ダークマターは未知の物質ではない

 

Newton」2008年7月号にダークマターについて載っている。

(以下「 」内はNewtonからの引用)

1 ダークマターの性質

(1)ダークマターの量

 宇宙の成分の23%を占める。(P78)

(2)ダークマターの正体(P70)

 「@可視光だけでなくどんな波長の電磁波(電波・赤外線・紫外線・X線・ガンマ線)でも見ることができない。」

 「A普通の物質とほとんど相互作用しない」 

(3)ダークマターと宇宙の大規模構造(P73)

「理論的な研究によると、初期宇宙では、まず、ダークマターが・・“ダークマターの大規模構造”をつくり、その重力によって原子からなる普通の物質があとからその中に引き寄せられ、銀河の大規模構造がつくられたと考えられます」

(4)ダークマターの分布(P72)

COSMOSプロジェクト」が、明らかにした、ダークマターの分布が紹介されている。それによると、私たちから、10億光年離れた辺りから、80億光年辺りまで、雲のような形で存在している様子が、図示されている。

 「ダークマターの分布が、銀河の大規模構造をすっぽりと覆っていたのです」

(5)身近なダークマター(p70)

「ダークマターは私たちの周囲にも存在しているはずです。しかし、ほとんど何の痕跡も残さないので、私たちはその存在に気づけないようなのです。」

(6)ダークマターの正体の候補(P70)

 未発見の粒子

@ ニュートラリーノ

 「「超対称理論」という物理学によって存在が予言されている素粒子で、陽子の数十倍以上の質量をもつと考えられています。」

A アクシオン

「「量子色力学」によって存在が予言されています。」「磁石の近くを通ると、光(電磁波)に変化すると考えられている」

「ダークマターとして存在していた場合のアクシオンの質量の予測は大変小さく、電子の10億分の1程度以下しかありません。」

 

2 考察1

(1)問題

 「ダークマターは私たちの周囲にも存在しているはずです。」とあります。

(2)考察

ア 地球上にダークマターは存在するかを考えてみます。

 地球では観測されていません。

 その理由を「ほとんど何の痕跡も残さないので、私たちはその存在に気づけない」といっています。しかしそうでしょうか。

 ダークマターは、重力を持っているということです。だから、地球上に存在すれば、その重力の影響が観測されるはずです。

 また通常の物質の4倍超存在するということですから、地球4個分のダークマターが、地球の内部や周りにあるはずですから、地球の重力の4倍の重力が検出されなくてはならないはずです。

 ところが4倍どころか、かすかにもダークマターの重力は検出されていません。

 地球の内部や、周りにはダークマターは存在しないと考えるほうが正解のようです。

イ 太陽系にダークマターは存在するかを考えてみます。

 太陽系でも観測されていません。理由は地球の場合と同じなのでしょう。

 しかしそうでしょうか。ダークマターがあるとすれば、その重力の影響で、惑星の運行に影響が出るはずです。しかし、その影響が観測されていないことから考えると、太陽系にも、普通の物質以外の重力源はないと考えられます。

(3)結論

 以上のことから、太陽系の中にはダークマターは存在しないか、あるいは、惑星の運行に影響を与えないくらい少ししかないということがわかります。

3 考察2

(1) 問題

 ダークマターは、あったとしても太陽系には惑星の運行に影響を与えないくらい少ししかない、ことから考えられること。

(2)考察

ア ダークマターは、通常の物質(宇宙の5パーセントを占める)の4倍超存在するということです。

 このことから、太陽系にも太陽の4個分を越えるダークマターがなくてはならないはずです。

イ ダークマターが太陽系にないことと、ダークマター論との矛盾

@ 「まず、ダークマターが・・“ダークマターの大規模構造”をつくり、その重力によって原子からなる普通の物質があとからその中に引き寄せられ」ると書いてあります。

 ダークマターがまず集まって、それから、銀河になる通常の物質を引き寄せたということです。すると、ダークマターは銀河系の中にもなければならないはずです。したがって、太陽系の中にもなくてはならないといえます。

A 太陽系から、ダークマターが消えないわけ。

 恒星ができるとき、恒星の元になった星間雲は、出来立ての恒星からの紫外線で吹き飛ばされます。ほとんどの通常の物質でできた分子雲はそのために恒星の周りから消えてしまいます。太陽ができるときもやはり、太陽の周りにあったガスは吹き飛ばされたといわれています。

 しかし、ダークマターは「可視光だけでなくどんな波長の電磁波(電波・赤外線・紫外線・X線・ガンマ線)でも見ることができない。」ということですから、紫外線とは相互作用をしません。したがって、ダークマターは、できたての恒星の紫外線で吹き飛ばされることはないということになります。恒星ができた後も、いつまでも、恒星の重力や、ダークマター自身の重力で、恒星の周りにとどまっているはずです。その量も、恒星の4倍超のはずです。おそらくもっと多いはずです。周りより重力が高く、その力で、通常の物質を引き寄せたのですから。通常より、もっと密度が高いはずですから。

(3)結論

 このことから、太陽系には、ダークマターが、太陽の少なくとも4倍超は存在しなくてはならないはずです。ところが、太陽系には未知の重力源は存在していません。ダークマターが未知の物質であるとすると、太陽系の中では、大きな矛盾が生じることになります。

 

4 考察3

(1) 問題

 ダークマターを探る

観測されたダークマター

 ダークマターの分布が10億光年離れた辺りから、80億光年辺りまで、雲のような形で存在している図が提示されています。そのダークマターは「ダークマターの分布が、銀河の大規模構造をすっぽりと覆っていた」ということです。

(2)考察

  これは本当に未知の物質でできているダークマターでしょうか?

 そこに何かあるということと、それが未知の物質であるということはイコールではありません。

 ア 「雲のような形」

 これは、銀河内で観測されている分子雲にそっくりです。銀河間に漂っている、中性水素を中心とした、原子や分子やちりがその引力によって集まったとも考えることができそうです。

 もし、銀河間の通常の物質の集まりとしたら、同じようなものが分子雲として銀河系や、マゼラン星雲で多数観測されているので、あらたな証明の必要はありません。

 @ 電磁波で見えない理由

 銀河系内の分子雲は、密度が高くて観測できるが、銀河間の宇宙は、物質が希薄で、集まっても、密度が非常に薄く、また、非常に遠いことから、集まった中性水素の出す電磁波が、地球の周りの中性水素の出す電磁波よりもはるかに弱く、観測できない可能性があります。これは昼間、星の光が見えないのと同じ現象です。

 実際、銀河の周りには、星がなくなった外にも、中性水素の分布が確認されています。それは薄まりながらどこまでもつづいているようです。そして、観測の限界を超えてしまうということです。

A 重力レンズ

 通常の物質である中性水素の分子雲とすると、その中を通る電磁波は、屈折します。そのことによる銀河の、ゆがみが写っているとも考えられます。大気による光の屈折現象は地球上で観測されているのと同じ現象と考えられます。証明されている現象です。

 重力で、光が曲がるというのは、アインシュタインの仮説です、まだ証明されてはいません。(証拠といわれている、エディントンの観測や銀河や銀河団による重力レンズといわれているものは、気体による屈折現象としても十分説明できる現象です。そして、科学では、本当はこちらが優勢です。既知の証明された理論で説明できる現象を、他の相反する理論の証明には使えない、ということです)

イ 「ダークマターの分布が、銀河の大規模構造をすっぽりと覆っていた」

 銀河系の周りには、銀河系を包んでだんだん薄くなりながら、中性水素の分子がどこまでも広がっているということです。それは、遠い、アンドロメダ星雲のガスとも続いていると推測されています。先ほど述べたように、そのガスは薄すぎて、地球上空の水素ガスの光に埋没して観測できないだけです。

 銀河が何百も集まっている銀河団も、高温のガスにすっぽりと覆われているのがX線で観測されています。

 大規模構造は、銀河や銀河団で構成されているということですから、大規模構造も、通常のガスで、すっぽり覆われているということが類推できます。

(3) 結論

 以上のことから、この発見されたダークマターの雲は、通常の物質でできた銀河間のガスである可能性が高いと思われます。そうでないという根拠は見当たりません。ビッグバン理論に反するということくらいです。そして、通常の銀河間ガスなら、新たな証明は必要ありませんが、未知の物質なら、未知の物質であるという何らかの証拠が必要です。

 

5 考察4

(1)問題

 銀河の回転は、目に見えない物質の存在があることを示唆している。ということを他の本で見ました。ミッシングマスと名づけられていました。

 それも、やがて、ダークマターと名を変えています。

(2)考察

 銀河は、その外側も、同じ速度で回転しているので、何らかの質量があるということです。

 これが、観測されないので、未知の物質ということで、今ではダークマターの存在証拠になっています。

 しかし、これは、水素分子とすれば説明できそうです。先ほど書いたように、銀河は、その外にも、中性水素の希薄な層が薄まりながら続いています。観測能力の限界を超えても続いていることが類推できます。希薄になっても、外側になればなるほど体積は増えるので、量はそんなに急激には少なくなりません。これが銀河の回転を支えている質量と考えてもつじつまは合います。また、観測されているので、新たな証明は必要ありません。これは何一つ観測も実証もされていない謎の物質とおおきな違いです。

(3)結論

 このことから、銀河にあるミッシングマスは、未知の物質ではなく、中性水素や、電離水素を中心とした、通常の物質であるといえそうです。

6 考察5

(1)問題

 太陽系のダークマターの正体

(2)考察

 太陽系には、中性水素も電離水素も存在します。ただ、それほど大量に存在しないだけです。これは、未知の物質が観測できないことと対照的です。

 ではなぜ量が少ないか。それは、先に書いたように、太陽ができたときに、ほとんどの星間ガスが、紫外線で吹き飛ばされてしまったためです。

 これは、理論でも、観測でも実証されていることです。

(3)結論

 ダークマターが星間ガスであるとすると太陽系にその存在が少ないことも説明がつきます。ダークマターが未知の物質であるとすると、太陽系にない理由が見つからなかったのとは対照的です。

 

6 結論

 以上のことから、ダークマターは未知の物質ではないことがわかります。発見された、といわれているダークマターは、銀河間の、中世水素を中心とした、通常の物質でできています。また、銀河の回転に影響を与えているミッシングマスもやはり、中性水素を中心とした、通常の物質からできています。

 そのように考えるほうが、つじつまは合いますし、実際の観測とも合います。問題は、ビッグバン理論の要請するダークマターにはならないことです。ビッグバン後、あまりにも早い段階で、宇宙の構造や、銀河ができていることの説明ができなくなるからです。ビッグバン理論の根底をひっくり返されかねません。でも、天動説が、周天円をいくら重ねても説明し切れなかったように、ビッグバン理論も、けっきょくは説明しきれなくなります。いつまで逃げ延びれるかの問題だけだと思います。

 

平成21年2月3日   並刻記

アンチビッグバン論08年分