包み貼りをしたかるたは、規定寸法に圧縮、艶出しをし裏側と表側のキズを除き絵ならべして、次に同じ絵を横に一枚づつ並べて積上げて48枚のかるたとして一組となります。
かるたの表側に艶出しと保護の為に塗工液をぬります。仕上がりを良くする為に熱い間に手早く塗り上げます。
和紙のフチにのりをつけて板に貼りつけます。本染めは毎日のり炊きをして、松煙又は紅柄と混ぜて刷毛でねり込むようにして色染めします。
最後に色止めと艶付けの塗工をして裏貼紙が出来上がります。その裏貼紙はスベリとネバリがあり、他の紙質加工ではこの良さは得られません。
良質和紙の裏貼紙で一枚一枚包み貼りをします。やわらかい和紙ですからキズをつけないように包み貼りをすることは大変むずかしく又、根気のいる仕事です。
白砥の粉を混合した澱粉のりを使っています。刷毛で均一に塗り上げるには相当熟練しないと出来ません。
百首の歌が全部揃っているか検査をして、50枚づつ紙紐、セロファン巻をしたのち、手作りの箱に入れて、完成品になります。
貼合わせた生地を乾燥並びに加工したのちかるた寸法に截段します。
色すき和紙に、金や銀の箔をふって裏貼紙が出来ます。ドウサ(ニカワ)液を刷毛で塗ること、箔が飛び散らないように静かに振りおとすのは、中々むずかしいことです。
かるた一枚一枚を、和紙に澱粉のりをつけた裏貼紙で、裏側から包むように貼上げます。この作業は、一組(200枚)貼上げるのに熟練者で2時間ちょっとかかります。
多色刷りしたおもて紙を一度濡らしてから、澱粉のりで貼合わせます。
”紙は生きています。”貼合わせ生地に使用する糊はみな水分を含んだ
澱粉糊を使っています。それぞれの紙の特性を生かし、又ころしする為に
長年の技術を発揮していつまでも手ざわり、かたちの変わらない安定度の
高いかるたを製作しています。
それでは製作の過程を覗いてみましょう。

                        手づくり工房











                          百人一首


   


                             

                           
 

                             
                            


                           


                           


                             


                             



                          


                             


                            






歌かるたへのいざない・・・



中世のコンビネーションアルバム

 お正月のかるた遊びとして古くから親しまれている「小倉百人一首」は、鎌倉時代前期の歌人、藤原定家が編纂した和歌集です。もともとは子の為家の舅にあたる宇都宮頼綱の依頼で作られたもの。京都・嵯峨小倉山の山荘の障子(今でいうふすまにあたると考えられています)を飾る色紙としてしたためられたために、「小倉山荘色紙和歌」と呼ばれていました。古く飛鳥時代の天智天皇から鎌倉時代の順徳院までの歌人100人の和歌は、やがて書き写され、為家が作者名とその官位を添えるなど若干の補訂を加え、年代順に整えたといわれています。
 折節の風景を詠んだ四季の歌、甘くまた苦い恋に揺れる心を詠んだ恋の歌など、典雅な王朝和歌は時代が下がっても愛されつづけます。さまざまな注釈書が書かれ、ときには書道の手本ともなり、そして江戸時代にはかるたとなって、庶民にも広く親しまれるようになったのです。



職人の技                                            

                          かるた遊びのための札は、一組200枚。ひらがなで
                              下の句がしるされた取り札、美しい絵柄の読み札を、
                              昔からの技法を守って作りつづけているのが弊社
                              です。
                               大正10年の創業以来、良質の和紙と専用の糊を
                              使い、手作業で製作しています。
                               かるた作りにはいくつかの工程がありますが、最
                              初は
「きじはり」。多色刷りしたおもて紙を一度濡
                              らしてから、澱粉のりで台紙に貼りあわせます。貼
                              り合わせた生地を乾燥・加工したのち、かるたの寸
                              法に裁断するのが
「おおだち」です。
 さらに高級な品では、金箔や銀箔を用いた裏貼紙を貼りつけます。裏貼紙は、色すき和紙に
ドウサ(ニカワ)液を刷毛で塗り、均一にきれいに振りおとして作られます(
「はくふり」
という。)そして、この裏貼紙に一枚一枚、澱粉のりをつけ、裏側から包むように貼りあげる
のです。この最も熟練の技が求められる工程を
「へりかえし」といいます。やわらかい和
紙はキズがつきやすく、また気温・湿度などでのりの濃度も細かく調整しなければなりません。
のりを置く刷毛さばきひとつもおろそかにはできず、熟練者でも一組200枚を貼りあげるのに
1時間以上かかるといいます。
また、一組のかるたを必ず一人の職人が仕上げます。これは微妙に異なる「手」の加減をそろ
えるためで、できあがった200枚の札を重ねるとわずかの隙間もなくぴしっと積み上がります。
柔軟かつ強靭な和紙の力と、それを生かしきる職人のていねいな仕事は各地の百貨店で開催さ
れる「京都店」などで実演させて頂いています。

 


美しい日本語と文化のために

 古典文学に触れる機会が減ってきている現代、百人一首は気軽に和歌に接することができる大切な
文化といえるのではないでしょうか。王朝和歌の歴史をたどるきっかけともなる百人一首。かるた遊び
の為に句を覚え、なじみのない言い回しに出会ったら、古語辞典や解説書で調べてみる。日本語の奥
の深さに気付くよい機会になるかもしれません。
 そんなときにおすすめしたいのが、練習用の朗読CD付のセットです。
いにしえの人々がそうであったように、朗々と詠みあげられる言の葉
(ことのは)の響きを聴くと、文字を見ながら黙読するときとは違う美し
さを感じることが出来ます。楽しくかるた遊びをしながら、言葉に対する
豊かな感性を磨くことができる・・・子どもたちはもとより、気ぜわしい毎
日を送っている大人にも、こんなゆったりとした時間が必要なのかもし
れません。
 弊社の「小倉百人一首」は、毎年一月三日に京都・八坂神社で行わ
れる『かるた始め式』でも使われ、その仕上がりの美しさから、かつ
ては嫁入り道具のひとつに数えられていたというのもうなずける話しです。気軽に使える練習用から始
めて、やがては芸術品ともいえる手漉き和紙を用いた最高級のかるたを手にする・・・そんな夢の第一
歩を、今度のお正月からはじめてみませんか。






            


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