銀河団の衝突

 アンチビッグバン論08〜09年分
 雑誌「Newton」2009年5号に銀河団の衝突の写真が掲載されていた。その銀河団は、「MACSj0025,4−1222」という。

それは銀河団が衝突して通り過ぎていった跡だという。

 

 このことから、ビッグバン理論に対するふたつの疑問が生じる。

@ 銀河の赤方偏移以外の宇宙膨張の実際の現象はどこに現われているのか。

A 銀河団が衝突するための時間と宇宙の年齢が一致するか。

のふたつである。


{注:以下、「重力」のことを基本的には「万有引力」と書く。相対性理論や、それを基礎にしたビッグバン理論の表現は「重力」である。「重力」は、物は重いから落ちるという考え方である。この考えかたはニュートン以前の考え方である。ニュートンは、物は重いから落ちるのではなく、質量のあるものどうしが引き合う力があるから、投げ上げた石は地球と引き合ってぶつかると考えた。私はこの考え方のほうが正しいと思うので、「万有引力」という表現をとった。なお、ビッグバン理論にのっとったところは一部、「重力」を使った}

問題1 
銀河の赤方偏移以外の宇宙膨張の実際の現象はどこに現われているのか。

 銀河団が衝突しているということである。これは、宇宙膨張があれば本来離れていかなければならないはずの銀河団が反対に接近しているという矛盾である。

 このことはこれだけではなく、他にも多くの事例がある。

考察1

(1) 宇宙が膨張していることへの否定的事例

@ 星間分子

 恒星ができるとき、星間分子が集まって分子雲ができ、やがて、収縮して恒星になることから、かなり希薄な星間分子も万有引力で集まっていることがわかる。このことから、万有引力のかなり小さなものも空間膨張の影響は受けていないことがわかる。

 これには大きな矛盾がある。

 星間ガスは、ビッグバン論によると、灼熱の火の玉にその起源があるということだ。それがビッグバンによって宇宙が広がると共に広がっていったということだ。この星間ガスは宇宙開闢後137億年間に宇宙空間膨張と共に全宇宙に満遍なく広がっていったことになる。それが、分子の持っている万有引力が、宇宙膨張の力にあるとき打ち勝って、集まり始めたということになる。分子一つ一つが持つ万有引力は非常に小さなものである。それなのに、巨大な銀河団さへ高速で動かす宇宙膨張の力がたやすく負けている。

 分子雲の中で、恒星ができると、その星からの紫外線で、集まっていた分子雲が吹き飛ばされている現象が多数観測されている。しかし、宇宙膨張によって、分子雲が拡散している現場は観測されていない。紫外線でさへ収縮している分子雲の万有引力を打ち破るのである。それが、集まる前の星間ガスの小さな引力にさへ負けているのである。

 空間膨張がほんの少しも分子雲に影響を与えていないというのはどうしてだろう。空間膨張がないと考えれば矛盾はないが、空間膨張があるとすれば大きな謎になる。

A 恒星

 太陽は、できてから45億年の間、空間膨張のために膨張した形跡はない。他の恒星も、空間膨張のために膨張したという観測はなされていない。

 このことから、宇宙の全ての恒星は空間膨張の影響を受けていないということができる。あるいは、空間膨張はないといえる。

B 惑星系

 太陽系は、できてから45億年の間宇宙膨張の影響を受けていない。その間に太陽系の占める空間は今の3割強膨張したはずだが、惑星や、準惑星や、小惑星や、彗星の軌道が広がったという観測や理論はない。宇宙膨張の力は全宇宙の物質を、1点から全宇宙にばら撒いたくらい強いのだから、45億年の間に太陽と地球の引っ張り合う力に負けたとしても、地球の軌道を1割くらいは広げてもよさそうに思うのだが、その影響は少しもない。1ミリだって軌道を広げていない。宇宙の総万有引力など、物ともせずにほとんどすべての物質をばらばらに宇宙にばら撒いた空間膨張より、宇宙の万有引力に比べたら無に等しい太陽と地球の万有引力のほうが強く、髪の毛一筋ほども地球の軌道を動かせないのである。大きな矛盾である。

 このことから、宇宙の全ての恒星の周りは、宇宙膨張の影響を受けていないということが類推できる。あるいは空間膨張はないといえる。

C 銀河

銀河系はできてから100億年の間膨張していない。

 このことから、宇宙の全ての銀河は膨張していないということが類推できる。

D 銀河系と伴銀河

 銀河系と伴銀河の大小マゼラン銀河は離れていない。

 このことから、宇宙の全ての銀河と伴銀河は宇宙膨張の影響を受けていないということが類推できる。あるいは空間膨張はないといえる。

E 局部銀河群 

 銀河系と局部銀河群をつくるアンドロメダ銀河との間は離れていない。また、局部銀河群ができてから今まで宇宙膨張が原因で隣り合った銀河同士が離れていった証拠はない。また、銀河同士の衝突はかなりの数観測されている。

 このことから、宇宙の全ての局部銀河群は膨張していないということが類推できる。あるいは空間膨張はないといえる。

 

 これらのことは観測から実証されている。

 また、銀河団自体もその万有引力によって膨張せず、膨張するのは、銀河団どうしの間だけだという意見さえある。

 これらのことは、宇宙の全ての領域に渡って、個々の銀河団以下の大きさの物質の構造は宇宙膨張の影響を受けていないということを示している。あるいは、空間膨張は存在しないということなら、矛盾なく説明できる現象である。

 そして、この事例のように銀河団どうしが衝突していることから、銀河団の間でも、膨張はしないで近づいている事例があるということだ。

 すると、唯一残されている、銀河団同士の間でさえ膨張していないということになるから、ふつうに考えれば宇宙膨張は実際の物質間ではどこにも存在していないということになる。

 しかし、以上のことは、空間は膨張するが、重力で結ばれている星や銀河や銀河団はその重力で宇宙膨張の影響を受けず、固有の運動をし、近づくこともあるというのが、ビッグバン論者の言い分である。しかし、 B惑星系で書いたように、宇宙膨張の力はこれら構造物に少しも影響を与えていない。引力と、宇宙膨張の力が互いに作用しあって、中間の値をとる現象は一つも現れていないのである。力が作用すれば必ずそれが現象に現れなければならないはずであるから、これは、宇宙膨張の力が存在しないということを現している。

(注: ビッグバン理論は説明できないことには何でも言い訳がついているのが大きな特徴のひとつである。総転移しかり、インフレーションしかり、暗黒エネルギーしかり、暗黒物質しかりである。どれも今までの物理学では説明できないし、地球上にも、太陽系にも、銀河系にも存在しないまったく謎の現象や物質である)

 

では、ビッグバン宇宙で膨張するのは、どこだろうということになる。

(2)ビッグバン宇宙はどこが膨張するか1

 唯一残っている、銀河団どうしが宇宙膨張の影響を受ける、と仮定する。

 この仮定から、銀河団「MACSj0025,4−1222」は非常に特殊な例で、ほとんどの銀河団は宇宙膨張にしたがって離れていっていると考える。

ア 60億年前を考える。

 銀河団「MACSj0025,4−1222」はすれ違い終わったころである。

 他の銀河団はどうだろう。宇宙膨張をさかのぼると、60億年前の宇宙の銀河団の距離は今の約半分の距離のはずである。

 そのとき多くの銀河団に起こること。

@ 距離が近いから、万有引力の影響は今より大きい。

A 離れる速度はハッブル定数により距離に比例するから、離れる速度は今より小さい。

 すると、今よりはるかに大きな万有引力が働き、宇宙膨張の斥力ははるかに弱いことになるから、膨張の力より万有引力が勝る銀河団が多くなり、接近する銀河団が多くなるはずである。しかしそんなことは無いようである。 その後宇宙膨張と共に離れて行っているのだから。

イ 100億年前を考える

 銀河団は互いに今の距離の3分の1ほどの距離にある。ところが銀河団「MACSj0025,4−1222」は衝突のために近づく前だから遠く離れていたはずである。なぜなら、一度は遠く離れていなければ二つの銀河団になれずに、最初から一つの銀河団になってしまうからである。また、最初から近いと、引力による加速も小さくなるから、すれちがうことができなくなる。この距離は、他の銀河団の距離に比べて遠いはずだ。100億年前には遠かった銀河団どうしが、その後30億年かけて近づき衝突し、その他の100億年前には近かった銀河団どうしはその後宇宙膨張の力で離れていくことになる。大きな矛盾が生じる。

ウ 膨張をさかのぼる

 膨張しているのは銀河団の間だけとすると、さかのぼると銀河団の間は収縮することになる。ところが、銀河団や、局部銀河群や、銀河や、太陽系などは先ほど書いたようにできてから一度も膨張しなかったのだから、昔にさかのぼっても大きさは今と同じである。100億年前は、銀河団の間だけが狭まり、数百万光年の距離になる。これでは銀河と銀河の間の距離くらいである。みんなくっつきあっていたことになる。大きな矛盾である。なぜある部分だけが、重力より、空間膨張の力が強くなったのかの説明が必要である。

(3)ビッグバン宇宙はどこが膨張するか2

 上の矛盾を無視して、銀河団と、銀河団の間で、遠く離れたところが膨張すると仮定する。

 すると、宇宙の巨大構造の、ボイドができ、その周りに、銀河団が連なった、今観測されている宇宙の泡構造ができそうである。

ア 第一の問題

 泡は大きくなるときは表面が伸びていく。同じように宇宙の泡の表面である、銀河団の連なりが延びていかなければ宇宙の泡も大きくなれない。しかし、連なった銀河団は、互いに重力で影響しあって連なっているから、伸びるのは難しい。銀河団までの構造は、重力が勝った場合、宇宙膨張の力の影響は0であったのだから、銀河団同士が結びついてつくる巨大構造も、宇宙膨張の影響は0になる可能性が高いのである。

イ 第二の問題

 石鹸水で作った泡の塊は、上下左右斜めと全てに泡の粒がある。この泡がそれぞれに膨張すると、泡は押し合いへし合いになる。泡の場合は、小さいから、全体が大きくなることができる。

 では宇宙ではどうだろう。

 一つ一つのボイドが大きくなると、接している隣のボイドを押すことになる。押し合いへし合いになって、お互いに上下左右のボイドに自分の銀河団を押し込むしかなくなる。

 このとき、石鹸の泡のように泡一つ一つが大きくなってそれが全体の泡の塊を大きくするのと同じように考えて、ボイドの一つ一つが大きくなることで宇宙全体が大きくなると考える。すると、あるひとつのボイドが大きくなるエネルギーは、1万個離れたところにあるボイドにも瞬時に伝わらなくてはならない。そのボイドが動いてくれないことには広がれないからだ。そして、その間にある1万個のボイドも膨張しているのだから、その1万個の膨張の全てが、1万個先のボイドを押さなくてはならない。そのボイドは、つねにものすごい力で加速され続けていることになる。どのような仕組みで1万個先のボイドを押すことができるのだろう。巨大な銀河団の連なりを、加速するエネルギーや、その仕組みは、現代の物理学では、不可解以外の何物でもないだろう。

 もしこの現象があるとするなら、地球があるこのボイドも、1万個先から連なるボイドの膨張の影響で、つねにものすごい勢いで加速されていなければならないはずだ。ところが地球が加速されている現象は何一つ観測されていない。これはボイドが膨張していないということの証拠である。

 このことから、宇宙膨張は、泡構造をつくれない、そしてつくっていないことは明らかである。

(4)銀河団までの構造物はいつ膨張をやめたか

 宇宙がビッグバンから始まったとすると、宇宙の構造物は膨張をした時期がなくてはならないはずだ。それでなければ、宇宙が始まった1点にいつまでもあることになる。そこで、何時まで膨張が可能であったかを考えてみる。

ア 太陽

 太陽は星間ガスが収縮して45億年前にできた。

 それ以前は、ガスが収縮し、分子雲になる過程があったはずである。

すると膨張していたのは、その前になる。ビッグバンからある年月の間、ガスは膨張し、あるとき収縮に転じた。距離が離れれば離れるほど、離れる相対速度が速くなる空間膨張から考えると、不思議な現象である。ふつうの爆発のように、最初だけエネルギーが加わって離れるなら、引力で減速され収縮に転じることも可能であるだろうが、先にも書いたように、初め近くにあったのだから、一番引力が強かったにもかかわらず膨張を始めたのに、離れながら、ハッブル定数にのっとって加速され続け、反対にニュートンの万有引力の原理から引力は弱くなり続けたにもかかわらす、減速され、収縮に転じるというのはどうしてだろう。

 矛盾はあるが、それを無視してビッグバン理論が正しいとすると、太陽を作ることになる星間物質が膨張していたのは、45億年前以前、星間分子雲になる前である。それは銀河系ができたことと関連して考えられるので、次に銀河系について考えてみる。

イ 銀河系

 100億年の歴史を持っているということである。銀河系はできてから膨張をしていないと考えられるので、銀河系をつくることになる星間物質が膨張していたのは100億年前以前になる。

 したがって太陽を造る元になった星間分子も、100億年間膨張とは関係していないことになる。

 このことから、銀河系を造る元になった物質は、宇宙開闢から、2、30億年ほどかけて、銀河系の大きさ以上に膨張し、それから収縮をはじめて、銀河系をつくったと考えるほかなくなる。

ウ 銀河団

 銀河のできたときと同じころに銀河団もできたと考える。すると、やはり30億年ほど膨張し、銀河団より少し大きくなったところで、収縮をはじめ、今の大きさになりそれ以来、膨張も収縮もしないで100億年たったと考えられる。

エ ハッブルディープフィールド

 これによると、宇宙開闢数億年のころにもう銀河があるのが見つかっている。すると、宇宙膨張と共に1億年ほど星間雲が広がって、1億年ほどで収縮して銀河ができ、それ以来、その銀河はずっと同じ大きさでおそらく今も宇宙のどこかに存在するはずである。そのころは宇宙全体の大きさは、今の50分の1以下くらいの大きさであったことだろう。銀河同士が今100万光年の距離にあったとしても、そのころは2万光年しかなくなる。1000万光年でも20万光年である。5万光年しか離れていないことになる。直径20万光年のアンドロメダと、直径10万光年の銀河系がそこまで接近すると、互いの銀河を取り巻くガスは接していて、強く影響しあっていたはずである。このころは両銀河は存在しなかった可能性はあるだろうが、すぐ後にできたことを考えると、このころにもう両銀河の元になるガスは集まっていなければならないはずだ。そうしないと、空間膨張と共に分散してしまうだろうから。

 このように全ての銀河はつい隣同士になる。全宇宙の銀河は、1個の巨大な銀河団を構成する距離になる。それどころか銀河はそれよりもはるかに接近して存在していたことになるから、銀河同士は押し合いへしあいの状態である。その後なぜ銀河団に分かれて、銀河団同士の間だけ膨張していったのだろう。不思議なことである。

 {注:銀河団以下の構造物が膨張していないとすると、いくら時間を遡っても構造物は収縮しない。すると、宇宙誕生後1億年のころは多くの銀河が重なってしまう。変な話だ。このことは宇宙膨張はなかったことを示唆する}

 

結論1
 空間膨張の証拠は

 空間自体が膨張しているという直接の観測はなされていない。空間は見えないし観測できないから、それ自体が膨張したり収縮したりすることは観測できない。したがって、観測できる、星や、銀河や、銀河団の膨張を観測することで宇宙が膨張していることを間接的に知ることになる。ところが、その星や、銀河や、銀河団が膨張していないのである。直接の観測からは、このように、膨張はないという観測結果が出、膨張があるという証拠はひとつもないのである。

 あるのは、ハッブルの発見した、銀河の光の赤方偏移だけである。それも、200万光年くらいでは、アンドロメダのように、近づいてきているのもある。光が宇宙空間を数千万年とか数億年とか飛び続けたとき初めて赤方偏移が、一定の割合になるようである。宇宙膨張の直接の証拠はそれだけである。ほかに何もないのである。

 では、光の赤方偏移は、本当に、銀河の後退速度によるのだろうか。その証明はなされていない。実際後退速度によっても光は赤方偏移するのが理論的にも観測的にも実証されているので、かなりそれらしい理論ではある。

 しかし本当に赤方偏移の原因はそれだけなのだろうか。もし、数千万年光が宇宙を飛び続けたら、光がエネルギーを何らかの形で減じるということはないだろうか。数千万年といえば、ねずみが人間にまで進化できるくらい長い時間である。

 数億年光が宇宙を飛び続けたら、光も何らかの形でそのエネルギーが減じることはないのだろうか。数億年といえば、恐竜が生まれ、様々に進化し、空にも陸にも海にも進出し、やがて滅びていった時間に相当する。その間ずっと宇宙の分子や原子の中を休まず飛び続けて来た光が少しくらいセピア色になっても不思議はないのではないだろうか。宇宙を飛ぶ光が色を変える現象は、宇宙の塵のために起こる星間赤化や、クエーサーが銀河間の塵で赤化することなどで観測されている。

 もし空間膨張があるなら、地球や太陽系や、あるいは、銀河系など、観測がかなり正確にできるところで空間膨張による実際の現象が観測されなければならないはずである。それが皆無であるのは、空間膨張がないということであると言い切れなくても、少なくとも強く疑はなくてはならないはずである。

 

 次に、この銀河団の衝突のしくみをビッグバンが正しいとして考えてみる。

問題2
 銀河団の広がり方と万有引力

 ビッグバン論によると、宇宙は空間膨張にともなって広がっているということである。これは銀河の赤方偏移が、距離に比例することから考え出されている。距離が2倍になれば銀河の後退速度が2倍になり、10倍になれば後退速度も10倍になることから来ている。これはふつうの爆発による広がり方とはまるで違う。普通の爆発だと、空気抵抗がなければ、どこまでも爆発の中心から同じ速さで離れていく。決して遠くなればなるほど速くなるということはない。また方向性があり、反対に飛び散るものどうしは2倍の相対速度を持つが、同じ方向に飛び散るものは相対速度は0になり離れていかない。飛ぶ方向によって、互いの相対速度が2倍から0までの間の値をとる。

 また、宇宙の場合は、物質は万有引力を持っているから、離れる速度は減速され続けるので、遠いほど速い速度で離れるということはない。遠いほど過去を見ていることになるから、過去ほど速い速度になる、ということから、万有引力によって宇宙膨張が減速されているという考え方もできるが、今のところ、ビッグバン宇宙論者はかえって今のほうが膨張速度は速いといっている。これはビッグバン宇宙膨張の仕組みとはことなるので、爆発によって飛び散った現象ではないと考えられる。

考察2

  この衝突している銀河団を考える。

 ふたつの銀河団ができていたということから、このふたつの銀河団は、銀河や星ができたころは遠く離れていたと考えられる。なぜなら、近いと、ふたつに別れずに最初から同一の銀河団となるからである。

 そこで、この銀河団ができていく過程を考えてみる。

 ビッグバンのときは、このふたつの銀河団を形成することになる物質はほぼ同じところにあった。ビッグバン宇宙は1点から始まるということだから。

 その後、宇宙の膨張と共に広がっていった。広がると互いの距離は遠くなるから、離れる速度は距離に比例して速くなり、二つの銀河団の間の万有引力は、距離に比例して小さくなっていくはずである。空間膨張のための斥力はどんどん増加し、縮める力はどんどん小さくなっていったということである。

 すると、ふたつの銀河団は離れることはあっても、近づくことはないはずである。

 では、なぜ、いったん離れて行った銀河団がどうしでまた衝突したのか考えてみる。

 おそらく、石を投げ上げたら、また落下してくるのと同じ原理を考えたのだろう。

 すなわち、ビッグバンで、飛び出した銀河団の物質どうしが、万有引力で引き合うことで減速し、やがて停止し、石が落下するように、銀河団どうしが衝突したと考えたのだろう。

 しかし、これでは矛盾がある。ビッグバン理論では宇宙の膨張は空間膨張である。しかし、上の考え方は普通の物質の爆発の考えかただ。大きな矛盾である。

 しかし、宇宙膨張だけなら、離れていった銀河団は2度とぶつからない(注:理由は、最初はごく小さな宇宙だから、ほとんどの物質がくっつきあうくらい接近していた。引き合う力は最大であったはずだ。それが空間膨張で離れたとすると、その時点ですでに引力より空間膨張の斥力が上回っていたはずである。その後、物質同士が離れていくと、それにともなって、空間膨張の斥力は増大し、引力は低下する。したがって、一度はなれた物質は空間膨張だけの宇宙では二度と接近しぶつかることはないはずだ)ので、宇宙膨張と、爆発の初速度があると考えてみる(これはひじょうに変な話で、ビグバン論とは違う考え方のようだが、致し方ない)。もし初速度だけなら、137億年もたてば元の位置に落下して宇宙はつぶれていただろう。先ほど書いたように最初の爆発の力だけで飛び散ったのなら、すべての銀河団が同一速度で、距離に比例して速度が速くなるということはない。反対に万有引力でどんどん速度は落ちていく。爆発の力は、物質が持っていた万有引力の位置エネルギーを越えることはないから、やがて、またもとの位置であった1点に戻るはずだ。距離に比例してどんどん膨張速度が速くなる謎の斥力がなければビッグバン宇宙はつぶれていただろう。

 したがって、ビッグバン論に従うならば、この銀河団どうしも、離れながら距離に比例してどんどん遠ざかる速度は速くなっていったはずだ。そして、距離の2乗に反比例して引き合う力は弱くなるのだから離れていくばかりでぶつかることはないだろう。

 また、空間膨張はどこから見ても遠いほど、離れる速度が速くなるということであるから、宇宙に中心はないということである。一方、ビッグバンのように1点から爆発で広がると、必ず中心ができる。地球と、同じ方向に飛ぶ銀河は、地球と同一速度で、同一方向に飛ぶから相対的な速度は0になり、離れも近づきもしない。一方、反対方向に飛ぶ銀河は2倍の速度で、離れていくことになる。宇宙全域に、地球との相対速度の方向性ができるはずである。このことから、銀河の赤方偏移から、宇宙に中心はないという考え方と、ビッグバンから宇宙ができたとするとどうしても中心ができてしまうので矛盾するのである。

 おそらく、ビッグバン論者ではこのふたつの飛び散り方を内緒で場合ごとにうまく使い分けているのである。

 一般的な広がり方は、ハッブッル定数から、空間膨張によってひろがっているとしている。(宇宙に中心がない)

 もうひとつはビッグクランチ論などに見られるように、投げ上げた石がまた落ちてくるのと同じ原理、初速度と万有引力の関係と同じ原理を使っている。(宇宙に中心ができる)

 そこでこのことを考えてみる。

 ハッブル定数によると、宇宙は、距離に比例して後退速度が速くなるということであった。互いの相対速度が、離れれば離れるほど速くなるということなので、千年たつと、互いの距離は離れるから、その分離れる速度は増えていることになる。百万年たつと、もっと速くなる。10億年たつとかなり速くなっているはずだ。このことから、銀河や銀河団には常に空間膨張の謎の斥力が働いて加速していることになる。

 では衝突している銀河団はどうだろう。

 ビッグバンのとき、離れだした銀河団の受けた力は、最初のビッグバンによる爆発エネルギーと、その後、距離と共に加速度的に速度を増す空間膨張の斥力の二つであるのだろうと想像する。(注:空間膨張がどのようなエネルギーで起こり、どのように物質に働きかけ、銀河団を動かすかは誰も説明していない。また、ビッグバンの最初の力がどれくらいで、物質が飛び散る速度がどれくらいであったかも謎である。ビグバン論の本から推測すると、光速くらいからほとんど無限大まで、人によって様々である。もちろん誰もその速度やエネルギーを正確に把握している人はいない。(宇宙の晴れ上がりの時期や、宇宙年齢など、さももっともらしい数値があるが、宇宙全体の質量も、大きさも、膨張の原因の力も、何一つわかっていないのだから、みんな適当な数値を入れて計算しているだけなのである)この二つの斥力に対して、収縮する力は、互いが持つ万有引力だけである。この万有引力が、2つの斥力を上回っていたので、やがて銀河団は離れるのを止め、接近し、衝突することになったと考えるしかない。

 この、観測されているだけでも少なくとも半径200億光年はあるだろうという宇宙空間に、137億年で、すべての星を含む物質をばら撒いた空間膨張の巨大な力が、たかだか、宇宙から見れば点にもならない銀河団の、しかも、離れながらしだいに弱まっていく万有引力に負けるなどということはあるのだろうか。

 そこで、考えてみる。

問題3 衝突のための時間

 銀河団が衝突して、通り過ぎるまでにはどれくらいの年月がいるだろうか。

考察3

(1)条件

ア 条件1

 最初に、離れながら銀河団が形成されるまでの年月がいる。それと共に、互いの引力で減速し、やがて相対的に停止し、それから、今度は加速しながら近づきだし、衝突する。そして今度は万有引力のために減速しながら通り過ぎるまでの年月がいる。

イ 条件2

 この過程を、石を投げ上げたのと同じように考える。行きと帰りは同じ加速度の逆になる。

ウ 条件3

 銀河団が二つに分かれるのだから、一度は最低でも1000万光年は離れていたときがあったと考える。

(2) 考察

ア 銀河団の年齢

 この銀河団は56億光年先にあるから、この映像は、56億年前に出た光である。137−56=81になり、宇宙誕生後81億年目でもうすれ違っているということだ。

イ 銀河団の形成時の矛盾

 ビッグバン宇宙で考えると、ビッグバン後、ふたつの銀河団を作る元になったガスは互いに離れていったと思われる。全てが均一にならずに、ばらばらな塊になっていったのは、初期の揺らぎにあるということらしい。二つのガスは離れながら、それぞれに収縮していき銀河を作り出したと仮定する。しかし、そのころは宇宙はまだ小さくて銀河団はかなり接近していたはずである。たとえば宇宙年齢が、宇宙誕生後5億年とすると、宇宙の広さは5/137だから、約3.6パーセントである。これは現在の銀河団どうしが1000万光年の距離があるとすると、そのころは36万光年の距離にあったということである。1億光年の距離があっても、360万光年である。これは今のアンドロメダ銀河と銀河系の距離が、250万光年であることから考えると、非常に近い距離である。銀河どうしとしても局部銀河群内と言ってもいいくらいに近い距離にあるといえる距離である。

 アンドロメダと銀河系でさえ万有引力で引き合っているのであるから、このままでは、銀河団を形成する元になったガスは、ふたつの銀河団としてより、同一の銀河団として形成されることになるはずである。

 したがって、ふたつの銀河団として分かれるには、もっと距離がある必要がある。このことから、ふたつの銀河団はこの後も、銀河団の巨大な万有引力に逆らってそれぞれ離れていく必要がある。

 そのための力はどこから来るのだろうか。空間膨張は、300万光年くらいでは何の力も及ぼさないと考えられる。250万光年離れているアンドロメダ銀河でさえ空間膨張の影響は観測されていないのだから。それより桁違いに大きな万有引力を持った銀河団が離れていく力にはならない。 

 したがって、銀河団同士が離れていくには宇宙膨張の力ではない力が働いていなくてはならない。

 このようにビッグバン理論では初期に銀河団ができるには大きな矛盾が存在するので、銀河団ができるには非常に難しいところがある。

ウ 衝突の時間

 その矛盾はおいておいて、この銀河団の端から端の間の距離が、最大のときで1000万光年あるとして考える。

 最初はすべてが1点にあったのだから、宇宙が形成されてから、宇宙の膨張により、最初はすぐ隣り合わせにあったふたつの銀河団が何十億年かかけてこの距離まで離れたということにする。

 二つの銀河団が衝突した原因は重力であるとビッグバン論者はいうだろう。

 そこで、これを石を投げ上げたのと同じように考えると、最初の速度は速く、重力で減速され、やがて停止すると、落ちてくる。重力により加速されながら初速度と同じ速度になって落ちる。

 すると、このふたつの銀河も、ビッグバンの瞬間にもっとも速い速度で離れだし、やがて互いの万有引力で減速され、停止すると、今度は加速されながら、衝突する。そのときの速度のために今度は行き違い、通り過ぎた状態になっているのがこの銀河の状態であると考えられる。

 石の場合は往復の時間は同じである。そこで、この銀河も、離れてからまた衝突するまでの往復の時間は同じであると考えられる。

 本来落下の法則で計算しなくてはならないのだが、銀河団の質量や、万有引力や、空間膨張の影響などがわからないので、平均速度で考えて見る。

 まあ、かなり適当だがあしからず。ビッグバン論の適当さと同じくらいかな。

 そこで、銀河の片方の速度が、平均500km/sとする。すると、互いに近づいたり遠のいたりするのだから、合わせて1000km/sで相対的に動くことになる。実際は、直線的に近寄ってぶつかるのではなく、互いに斜めにぶつかるのだろうが、ここでは、その運動は無視して、近寄る成分だけを考える。真横に撃ったピストルの弾と、そのまま落とした石が同時に地表に落ちるのと同じ原理で考えた。

 1000万光年の距離をこの平均速度で往復移動するには何年かかるかを考えて見る。およそ、60億年かかる。

 その後、通り過ぎるのであるから、銀河団の直径を1000万光年とすると、重なるのに30億年かかる。通り過ぎるのにやはり30億年かかる。全部合わせて120億年である。すると、この銀河団のある宇宙年齢81億年を超えてしまう。ということは、平均速度が倍の1000km/sはいるということになる。

 多分そうなのだろう。

 しかし、アンドロメダ銀河と銀河系が衝突するのにはあと40億年かかるといわれている。

 ビッグバンのときほぼ同じところにあったアンドロメダと、天の川銀河の元になったガスは、今まで137億年の間に空間膨張により離れていって、やがて星を生み、その間に万有引力によって離れるのが減速され、反対に近づきだしたところであるとする。この先40億年かかるとすると、ぶつかるまであわせて177億年である。このように、近くの銀河の衝突だけでもそれくらいの年月がかかるのだから、その銀河を数百、数千も抱えた銀河団どうしが、たった80億年そこそこで、衝突し離れていけるものだろうか。かなり疑問である。これはビッグバン理論が間違っているか、それとも宇宙誕生はもっとはるかに遠い昔でなければならないということを示唆しているということであろう。

結論3

  ビッグバン理論が正しいとすると、宇宙の現象は矛盾だらけになる。

 これは、ビッグバン理論が間違っているということを示唆しているということだ。