空間膨張はどのように起こるのか。
(1) 膨張のエネルギーは何か。
点より小さかった空間を、直径何百億光年にも広げるのだから、ものすごいエネルギーが働いたと考えられる。
(2) 空間はどこがどのように広がるのか
(3) 空間とはどんな構造をしているのか
(4) 巨大な銀河やそれが無数に集まった銀河団を引き連れていくのはどんなしくみなのか。
これについて、ビッグバン論者は、風船の膨らみ方、とか、線路の伸びとかで説明している。
風船を膨らませるのと同じようである、というのである。
ア 結論
風船のふくらみと、空間の膨張は似て非なるものである。
イ 根拠
@ 風船の膨張を考える
風船の表面に模様を書くと、ふくらませるとともに模様の間も大きくなるというのである。
たしかに風船は膨らますと、表面は延びていく。だが、それが空間膨張のしくみであることではない。
風船の場合、中に空気が入って、その圧力で、ゴム幕が外に押し出される。そのためにゴム幕が伸びる。
A 空間膨張との違い
・ 場所
空間膨張は、空間に、風船の空気が入る場所のようなものがあるのは観測されていない。そんなものは数式や観念の中には存在しても、現実には存在しないと考えるほうが妥当である。4次元や5次元を持ち出すのだろうが、4次元や5次元が存在する観測も、実験も存在しない。数学上は存在しても、現実には存在しない。
・ 入るもの
中に何かが入ってその圧力で空間が伸びているだろうか。何が空間を押しているのだろうか。もちろんそのようなものは観測されていないし、実験でも理論でも明らかにされていない。
・ 風船のしくみ
風船の場合、空気分子がゴム幕にぶつかることによるエネルギーで風船のゴム幕を伸ばしている。このように、何かが空間にぶつかって空間を膨張させているという理論も観測も存在しない。また、空間のどこにどのようなエネルギーが加わると膨張するのかも、理論も観測も存在しない。
したがって、風船の論理は、分かりやすいということを除いて、空間膨張とは似ても似つかない現象である。空想小説ではいいかもしれないが、科学では、疑似科学の範疇である。
距離が2倍になると膨張速度は2倍になるということから考えると、鉄道線路の膨張も似たものとして考えられる。部分部分が膨張するという考え方だ。
ア 結論
これでも空間は押し合いへしあいになり、一様に膨張するのは困難である。
イ 根拠
かつて、鉄道線路は、温度によって膨張するので、線路のつなぎ目に隙間を作っていた。そうしないと夏になると線路が曲がってしまうからだ。
線路の膨張のしくみは風船とは違う。鉄の分子が熱によって運動が大きくなり、それぞれの分子が押し合って、膨張するのである。押し合いへし合いである。そして全体で伸びていく。
この方がまだ空間膨張に適用できそうである。空間の小さな部分部分が、膨張し、全体が膨張するという考え方だ。
@ そこで、空間膨張の仕組みをこのことに当てはめてみる。
・ 空間に当てはめる
空間の各部分部分が膨張すると考える。
原子くらいの大きさの空間の部分が膨張し、互いに押し合いへし合いすることで、全体が膨張するという考え方をする。
あまり小さいと考えづらいので、大きく考える。
地球の占めていた空間と、月の占めていた空間を考える。
それぞれの空間が膨張する。すると、間でぶつかり合う。すると押し合いへし合いになる。どうなるか、ぶつかった部分は動かないから、お互い後退する。すると全体に膨張する、という考え方をとってみる。
問題点1
このとき後退する割合はどうだろう。
物の場合は質量の大きいほうが少し動き、小さいほうが大きく動く。これは質量と運動エネルギーに比例する。
空間には質量も運動エネルギーもないようなので、何によって動きの配分が決まるのだろう。究明されていない。
問題点2
ぶつかるのは何か?
このときぶつかりあった空間は、何がぶつかりあうのだろう。空間には何もないからぶつかるものがないような気がする。暖簾に腕押しのように、押しようがないのではないだろうか。
問題点3
ぶつかり合う空間のイメージ
月と、地球の占めていた空間が膨張してぶつかったところに、太陽が占めていた空間が膨張してきてぶつかる。もちろん間の空間も膨張してぶつかる。あらゆる星の空間が膨張してぶつかり合う。星の間の空間も膨張してぶつかる。押し合いへし合いして、空間も鉄道線路のように曲がってしまはないのだろうか。
全体はどうして秩序よく膨張していくのだろうか
押し合いへし合いして、どちらの方向に膨張するのか秩序よくできるのだろうか。
風船は膨らませる。しかし、地球ほどの風船は膨らませるのだろうか。太陽系ほどの風船はどうだろう。均一に膨らませるのは非常に困難である。太陽系は巨大だけれど、宇宙に比べれば芥子粒である。
地球と太陽の間くらい長い鉄道線路は、膨張でまっすぐ伸びるだろうか。曲がってしまうだろう。
1kmで、1時間に1mm膨張するとする。地球太陽間の鉄道線路では、地球側を固定するとすると、太陽側では、1時間に140kmほど加速される。
このとき、鉄道線路の大きな質量のため、うまく太陽側にのびずに曲がってしまうだろう。また、地球側に近いほうは、鉄道線路の質量のため、うまく膨張できずに太陽側に比べて、膨張率は下がるだろう。
このように部分が膨張して押し合いへし合いするときは、小さいときはいいが、大きくなるとみんながすんなり膨張して全体がきれいに膨張するのは困難がある。
このように、部分部分が膨張するとするとき空間膨張はどのように伝わるのだろうか、という問題は誰も何一つ究明していない。
オ 膨張の伝わり方
この地球の占める空間が膨張して、その影響が、銀河系の果てにうまく伝わるのだろうか。1メガパーセクト先の宇宙空間にちゃんと膨張を伝えることができ、そこを、70kmの速度に加速できるのだろうか。伝わり方はどうなっているのだろうか。どれくらいの速度で伝わっていくのだろうか。光速度だろうか。これらは何一つ解明されていない。
このように、鉄道線路のような、部分が膨張して全体が膨張するしくみでも矛盾だらけになってしまう。
ビッグバンの爆発のときの勢いそのままで広がっていると考える。
ア 爆発の広がり方と同じだとする
爆発で飛び散るものは同じ速度である。距離が離れていても、速度ははじめと同じであるので、今言われている、距離に比例して速度が速くなるという宇宙空間の膨張とは相容れない。
現在のビッグバン説は、インフレーションビッグバンである。それにも何種類かあるようである。
ア マザーグース説を考える
その中で一番人気があるのが、一瞬でこの宇宙より大きく広がったという説である。
すると、空間は1秒より短い間に出現し、今見える宇宙より大きく広がったことになる。物質は飛び散って希薄になったという。その後新たにまた物質が生成され今度は今見える星や銀河になったというのである。
最初の空間は、超超光速で膨張したから、その空間の膨張によって、次に生まれた物質が広がったら、また1秒もたたないうちに、宇宙の果てまで物質は広がってしまい、銀河や星はできなくなる。最初の空間の膨張率が、なぜなくなったのかは究明されていない。
したがって、2回目の物質は、新たな空間ができて、新たな広がりかたをしていなければならない。
なぜなら、物質は引力によって速度を落とすが、空間は、引力の影響をそんなに受けないはずだからである。(アインシュタインの話では、空間も重力の影響を受けるということではあるが、物質同士の重力の影響よりはるかに小さいと思われる。今のところ、地球に空間が落ちてきたという話は聞かない。もし重力で空間が曲がるのなら、少しづつその影響が積み重なって、地球に落ちてきてもよさそうである。まあ、空間が落ちてきても、事態はないのだから、観測の仕様もないのだが)
だから、最初のインフレーション空間の膨張速度が一気に小さくなるとは考えられない。
イ 他のインフレーション説
インフレーションは直径10cmくらいで終わったという説もある。
このときも、やはり空間も、物質も、超超光速で膨張したという説である。このとき、物質はその重力で速度を減じるのだろう。(インフレーションが終わるしくみはあまり本には出てこないので、私の推測である)一方空間は重力の影響をあまり受けないので、インフレーションの終わりが遅くなるはずである。1秒のおくれでも、はるかに空間は広がってしまう。物質と空間の広がり方に大きな差ができる。すると、広がった空間と物質との距離ができるので、重力が空間の膨張にブレーキをかける力が弱まる。すると、物質の膨張速度と、空間の膨張速度にますます広がりができてしまう。また、物質の密集した空間と離れたところの空間とでは、引力の違いができるので、膨張にブレーキがかかる割合が違ってくる。空間膨張に差ができてくる。空間はいびつになる。
今の観測でも、銀河の密集したところでは、銀河間は広がらないというから、空間だけ膨張して、物質は膨張できないということがありうる。
ビッグバンの初期は、今の地球の物質の集合よりはるかに密度が高かったはずだから、(おそらくどんなに低く見積もっても、ブラックホールほどの密度はあったろう)空間膨張によって物質が膨張するということは考えられない
このように空間膨張はその仕組みが何一つ解明されていない。空間とは何かも解明されていない。地球の何兆倍もある巨大な銀河団を整然と動かすことができても、地球上の塵ひとつ動かすことができない空間膨張の仕組みは解明されていない。 すなわち、宇宙空間が膨張しているという意見は、仮説にもならない。たんなる思い付きに過ぎないといえる。