デザート秋の陣


 2001年10月11日、この日はオール日大という日大の学部対抗戦のようなものがあった。

 夕方、オール日大が終わる。終了後にみんなで記念撮影をし、打ち上げに行く。打ち上げの場所は町田にある焼き肉屋(食べ放題)のお店。食べるのが好きな私は「人一倍食ってやろう」と心の中で思っていた。だが、この考えが悪夢の出来事となるとはこの時誰が思っただろう。いや、誰も予想がつかなかっただろう。

 店に入ると、学年別に分かれて座った。私のテーブルには同期の3人、隣のテーブルには4年生(当時)の先輩が座っていた。

 私はほとんど昼食を食べてなかったので、空腹度はMAXに近かった。その為、がんがん肉を持ってきては食べ、持って来ては食べるという動作の繰り返しだった(この店はバイキング方式なのです)。同期のみんなからも「もう食えないから食って」「まだいけるでしょう!」と言われ、食べ物を渡される。けっこう食べた気がするなあ。ある程度食べ、お腹が満たされてから、デザートを食べたくなった。ありがたいことに、この店はデザートも食べ放題である。デザートはおいしく食べようと思った矢先、悪魔のしもべが私に近づく。そう、4年の先輩たちだ。

「お、川上。まだ食えそうだな!」
と言い、私のもとに置かれたのは、おわん方の器に入った得体の知れないデザート。見た目グロテスク。お世辞にもおいしそうとは言えない。底の方にはゼリーやこしあんが入っており、上には山盛りになったソフトクリーム。他にも色々入っててすごかった気がするが、何せ半年も前、少し記憶が薄れている。って言うか思い出すのも嫌じゃ。このデザートは当時「桑○スペシャル」と呼ばれていた。苦しみながらも食べる私。

「ぷ〜!」
何とか食べきる。が、すぐに新しい桑○スペシャルが!マジで涙が出そうになる。(ちなみに、桑○スペシャルと言う名の由来だが、これはデザートを食べていて楽しんでいた先輩方で体連の先輩でもある桑○先輩が自らの手であみだし、食べていたものである。ボリューム満点!)

 まるでワンコソバを食べるかのように次々と製造される。笑うみんな。泣きそうな私。いつの間にか下級生も私の動向に注目していた。この、悪魔の一人フードファイトに。自分の記憶だと2杯は確実に食べた気が・・・。3杯目はさすがに苦しく、もうやめようかと思った。その時、

食えよ!
という恐ろしい声が。そう、製造者である桑○先輩である。あの人は普段は善人だが、悪いことをするときの眼は鬼に近いものがある。はむかえずに食べてしまう私。3杯目も何とか食べきる。が、4杯目はさすがに限界が来て体に入らずタイムアップ。時間制限がなかったらきっと地獄を見ていたはずだ。この時ばかりは時間のありがたみを感じた。

 店を出てからも気持ちが悪かった。そりゃそうだろう。焼き肉を散々食べた後に、冷たいデザートをがっついたのだから。量だけでいったら2〜3食分は食べていてだろう。甘党の私もあの時ばかりはもう甘いものを受け付けなくなった。今思うと、「馬鹿の大食い」伝説はここから始まってしまったのだろう。始まる必要もないのに・・・。

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