、は三井に背を向けた。

そのままのほうへ歩き出そうとする。















「チッ…待てって!」

「なに!」













の腕をつかんで止めた三井はそのままその腕を引き、無理やり視線を合わせる。















「人の話は最後まで聞けって」

「だから、なに?」















「好きだぜ」

「…は?…」















、目が点…













「オレも、お前のことが好きだ」

「…ほん…と?」

「嘘ついてどーすんだよ」

「だ、だけど…あたし…気が強いし、生意気だし…」

「んなこと知ってるって」

「じゃあなんで…」

















いまいち信じきれない。三井はもっと…かわいらしい女の子が好きだと思っていたから…

の言葉に少しだけ笑い、三井は言った。















「オレだって自分勝手だぜ?独占欲はつえーし、態度もでけえ」

「…知ってる…」

「んにゃろ」

「あはッ!」















ようやく、に笑顔が戻る。三井がのそばでずっと見ていたいと思っていた笑顔…

これだけは…逃したくない。













の肩に手を置いて、三井はその目を見つめたまま言う。













「オレらって、似たもの同士だと思わねぇ?」

「ん…そうかも」

「だろ?案外さ、うまくいくと思うぜ?どうよ?」

「…うん!」















少し離れた場所で、は二人の経緯を見届けていた。

なにやらもめたようだが、どうやらうまくいったようだ。







「よろしく」







そう言ってが差し出しただろう手を三井が握り、握手なんか交わしたりして…









ひとしきり三井との告白劇を堪能したが、できたばかりの彼氏をつれてこちらに駆け寄ってくる。

うれしそうに手を振るも手を振って応え、は考えていた。











「おめでとう」












そう言って彼女を迎えてあげよう。









後書き

「告白 三井編」完成!!!
長くなった…。
書きたいことをまとめられずに二部構成w
単調な文章を最後まで読んでくださった皆様、感謝します。
夢のないストーリーですみません…

2004・4・20


top