ノーベル物理学賞(暗黒エネルギー)

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著者 高田敞


 暗黒エネルギーの存在を示したことで、パールマター博士ら3人が2011年のノーベル物理学賞を受賞した。 

 (「 」内は朝日新聞の引用)


1 問題

「宇宙の成分は、地球や人間といったわれわれの知る「物質」の量は全体の4%に過ぎない。一方、暗黒エネルギーは全体の73%を占めているとされる。」


2 考察

 物質とエネルギーを比べているから、物質も含めてエネルギー換算しているのであろうとして以下を考える。

(1) 太陽系を考える

 太陽は、宇宙の中でごく一般的な恒星である。したがって、太陽系にも、暗黒エネルギーが存在するはずである。そこで、太陽系にも、暗黒エネルギーが、宇宙の他の場所と同じように存在すると仮定する。

 すると、太陽系のすべての物質とエネルギー(太陽本体、惑星、星間物質、彗星、引力、太陽の熱など)は、太陽系の4%を占めていると考えられる。そして、73%は暗黒エネルギーである。残っている13%は暗黒物質(ダークマター)というものである(ビッグバン理論による)。

 太陽系が宇宙と同じ組成を持っているとすればそうなる。ただ星のない銀河間空間に比べれば、太陽系では通常の物質が偏って存在しているから、暗黒エネルギーに対して物質や暗黒物質の比率がかなり多いことは考えられる。(注1)

 としても、暗黒エネルギーは必ず存在していることには変わりない。

 今、太陽系の惑星の公転は、太陽と、惑星の引力だけで計算している。それで、ぴったり実際と一致する。月の公転も、地球と月の引力だけで計算して、一致する。E=mcから考えると、太陽系のエネルギーは、ほとんど物質が担っているから、引力の占める割合は非常に少ない。太陽系で派暗黒エネルギーの割合が少ないと推測されるのと同じである。それにもかかわらず、惑星の公転には通常の物質の引力だけしか働いていない。

 このことから、太陽系には、暗黒エネルギーの斥力は働いていないことがわかる。このことからは、太陽系には、暗黒エネルギーは存在しないか、あっても、なんら影響しないくらいの量ということがいえそうである。

 

 また、暗黒エネルギーがもしあったなら、太陽系ができてから45億年の間に、太陽系を少しは膨張させたはずだ。

 暗黒エネルギーは、無数にある巨大な銀河団ごと、丸々、一点から宇宙全体を膨張させる、という、現代物理学では解明できないほど巨大な力を持っている。その膨張距離も、137億年の間(注2)に、地球から観測できる範囲だけでも、半径100億光年を越える大きさにまで広がっている。直径200億光年だ。地球は宇宙の中心ではないのだから、宇宙全体を考えると、どれくらいの膨張距離になることか。最初に集まっていたときの重力は想像を絶するものだったはずだ。それを振り切り、しかも、位置エネルギーを全宇宙の物質に付加しながら膨張させたのである。それに比べれば無いに等しい、小さな質量で、小さな引力の太陽系くらい膨張させて当然だ。時間は45億年もあったのだから。ところが太陽系はできたときから少しも膨張していない。

 

 また太陽ができるときは、宇宙に散らばっていた星間物質が収縮していたはずだ。巨大な暗黒エネルギーを打ち破って、宇宙のたった4パーセントしかない物質のだす小さな引力で収縮し、太陽ができたのだ(注3)。

 このことからも、太陽系には暗黒エネルギーは存在しないか、もしあったとしても、髪の毛一筋動かす力も無いほど、無に近い量だと考えられる。

(注1:暗黒物質が先に集まり。その重力で通常の物質が集まることで、星や銀河ができるというのがビッグバン理論だから、星のあるところには、暗黒物質も集まっているはずだ)

(注2:宇宙が137億年前にできたという説が今は主流だが、これは、やがて間違っていたことが判明するだろう。もちろんビッグバン説も。)

(注3:星や、銀河ができるとき、暗黒物質が最初に集まってその重力で通じ上の物質が集まってできるというのが最近のビッグバン論者の理論である。ファーストスターがそれによってできたという研究がある。しかし、身近な、観測できる恒星ができるときには、通常の物質だけで星ができている。今までは、観測できる星については、暗黒物質も、暗黒エネルギーも関係していないし、観測もされていない)

(2) 銀河系を考える。

 銀河系ができてから100億年ほどたっているということだ。その間に、銀河系が暗黒エネルギーで膨張したという考え方は今のところ無い。この宇宙の年齢は、137億年であるという。その中で、形になってからでも100億年を銀河系は過ごしている。その間、宇宙は暗黒エネルギーで加速膨張したということだ。無数の巨大な銀河団が、宇宙膨張により吹き飛ばされている。銀河系も近くの銀河と共に100億年の間にいっしょにはるかにはるかに吹き飛ばされてきたはずだ。その距離も、10万キロや20万キロではなく、何億光年とか、何十億光年とか吹き飛ばされてきたはずだ。それなのに、銀河団に比べて吹けば飛ぶよな銀河系がひとつも膨張していないのである。

 もちろん銀河系ができる前は、宇宙に散らばっていた物質が引力で収縮し、銀河系ができたのだろうから、そのときも、銀河系の物質の持つ引力は、暗黒エネルギーに打ち勝っている。(注4)

 このことから、銀河系にも、暗黒エネルギーは存在していないといえそうである。少しでもあれば、それに応じて少しは銀河系も膨張しているはずである。

 太陽系や、銀河系は、物質が集まっているので、その重力が、空間膨張の力に打ち勝って、膨張しないというのがビッグバン理論だが、それは間違っている。初期のころの宇宙は、銀河内部よりもっと密に物質が詰まっていたはずだ(注5)。それをばらばらにしているのである。そのエネルギーがそのまま働けば、銀河系ぐらいいとも簡単にばらばらにできるはずだ。まして、暗黒エネルギーは、増えているというのだから。

 宇宙初期には暗黒エネルギーと別のエネルギーが働いていたとするのなら話は別だが。まあ、つじつま合わせに何でもありなのが、ビッグバン宇宙論だけど。

(注4:ビッグバン説では、銀河ができるときは、暗黒物質というものが寄り集まって、その重力で通常の物質を引き寄せて、銀河ができる、という説明である)

 

(3)暗黒エネルギーはどこにあるか

 では、暗黒エネルギーはどこに存在するのか。

「いま、暗黒エネルギーの正体を探るため、研究が進んでいる。ハワイのすばる望遠鏡でも、特殊な装置を設置して観測が始まる。」

ということである。スバル望遠鏡は、銀河系の外も探れる大きな望遠鏡である。それで、銀河系外の遠い宇宙を調べるというのであろう。小さな望遠鏡で、太陽系内や、銀河系内をくまなく探すのではない。近いところを観測すれば、より簡単に見つかるように思うが、そこは探さないのである。特に太陽系などは、たくさんの探査衛星が飛んでいるのだから、非常に探しやすいと思うのだが、それは最初からやろうともしていない。理由は簡単である。なぜか、科学者も、太陽系や、銀河系には暗黒エネルギーが存在しないと思っているからである。

 このことから、暗黒エネルギーは銀河の外のはるかに遠い宇宙にしか存在しないということがわかる。 

 

(注5:宇宙初期の、物質と暗黒エネルギーを考える。

(ビッグバン宇宙論の矛盾)

(ビッグバン宇宙論が正しいとして考える。なぜなら暗黒エネルギーは、ビッグバン宇宙論の条件の一つであるからである)

 

 宇宙ができて、1000万年たった時の宇宙を考えてみる。今から、136億9000万年前である。

 宇宙はビッグバンで1点から膨張している。最も速い物質が光速だと、半径1000万光年である。(余談:このとき、物質の速度は、0から光速まで様々である。そうしないと、膨らむ風船のゴムのように中が空洞になり、物質は、宇宙の殻にだけ集まることになる)

 今の物理学では光速を越えるものは無いということなので、最速を光速にした。ハッブル定数から考えると、距離が小さいと膨張速度も小さい。また暗黒エネルギーで、加速膨張しているということ。また、現在の地球が、宇宙背景放射の光に対してせいぜい数百km秒の速度しかないということから考えると、初期の宇宙膨張は、光速どころか、せいぜい数百km秒もあれば御の字だとは思うが、考えやすいように、光速としよう。なんいしろ、光速の10倍でも100倍でも、以下のことは同じように起こる。

 すると、半径1000万光年の空間に、今ある、すべての、星や、星間物質やダークマターが詰まっていたということになる。これは、今観測されている1個の小さな銀河団の中に、宇宙の全てが詰め込まれていたということになる。ぎゅうぎゅう詰めである。もちろん、銀河や星はできていない。しかし、物質はもう完全に原子や分子の形を持っていたはずだから、重力は今と完全に同じはずである。その物質が、銀河系の物質密度など到底及ばないくらい、ぎっしり詰まっていたはずだ。それプラス、物質の数倍の量がある暗黒物質も詰まっていた。それを、暗黒エネルギーはばらばらにしながら、宇宙膨張を行ったということである。この膨張させるエネルギーは、膨張につれ、物質の位置エネルギーに変わっていくから、それだけでも大変なエネルギーが消費される。クレーンで、物を吊り上げていくときの力だ。宇宙全体の物質を、その重力に逆らって吊り上げていくのだから、どれだけのエネルギーが要ることか。その距離も、十数メートルではない。億光年の単位で、移動させるのだ。位置エネルギーは、太陽のたった20倍の質量の恒星に超新星を起こさせ、ばらばらに吹き飛ばす力の元にもなっているものだ。宇宙に星はどれだけあるだろう。その力を暗黒物質が作ったのだ。それだけでも暗黒エネルギーがどれだけすごいエネルギーを持っていることかがわかる。

 ところが、この後さらに、暗黒エネルギーは減るどころか宇宙を加速膨張させるほど増えるというのに、なぜか、そのときよりはるかに物質密度が少ない、重力の小さい銀河系を膨張させることはできなくなったということである。不思議なことだ。

 ほかにも、この後、吹き飛ばされたはずの物質が暗黒エネルギーの斥力に打ち勝って収縮して初期の星や、銀河や、銀河団を作っている。また、現在観測されている銀河団は、暗黒エネルギーに打ち勝って銀河の集団をつくっている。重力による結びつきは誕生1000万歳の宇宙に比べ、比べ物にならないくらい弱いはずなのに、ばらばらにならないのである。

 矛盾だらけである)

 

3 結論

 暗黒エネルギーは、観測が正確にできるところでは、影さえ見せないが、遠く、銀河系の外、それも、銀河系を含む銀河群の外、距離でさえ正確には測れない、観測が非常に不正確なところには73%も存在するという、不思議なエネルギーであるということである。

 元々、暗黒エネルギーは、ビッグバン宇宙論の矛盾を説明するために生まれてきたものだ。ビッグバン宇宙論は矛盾だらけであるというより矛盾だけでできている。だからそれを説明するために、インフレーションとか、暗黒エネルギーとか、暗黒物質とか、空間膨張とか様々な謎の物質やエネルギーや、現象を作ってきた、この4つだって、今の物理学では、何一つ説明できないものばかりである。それどころか、今の物理学を否定するものばかりである。もちろん具体的には何一つ見つかってはいない。暗黒物質は、見つかったとパソコンで画像を作っているけれど、あれは、宇宙空間の中性水素でも十分同じ現象が現れるしろものである。(宇宙空間に一番多く存在する、低温の中世水素は光を出さないから、薄まると、地球からは観測できない。いわゆる見えない物質、暗黒物質である)

 暗黒エネルギーはビッグバン論者の切実な願望が生んだ幻想にしか過ぎないしろものといえる。

 2011年10月10日

 記 高田敞