「アインシュタインが考えたこと」について1
(「アインシュタインが考えたこと」佐藤文隆、岩波ジュニア新書31)
著者 高田敞
(以下{ }内は上記本からの引用です)
座標系 p40
問題
{船に固定した座標系は、海に固定した座標系に対して動いている。一方から見れば、他方の座標系が動いている。反対に、船の上から見れば、海に静止した座標系は動いていることになります。船から見れば海は動いている。船の進行方向と反対方向に動いて見えます。このようにお互いに運動している、いろいろな座標系を考えることができるわけです。}
問題1
{船から見れば海は動いている。船の進行方向と反対方向に動いて見えます。}
考察
{船から見れば海は動いている。}というがそうでしょうか。船は、船のエンジンで動いています。船のエンジンの出すエネルギーと、船の加速度は一致します。ニュートンの法則です。
では、海が動いているとすれば海はどのようなエネルギーで動いているのでしょうか。
1 エネルギーの出所が不明です。
2 船のエンジンでどのようにして海を動かしているのでしょう。
船尾から海を見ると、スクリューの回転によって、海の水が後ろに押しやられるのが見えます。でもそれは一部分です。海全体が後ろに動いているわけではありません。液体なのですから、スクリューの動きで全体が動くわけはありません。
3 エネルギーの大きさ
海が動くエネルギーと船が動くエネルギーは違いすぎます。エネルギー不変則に反します。
また、海が動くということは、地球が動くということです。地球が動くということは、月が動くということです。また太陽や銀河系も{船の進行方向と反対方向に動いて}いるということです。船のエンジンの出力で、どのようにして、地球を動かすことができるのでしょう。船と離れた月や、太陽をどのような方法で動かしているのでしょう。
その答えが、{船から見れば海は動いている。船の進行方向と反対方向に動いて見えます。}ということなら、それは科学ではありません。見え方と、実際の運動とは異なります。船から見ると、海が動いているように見えるのは錯覚です。
新幹線から見ると景色が動いているように見えるのは、景色が本当に動いているのではなく、そのように見えるだけです。新幹線で東京駅を出発すると、京都駅が動きだし、自分の方にやってくるなんていうことはありません。
結論
動いている方は決まっています。太陽の周りを回っているのは地球の方です。ガリレオは言いました{それでも地球は動いている}と。いくら太陽が東から西に動いているように見えるからといって、太陽が実際に東から西に動いているということではありません。見た目と事実は異なることが往々にしてあります。それとも、佐藤氏は天動説ですか?
問題2
{物理の法則を記述するうえでどちらが基本的だとか、どちらが本当に動いているとか、絶対に静止しているとか、そういうことを考えるのは、意味がないわけです。ある意味で、すべては動いているし、すべては動いていないといえます。まったくその動きは相対的なわけです。}
考察
上に書いたように、地球は太陽の周りを回っています。正確には、太陽と地球の重心のまわりをともに楕円運動しているということです。双方の質量によって、運動は違っています。どちらがどのように動くかは決まっています。{すべては動いているし、すべては動いていないといえます。}ということは事実の世界にはありません。
たとえば、小柴氏の観測したニュートリノは15万光年の距離を15万年かけて光速で飛んできて地球を通過していきました。
ニュートリノから見れば、地球が、15万光年の距離を、15万年かけて光速で飛んでいって、ニュートリノに、突き当たったということになります。マゼラン銀河で15万年前に、超新星が爆発したとき、地球はすばやくそれを察知して、超新星に発生した、ニュートリノに向かって、光速で飛び出したということなのでしょうか。どのような手段でニュートリノができたことを察知したのでしょうか。どのようなエネルギーが地球を瞬時に光速にしたのでしょうか。答えられますか。どうせ、座標系がどうのこうのという机上の空論を持ち出すのでしょう。机の上の紙きれの座標はどうとでも書けます。でも、宇宙は人間には手出しできません。
この宇宙に、どちらが動いているか決められない現象、{すべては動いているし、すべては動いていないといえ}はあるのでしょうか。ありません。すべて動いている方を特定できます。
結論
{すべては動いているし、すべては動いていないといえます。}というのは、机上の空論です。現実世界では動いている方は決まっています。