宇宙の姿について、今一番もてはやされているのが宇宙は大爆発によってできたという、ビッグバン説です。では、ほかにどのような考え方があるかというと、定常宇宙論とプラズマ宇宙論です。プラズマ宇宙論は、考えた人がほかの事に研究を移したので、それっきり廃れているそうです。定常宇宙論は、改造されて、準定常宇宙論になって今でも支持者がいるそうです。ただ、日本では支持者がいるかどうか分からないくらい人気のない説です。
ビッグバン宇宙論はどうかというと、これも変遷しています。最初のビッグバン論は観測にあわないというので、インフレーションビッグバン説になりました。それでもいろいろな矛盾が生じているというので、現在は新インフレーションビッグバン論になっているといいます。でも爆発で始まったという基本は変化していません。
ビッグバン宇宙というのは、今から130億年ほど前に宇宙は、何もないところに、突然出現し、急速に膨張したという説です。
最初の一瞬ゆっくり膨張し、次の一瞬光の何兆倍もの速度で膨張し、次の一瞬から、普通の速度の膨張になり、137億年たったのが現在の宇宙だという説です。
簡単に言えばこれだけです、でも、これがとても不思議なことなのです。たとえば、普通の膨張といっても、膨張しているのは、空間だそうです。空気や、水や、金属が膨張するのは、いくらでも観測できますし、実験で作り出すこともできます。しかし、空間の膨張は、今のところ、地球上では観測されてはいません。太陽系の中でもまだ観測されてはいません。銀河系の中では空間の膨張はないといわれています。もちろん実験で作り出すこともできません。では、どこに空間膨張があるのかというと、はるかに遠い宇宙空間にあるというのです。そこでは、間接的に観測されているといいます。直接的な観測はありません。したがって、その膨張の原理や仕組みは憶測の域を出ません。どちらかというと膨張しているという主張以外は何も分かっていません。
それほど難しいのがビッグバン宇宙の仕組みです。
銀河の光の赤方偏移の度合いと、銀河と地球の距離が比例関係にあるということを、発見したハッブルにちなんでつけられた現象です。
現在は、赤方偏移の度合いと銀河の後退速度が同じであると考えて、銀河の後退速度と銀河と地球の距離が比例すると考えています。このことから、遠い銀河ほど地球から遠ざかる速度が速くなるという考え方です。
このことから必然的に宇宙が膨張しているということと、空間が膨張しているということが導き出されました。
宇宙の全天から放射されているマイクロ波です。
これは、ビッグバンのときの光が赤方偏移してマイクロ波になって宇宙に満ちているという考えです。
宇宙にある元素の中で、ほとんどを占める水素とヘリウムの比率が、ビッグバンのときに作られたとすると、現在の比率とぴったり合うという考え方です。
以上の3点が、宇宙がビッグバンから始まったという考え方の根拠です。そのほかにも、銀河系の星の年齢が古くても100億年くらいだということなどがあるようなのですが、ビッグバン宇宙論の中心になるほどのことではないようです。