宇宙論入門表紙
メッセージ
「宇宙論入門」(佐藤勝彦著 岩波新書)に対する考察

 

はじめに

 今まで書いてきたものを ひとつにまとめました。分かりづらいところや、考え違いがあったのでそこも書き換えました。かなり大幅な改訂になりました。
 興味のある方はどうぞお読みください。
 特に高田流定常宇宙論は、なぞの物質や、なぞのエネルギーなど使わずに、現在の物理学で、十分無理なく平坦性や、宇宙の斥力などが説明でき、なかなか面白いと思いますよ。手前味噌ですが、読めばうなずけますよ。

 (以下、最後まで「 」内は、上記の本からの引用)

 (表現;重力と書くときは、アインシュタインの考え方に近いとき。引力と書くときは、ニュートンの万有引力の考え方によるとき。理由は本論で)

 

T 「第1章 宇宙論の始まり」


1 ビッグバン宇宙

問題1−1 宇宙背景放射は何の光か

「ビッグバン理論と定常宇宙論」のどちらが正しいかに対して、「宇宙背景放射」の観測による実証で、「ビッグバン理論が勝利した」という主張である。これについて、考えてみる。

考察1−1

 宇宙背景放射があるだろうという考え方は、ビッグバン理論が提唱されるずっと以前からあった。それは、宇宙の塵が放射している光の温度を観測できれば3Kほどのマイクロ波として観測されるだろう、という理論である。これは複数の人が違った視点から唱えていた。(ちなみに、ビッグバンの背景放射は、60Kほどであるといわれていた。実際は3Kほどだったので、塵説のほうが当たっていた)

 したがって、宇宙背景放射は、宇宙初期の火の球の出す光か、宇宙に散らばっている塵の出す光か決めることはできない。宇宙背景放射が「宇宙初期の「火の球の化石」ともいうべき電波」と断定することはできないといえる。

(1) 根拠

ア 背景放射が宇宙の塵の出す光である可能性

@ 宇宙に塵があることは観測されている。

A 塵は温度があるから、光を出しているのは確実である。

 以上の2点から、宇宙の塵の出す光が地球に降り注いでいる可能性は非常に高い。

イ ビッグバンの光でない理由 

@ 宇宙初期の光が、化石になるというが、光が化石になるという証拠は見つかっていない。比喩としても。

 普通の光は、様々なものにぶつかって光エネルギーが熱エネルギーになり、その結果、可視光から、赤外線に、そしてマイクロ波や電波になっていく。

 背景放射の光もマイクロ波だが、これは、光が星間物質にぶつかったためではなく、宇宙膨張のため引き伸ばされたためだという説である。普通観測されている現象ではなく、非常に特殊な現象である。

A 宇宙初期の光が、今現在のこの時刻に地球上で観測されるのは不可能のはずである。(後ほど、詳しく)

結論1−1

 宇宙背景放射は、ビッグバンの証拠にはならない。定常宇宙論の証拠でもない。これは宇宙の塵の出す光にしか過ぎない。

 大きな問題は、背景放射は宇宙の塵が出す光であるという説があるということをビッグバン宇宙論者は決して話さないことである。科学の方法論では、あらゆる反論を証拠とともに否定しなくてはならないことになっている。特に新説はそれが必要条件である。それなのに、ビッグバン宇宙論の最大の証拠とされている、背景放射が宇宙初期の光である、とする説に対する大きな疑問である、背景放射塵説が、ビッグバン理論者に完全に無視されているのである。取り上げるにたらない問題ではないはずである。もちろん科学者なら知らないはずはない。そんなことはないだろうけれど、もし否定するに足る科学的根拠が見つからないので無視しているのなら、これは科学ではなくなってしまう。そしてそうなのだと思われる節がある。

 この後も、いろいろなところで、ビッグバン宇宙論者は、反論できないものは完全無視の態度をとっていることを述べていく。ビッグバン宇宙論は、その証明方法において、有利なことは声高に述べ、不利なことには一切触れないという、科学ではなく、非科学の方法をとっているのである。

 

2 アインシュタインの宇宙

問題2−1

 アインシュタインの特殊相対性理論において「物体が光速に近い速度で運動する場合、時間の進み方と空間のものさしが変化するのである。」について。

考察2−1

(1)このことは観測されていない。

 特殊相対性理論による時間や空間が伸び縮みする現象は実測されていないから、まだ確定した事実ではない。したがって、これは仮説でしかない。ということは、このことを使った理論はすべて仮説にしか過ぎないことになる。

 「実際に観測するのは大変難しい」から、といって、観測されていないのに事実であるということはできない。これは見つからない言い訳であるとも取れる。おそらくそうである。なぜ見つからないかというと、事実ではないからである。

ア 見つかったといわれている現象への疑問

水星の軌道、エディントンの観測、重力レンズが有名である。

@ 水星の軌道

  空間が曲がっているからだといわれている。しかし、太陽が楕円球でも、水星の軌道はそうなるということだ。太陽は、自転しているので、赤道方向に遠心力が働くため楕円球である可能性は非常に高い。真球であることはないだろうと思われる。しかし、相対性理論家は、反対者が、太陽が楕円球であることを証明しないかぎり、相対性理論は正しい、と主張してこの問題を取り上げない。相対性理論の証拠であるといっているのであるから、本来、太陽が真球であることを証明しなくてはならないのは、相対性理論家のほうである。証明できないから無視しているのである。なぜなら、相対性理論家も自転しているガス恒星である太陽が真球である可能性はほとんどないのを知っているからであろう。

  このことに対して、もうひとつの考え方があった。それは、水星の軌道の内側に、もうひとつの惑星がある場合は、水星の軌道が今のようになるという考え方である。これは、相対性理論家は、大きく取り上げている。そして、そのような惑星は見つからないから、水星の軌道の変化は相対性理論の現象であると証明されたと述べている。これは惑星がないことが最初から分かっていたから取り上げたのだろう。

  これも、有利な例は取り上げて、不利な例は知らん振りを決める例の一つである。

A エディントンの観測

  光が曲がるのは、地球上の現象では、屈折現象が主流である。重力による光の曲がりは観測されていない。

  太陽においても、太陽大気による屈折現象は存在すると思われる。

  すると、エディントンの観測は、太陽大気による星の光の屈折現象である可能性が高い。しかし、これも、相対性理論家は決して取り上げない。これを否定することができないからだ。

  エディントンの観測の星の光が重力による落下現象だという根拠は、アインシュタインが予言した現象にそっくりだから、というだけである。これは権威主義以外の何物でもない。そんな理由は科学を間違わせるだけである。権威に振り回されて、科学が誤謬に落ちいった例はたくさんある。

B 重力レンズ

  銀河や、銀河団の重力が光を曲げるという説である。これも、銀河のガスや、銀河団のガスが光を屈折させたという考えかたもできる。これも誰も口を閉ざして決して口外しない。銀河や銀河団にはガスが大量にあるのが観測されているから、これによる屈折現象である可能性は非常に高い。

  エディントンの観測も、重力レンズも、相対性理論の計算には一致しない。質量が足りなさ過ぎるということだ。今のところ観測誤差のせいにしているが、本当は、ガスによる屈折現象であるから、相対性理論の計算式に一致しないのである。一致しているのは、20世紀最大の天才であるアインシュタイン氏が予言していた、ということにだけである。科学ではなく、占星術である。

(2)光速度で飛ぶものに対して、時間や空間が伸び縮みしていないことの例

 ア 光速度で飛ぶニュートリノの時間

  小柴氏の観測した、超新星のニュートリノを考える。

 この超新星は、大マゼラン星雲にあり、距離は17万光年先である。したがって、17万年前に爆発した超新星からのニュートリノが17万年かかって1987年の地球にやってきたといわれている。

 これは、このとき飛んできたニュートリノは地球にやってくるまでに17万年の時間が経過しているということである。

 ところで、この粒子は、光速度で飛んでいるから、特殊相対性理論では時間が完全に止まっているはずである。すると、17万年前に超新星ができ、ニュートリノが飛び出した瞬間にニュートリノの時刻は停止しているはずである。すなわち、紀元前16万8013年でニュートリの時刻はストップしているはずである。

 タイムマシーンを考えると、タイムマシーンの時刻を紀元100年に合わせると、タイムマシーンは紀元100年の世界に連れて行ってくれる。これと同じ原理なら、ニュートリノは、ニュートリノの時刻、紀元前16万8013年の地球にぶつかることになる。紀元前16万8013年の物質が紀元後1987年の地球とぶつかることができるわけはない。織田信長と、西郷隆盛が話し合うことができないように、違う時刻のものは、遭遇できないのが普通である。

 240万年前のアンドロメダ銀河が見えるから、宇宙には過去と今が同時に存在するというのは勘違いである。240万年前にアンドロメダ銀河を出発した光が、240万年時間が経過して今地球に到達したということである。映像は過去でも、光の時刻は今である。決して240万年前ではない。これは、2時間前に京都駅を出発した光号が、今東京駅についたというのと同じである。今光号が京都駅に無いのと同じように、今現在のアンドロメダ銀河は見えているところとは違うところにある。

イ 光速度で飛ぶニュートリノと空間

 先のニュートリノは、光速で飛んでいるから、その超新星を飛び出したニュートリノと地球との間の空間は、特殊相対性理論によると、無限大に縮まっているはずだ。すると、距離はないのだからニュートリノは、一瞬で地球に到達することになる。ところが、ニュートリノは、17万光年の距離を17万年かかっている。これは、超新星と地球の間の空間が、1mmも縮まっていないことを表している。

ウ 光と時間や空間との関係

 光もやはり光速度で飛ぶ。すると光は時間が止まるはずである。すると、ニュートリノで述べたことと同じことが起こる。

 だが実際にはそのようなことは起こっていない。17万光年先の超新星からの光は、ニュートリノとほぼ同時に(出発が少し遅れたぶん、遅れて到着している)地球に到着している。17万光年の距離を17万年かかって到着している。距離も縮まらず、時間もちゃんと地球時間の今に一致している。

 太陽の光も、距離に比例して時間がかかっている。8分かかるのである。8分光年の距離を8分でやって来るのである。

 光速の光も時間が止まってもいず、空間が縮まってもいない。

結論2−1

 このことから、少なくともニュートリノという物質や、光においては、光速になっても地球の時間の進み方と同じ速度で時間が進んでいるということがわかる。また、空間も縮んでいないということだ。

 すなわち、特殊相対性理論の、速度が速くなると時間がゆっくり進む、また、空間が縮むという理論には、決定的な例外が二つあるということである。

 このことから、特殊相対性理論が正しいと証明するためには、ニュートリノと光は、理論の例外である根拠を述べる必要がある。あるいは、この例が間違っているということを示すかである。そして、このほかの物質においては、時間や空間が縮むということを事実で証明しなくてはならない。また、このことから、「実際に観測するのは大変難しい」ということも、また間違いであることがわかる。光速で飛んでも、時間や空間は寸分も変わることなく進んでいるということは観測されたのだから。

 ちなみに、相対性理論では、時刻が早くなったり遅くなったりするというが、時間とはなんだということが何一つ説明されていない。せいぜいアナログ時計の針が速くなったり遅くなったりするのが時間であるというくらいの説明である。ガモフという人は、相対性理論を説明する本(不思議宇宙のトムキンス)の中で、速度が速くなったために遅れた時間を、指先で時計のノブを回して合わせている。それで全世界の時間に自分の時間が戻ったという。相対性理論の時間とはせいぜいその程度である。速度で遅れる時間も、指先で時計のノブを回すのも、同じ意味を持った時間である。時計の針は時間ではないのは自明だ。子供だましの説明である。

 これは、速度で時間の進み方が違うという実験をしたジェット機でも同じである。東回りのジェット機の時計と、西回りのジェット機の時計と、地上の時計の針の進み方が違っていたという。これが、速度によって時間の進み方が変わる証拠だという。ところが、三個の時計は地上で並べられている。針の指す位置は違っても、時計の本体は同時刻に並んでいる。昨日と、今日と、明日がいっしょに並んでいるのである。

 指先で合わせる時刻は、我が家の狂った時計の合わせ方と同じだ。相対性理論の時刻は狂った時計と同じ原理で合わせることができるなら、違った理由も同じ原理ということだ。すなわち時計が狂っただけだ。

 

問題2−2 時空のゆがみが重力か。

 アインシュタインの理論では、時空は、質量で変形するそうである。網に、質量の大きな物を置くと「網は下にたわんでしまう。その近くに小さな物体を置くと、・・中略・・小さな物体はそちらに転がっていってしまうことになる。この作用がニュートンの万有引力である。」

 

考察2−2

(1)空間の変形と、万有引力はどちらが先か。

 網が下にたわむのは、網の上に置いた物質と地球が万有引力で引き合うからである。

 万有引力のない宇宙空間に、網と質量のあるもの、たとえばボーリングの玉を置くとどうなるか。網はたわまない。引き合う力があるからこそ網はたわむのである。このことから、網がたわむのは、空間が変形するからではなく、引力のためであるといえる。

 したがって、万有引力があるから網がたわむので、網がたわむから万有引力が生まれるとはいえないということである。

 

(2)小さな物体は転がるか

 斜面を下に転がるのは、地球上の坂の話である。万有引力で、小さな物体と地球が引き合うから、転がり落ちるのである。これを、万有引力のない宇宙空間で行ってみよう。小さな物体は転がらない。万有引力のないところでは、どちらが坂の上でどちらが坂の下か分からないのだ。万有引力のないところには上下はないのである。

 すなわち、引き合う力がない場合、網がどんなに変形していても、小さな物体は転がることはないのである。

 物質を動かすには、エネルギーが必要である。これはニュートンの法則である。ところが、網の変形からはエネルギーは出てこない。だから、変形だけでは、物質は動くことはできないのである。

 これに対して、万有引力は引き合う力がある。エネルギーが存在する。このエネルギーが、物質を動かすのである。これは位置エネルギーといわれるものが代表である。このことから、小さな物体が転がるのは、網の変形ではなく、万有引力のためであるということがわかる。

(3) 時空を考える

 大きな質量を地球とする。小さな物体を月とする。

 すると、相対性理論では、網が下にたわむように、地球の質量によって時空がたわんでしまったために、月は地球の周りを回っていることになる。これが相対性理論の重力の仕組みであるということになる。

ア どちらが下なのか

述べたように、万有引力がないと、どちらが下か分からない。引き合う力がないと、上下が存在しない。月が時空のゆがみを転がり落ちるためには、引き合う力がないとだめなのだ。ところが、述べたように、ゆがみだけでは上下がなく引き合う力も生まれないから、月は地球に落下することはできないことになる。すなわち、空間のゆがみだけでは地球の周りを月は回ることができないということだ。

イ 月が地球を回る相対性理論の仕組み

 地球の表面に直線を書く。すると、この直線は地球に沿って曲がっている。これと同じように、時空のゆがみに沿ってまっすぐ進んでいる光も、本当は曲がっている。これが重力であるという説明がある。

 すなわち、時空の曲がりに沿って動くのが重力であるという説明だ。この考えからすると、月の軌道も、地球の公転軌道もこの時空に沿ってまっすぐ進むということになりそうだ。これは、引っ張り合って接近していくということとは異なる。万有引力がなくてもよくなりそうだ。

 この原理から考えてみる。

 すると、時空はかなり変形しているということがわかる。「(ただし、これらの「曲がり」や「遅れ」はきわめてわずかなので、実際に観測するのは大変難しいことをお断りしておく)」とあるが、月が地球の周りを周回しているのが空間の曲がりに沿ってまっすぐ進んでいるために起こるとするなら、空間はかなり曲がっていることになるはずだ。曲がりは観測可能なほど大きいと思われる。しかしこの曲がりは観測されていない。

 これは、大きな質量を太陽とし、地球を小さな物体としても、同じことがいえる。地球の公転軌道が空間の曲がりだけによるなら、曲がりは観測されてもいいほど大きいはずである。ところが、この曲がりも観測されていない。

 相対性理論は、重力レンズでいわれているように、光は、重力による空間の曲がりに沿って進むという理論だから、地球の周りでも、光が重力による空間の曲がりに沿って進むはずである。月がこの曲がりによって進んでいるなら、光もこの空間の曲がりに沿って進まなくてはならないはずだ。光は地球の周りを回ることになる。するとこの光の曲がりは観測されなくてはならない。エディントンが、太陽の近くで観測したという、重力による星の光のように。

 しかしこれも観測されていない。

 ボールを手から離してみよう。地表に落下する(万有引力では地球とボールが引き合い接触する)。これは相対性理論では空間の曲がりによることになる。地球表面近くは重力が強いから、空間は大きく曲がっているからそうなるのだろうか。そうなら、懐中電灯をつけてみよう。光は、空間の曲がりに沿って進むから、ボールのように、下に進まなくてはならないはずだ。こんなことは観測されていない。

 ボールが落下するのは、引き合う力があるからである。ただ空間が曲がっているだけでは、ボールはどちらに進むにもエネルギーがないから落下はしないはずだ。

 引力は、ニュートンのいうように、質量のあるものどうしが引っ張り合う力と考えると実際の現象と一致する。空間の曲がりでは事実と一致しない。重力は空間の曲がりであるといいながら、実際は、引き合う力、万有引力があるものとして考えている。

 太陽系の軌道を計算するときに空間の曲がりで計算している人はいない。相対性理論家も、網の例で見たように、空間の曲がりといいながら、重力という落ちる力を暗黙に使っている。

 このことから、万有引力は空間の曲がりで発生するのではなく、万有引力は元からあるといえる。

 重力は光を曲げるというが、万有引力は光と相互作用をしないから、光は直進する。(等価原理は、重力ではなりたっても、万有引力では成り立たない)

結論1−2

 このように、質量で時空が曲がるという現象は一つも観測されていないばかりか、それに反する現象ばかりがあることから、これは、奇抜な思い付きではあっても、事実ではないといえる。

 

3 宇宙原理―宇宙はどこも同じ

問題3−1

ア 宇宙が一様である。

イ 宇宙は等方的である。

 考察3−1

 ア 宇宙が一様である、について。

 100万光年といった小さなスケールで見ると宇宙は凸凹だらけだが、「1億光年を越えるようなスケールで見ると、一様という仮定は悪くはない。実際最近の観測では、1億光年にわたって銀河の分布を平均してしまうと、宇宙はほとんど一様なのである。」と述べている。平均すると、みんな平均になるのだから、一様になるのは当たりまえである。平均しないで、あるがままだとどうなるのかが問題である。現在宇宙には、1億光年を越えて、大きな構造があるのが観測されている。1億年を越えても一様ではないのである。

イ 等方的について

 宇宙に特別な方向はない、ということだが、ビッグバン宇宙論では、最初にビッグバンの始まった点が存在する。そこから、全方向に宇宙は広がっているということだ。また、プロローグにあるように、ビッグクランチになるときも1点に向かって宇宙は収縮していく。このことから、ビッグバン宇宙には中心となる1点が存在するといえる。

 すなわち、方向性があるということである。

 これは、宇宙は最初から今の状態であるという古い定常宇宙論ならありえることのようである。

結論3−1

 以上の2点から、「宇宙原理」は、ビッグバン宇宙においてはその根拠を失っている。この考え方は、ビッグバン宇宙が考えられる以前、それも、まだ、銀河系の一部が全宇宙であると考えられていたころ以前の考え方である。だから、定常宇宙論に近くなるのだろうか。また、これはキリスト教の考えている宇宙観でもある。ビッグバン宇宙論には合わない考え方であるのに、無理やり宇宙原理に合わせようとしているのはどうしてなのだろう。アインシュタインがいっているから変えられないのだろうか。

 ビッグバン宇宙論では、方向性があるしかなくなるのだから、宇宙は方向性があるが、あまりにも大きく広がりすぎて、その方向性は観測するのが、非常に、非常に、非常に難しい、とすれば解決するのだと思うのだが。それではやはりごまかしになるからだめか。

 どちらにしろ、矛盾は存在する。

 まあ、宇宙が等方的でなければならないという必要性があるのかどうかはわからないが、等方的であれば等方的だし、等方的でなければ等方的でないだけのことだ。何が事実かそれだけだ

4 宇宙の膨張と収縮

 アインシュタインの方程式を宇宙原理に基づいて解くと、「銀河が分布する空間が膨張したり収縮したりする。」「宇宙の物質が多ければ重力によって収縮してしまい、物質が少なければどんどん膨張していくのである。」

問題4−1

 空間の膨張と収縮

考察4−1

 空間の膨張や収縮は、地球上では観測されていない。太陽系でも観測されていない。

 太陽系ができてから、46億年といわれている。ビッグバン宇宙の歴史の、ほぼ3分の1を経過しているから、地球や太陽系の空間はかなり膨張しているはずだが、その痕跡すら認められない。

 太陽や地球の重力でおさえられて空間膨張は現れないという意見を見るが、あの巨大な重力を持つ銀河団さえも、やすやすと、超スピードで動かしているのだから、それに比べれば、塵にもならないほど小さな太陽の小さな重力で造られている太陽系になんら作用を及ぼすことができていないのは、非常に疑問である。

 平均1000億個の太陽で構成された銀河を、数百もまとめた銀河団を超スピードで動かすことができる空間膨張が、人間の髪の毛一筋動かせないのである。これは太陽系や地球では、空間は膨張していないと考えるほうが妥当である。もしあるとしても、空間膨張そのものが、かなり変則的な作用を及ぼす現象であると考えられる。

 そこで、宇宙空間では、本当に空間は膨張しているのだろうかを考える。銀河系は、およそ100億年の歴史を持っているという。この間、銀河系の空間は膨張していたはずである。宇宙がこれまで膨張してきたほぼ70パーセント分膨張しているはずである。ところが、銀河系は微動だにしていない。これも、銀河系の重力のせいだという。何百もの銀河が集まった銀河団を空間膨張はやすやすと動かすのである。何で、小さな銀河系にかすかにも影響できないのだろうか。銀河を取り巻くハローなどは、物質密度も小さく重力も弱いから、少しは影響してもよさそうだが、それさえ一切ない。

 星からの紫外線でさえ、やすやすと、分子雲を吹き飛ばしている。その分子雲さえ空間膨張にはなんら影響されずに、収縮して、星を造っている。これも、銀河系内では、空間膨張はなかったと考えると、一番事実に合う。

 アンドロメダ銀河と銀河系とではどうだろう。いま、アンドロメダ銀河と、銀河系は接近しているという。空間膨張とは逆の現象である。このことから、銀河系と、アンドロメダ銀河の間では、空間膨張はないと考えるほうが事実と合う。

 ビッグバン論者も、局部銀河群は、固有の動きをしているので、困った挙句、空間膨張より重力のほうが強いから空間膨張と違う動き方をしているといっているが、苦しい言い訳にしか過ぎない。

 

 結論4−1

 このことから二つのことがいえる。

 ひとつは、地球を中心として、観測が正確にできるところでは、空間膨張の直接の証拠はひとつもないということである。反対に空間膨張はないという証拠ばかりである。すなわち、観測の正確にできるところは空間膨張はなく、観測が不正確で誤差が大きくなるほど、空間膨張が大きく現れるということがわかる。ビッグバン宇宙論の特徴がここにもよく現われている。これは、かつて、望遠鏡がよく見えなかったとき、火星に運河が見えたということを思い出させる。

 また、次のこともいえる。

 太陽は普通の恒星である。銀河系も普通の銀河である。局部銀河群も普通の局部銀河群である。ということは全宇宙の恒星や、銀河や、局部銀河群で、空間膨張の影響はないということが推測される。

 すると、どこで、空間膨張が行われているのか。銀河団同士の間であるという人がいる。小さなのは重力の影響でだめだが、一番重力の大きな銀河団は動かせるというのである。不思議な現象である。

問題4−2

「宇宙の物質が多ければ重力によって収縮してしまい、物質が少なければどんどん膨張していく」

考察4−2

「あたかも地表から石を投げ上げるのに似て」とこの現象を説明している。

 この考えは間違っている。元々離れて存在している二つの物質は、引力だけではくっつかない。地球にボールを落とすと、跳ね返る現象がそうである。

 宇宙空間に二つの物質があると、引力で接近しやがてぶつかる。しかし、必ず跳ね返る。作用反作用の法則である。エネルギーの他への変換がなければ、必ず元の距離に戻る。近くのものは勢いが弱いから少ししか跳ね返らない。遠いもの同士は加速度がつくから、遠くへ跳ね返る。位置エネルギーと、運動エネルギーの変換である。そのエネルギーは引力に由来する。エネルギー不変の法則から、必ず元の距離に戻るのである。

 実際は、ボールはバウンドを繰り返して、やがて地表にくっつく。そのことから、引力はすべてのものをくっつけるという考え方になったのだろうが、上に書いたように実際はそうではない。

 ではなぜボールは地表にくっついてしまうのか。これは位置エネルギーから、運動エネルギーになった力が、衝突のとき熱エネルギーに変化したためである。

 運動エネルギーがそのためになくなり、元の位置エネルギーに返還できなくなったのである。しかし、エネルギーの総量は変わっていない。

 宇宙空間でも、星ができるときは、分子雲が集まっていく過程で、位置エネルギーが運動エネルギーになり、それが熱エネルギーに変化し、そのエネルギーを輻射やジェットとして周りに撒き散らしている。このために、星間雲の中のばらばらにあった分子や塵の位置エネルギーが減少し、収縮して星ができるのである。この輻射による、エネルギーの宇宙空間への移動がなければ、分子雲はいつまでもばらばらのままで、星はできないといわれている。

 ではやはり、物質は収縮するといえそうである。しかしそうではない。出来立ての星の光は、集まっている分子雲の大半を吹き飛ばす。輻射が物質を吹き飛ばすのである。また、位置エネルギーが変化した熱エネルギーは、その分物質をばらばらにする力になるのである。一部で収縮すると、他でそのエネルギーの分ばらばらになるのである。

 太陽もその熱で、つぶれるのを食い止められている。熱は物質を運動させるのである。銀河団や、巨大な楕円銀河が収縮していかないのも、熱のためではなかろうか。

結論4−2

 元々、地球上にあったものは地球に落ちてくる。元あったところに戻るのが基本である。したがって、宇宙が、1点から膨張したのが本当なら、宇宙はやがてもとのところに戻り、1点に収縮する。これが基本である。打ち上げる力が大きいとき、人工衛星や、人工惑星になるように、宇宙も拡散してしまうかもしれないが、元の力が、最初にあったものだけなら、拡散のための余分な力はなく、元に戻る。人工衛星は、ロケットという他からの力によって地球から脱出するが、宇宙には万有引力と、あと3つの力だけしかないとしたら、自分の力を超えて、運動エネルギーを獲得できないから、必ず元の位置に戻るはずである。他の力、たとえば第五の力、神の力がなければ。

 このようにビッグバン宇宙は1点が元の場所だから必ず収縮する。しかし、定常宇宙は、元に戻ると、最初にあったばらばらにもどる。拡散も収縮もしない。1点には収縮しないし、元あった以上には拡散しないのである。なぜなら、定常宇宙では物質は元もと離れて生まれてくる。離れた物質は、万有引力のために位置エネルギーを生まれたとたんに持つ。これが斥力になる。ぶつかって跳ね返る力である。熱になった位置エネルギーも、原子を振動させて、物質をばらばらにしようとする。元々、熱は原子の運動であるのだから。定常宇宙なら、万有引力がある限り、斥力もそれと同じ力で生まれるのである。距離に比例して位置エネルギーが生まれ、位置エネルギーは万有引力であり、ぶつかって反発するエネルギーに同じなのであるから宇宙はつぶれもしないし、膨張もしない。基本的に、生まれたところに戻るだけである。

 そして、ばらばらに生まれることだけで、宇宙は巨大な位置エネルギーを手にいれることができるのである。宇宙に散らばる、すべての恒星の核融合に点火することさえやすやすとできるエネルギーである。

 

5 宇宙項―斥力の重力

問題5−1

 「アインシュタインは、膨張も収縮もしない静的な宇宙をつくるために、「宇宙項」と呼ぶ一つの項を自分の式に加えた。」「宇宙項は、いわば空っぽの空間同士が互いに押し合うという奇妙な斥力である。」

考察5−1

 この世界は、4つの力でできているというのが、いままでの定説である。この本にも、強い力、弱い力、電磁力、重力の4つの力が基本的な力だと説明されている。また、宇宙誕生から、4つの力が生まれることが図解入りで説明されている。ところが、宇宙項の斥力は基本的な力としてはどこにも説明されていない。もし、宇宙項があるなら、この世界は5つの力で構成されていることになるはずである。ところが、そうは言っていない。大きな矛盾である。

結論5−1

 困ったからといって、かってに、宇宙項を入れただけであるから、この力は空想の産物から1歩も出ていない。仮説にもならないことである。

 空っぽの空間が押し合うというのは具体的にどのようなことなのか、実際にどのような力が空間のどこに働き、どのように押し合うのかひとつも説明されていない。

 また、この現象は観測されていないことから、理論もだめ、事実もだめであるから、ないない尽くしである。これでは仮説にもならない。たんに空想に過ぎない。 

問題5−2

 斥力は観測されたか

考察5−2

 「太陽系や、銀河系といった空間では万有引力の逆2乗則が厳密に成り立っており」とあることから、太陽系や、銀河系では斥力は存在しないことが述べられている。

 「宇宙項による斥力は、100億光年という宇宙スケールではじめて効果が現れるような微弱な力である」

結論5−2

 銀河系や、太陽系は、宇宙では標準的な銀河や恒星である。このことから、宇宙のほぼすべての銀河や、恒星にも、宇宙項は存在しないことが類推できる。ではいったいどこに宇宙項は存在するのだろうか。否である。

 いつものように、観測の正確に行われるところには存在しないで、観測が不正確なところになると現れる現象である。

 

問題5−3

「こうして、アインシュタインは、万有引力と宇宙項がちょうどつりあって、収縮もしなければ膨張もしない静的な宇宙のモデルを作ったのである。」

考察5−3

 太陽系や、銀河系では、圧倒的に、引力が優勢である。斥力はない。まったくつりあっていないことが観測からわかっていることを述べている。

 また、「宇宙項による斥力は、100億光年という宇宙スケールではじめて効果が現れるような微弱な力である」と述べているのだから、斥力は、引力に比べて非常に微弱な力であるといえそうである。

 どのような根拠で、「ちょうどつりあって」といえるのだろうか。その説明がひとつも無い。まるで論理が通らない。

結論5−3

 これも、観測できないところに現れる現象である。観測できないから、否定の証拠もないということだろうか。もちろんこれは科学ではない。

宇宙が膨張も収縮もしないモデルは、先に述べたように、定常宇宙論なら簡単に説明がつく。もちろん、なぞの斥力はいらない。万有引力だけで十分である。

 

6 宇宙は無限か

問題6

「アインシュタインの時空は(リーマン幾何学に基づくものであるが)、曲率が正の場合は「閉じた空間」となる」「風船の表面のような空間に相当する」「有限ではあるが、「果て」は存在しない」

考察6

 風船を考える。風船の表面は、有限である。そして、果てはないかもしれない。しかし、風船には内側も外もある。これに目をつぶるわけにはいかない。風船の外は、果てしなく遠くまで続いている。無限か有限か今のところわからない。

 したがって曲率が正の場合の三次元空間にも、三次元空間を風船にたとえるなら、その外に四次元があることになる。すると、その外、四次元は、やはりどこまでも続いているのではないだろうか。

 これは、宇宙の果てには壁がある。そこで終わりだ、いやその壁の向こうはどうなっている、という話と同じである。壁の変わりに次元の壁を作っただけの話である。

 千代紙の円筒も同じである。円筒の外はどうなっている、と考えることができる。トーラスも、クラインの壷も同じである、その外はどうなっているという問題が残る。

 要するに、われわれのいる世界が、風船の表面であるとか、トーラストか、クラインのつぼとか考えるのは勝手だが、実際にそのようになっているという観測はひとつもない。「現在までの観測によると、宇宙の曲率はきわめてゼロに近く、また観測されている宇宙は有限な宇宙の一部だという証拠も見つかっていない」とあるように、宇宙はくねくねと曲がりくねってはいないのである。観測事実を無視していろいろなことを考えるのは勝手だが、それを、事実を無視して、この宇宙であるということはできない。事実と相反することをいくら面白おかしく考えてもそこから真実は出てこないはずだ。

結論6

 いろいろな可能性を考えるのは必要なことである。しかし、それが事実と一致しているかが科学では大切である。事実を無視するときは、空想科学では面白いが、科学とはいえない。 

 宇宙が有限か無限かという問題の解決は、かなり遠いと思われる。

 

U 膨張宇宙の発見

7 ハッブルの法則

問題7−1

「銀河の速度は、スペクトル線の「赤方偏移」から求められる。」

考察7−1

 近い星や銀河はそのように考えてもいいかもしれない。しかし、遠い銀河になるとそうとばかりはいえないのではないだろうか。

 たとえば、500万光年先の銀河からの光を考えてみる。この光は、500万年飛んできたわけだ。500万年前というと、まだ人類は生まれていなかった。そんなときに飛び出した光が、地球に届くまでに、猿は人間にまで進化したのである。そんなに長い間宇宙の様々な銀河間分子の中を飛び続けたら、光も変質する可能性があるのではないだろうか。猿から、人間まで進化させる時間は光も変化させると考えてもいいのではないか。

 赤方偏移を後退速度とすると、空間の膨張という、いままでにその原理は一つの理論もなく、直接の観測もされていない現象を、ある、としなければならなくなる。それより、銀河間分子に衝突することによる、光のエネルギーの減少のほうがよほど現実にあっている。物質に当たった光はエネルギーを減じるのは観測されている。(たとえば、暗箱に入れた光は、箱にあたって光エネルギーが、熱エネルギーに変化し、光は見えなくなる。赤外線になったのだ。いわゆる赤化現象である)これだと地球と銀河との距離に比例して光が通過するガスの量は増えるから、それに比例して光のエネルギーが減少するので、地球から遠いほど、赤方偏移が大きくなるので、無理なく事実を説明できる。

結論7−1

 遠い銀河の赤方偏移は、銀河の後退速度ではない可能性が十分ある。後退速度であるという直接の証拠もない。

 星間赤化など、光の赤化現象が空間膨張とは関係なく存在する。銀河間物質による、赤化現象を否定する事実が観測されたとき、後退速度を考えてもよさそうである。

問題7−2

 銀河の後退速度のグラフと、表が載っている。

遠くなるほど後退速度が速くなっている。

 距離90万光年先の銀河は、後退速度125マイル/秒、同1億3500万光年先の銀河は、同14300マイル/秒になっている。

考察7−2

 宇宙膨張による速度であるという解釈である。これは、普通の物質が爆発して飛び散るのとは違う原理である。物質が爆発して飛び散るときは、距離に関係なく同じ速度で飛び散る。遠くなるほど速くはならない。遠いほど速度が速くなるのは、空間膨張のためであるというのが、ビッグバン理論である。そこで、宇宙空間膨張として考えてみる。

 宇宙空間が膨張するとき、どういう原理で、銀河を引っ張っていくのだろう。銀河のどこに、どのような力を加えると、銀河全体が、その回転や形を崩さずに、高速度で一定方向に移動するのだろうか。

 地球ができてから、45億年たったといわれている。その間、地球は宇宙空間の中を空間の抵抗を何ひとつ受けることなく公転や自転をしている。ということは、宇宙空間の力を何一つ受けていないということである。

 それなのに、宇宙空間の力は、銀河や銀河団さえも、高速度で押しているのである。

 

結論7−2

 観測の正確な近いところでは観測されないが、遠くになるほど現れる現象がここにもある。

 

問題7−3

「ハッブルの法則は、私たちがいる銀河系が宇宙の中心にあることを意味するのではなく、宇宙には中心がなく、銀河が互いに距離に比例した速度で一様に遠ざかっていることを意味する」

考察7−3

  上記ふたつの銀河の速度を考えて見る。

 地球は、宇宙背景放射に対して、700km/秒で宇宙空間を飛んでいる。背景放射は、光だから絶対速度である。したがって、地球の速度も絶対速度と考えられる。

 宇宙背景放射はどこでも光速度である。それに対して、地球の速度は決まっている、その地球に対して決まった速度である他の銀河も、背景放射に対して決まった速度になる。

 このことから、距離90万光年先の銀河は、宇宙背景放射に対して1.609×125−700km/秒の速度で飛んでいることになる。これは約500km秒である。1億3500万光年先の銀河は、1.609×14300−700km/秒になる。宇宙背景放射に対して約22,300km/秒である。

 「一様に膨張する宇宙」が原因であると考える。1億3500万光年先の銀河を基準に考える。あちらから見ると、地球は約22,300km/秒で遠ざかっているように見えるはずである。その銀河は700km/秒前後で背景放射に対して進んでいることになる。それに対して約22,300km/秒で進んでいる地球は、背景放射に対して、約22,300km/秒で進まなくてはならなくなる。人工衛星が観測した、背景放射に対する地球の速度と一致しない。すると、光速で動いているのはあちらの銀河だけと考えるしかない。

 このことから、地球に近い銀河は、絶対速度が遅く、遠い銀河は絶対速度が速くなる。地球を中心にして、すべての銀河の絶対速度が決まる。

結論7−3

 これでは、地球が宇宙の中心であることになる。「宇宙には中心がなく、銀河が互いに距離に比例した速度で一様に遠ざかっていることを意味する」とはいえなくなる。

  これは天動説と同じである。

 なぜこのようになったか。赤方偏移を後退速度としたことからである。そのため、空間が膨張するという何一つ原理が解明されていないし、地球上や近くの宇宙では直接観測もされていない、奇妙な現象を考えなくては説明できなくなったのである。

 赤方偏移を、7−1で書いたように、銀河間に漂う分子や原子に光が衝突することから起こる光のエネルギーの減少としたら、観測者からの距離に比例して光が通過する分子の量も増えるので赤方偏移も増加する。そうすると、距離によって銀河が速度を変えることもないし、空間膨張という何もないものが膨張するという奇妙な現象も必要なくなる。普通の出来事として処理できる。

 

問題7−4

膨張宇宙のモデル

「アインシュタインの宇宙項を取り入れつつ膨張宇宙のモデルを作った」

考察7−4

 宇宙項は謎の力である。先に書いたように、この力は、理論上も、実際にも存在が確認されていない。アインシュタインの思いつきのままである。仮説になれるかも怪しい理論である。

 定常宇宙論なら、位置エネルギーを宇宙項とできる。これは位置エネルギーが、運動エネルギーに変化し、それが、熱エネルギーに変化し、また物質の運動エネルギーになると循環するから、斥力になる。しかしこの力は、物質を元の位置に戻すだけの力で、それ以上の力はない。まして、空間を膨張させることはできない。もちろん空間を膨張させる必要はない。なぜなら、書いてきたように、地球や、太陽系や、銀河系や、この回りの局部銀河群では空間は膨張していないようであるからである。もし空間が膨張していても、この近辺の銀河や星に対しては石ころ一つでさえ動かす力はないようであるから、無視して大丈夫である。

 定常宇宙論の利点は、先にも書いたように、斥力は万有引力から生じるから、基本的な4つの力で宇宙のすべての力を説明できるところである。そして宇宙の物質の量にかかわらず、どんなときにも、膨張も収縮もしない宇宙ができることである。これは今の宇宙に一致している。

 ところが、ビッグバンモデルの斥力や、アインシュタインの斥力はこの力ではない。謎の力である。ダークエネルギーという、誰も観測できたことのない力である。そして、膨張も収縮もしない宇宙になるには、奇跡に近いバランスが必要であるということだ。神の力がないとできない宇宙である。

問題7−5

 膨張の原理

考察7−5

 宇宙膨張の仕組みが明示されていない。

 物質の膨張を考えてみよう。たとえば鉄道線路である。熱で鉄の原子が振動する、すると、原子同士が互いに押し合って、互いの距離が広がる、それが、線路全体を膨らませる。このとき押し合いへしあいになるから、線路が曲がったりする。今は膨張に打ち勝つ力で線路を固定しているから、めったなことでは曲がらないが。物質は、すべてこの原理で膨張する。

 一方、空間はどうだろう。空間の何が膨張するのだろう。不明である。原理はどうだろう。不明である。分からないこと以外に何も分かっていないのが空間膨張である。

 空間の部分部分の膨張を考えてみよう。

 月と地球を考える。月の空間が膨張する。地球の空間も膨張する。すると、月と地球の間のどこかで、空間同士がぶつかる。その境界線ではどうなっているのだろう。押し合った結果、どちらのほうに動くのだろう。地球のほうが大きいから、地球の空間のほうが勝つのだろうか。そのときは、月の空間を押していくのだろうか。空間には硬いものがないようなので、互いに食い込んで重なり合うことは無いのだろうか。

 これは小さな部分でも同じであろう。こちらの部屋の空間と、隣の部屋の空間が膨張してぶつかったときどちらにどれだけ動くのだろう。どうやって押し合うのだろう。見て見たいものだ。

 風船は一様に膨らますことができる。それは小さいからだ。地球ほどの大きさの風船を一様に膨らませるのは非常に困難である。こちらから、空気を入れても、あちらの端にその圧力が伝わるまでに時間がかかるから、一様に膨らませることはできない。必ず時間差ができる。そしていつまでも圧力差ができる。

 ハッブルの法則では、宇宙は、1メガパーセクト(325万9000光年)で70.1km/秒の速度で広がっているといわれている。

 地球から1メガパーセクトの間の空間が広がったとき、それが次の1メガパーセクトの空間をきれいに押しやることができるのだろうか。10メガパーセクト先の空間では、それが積み重なって、701km/秒の速度で空間全体を押しやらなければならない。それまで積み重なった空間膨張の力は何を介して、どのように伝わっていくのだろうか。

 最初の空間の膨張が、10メガパーセクト(32,590,000光年)先の空間に伝わるのはどれだけの時間がかかるのだろうか。光速で伝わっても32,590,000年かかるのである。それとも、空間膨張は一瞬で宇宙の果てまで伝わるのだろうか。

結論7−5

 膨張の伝わり方が解明されていないから反論もしにくいが、風船を一様に膨らませるのは簡単だが、宇宙空間を一様に膨らませるのは至難の業であると思われる。大きさは重要な要素である。直径1cmの石は手のひらに乗る。その直径が100倍になっただけで、手はつぶれる。地球の直径が100倍になったら、太陽のように地球は燃え出す。

 宇宙は風船の100倍どころの大きさではない。一様に膨らませることなど不可能ではないのだろうか。ビッグバン論者に、その辺りの原理をお聞きしたいものだ。考えてもわからないことだから無視するだろうけど。

 

8 「ビッグバン理論の確立」

 火の球宇宙論

宇宙は火の球から始まったという理論である。

問題8−1

「宇宙は急速に膨張しており、それにつれて温度は低下していった。」

「誕生から、0.01秒後、温度は1000億度である。電離した物質(すなわち、陽子・中性子と電子)とともに大量の光が存在し」た。

考察8−1

「誕生から、0.01秒後」の宇宙の大きさを考える。

いま、宇宙で最速は光である。誕生した宇宙は、光を先頭に広がっていることと思われる。「電離した物質」も光速に近い速度で広がっていることと考える。すると、宇宙の物質の広がりは、最大で、半径0.01秒光年になる。ここに全宇宙の物質が詰め込まれている。最初、物質は少しできて、時間の経過と共に、宇宙の物質は生まれてきたとすれば、このときは、まだ少しの物質しかなかったかもしれないが、宇宙はビッグバンと共に始まったとすれば、この段階で宇宙のすべての物質の元はできていたと考えられる。

 0.01秒光年は、約3000kmである。手始めに、半径3000kmの球の中に太陽系を閉じ込めてみよう。太陽は半径約139万kmある。50分の1くらいに押し縮めないと入らない。

 銀河系を考えてみる。星だけで、約1000億個あるといわれている。これを、その中に押し込めるのである。かなり大変な作業がいりそうである。そのうえ、銀河系の中心には太陽の230万倍の質量のブラックホールまであるという。

 こんなものが詰め込まれたら、それだけで、「誕生から、0.01秒後」の宇宙全体がブラックホールになりそうである。少なくとも、「電離した物質(すなわち、陽子・中性子と電子)」は存在することができないはずである。

 ちなみに、ハッブルの法則では、1メガパーセクト(325万9000光年)で70.1km/秒の速度で広がっているといわれている。これから考えると、小さな宇宙空間は、膨張の速度はそれに比例して小さくならなければならない。半径3000kmの宇宙空間は地球上で膨張が観測されないように、膨張速度はほとんどないのと同じだったろう。

 このことから、できたての宇宙はひじょうにゆっくりと広がっていたはずだから、半径3000kmより小さかったはずである。地球どころか月1個分の物質でも、その重力で広がる事はできなかったのじゃないだろうか。

 その中に、全宇宙の物質が詰まっているのである。その重力たるやものすごいものがあるだろう。それが膨張するのである。アンドロメダと、銀河系の重力でさえ、空間膨張に打ち勝っているのであるから、その重力に打ち勝って、空間が膨張することはできないはずである。空間は重力で収縮するはずである。すると、初期のビッグバンと、今の宇宙空間膨張とはまるで違う原理で膨張していなければならないことになる。最初インフレーションでその後ビッグバンだという説があるが、なるほど好都合である。

(1) そこで、インフレーションを考える。

 インフレーションは一瞬で、宇宙をかなりな大きさにまで膨張させるという理論だ。これは人によって、宇宙の大きさが直径10cmから、この宇宙のはるか先まで膨張させるというのまで、様々だ。

ア インフレーションが、10cm近くから、銀河系ほどの大きさまで膨張したら終わるという考えのとき。

  宇宙全体の物質はこの中には納まりきらない。物質は電離することができずブラックホールになるだろう。巨大な重力は斥力に打ち勝ち、その後の空間は収縮するだろう。

  物質が空間膨張と平行して、少しずつ、空間膨張の斥力よりつねに重力が下回るだけの量だけできてくるのなら大丈夫である。しかし、その考え方は、ビッグバン論にはないようである。

  だから、この大きさまででインフレーションが終わるとしたら、「誕生から、0.01秒後」の宇宙の中には電離した物質はできないことがわかる。

  おそらく、銀河団の大きさでも無理だろう。その中には謎の暗黒物質もあるのだから。

イ インフレーションが、一瞬でこの宇宙より大きくなるまで宇宙は膨張した、という考えのとき。

  これなら、重力によって宇宙がつぶれて膨張できないということはなくなる。しかし、困った問題も起きる。

  ハッブル定数は、137億年前に全宇宙が1点に集まり火の球になったということをいっている。137億年かけて1点から宇宙はゆっくり膨張し、今の大きさになったということだ。一瞬でこの大きさになったわけではない。137億年前すでに宇宙がこの大きさになっていたら、137億年前に戻っても1点に集まることができなくなる。今の宇宙より大きくなってしまう。ハッブル定数は無意味になる。

ウ インフレーションで一度この宇宙が、この宇宙よりはるかに大きくなった後、もう一度、中心から、今度は普通のビッグバンが始まったという説

 その説は、一瞬でインフレーションが終わるが、広がりすぎて、物質は希薄になってしまったというのだ。それでは困るので、今度はこの宇宙を創る普通のビッグバンが中心の1点から火の球になって始まるということだ。2段ロケットみたいなものらしい。

 すると、やはり「誕生から、0.01秒後」のこの宇宙は小さすぎて、宇宙の物質のすべてが入りきらない。電離した物質がその中でできるのは不可能だ。

結論8−1

 ア、のインフレーションは、ハッブル定数と合わないし、イ、とウのインフレーションは「誕生から、0.01秒後」の宇宙では詰まりすぎて物質の電離は不可能である。宇宙の物質は宇宙の膨張にともなって少しづつ生まれてきたと考えるか、インフレーションが終わったときの宇宙の大きさが、ハッブル定数とも、物質の電離が可能な大きさとも矛盾がなくなるように折り合いをつけるかであろう。

 インフレーションビッグバン説は、このあたりは、かなり適当なのじゃないだろうか。意見は人によってばらばらだったりするし。あちらを立てればこちらが立たずなのだろう。天動説の周点円みたいなものだ。

 

問題8−2

「宇宙誕生後30分ごろ、上記のような核反応が止む。」

(上記の核反応とは、「宇宙の最初の数分間で軽い原子核」が作られるという理論である)

考察8−2

「宇宙誕生後30分」は、同じように考えて、最大直径60分光年の球である。

「上記のような核反応が止む。」とあるから、このときまでには、いま在る宇宙の全物質の元ができていたと考えられる。もちろんまだ軽い原子核、水素とヘリウムだけだが、それを元に、やがて星でいろいろな原子が出来ることになるから、量としては同じであるはずだ。

 すると、半径30分光年の空間に全宇宙の物質が詰まっていたことは確実になる。これでは半径5万光年の銀河系の物質を水素とヘリウムにしてそこにつめただけでも原子と原子の隙間は無くなり、圧縮しなければ入らない。宇宙全体がブラックホールか中性子星と同じ状態になってしまう。これに、全宇宙の物質を詰め込むのである、少なくともその1000億倍の物質を詰め込むのである。その上そこに暗黒物質が6倍ほど詰め込まれるのである。その中で、水素やヘリウムがそのままの状態でいられるはずがない。

結論8−2

 「宇宙誕生後30分」の宇宙の大きさが述べられていないからわからないが、物質が、光速以下の速度で広がっているとする(今まで、観測されている物質の最高速度は光速度である)と、成り立たない理論である。物質が光速以上の速度で飛ぶというのは観測されていないが、光速の2倍でも、半径60分光年である。光速の48倍で1日光年である。これでもとても宇宙の全物質は入りきれない。光速の17,520倍で物質が飛んだら、宇宙誕生後30分で、半径1光年になる。

 それでも宇宙の全物質がその中に閉じ込められたら、ブラックホールになるだろう。とても、水素や、ヘリウムが存在できる状態ではない。

 光速の10000万倍で膨張するというのは、ハッブル定数とは矛盾する。それでも間に合わないのである。

 ビッグバン宇宙論者は。このときの宇宙の大きさをどのように出してどれくらいの大きさと見積もっているのか知りたいところである。もちろん無視するだろうが。

 

火の球の「化石」 宇宙背景放射

問題8−3

 宇宙が火の球であったころの光が「宇宙全体を満たし、あらゆる方向からやってくるだろう」

考察8−3

 光は光速度で直進する。いつまでもとどまってはいない。どのように宇宙全体を満たすのだろう。どこかで反射や屈折をしていったり来たりしているのだろうか。

結論8−3

このことは次のところでも考える。

 

宇宙の晴れ上がり

「宇宙背景放射が、なぜ宇宙開闢30万年ころの化石かという話を、ここでしておこう。」

問題8−4

「現在にいながら、100億年前の宇宙を見ることができる、さらに宇宙開闢の瞬間をも原理的には見ることができる」

考察8−4

「100億年前の宇宙を見ることができる、」ということと、「宇宙開闢の瞬間をも原理的には見ることができる」ということはまるで違う現象である。

 これは、4光年離れた星は、4年昔の星を見ていることである、1億光年離れた銀河を見ることは1億年昔の銀河を見ることである、ということから考えているようである。それと、宇宙開闢の過去を見ることができるということとはぜんぜん違うことである。

 4光年離れた星を見ることができるのは、その星と地球が今ほぼ4光年離れた位置にあるためである。4年前、その星と地球がすぐそば、たとえば、太陽と同じ8分光年離れていたとしたら、地球からは8分前のその星しか見えない。その星の4年前の姿を見るには、地球は、光速を越えて飛んで、この位置、その星から4光年離れたここに大急ぎで来なければならない。8分前の太陽を見ることはできるが、4年前の太陽を見るためには、4光年離れた場所に、それも、一瞬でとんでいかなくては4年前の太陽の光に追いつくとことはできない。4年前の太陽の光は、今太陽から4光年離れたところを飛んでいるのだから。

(1) 宇宙開闢の瞬間地球はどこにあったか。

 まだなかった、というのは間違いである。ビッグバン宇宙論では、「宇宙の最初の数分間で軽い原子核」ができたといっている。このとき、今ある宇宙の物質は水素とヘリウムの形ですべて出来上がったということになる。その後、宇宙の膨張とともに次々と、軽い元素が生まれ増えていったという理論ではない。新定常宇宙論者は膨張にともなって次々と物質が生まれるといっているが、ビッグバン宇宙論者はそれを否定している。すると、地球になる物質もすでにそのとき生まれていたはずである。

 このことから、宇宙開闢のとき地球はその真っ只中にあったということができる。

 すると宇宙開闢の光は、光ったとたんに地球に届き、すぐ通り過ぎていったはずだ。その後宇宙は膨張を続け、地球に固まる前の軽い元素も広がり続け、やがて、開闢のときにできた物質が集まって、銀河系ができ、その後、やはり開闢のときできた物質がいろいろな原子に変化して集まって太陽系ができ、地球もできたことになる。宇宙開闢後91億年後だ。すると、その間に、宇宙開闢の光は、91億光年先を飛んでいることになる。地球は今、宇宙背景放射に対して、秒速700kmほどで飛んでいる。宇宙開闢の光にはとても追いつけない。宇宙開闢の光は地球から何十億光年も先の宇宙を直進しているはずだ。1年前の太陽の光が現在太陽から1光年先の宇宙を光速で離れていっているのと同じである。1年前の太陽が見えないのと同じように、「宇宙開闢の瞬間をも原理的には見ること」などできないのである。

(2)100億光年先の宇宙を見ることができるか

 「100億年前の宇宙を見ることができる、」のは地球とその宇宙が100億光年離れているということである。そうでないと、100億年前の宇宙を見ることはできないはずだ。

 100億年前の宇宙の銀河を考えてみよう。ビッグバン宇宙論では、137億年前に地球とその銀河は、同じところで、火の球として生まれている。もちろん、ともにまだ軽い元素でしかないのだが、そのときに同時に生まれていることになっているはずである。そして飛び散りながら離れていく。100億年前にその銀河が光を出した時、地球はどこにあったか。もちろんここではない。100億年前、宇宙は37億歳であったはずだ。ハッブル定数からすると、そのとき宇宙は今よりずっと小さかったはずだ。だからその銀河と地球の間の距離もずっと近かったはずだ。

 その後の100億年間の空間膨張にともなって、今の位置に地球が来たら、ぴったり100億光年の距離になったなら、100億年前にその銀河から出た光が地球に到達し、見ることができるのである。宇宙開闢から37億年しかたっていないそのときは、地球とその銀河はかなり近いところにあったはずである。その銀河から出た光が光速で飛ぶのに対して、地球は負けじとかなりの速度で飛んでこなければ光に追い越されてしまうことになり、100億年前の銀河を見られなくなる。

 137億年前に、その銀河と、地球の前駆物質は同じところにあったのだから、137億年で100億光年の距離に離れたということである。光速の約73%の速度で離れなくてはならない。しかも、100億年前からは、地球だけで、その速度で飛ばなくては銀河の光に追い越されてしまう。その間に、地球の前駆物質である水素原子は、大きな恒星になり、様々な原子を合成し、超新星となって爆発し、宇宙に散らばり、その後また集まって、太陽系を形成し、そして、地球にならなければならないのである。それを光速度の73パーセントもの空間膨張とともに拡散しながら行うのである。至難の業である。しかも、およそ、46億年前に太陽とともに生まれたときからは、多分、背景放射の光に対して、700km/秒という速度にならなければならないのだから。これはほぼ不可能なことである。ビッグバンが137億年前にあったなら、100億年前の銀河を見ることはできないはずである。 

 

 宇宙開闢の光を見るためには、ふたつの場合しかない。宇宙開闢と同時に光の速度で光とともに飛びつづけているか、宇宙開闢のときに、そこから137億光年離れた場所に地球が存在するかの二つである。地球は光速では飛んでいないのがわかっているので、地球が宇宙開闢のときに少なくとも、すでに130億光年、あるいはそれに近い距離にビッグバンの火の球から離れていなくてはならないはずである。これもビッグバン理論からすると、ありえないことである。

 なぜかわからないが、ビッグバン宇宙論者は、地球だけは宇宙開闢以来、この場所に鎮座しているという考え方のようだ。

 

結論8−4

 定常宇宙なら最初から離れているのだから、100億年前の宇宙であろうが200億年前の宇宙であろうが、見ることができるといえる。しかし、ビッグバン宇宙では見ることはできないのである。

 このことは次のところでも考える。

問題8−5

 「宇宙が始まって約30万年後の、宇宙背景放射の光が放たれたときのことを「宇宙の晴れ上がり」という。」この光がいま地球にあらゆる方向から降り注いでいる宇宙背景放射である、とビッグバン論者はいっている。

考察8−5

 「宇宙が始まって約30万年後」のとき地球はどこにあったか。もちろん、宇宙の火の球の中である。もちろん、われわれが赤ん坊になる前に、卵子と精子の形であったように、地球も形は違って、陽子と電子の形で走り回っていたはずである。そして、「光が直進できるようになり、宇宙は透明になる」のである。それがビッグバン宇宙論である。

 「宇宙の晴れ上がり」のときから光は光速度で直進するようになった。すると、このときから、物質である地球(まだ軽い元素にしかなっていない段階。ほとんどが電離水素か中性水素のはず)を置いて、光はさっさとどこかに飛んでいってしまうことになるはずだ。火の球から91億年後(今から46億年前)それらは集まって地球になる。そしてそれから46億年たった地球に、137億年前に地球をおいて直進していたはずの火の球の光が戻ってきて降り注いでいるという。どのような原理で光は戻ってきたのだろう。その原理の説明がない。これも、元々地球はここにあり、137億光年先で137億年前にあった火の球の光が今地球に届いた、という考え方なのだろう。それは、宇宙はビッグバンから始まったという考えと矛盾する。書いたように、地球が宇宙晴れ上がりとともに光速度で宇宙背景放射になるという光とともに飛ばなくては、この光を見ることができないはずだ。

 たとえば、打ち上げ花火を見てみよう。この光はあっという間に消えてしまう。なぜなら、地球は、秒速700kmほどであるが、光は秒速30万kmであるから、さっさと飛んでいってしまうからである。この花火をいつまでも見ようとすると、光速ロケットで飛んで花火の光とともに進まなくてはならない。それか光速より速く飛ぶロケットに乗って先回りして、花火の光が追いついてくるのを見るしかない。

 だから、宇宙の晴れ上がりの光も、地球を置いて、さっさとどこかに飛んでいったはずだ。

 最初は、分子であったから、光速で飛んでいても、45億年前に地球に固まったとき、速度は700km/sになったのだから、あっという間に火の球の光は通り過ぎていったはずだ。それより、100億年ほど前に、銀河系が形成されだしたころにはもう速度は数百kmほどに落ちていたはずだから、当然そのときに火の球の光も飛び去っているはずだ。

結論8−5

 なぜいまごろ、火の球の光が戻ってくるのだろう。どこで反射したのだろう。あるいは何度も屈折してきたのか。ともにありえない話だ。

 これも、火の球があったとき地球はなくて、今から45億年前にとつぜん今の場所に地球が生まれたと考えているからだろうと推測できる。

 すべての物質は1点で誕生し、飛び散って、やがて星になったという理論のビッグバン論者が、地球は突然ここに生まれたと考えているようなのはどうしてなのだろう。

問題8−6 火の球二つめの疑問

火の球の光は、いつまで見えているのだろうか。

考察8−6

 電球を10時間光らせる。2009年1月1日午前0時から午前10時までとする。すると、その間光は見えている。しかしその後はもうその光を二度と見ることはできない。

 これを1時間光年先で待ち受けていて見るとする。この光は、2009年1月1日午前1時に見え始め、2009年1月1日午前11時に消える。

 これを3時間光年先で見るとする。この光は2009年1月1日午前3時に見え始め、2009年1月1日午後1時に消える。

 これを1光年先で待ち受けていて見ることにする。この光は2010年1月1日午前0時に見えはじめ、午前10時に消える。その後は見えない。

 これは当たり前のことだ。

 これと同じように、火の球の光も、30万年光り続けていたら、見え始めてから30万年で消えるはずだ。地球が137億年前からここにあったとしても、爆発の光はやってきたらやがて通り過ぎてしまうはずだから、見えはじめから、消えるまで、30万年だけであるはずだ。

 超新星というのがある、何億光年先の超新星でも、見え始めたら、必ず消えるときがある。それは超新星が起こっている時間と一致している。

 137億光年先で137億年前に超新星が起こったら、いま地球でそれを見ることができる。しかし、それもいつまでも見えているわけではない。数週間から長くて数ヶ月で消えてしまう。

 なぜ、火の球だけは、いつまでも消えないのだろうか。

結論8−6

 これは、ガモフが、火の球の光は今も生きながらえていると言っているというだけで、その根拠となる理由は明記されていないので考えようがない。なぜ火の球の光だけが特別にいつまでも果てしなく見え続けるのか不明である。

問題8−7 過去が見えるか 

 アンドロメダ銀河は230万年前の姿を見ている。だから過去が見えるという。

考察8−7

 火の球のとき、地球は火の球の中にあったことは先に書いた。このことをもう少し考えてみる。

 火の球の光には、地球の前身である陽子や電子が出した光も入っているはずだ。ということは、宇宙背景放射の中には昔地球が出した光が交じっているということだ。どれがそうだと特定することはかなり難しいが(アインシュタインの言うようなことをいってみる)。

 そこで考えてみる。

 昨日地球があった場所に望遠鏡を向けてみよう。昨日の地球が見えるだろうか。見えないのである。誰だって当たり前だと思うから、そんなところに望遠鏡を向けてみようとしない。

 1年前ではどうだろう。1年前の地球があった場所に望遠鏡を向けても、地球は見えない。これも当たり前だ。

 2億年前ではどうだろう。恐竜時代の地球が見えるだろうか。見えるわけはない。

 では43億年前はどうだろう。出来立ての地球は見えるだろうか。

 46億年前地球があった所を見ると、ガスから、地球が形成されつつある姿が見えるだろうか。見えるわけがない。100億年前、銀河系ができつつある場所を見たら、銀河系が見えるだろうか。見えるわけはないのである。銀河系は今ここにあって、あちらにはないのである。昨日の私がもうそこにはいないように。自分の過去はみえないのだ。ちびまる子の歌じゃないけど、そんなの常識、というものだ

 ではなせ、137億年前地球が出した光だけは、いまも背景放射として見えるのだろうか。1年前の地球は見えないのが当たり前なのに、100億年前の地球が見えないのは当たり前なのに、137億年前の地球が見えるのはどういう原理からだろう。そんなことはありえないはずだ。

 アンドロメダ銀河の光が見えるのは、230万年前アンドロメダ銀河と地球がほぼ230万光年離れていたからだ。だから、230万光年の距離を230万年かかって今光が届いたから見えているのだ。

 だから,260万年前のアンドロメダ銀河は見えないし、1年前のアンドロメダ銀河の姿も見えないし、昨日のアンドロメダ銀河の姿も見えないのだ。260万年前のアンドロメダ銀河の姿は、30万年前地球を通り過ぎて、いま30万光年先を進んでいるのだし、1年前のアンドロメダの姿は、229万9999光年向こうから、今地球に向かって進んできている。来年地球にやってくるだろう。昨日のアンドロメダの姿は、アンドロメダから1日光年のところにあって地球に向かっているのだ。230万年前、地球がアンドロメダ銀河の中にあったら、地球からは230万年前のアンドロメダ銀河は絶対見えないのである。

 火の球のとき、火の球の場所から137億光年離れた場所に地球があったなら、137億年経ったいま、火の球の光がやっと地球に届くことになって見える可能性がある。ただ、地球が、火の球から135億光年の位置なら、光は2億年前に通り過ぎていて、恐竜には見えても人間には見えないことになる。10億年の距離なら、127億年前に火の球の光は地球を通り過ぎているはずだ。ところが、ビッグバン理論では地球はそのとき火の球の中にあったのだから、火の球がひかったとたんに見えて、あっという間に宇宙空間に飛び去っているはずだ。今火の球が見えるわけはない。

結論8−7

自分の過去が見えるわけがない。タイムマシーンは空想科学の中だけだ。

 

問題8−8

「現在見つかっている最も古い銀河は、宇宙誕生後7億年、現在から130億年前というものである」

考察8−8

 以下も、ビッグバン宇宙が正しいとして考える。

 このときの宇宙の大きさを考えてみる。

 光速度で広がったとしたら、半径7億光年の球形の宇宙であるだろう。

 そこで、宇宙誕生後7億年にあるこの最も古い銀河と、84億年後固まって地球になった物質との距離を考えてみる。

 最も遠いところにあったと仮定して、14億光年の距離になる。そこで、このとき最も古い銀河から出た光が、地球に到達するにはどれくらいの時間がかかるか考えてみる。地球の前駆物質がその場で動かないときは、130億年前にその銀河から出た光は、14億年後地球に到達するので、それは、116億年前の出来事になる。まだ地球は丸くなっていない時代である。すると光は地球を通り過ぎてしまうから、最も古い銀河の光は見えなくなってしまう。

 今見えるということは、地球がその場所から移動しているから、と考えれられる。そこで、地球がそのときから、最も古い銀河の光と同じ方向に飛んでいるとして計算してみる。地球の速度をX光速秒とする。光の速さは1光速秒。スタート地点の両者の距離は14億光年離れているとする。

 最も古い銀河からの光が、130億年後地球に追いつくには地球の速度はどれくらいでなければならないかを考える。これは小学校で習った、追いかけ算というもので計算できるから私でも何とかできそうだ。

光が、地球に追いつくまでに飛ぶ距離は(130+14)億光年

地球が光に追いつかれるまでに移動する距離は130億光年となる。

(130+14)÷1=130÷X

X=130÷144

X=0.903

 地球が、平均速度、光速の0.903倍の速度でその銀河から遠ざかっているとき、最も古い銀河が130億年前に出した光が、21世紀の地球にちょうど届くことになる。

 地球がもっと速いと、光はまだ届かず、もっと古い光が届く。地球がそれより遅いと光は通り過ぎてしまい、もっと新しい光しか見ることができない。

 ところが、地球は今秒速700kmくらいである。光速の9割を超える速度、秒速24万kmは、夢物語である。

結論8−8

 これもやはり、最も古い銀河が光を出したとき、地球はすでにここにあると考えているからである。ビッグバン宇宙論では、130億年前には地球はその銀河のすぐ傍にあったはずである。

 この考えは定常宇宙論なら成立するが、ビッグバン宇宙では成立しない。すなわち、ビッグバン宇宙では古い銀河の光はもうすでにことごとく地球を通り過ぎているので、古い銀河は1個も観測されないはずである。

 

問題8−9

「全世界で重力波をとらえるさまざまな試みが行われているが現在のところ残念ながら、重力波を観測する技術は確立されていない。」

考察8−9

 このことからわかることは、重力波は存在しない可能性が高いということである。

 同じように、カミオカンデで陽子崩壊の検出ができないことは、陽子崩壊は無いという可能性が高いということである。

 相対性理論の場合、検出が非常に難しいということをアインシュタインが言っていることもあって、検出されないということが、技術が確立されていないということになるが、普通の科学の場合は、検出されないときは、理論が間違っている可能性のほうを問うものである。

結論8−9

 都合の悪いことは技術が未熟なためであるという。科学なら、理論が間違っている可能性を問わなければならないはずなのに。

 

9「4 宇宙の始まり」

「初期宇宙の困難―初期条件と因果律」

問題9−1

 フリードマンの宇宙モデルには3つの運命があるが、その「膨張の速度を決める存在はなく、物理学によって与えることもできない。そのため「神」を持ち出す人が現れることになる」

考察9−1

 宇宙の始まりは何も分かっていないということである。そればかりではなく、フリードマン宇宙論では、物理学では解決不可能であるということである。すなわちこの理論は根本のところが間違っているから、物理学がお手上げになるところが出てきたのではと思わせる。

結論9−1

 また中世にもどって、神のなせる業ですか。せっかくニュートンが、りんごは重いから落ちるのではなく、引き合う力があるから、落ちるように見えるだけだ、といって、中世の重力から近代の万有引力にしたのに、アインシュタインが、また、重いから落ちるにして中世に戻してしまった。(等価原理は、引き合う力であるという万有引力ではなく、重いから押し付けられるという考え方である。エレベーターの中の人は一方的に押し付けられているだけで、エレベーターに作用していないのである。いわゆる潮汐力がないのである。潮汐力がある(万有引力)と等価原理は成立しないのである)

 その相対性理論を使ったビッグバン理論が、また科学を中世に逆戻りさせるのは仕方がないことかもしれない。それにしても神様に解決してもらわなければならないとは情けない。

問題9−2

 ブラックホールは「外部から観測不可能な時空ができる。ブラックホールはいろいろな情報を吸い込むだけで、特異点に因果を結ぶ曲線が入ってしまったらそれで終わってしまう、つまりそれ以後、何か結果を及ぼすことがないようになる。」

考察9−2

 銀河系の中心にブラックホールがあるという観測結果がある。Sgr Aという星が特定されている。この星の周りを巨大な星がたくさん回転しているのも観測されている。

 このことから、ブラックホールがこの世界の4つの力の内のひとつ、万有引力においては外部の世界に対して影響力を行使しているのがわかる。この力は、銀河系のすべてにわたって影響していると思われる(引力は消えることなくどこまでも伝わる)ので、「何か結果を及ぼすことがないようになる。」とはいえない。ひじょうに重大な影響を回りに与え続けている。

 このことから、電磁力も外に出ているのではないかと思われる。電磁力は、引力と相互作用をしないから、いくら引力が巨大でも、それによって作用されないと考えられるからである。これはブラックホールのそばから、ジェットが出ていることから、可能性がある、普通の星ができるとき、やはりジェットを噴出す。中性子星でも観測されている。これは、磁力線が大きな影響を持っているといわれている。他の星では、星そのものの造る磁力線によってジェットが生まれている。ブラックホールもその延長線上にあると考えることは十分可能である。ブラックホールだけ例外であるという理由はない。20世紀の天才のアインシュタインが言っているからという理由をのぞいて。

 また、光も吸い込むというのは、相対性理論がいっているだけで、今までそれが確認されたわけではないから、仮説でしかない。実際Sgr Aは点源として赤外線望遠鏡で見えているのである。それ以上のエネルギーの光は銀河中心の分子雲にさえぎられて見えないけれど、実際は他の光も出ていることは十分考えられる。これは先のジェットでもいわれているが、ブラックホールの膠着円盤からでているといわれている。しかし、ブラックホールの光ではなく、膠着円盤の光であるという証拠は何もないのである。アインシュタインが言っているからブラックホールから光は出ないから、見えているのは膠着円盤の光であろうというだけの根拠である。事実で証明されたわけではない。

 先に書いたように、エディントンの観測は、単純に太陽大気の屈折現象であるとも言えるのだから。(実際彼の観測値は、相対性理論より、太陽大気の屈折現象のほうに近いのである)それなら光は重力(万有引力ではない。万有引力では等価原理は成立しないから、万有引力では光は落下しない)のために落下しない。

結論9−2

 ブラックホールは特異なものではなく、たんに物質のあるひとつの状態にしかすぎないのじゃないだろうか。

 

問題9−3

「「神」をなくするのが科学の役割とも言えるからである。」

考察9−3

 昔は地球上いたるところに「神」がいた。科学が発達するにつれ、「神」は少なくなり、いまは遠い宇宙の果てにまで追いやられてしまった。古来、人は、人間に解けない謎は「神」のせいにしてきた。今回も、謎がとけたら、神は消えるだろう。

結論9−3

 人間がどれだけの謎を解くことができるか、物理学への期待が高まる。それにしても、ビッグバン宇宙論は、神様の、光あれ、火の球になんと近いことか。いたるところに神様が出てくる。

 

10 「振動宇宙と特異点定理」

問題10−1

「以上のように、相対論だけでは宇宙の始まりに特異点という問題が残ってしまうのである」

考察10−1

 相対論だけでは、宇宙は説明できないということのようである。そのとおりであると思う。相対論そのものが、実証されていない、仮説にすぎないし、相対論は現実にはあてはまらないのだから、それを基にした理論が現実にあてはまらないのは当然である。

結論10−1

 ここまでの火の球宇宙理論は、宇宙論の歴史としてみるほかないということのようである。昔、宇宙は亀の背中に乗っかっていた、という宇宙論と同じ仲間であるということのようだ。

 

宇宙論入門第2章

素粒子と宇宙 インフレーションという鍵

(以下「 」内は、「宇宙論入門からの引用)

2−1 真空の総転移と力の分岐

「真空の総転移」と水の総転移

「総転移とは、水が氷になるように、同じ物質が温度などの変化によってまったく異なった状態になることをいう。」

「真空の総転移」とは「ワインバーグ・サラム理論の真空の総転移は、超伝導のアナロジーである。」らしい。超伝導と似た現象ということだ。

「力の分岐は、真空の「常伝導状態」と「超伝導状態」とで、力の到達距離が変わるために起こる。」として、金属の超伝導と常伝導の関係が述べられている。そして、これが真空にも起こるという。「私たちの現在の真空が、弱い力に対して「超伝導状態になっていると考えた」「弱い力を伝える粒子が大きな質量を持っている状態である。」この「質量は非常に重く、約100ギガ電子ボルトと予想される」

「真空の総転移が起こったのは、温度にして、1000兆度(エネルギーにして約100ギガ電子ボルト)宇宙誕生からわずか10_=11秒の時期である。ビッグバンモデルで論じられていた元素合成の時代よりはるか以前のことになる。」

考察2−1

 真空にも弱い力を伝える粒子があって、その粒子がどうにかなるというようである。粒子があると真空とはいえないと思うのだが、それはどうなのだろう。

 宇宙誕生直後にその粒子が真空の中に存在していて、1000兆度にもなっていたようである。それが、何らかの理由で総転移したというのだ。水が氷になったというのと比べているのだから、まあありふれた現象なのだろう。

 真空が「常伝導状態」と「超伝導状態」に変化するというのだから、真空にも普通の物質のように性質があるようだ。

 真空というのは何でもありの玉手箱のようだ。宇宙誕生に必要なものは何でも備わっているのだろう。そうでなければ宇宙は誕生できなかったのだろうが、都合がよすぎはしないだろうか。もちろん、この総転移が起こったということも想像だけで、何の証拠もないことである。

 1000兆度というのは大変な温度だ。これについて考えてみる。

 まず、このように温度を高めた仕組みが明示されていない。

 第2に、何の温度か明示されていない。

 第3に、このエネルギーはどこから供給されたのかも明示されていない。

 

 1gの水の温度を1度高めるには、1カロリーのエネルギーを加える必要がある。1tの水の温度を1度高めるには、その100万倍のエネルギーが必要である。100トンの水なら1億倍のエネルギーが要る

 だから1000兆度といっても、どれくらいの質量のものの温度か、それの元の温度は何度か(質量があるものならば)ということは加えられた総エネルギーを考えるときに重要なことである。そんなことはどうでもいいことのようだ。始まりは高温だったのは火の球だったのだから決まっている。とやかく言うことはないというのだろうか。

 物質のできる以前の真空が温度を持つことができるのだろうか。現在の温度は、原子の振動である。原子ができていない前の温度とはどのようなものだったのだろう。単に温度といっているが、今の物質の温度とはまるで違う仕組みであるはずなのだから、その仕組みを明示する必要がある。

 また、そのためにどのようなエネルギーがどこから涌いてきてどのような仕組みで温度になったのかを明示しなければならないはずだ。

結論2−1

 まず、高温であるということと、宇宙が生まれた、ということが大前提にある。だから物質がないのに超高温が存在したりする。温度とは何かを高校の教科書で勉強する必要がある。

 また。「宇宙誕生から」ということは、宇宙がどこかで誕生したということだ。宇宙が誕生する場所はその前にどのようなものであったのだろう。

 宇宙誕生以前は何があったのだろう。宇宙はどこで誕生したのだろう。誕生した宇宙の周りはどのようなものなのだろう。という、空間と、時間の無限の問題は解決されずに残る。

 

問題2−2

「量子論で考える真空は・・中略・・何もないところに電子と陽電子が対でポッと生まれてきて、それがまた合体して消える。そのような生成・消滅を繰り返している状態が真空である。」

考察2−2

 この、「電子と陽電子が」「生成・消滅を繰り返している」状態は観測されていないので、仮説である。

 「真空ではエネルギーが与えられないかぎり実際の電子・陽電子対を取り出すことができない」とあるように、理論の中では起こっても、自然界では起こっていないということだ。

 また、「量子論では、エネルギーの一番低い状態のことを真空と呼んでいるのである」から、顕微鏡で見てもわからないような小さな真空に、上にあるような1000兆度にまで温度を高めるエネルギーがあるのだろか。また、宇宙のすべてを生む膨大なエネルギーがあるのだろうか。そうは思われない。

 したがって、この反応によって、宇宙を生むには、それに見合う大きなエネルギーをほかから真空に加える必要があるということだ。砂粒ひとつ生むのだって、相対論によるとm=E/cなのだから、膨大なエネルギーが要るはずだ。宇宙の中では芥子粒にも満たない地球一つ作るのだって、天文学的なエネルギーを加えることが必要なはずだ。それが宇宙すべてを、作り出したのである。その上、ビッグバン宇宙論では謎の物質と、謎のエネルギーがはるかに多いというのだ。どれくらいのエネルギーが小さな真空に秘められていたことか。

 「エネルギーの一番低い状態」の真空自体がそのような大きなエネルギーを持っているとしたら矛盾している。

結論2−2

 まず小さな火の球ができた。その原因は、宇宙が膨張しているということから来ている。膨張しているから昔に返ったら1点に集まる。全宇宙の物質と、空間と、エネルギーが1点に集まると高圧になる。すると火の球になる、というのだ。これでは、始まりは宇宙に大量の星があるという今の宇宙が宇宙誕生の原因になってしまう。現在が原因で過去が結果になってしまう。因果関係が逆である。何もない所から、とつぜん高温の宇宙が生まれた仕組みの説明にはならない。

 だから、始まりは、突然、何の前触れも無く、どことも知れずあらわれた、得体のしれないエネルギーに依存していることになる。人間にはわからないことだから、それでいいんだと澄ましている。神の一撃という人さえいる。光あれ、と同じことだ。だから、キリスト教の人は喜ぶのだろう。

 膨張の理由はハッブル定数である。それは、銀河の赤方偏移から来ている。すなわち、銀河が遠くなるほど赤方偏移しているということ以外に、何の根拠も無いことなのだ。

 遠くなるほど光が赤方偏移しているからといって、それが、空間膨張のためであるという証拠はひとつもないのである。光は様々なところで赤化するのが観測されている。ところが空間膨張は何一つ直接観測されてはいないのである。観測されないということは、膨張がないという可能性がひじょうに高いということである。そして観測されないことは重要な事実であるのに平気でそれを無視しているのである。理論に都合の悪い事実は無視するという相対性理論家や、ビッグバン宇宙論者の特徴がここにも現れている。

問題2−3

宇宙の温度を考える

ア 「宇宙誕生からわずか10−11秒」「宇宙が膨張して1000兆度まで温度が下がったとき」(P59)

その前は

イ 「大統一理論の総転移は、宇宙がはじまって10-36秒というとき、温度でいえば、1028度という高温の時代に起こった」(P60)

ウ 「真空のエネルギーの驚くべき特徴は、宇宙の体積がどれだけ大きくなろうと、そのエネルギー密度は薄まることはなく、一定であることである。宇宙全体のエネルギーは「体積×真空のエネルギー密度」であるから、体積が急膨張することによって、宇宙全体のエネルギーが何十桁、何百桁と増える。」(P73)

考察2−3

 アとイから一瞬より短い時間で13桁ほど、温度が下がっている。すごいことだ。1の10倍は、10で、違いは9しかないが、1兆の10倍は10兆で、9999999999999の違いがある。大きくなればなるほどすごい差が出る。1000兆の13乗倍もの温度が一瞬より短い間に下がったのだという。その仕組みはどのようになっているのだろう。口で言うのは簡単である。文字で書くのも簡単である。たった1行ですむ。それでさえ、数秒はかかるだろう。それが、宇宙全体の温度が、目にもとまらぬ早業で下がったのである。信じがたい現象だ。言うは易し、行うは難し、ということわざを知らないのかな。まあ、言うのはただだから、というのもあるし。

 これは宇宙が膨張したためであるらしい。ということは、空気が膨張して、温度が下がる現象と類似している。

 空気の場合は、膨張により、空気の密度が減少するので、エネルギー密度が薄まることによって温度が下がる。元のエネルギーの総量は変わらない

 しかし、「真空のエネルギーの驚くべき特徴は、宇宙の体積がどれだけ大きくなろうと、そのエネルギー密度は薄まることはなく、一定である」とあることから、膨張によって空気の温度が下がる仕組みと違う仕組みで温度が下がるようだ。このあたりの仕組みは説明がないので不明である。

 ただ、「そのエネルギー密度は薄まることはなく」というのだから、温度は変わらないのではないのだろうか。通常の物質ならエネルギー密度が変わらなければ温度は変わらない。真空の温度だから、まるで違う仕組みなのだろうか。

 また、ウから考えるても、真空が膨張すると、エネルギーも「何十桁、何百桁と増える。」のだから、温度は下がらないはずだ。どちらかというと、エネルギーの供給があるから温度は上がってもよさそうである。

結論2−3

 このあたりは大きな矛盾があると思われる。59ページと、73ページという、書かれてある場所の違いと、「力の大統一と陽子崩壊」と、「宇宙の「指数関数的」急膨張」ということで、説明する対象が違うから、それに合わせた条件だからそうなったのだろうか。

 力の大統一と陽子崩壊の観測は今のところ失敗しているということだから、温度のほうも怪しいのかもしれない。

 どちらにしろ、この、温度や温度の変化は、原因も、裏づけも書かれていないし、想像にしか過ぎないから、本当にあったかどうかは怪しいものだ。 

 

問題2−4

「まず総転移が遅れる効果により宇宙は過冷却を起こす。しかし、総転移が起こらないため真空のエネルギーは高いままである。真空が総転移を起こす前の宇宙の状態は、現在の真空よりエネルギーが高い。このエネルギーの差を「真空のエネルギー」と呼ぶ。

考察2−4

ア 総転移があったということは仮説である。あるいは思い付きである。

イ 総転移がなぜ遅れたのか理由や原理は書かれていないので、考えようがない。そうなったのだからそうなったのだというのだろうか。

ウ 「宇宙は過冷却を起こす。」

 何の温度が下がるのだろう。先ほども書いたように物質がないのに、温度があるというのは、どういうことなのだろう。真空が過冷却を起こす仕組みはどのようなものなのだろう。

エ @「真空のエネルギーは高いままである。」A「このエネルギーの差を真空のエネルギーという。」

  真空のエネルギーの定義が二つある。@は真空にはエネルギーが備わっているという考え方だ。Aは、ふたつを比べた差だけが真空のエネルギーであるという定義だ。かなり適当である。真空にエネルギーがあるということがはっきり証明できていないから、適当になるのだろう。真空は何にもないはずなのに、エネルギーだけはちゃんとあるのである。エネルギーがあるなら、ほかのものもあっていいようなものだが、それでは真空ではなくなるから、肉眼では見えないエネルギーだけあることにしているのだろうか。エネルギーくらいなら、物質ではないから真空といえそうだというわけなのだろうか。人間は見えなければ空っぽだという印象を持っている。空っぽは真空であるからそのあたりでお茶を濁しているのだろうか。

 

結論2−4

 真空にもいろんな種類があるということなのだろう。液体の真空と、固体の真空と、何度も総転移したということだから、気体の真空もあるのかもしれない。これは次でも、関連して。

 

3 宇宙の「指数関数的」急膨張

問題3−1

「真空のエネルギーは、宇宙項と同じように、空間を押し広げる斥力の働きをする」

考察3−1

(1)力の分類

 空間を押し広げる真空のエネルギーとはどのようなものなのだろう。今まで知られている、この本でも解説されている4つの力(強い力、弱い力、電磁力、引力)ではない力のようだ。

 あっさり一言で片付けられることではない。4つの力以外の、第5の力の存在をいっているのだから、その性質や、その、押し広げる仕組みなどをもっと解説し、証拠を提出しなければならない問題である。この世界は5つの基本的力でできているのだという新説を説明する必要がある。しかも、「宇宙項と同じように」とあることから、宇宙項の力とは違うようだ。すると、宇宙項を第5の力としたら、この力は第6の力になるのかもしれない。

(2)実際と比べる

 現在も宇宙空間は膨張しているというのがビッグバン宇宙論では定説である。すると、地球の占める空間も膨張しているはずである。すると、私たちの周りでもこの真空のエネルギーが作用しているはずである。ところがそれが何一つ検出されていない。太陽系の惑星や、彗星などの軌道にはこの斥力は影響していないのである。

結論3−1

 以上から、この真空のエネルギーは、数式の中にはあっても、地球上や、太陽系には存在していないと思われる。そして、大昔の出来事で観測できない現象の中には現れている。すなわち、観測出来ないことの中には現れて、観測が正確にできるところには存在しないという、いつもの、相対性理論や、ビッグバン宇宙論の特徴がここにも表れている。

問題3−2

 「宇宙が素粒子のような小さな大きさから始まったとしよう。」

考察3−2

先に書いたように、

どこで始まったのか。

それ以前はどうなっていたのか。

その素粒子のような宇宙の外はどうなっているのか。

なぜ始まったのか。

などの問題はここでは書かれていない。

 宇宙が素粒子のようなものから始まったとしたら、いつのころから、宇宙の全物質がその中にできたのか、素粒子の大きさのときに、もうすでに全宇宙の物質やエネルギーはすべて入っていたのか。それとも途中から増えていったのか。この膨大なエネルギーと物質はいつどこから生まれたのか、巨大な質量の全宇宙の物質を押し広げる斥力であるエネルギーはどこから生まれたのか、すべて不明である。言葉で言うのは簡単であるが、そのように巨大な質量とエネルギーを素粒子のような小さなものの中にいれることは可能なのだろうか。現在の物質やエネルギーからは不可能でしかない。まるで違う物理原理で成立しているのだろうか。

結論3−2

 「〜としよう。」というのは仮説なのだろうか、思いつきなのだろうか。「〜としよう。」で始まるものはどこまでいっても、仮説か、思いつきかお話かである。

 「魔法が本当にあるとしよう」でたくさんのお話ができている。世界中で読まれているお話もたくさんある。人は魔法が好きなのだ。魔法使いなら、ひょいと、宇宙を作ることができるのである。しかし、それはお話から一歩も出ることができない。「〜としよう。」で始めれば、どんな奇想天外なことも可能なのだ。この話は奇想天外なおとぎ話の親戚である。

問題3−3

「宇宙が最初この大きさだったとして、倍々ゲームを100回繰り返すと、この宇宙は太陽系を超え、140回繰り返すと、現在見えている宇宙の大きさを越えてしまう。」

考察3−3

 これはいくつかの問題を抱えている。

第1の問題

 この宇宙が膨張していくにはその外に広がる場所がなくてはならない。そこは、何にもない場所、すなわち真空の空間が広がっているのだろうか。それとも何かがびっしり詰まっているものがあるのだろうか。どちらにしろ、この宇宙の外側があるはずである。

 その部分と衝突するこの宇宙の膨張の最前線はどうなっているのだろう。

 そちらの部分は圧縮されているはずだが、それはどうなっているのだろう。

 このあたりのことは何も書かれていない。

第2の問題 

倍々ゲームについて。

 ビー球を倍の大きさにするのはそんなに難しいことではないかも知れない。(大きくなっちゃった)、といって耳を倍にする手品師がいた。

 では地球を一瞬で倍の大きさにしてみよう。これはかなり困難そうである。手品師ではとても無理だ。魔法使いの出番だ。魔法使いでも難しそうだ。太陽を倍にしてみよう。一瞬で太陽が2個になるのだ。銀河系を倍にしてみよう。1000億の星が、一瞬で2000億になるのだ。1000億個の星が増える。そのエネルギーたるや並のものではない。半径五万光年だから、一瞬で五万光年増えるのだ。光速の、15768×10倍の速度以上で物質が移動する。魔法なら、あなたを、一瞬で、ニューヨークに移動させることができる。しかし、銀河を一瞬で倍にするのは生易しいことではない。魔法でさえ無理そうだ。そろそろ神様の出番のようだ。

 宇宙はどうだろう。半径50億光年の宇宙が一瞬で100億光年の宇宙になるのだ。50億光年を一瞬で膨張させるのだ。

 中心あたりでは小さな膨張率でも、端のほうになると光速の15768×1012倍以上の速度になる。kmではない、光速の、である。その加速度はものすごいものだろう。

 小さいものなら簡単である。しかし大きくなるとそうはいかない、さまざまな問題が生じてくる。

 一休のとんちで、褒美に、米一粒から倍々ゲームで、米をもらっていく話がある。1ヵ月後に払いきれなくなって殿様が謝る話だ。

 ことは、大きくなると払いきれなくなる。最初はゆっくり膨張しても、地球が倍になるときくらいからは、ものすごい加速度になる、あっというまに銀河系の大きさになり、あっという間に宇宙の大きさになるだろう。しかしそこまで膨張を加速するにはどれくらいのエネルギーがいることか。それも、全宇宙の物質の加速である。このエネルギーはどこから供給されているのか。真空のエネルギーというが、真空にそんなにエネルギーがあるわけがない。「真空とはエネルギーの一番低い状態」であるのだから。

結論3−3

 これも紙に書くなら、数行で事足りる。使うエネルギーはほんの少しだ。キャラメル半個もいらないだろう。しかし、現実に摘要すると、そうはいかない。実際に宇宙のすべての物質を引き連れて倍々ゲームで膨張させるには天文学的数でもはるかに足りないエネルギーがいるのだ。

 言うは易し、行うは難しである。

 実際にこんなことが起こるわけがない。これもたんに面白い思い付きにしか過ぎない。おとぎ話のたぐいだ。

 

問題3−3

「真空のエネルギーの驚くべき特徴は、宇宙の体積がどれだけ大きくなろうと、そのエネルギー密度は薄まることなく、常に一定である。」

 考察3−3

 これは普通の膨張とは違うようだ。

 空気の膨張と比べてみよう。空気が膨張するときは、全体のエネルギーは変わらないから、空気のエネルギー密度が減るのは前に書いたとおりだ。

 ところが、空間の場合は減らないという。これは膨張ではなく、元々あった空間に、空間の範囲の境界線だけを広げたときと同じ現象だ。新たに取り込んだ空間のエネルギーがそのまま増えるというのと同じである。

 空間が膨張するといっているのに、エネルギーだけは境界線だけが、新たな空間を取り込みながら範囲を広げるのとまったく同じ現象になっている。現在の地球や太陽系の範囲にはこのような膨張の仕方は存在していない。まあ、どのような膨張も、膨張そのものが観測されてはいないのだけど。

結論3−3

 実際にそうなっているのかどうか、観測で実証しなければならないのだろうが、これも、地球や太陽系では空間膨張が観測されていないので、膨張前と、後で真空のエネルギーが薄まっていないという実際の確認はできそうにない。実験するといっても、空間を膨張させることは今のところ人間にはできないから無理だし。

 否定もできないが、証明もできないから、ここしばらくは、仮説か、思い付きの域を出そうにない。つごうのいい話だなあ、くらいですませていてもいいだろう。

問題3−4

「真空のエネルギーの存在する真空そのものは、あたかもゴムのように、引き伸ばされると、もとの状態に戻ろうとする負の圧力を持つ。真空というゴムを引き伸ばし、そのエネルギーを増大させたのは宇宙の膨張であり、このエネルギーは宇宙の膨張から来ている。つまり真空のエネルギーは、アインシュタイン方程式を通じて急激な宇宙膨張を起こし、それによって自らの全エネルギーを増大させる。この機構によって、単に小さな宇宙の空間的大きさを大きくするというだけではなく、宇宙内部にエネルギーをつくりだしている」

考察3−4

 第1段階は、

 真空のエネルギーは、真空をゴムのように引き伸ばす。すると、ゴムのように引き伸ばされた真空は元の状態に戻ろうとする負の圧力を持つ、ということだ。

 真空はゴムみたいに何らかのものであるようだ。どれくらいの粘り気があるのだろう。延ばし続けると、ゴムのように千切れるのだろうか。

 熱を加えると、溶けるのだろうか。凍らせると弾性は減るのだろうか。

 真空がゴムのようだとはステキなお話である。どのような観測からこのような真空の性質が特定されたのだろう。これは何の証明もない、たんなる思い付きにしか過ぎないようだ。

第2段階は、

 宇宙は膨張すると、エネルギーが増えるという。ところで、宇宙を膨張させるエネルギーはどこから来たのだろう。涌いて出ている。エネルギー不変の法則とは相容れない。ビッグバン論の真空は、ドラエモンのポケットのように、思ったら好きなものが無尽蔵に出てくるから、とてもありがたいものであるようだが、そんなことでいいのだろうか。

 第3段階

 「それによって自らの全エネルギーを増大させる。」

 エネルギー不変の法則とは相容れない現象のようである。第5の力らしいたくましさだ。

 ゴムの場合だと、縮もうとする負の力は、引き伸ばしたときの力と等しくなる。ゴムを伸ばすときは引っ張る力がゴムに移動し、縮む力になる。引っ張る力が縮む力に移動しただけで、エネルギーは増えたりはしない。エネルギー普遍の法則である。

 なぜ真空の膨張は「この機構」によってエネルギーを増大させることができるのだろうか。

 先ほどのところでは「この機構」ではなく、空間が膨張すると、膨張した真空の体積分が新たな真空になりその分真空の持つエネルギーが増えるという話だった。

結論3−4

 真空がゴムのように弾性があり、自由に伸び縮みするとは知らなかった。新説?珍説?

 どうも、ニュートンのエネルギー不変の法則は機能しないようだ。エネルギー不変の法則には抵触しないと言っているが、かってにエネルギーがいろんなところから涌いてきているのはたしかだ。普通の物質や、4つの基本的力ではこうはいかない。

問題3−5

「宇宙全体の真空のエネルギーは「体積×真空のエネルギー密度」であるから、」

考察3−5

この式は大丈夫なのだろうか。

「真空のエネルギー密度」は、真空が膨張したときそれにともなって減少しないだろうか。普通の物体が膨張すると、体積が増えても総エネルギーが変わらないので、エネルギー密度が減少し、温度が下がる現象になって現れる。膨張してもエネルギー密度が薄まらないのが真空のエネルギーの驚くべき特徴である、とあるとおり、驚くべき特徴である。しかしそれは本当だろうか。驚くべき特徴なのだから、ちゃんとした根拠と証拠を明示しなくてはならない。それは書かれていない。紙面の都合か、入門ということで、対象読者の能力に合わせてということなのだろうか。

 

4 急膨張がビッグバンを引き起こす

問題4−1

 エネルギー保存との関係

「重力ポテンシャルの中で物体が落下する」ときと同じである。

「宇宙が急膨張するときは、宇宙を記述する方程式の中で重力ポテンシャルに対応する項が急減少し、エネルギー保存則が成り立っているのである。」

考察4−1

 「方程式の中で重力ポテンシャルに対応する項が急減少し」とある。また、前項では「宇宙全体の真空のエネルギーは「体積×真空のエネルギー密度」であるから、体積が急膨張することによって、宇宙全体のエネルギーが何十桁、何百桁と増える。」とあった。この増えるエネルギーに対応して、減るエネルギーが重力ポテンシャルに対応する項なのだろうか。

 この仕組みは、真空のエネルギーが増え、そのエネルギーが、空間を膨張させ、空間が膨張することで、真空のエネルギーが増え、と、自己増殖している。エネルギーはかってに増えている。そのエネルギーが、重力ポテンシャルが急減少することによるというのだろうか。

 普通の物質の場合、引力があるので、離れるにしたがって、重力ポテンシャルは増える。石を投げ上げると、運動エネルギーが減少し、それに等しい重力ポテンシャルが増えるのが簡単な例だ。星は温度が上がると、膨張する。すると、星の物質は重力ポテンシャルが増える。星の温度が下がる。温度が下がると、星は収縮する。すると重力ポテンシャルが減少し、そのエネルギーが熱エネルギーになり、星の温度が上がる。核融合の熱がない限り、このエネルギーの総量は同じだ。

 真空の場合は、膨張すると重力ポテンシャルに対応する項が急減少し、「宇宙全体のエネルギーが何十桁、何百桁と増える。」ようだ。星の膨張とは正反対の現象が起こっているように思える。離れるのに、位置エネルギーが減り、膨張するのに、エネルギーが減らずに増えていく。不思議な現象だ。真空は物質ではないから、質量がないので、重力ポテンシャルそのものは存在しないからなのだろうか。「重力ポテンシャルに対応する項」はどういうものなのだろう。真空がどういう仕組みで、重力ポテンシャルに対応する項を持つのだろう。それは、どうして、普通の重力ポテンシャルと正反対の現象になるのだろう。 

結論4−1

 真空は不思議なもので、何でもありのようだから、普通の世界のエネルギーの受け渡しとは正反対になってもありかもしれないけど、どうも解せない。

 真空は便利なものだ。

問題4−2

 「急膨張がどの程度続いて総転移が終わるのかは、残念ながら理論的には予言できない。総転移がいつ起こるかは、大統一理論の総転移の詳細によって決まるが、現在のところ、膨張が100桁だったのか1000桁だったのかを決めることはできない。」

考察4−2

 急膨張の終わり。

 これについては様々な意見があり。直径10センチで終わる意見から、今観測される宇宙のはるか先まで急膨張する意見とか。もっとはるかに膨張し、その後もう一度中心に、ビッグバン宇宙ができて広がるとか、さまざまである。直径10cmと直径が数百億光年との違いが出る理論である。精密機械はナノの差を問題にしている時代にである。その時代にこの差が出る理論である。何をかいわんやである。

 また、始まりの時期について「総転移がいつ起こるかは、大統一理論の総転移の詳細によって決まる」というが、大統一理論はまだ完成されていない。完成のめどさえ立っていない。統一できることなのかどうかも分からないのである。まあ、それで総転移がいつ起こるかを知ることができないのはとても好都合であるようだ。そんなものはないのだから。

結論4−2

 急膨張については、始まりも、終わりも、規模も、何一つ決められないということのようだ。それを裏付ける大統一理論も完成のめどは立っていないというし。まだまだお話の段階で、科学になるのは遠い先のようだ。それまでビッグバン宇宙論が生き残っていたら、であるが。

 

5 宇宙空間で背景放射を測る

問題5−1

 天文衛星COBEによる観測で、「宇宙背景放射が理論の予言どおり完全なブランク分布であることを明らかにした。その温度は二.七三度(絶対温度)であった。ビッグバンの火の球以外にこのようなブランク分布を示す現象は考えることはできず、ビッグバンモデルはさらに強力な観測的証拠を得た。」

 これについて、第三章の口絵で、天文衛星COBEと、次の衛星WAMPの映した宇宙背景放射の全天マップが掲げられている。

考察5−1

(1)ビッグバン宇宙理論と事実の整合性

 「理論の予言どおり、二.七三度であった。」とあるが、背景放射が実際に観測されるまでは、もっとはるかに高い温度を予言していた。20度とか70度とかである。ビッグバン論者で「二.七三度」を予言していた人はひとりもいない。背景放射が観測されてから、理論的予言も大慌てでその温度にあわせたのである。理論を現実にあわせて変えたのだから合うのが当然だ。まあ、説明できないから無視しているのとは違って、事実に合わせて理論化するのは科学だから悪いことではない。しかし「理論の予言どおり」というのはちょっと手前味噌すぎるような気がしないでもない。「理論の予言どおり」というなら、ほかにぴったりと予言した理論がある。

(2)背景放射の他の理由と事実の整合性

 「ビッグバンの火の球以外にこのようなブランク分布を示す現象は考えることはできず、」とあるが、そうだろうか。違う意見の人もいるのだ。

 宇宙の塵が出す光が観測できたら、3度ほどのマイクロ波として観測されるだろうという理論がビッグバン宇宙理論の出るずっと以前からあった。背景放射が発見される前から、3度前後の温度を、しかも、何人かの人が、違う観点から予言していた。こちらは理論の予言温度がほぼぴったりと発見に先行している。大慌てであとから合わせたビッグバン宇宙理論とは違う。

 「ビッグバンの火の球以外にこのようなブランク分布を示す現象は考えることはできず」というのは、ビッグバン宇宙論者の手前味噌である。彼らも、もちろん、背景放射が塵によるという説の存在を知らないわけではないだろう。その説を名指しして否定すると、その説を否定する根拠を示さなければならないから、ほかの説はないんだよとでもいうように、婉曲に否定している。うまいやり方だ。

 宇宙には全天に塵があるのは観測されている。そして、それがマイクロ波を出しているのは、ほぼ確実だ。すると、これを否定することは難しい。火の球説が観測されていないことに比べると、はるかに本当ポイ。正面で戦えば負けになる。そこで、塵説を無視していると思われる。

(3)第3章の口絵の天文衛星COBEと、WAMPの映した宇宙背景放射の全天マップが、宇宙開闢の火の球ではない理由

 この写真には137億年前の宇宙のゆらぎ(もやもや)が写っているというのだ。このもやもやが、やがて、銀河になり、星になり、銀河団になったという。

 すると、そのもやもやの一部には、天の川銀河になるもやもやもあるはずだ。天の川銀河の赤ん坊時代の姿である。したがって、その中には地球の赤ん坊の姿(まだ水素と、ヘリウムになったばかりのはずだが)も映っているはずである。

 そんなことが可能だろうか。今、どのようなカメラを使っても、私が、私の赤ん坊の姿を撮ることはできない。62年前(私は62歳)地球があった場所にカメラを向けても、私の赤ん坊だった姿は映せない。そこには何もない。過去なのだから。

 同じように、どんなにすばらしい人工衛星でも、地球の過去は映せない。もちろん天の川銀河の赤ん坊の姿も。COBEも、WAMPも、タイムマシーンではないのだから、地球の過去も、銀河系の過去も写すことはできない。

結論5−1

 宇宙背景放射を、宇宙の塵の出す光と考えると、すべては、既存の証明された物理理論で過不足なく説明がつく。

 しかし、宇宙誕生30万年目の宇宙の晴れ上がりの光としたら、新たな、時間の物理理論を構築し、その実際の証拠を提出しなければならない。62歳の私が、自分の赤ん坊のときの姿を写真に撮るのと同じように、137億歳の地球(地球はビッグバンとともに生まれていたはずだ。形は水素原子であったとしても。私が卵子や精子であったように)が、137億年前、30万歳の地球の姿を撮るという難問である。丸まって1年目の、まだどろどろだった地球はこの宇宙のどこを探してももうないように、30万歳の宇宙は、もうこの宇宙のどこを探してもないはずなのだから。少なくとも今の科学技術ではそれはできない。いかに、COBEや、WAMPが現代科学の粋をつくしているといっても

 したがって、宇宙背景放射は、宇宙の塵が出す光であるとしたほうが妥当である。

6 次々と生まれる宇宙

宇宙はいっぱい次々ときのこのように生まれるという考え方だ。

問題6−1

宇宙が真空から生まれ次々にきのこのように分枝していくとする。

考察6−1

 真空はどこにでもある。すると、ある日、アンドロメダ銀河のとなりに、一瞬で巨大な宇宙が出現することもあるはずだ。あるいは、太陽のとなりにとつぜん宇宙が出現したり、地球のすぐ横に巨大な宇宙が出現し、次々に枝分かれしていくこともありだ。

 あなたの隣にはどうだろう。真空じゃないからできない。

 そんなことはない。この本には、ひじょうに小さな、素粒子ほどの真空がありさえすれば宇宙は十分でき始めると書いてあった。だから、原子と原子の間の真空とか、原子の中の真空とかからも、宇宙は発生できそうだ。いろんな力が働いているからだめだといわれそうである。しかし、宇宙を作る真空のエネルギーは、銀河1000億個の物質やその数十倍の暗黒エネルギーや暗黒物質を一瞬で造るのだから、地球ごときの力は屁とも思わないはずだ。

 あなたのおなかの中でとつぜん宇宙が誕生したらどうしますか。一瞬より、短い間で、あなたは粉々になり宇宙のかなたに飛ばされるから、考える間もないでしょうから、何が起こったかわからないでしょうから、心配無用ですけど。

結論6−1

 いろいろ考えるのは楽しいものです。しかしそれがすべて科学とはいえません。これはサイエンスフィクションの分野、あるいは、魔法の国の物語でしょう。

 まあ、無いということも証明できないことだから、論じても仕方がないことですが。

 この後、いくつかの宇宙のでき方が紹介してあるが、どれも、思い付きの段階である。実際の現象で裏づけできたとき初めて科学になるだろう。

 

 

 

宇宙論入門第3章

 見えてきた宇宙の歴史

 

1 宇宙の見えない主役―暗黒物質

1−1謎の重力源

 宇宙には謎の重力源があるという考え方だ。

問題1−1

 「銀河の周りに円盤状に回っている星しかないとすると、銀河の外側では急激に回転速度は遅くなるはずである。しかし観測された回転の速度は外に向かってあまり遅くならない」このことから、「光を出さないが、重力の源になる「何か」が、銀河の全体に大量に分布している」

考察1−1 銀河の周りには「円盤状に回っている星しかない」のか?

 銀河には星以外にも大量の星間分子が存在しているのが観測されている。その量が低く見積もられているのではないだろうか。「銀河の周りに円盤状に回っている星しかないとすると」というくらいに、ガスは無視されすぎているきらいがあるようだ。ところが、可視光以外の、電波や、赤外線などで見た銀河の写真を見ると、ガスの多さが際立っている。星はその中に埋没している。

 そのガスは薄まりながら、銀河の外側に広がっている。それは星のなくなるところを超え、さらに、観測の限界値を超えた外にまで広がっていると推測されている。そして 銀河系のガスはおそらく遠くアンドロメダ銀河のガスとつながっているだろうとさえいわれている。

「銀河の周りに円盤状に回っている星しかないとすると、」という条件設定は、事実を無視した設定であることが分かる。星よりも大量のガスがある可能性があるのである。

結論1−1

 いつものとおり、証明につごうのいい条件だけを設定しているようだ。

「〜とすると」という魔法だ。

考察1−2

 球状の銀河のハローにガスが広がっている観測事実からすると、外に行くにつれガスの密度が薄まっても、体積は距離の3乗倍で増えるから、質量としては急激に少なくはならないと思われる。すると銀河の回転が外側で急に遅くならないのは不思議なことではなくなる。

 このことの観測事実として、数百の銀河を含む、銀河団が、]線をはなって輝く電離した高温のガスに大きく包まれ、満たされているのが観測されている。このことから、銀河と銀河の間にも、ガスが満ちていることがわかる。もちろん局部銀河群を作っている銀河系とアンドロメダ銀河の間もガスに満たされていると考えられる。

 低温の中性水素は、地球上の中性水素の光にまぎれて、薄くなると観測できなくなる。星が、昼間太陽の光にまぎれて見えなくなるのと同じ現象だ。それが銀河のハローや、星がなくなった外側にも満ちているはずだ。おそらく、それが「見落とされた質量」の実態であろう。

 また、前述したように、宇宙背景放射は、宇宙の塵の出す光であるという説もある。もしそうなら、これも、見落とされた質量がふつうの物質であることの証拠のひとつである。

結論1−2

 見落とされた質量、あるいは暗黒物質は、中性水素を主原料とする、宇宙に満ちているガスであるといえる。普通の物質で十分説明できる。

 これは、観測技術の問題であるようだがそうではない。ビッグバン宇宙論者は、ほかの理由から、宇宙にはどうしても謎の暗黒物質がいると考えている。だから、銀河の回転の問題を、謎の暗黒物質にしたいのだ。普通の物質では困るのだ。

1−2 暗黒物質は「弱くて重い」粒子か?

問題1−3暗黒物質の候補

(ビッグバン宇宙論者は暗黒物質を謎の物質にしたくてうずうずしているようだ。そうでなければ、ビッグバン宇宙が成り立たないらしい)

「暗黒物質の現在の最有力候補は、超対象性理論が予言している「ニュートラリーノ」と呼ばれる、通常の物質とは非常に弱くしか相互作用しない、重い粒子である。」

考察1−2

 暗黒物質の性質は下記のようであるという。

@「銀河の全体に大量に分布している」

A「暗黒物質が可視光や電波で見える普通の物質の10倍程度存在する」

B「銀河など光で見える物質は、この暗黒物質の重力によって集まっている」

 そこで、この3つの条件から暗黒物質を考えて見る。

(1) ニュートラリーノは観測はできたか

 銀河系も普通の銀河であるので、暗黒物質が普通の物質を引き寄せたためにできたと考えられるので、銀河系にも大量の暗黒物質があるはずである。

 その銀河系の普通の恒星である太陽も、やはり暗黒物質が普通の物質を引き寄せたためにできたと考えられる。すると、太陽系にも暗黒物質が大量にあるはずである。

「ビッグバン以来ニュートラリーノが宇宙を飛び交い、いまでも地球にも大量に降り注いでいて、暗黒物質になっている可能性はあるのである。」とこの本でもいっている。

 暗黒物質の量は普通の物質の10倍程度あることになっている。すると、太陽系には、大雑把に見積もっても、暗黒物質が、太陽であと10個分、惑星で、あと10セット分合わせたくらいあるということになる。

 「通常の物質とは非常に弱くしか相互作用しない」から観測されないといっているが、そうだろうか。ニュートラリーノは、見えなくても、重力を持っているから、重力の作用は検出されるはずだ。すなわち、太陽10個分の重力と惑星10セット分の重力が太陽系の中に存在しているはずである。

 ところがこの重力は観測されていない。惑星の公転は、今見える普通の物質の引力だけで説明できることから、未知の重力源は太陽系にないことが分かる。すなわち、太陽系には未知の暗黒物質はないのである。あっても非常に少ないことが分かる。まして、太陽十個分の重力など論外である。

 見えないから分からないだけで、本当は大量にあるというのは子供だましの理屈である。

 

(2) 10倍なくてはならないものが、太陽系ではなぜ消えてしまったのか。推測してみよう。

ア 暗黒物質が普通の物質でできた星間ガスであるとした場合

恒星(太陽)ができる過程を考える。

 恒星は分子雲(星間ガスが濃く集まったもの)が収縮してできる。その中で、新しい星は数十とか数百もいっせいに生まれるそうだ。星ができると、その星からでる紫外線によって、残っているまだ星になれない分子雲の大半が吹き飛ばされるという。吹き飛ばされる分子雲のほうが、星になった分子雲よりはるかに多いという。新しい恒星の周りには分子雲が無くなる。そして恒星はばらばらに離れていくという。太陽系も、元は集団で生まれたのだが、そこから現在の位置に、移動してきたらしい。

 このことから、太陽ができるとき集まっていた大量の星間ガスは、太陽の紫外線で吹き飛ばされて無くなってしまう。太陽系に、普通の物質でできた暗黒物質(分子雲)が太陽の10倍ない理由が説明できる。

イ 暗黒物質が、ニュートラリーノであるとした場合

 ニュートラリーノが周りの星間物質を引き寄せて分子雲ができて恒星ができるとする。集めるのだから、ニュートラリーノも集まっていたはずだ。ニュートラリーノが均一に宇宙空間に散らばっていたら、重力も均一になり星間ガスを集めることができないことになる。だから、ニュートラリーノがかなりの量集まっていたはずだ。

 ニュートラリーノに引き寄せられて集まってきた星間ガスは、分子雲をつくり、恒星をつくる。できた恒星は、紫外線を出し分子雲の残りを吹き飛ばす。ところが、ニュートラリーノは普通の物質や、光と相互作用をほとんどしないという性質があるという。したがって、出来た恒星からの紫外線と相互作用をしないか、ほとんどしないために、吹き飛ばされることはなく、いつまでも恒星の周りに残っていることになる。すると普通の物質の10倍の暗黒物質がそっくり残ることになる。ところが見てきたように太陽系には重力源は残っていない。

 これは、太陽ができたところから移動してきたために、ニュートラリーノはなくなったとも考えられる。しかし、ニュートラリーノが大量に残っていたら、その重力で、できた恒星は引き付けられて、ばらばらに移動することができなくなるのではないだろうか。多数の恒星をつくるほどの星間ガスを引き寄せた重力を持っているのだから。

 それでも恒星だけでばらばらになっていったとする。

 ニュートラリーノは、普通の物質を引き寄せて恒星を作ったのだから、恒星の内部にも大量になくてはならない。太陽が移動しても太陽内部のニュートラリーノは重力で結びついているから、そのまま太陽とともに移動してくるはずだ。すると今の太陽の内部にも大量のニュートラリーノがなくてはならないはずだ。それも、普通の物質の10倍ほどがなくてはならない。すると、太陽は今の11倍の質量がなくてはならなくなる。それでは惑星の運行が観測値より大きくずれてしまう。そうでないということは太陽の中にはニュートラリーノがないということである。

 恒星ができたとき10倍もあったニュートラリーノが星の内部から姿をうまく消す方法の説明がいる。

 

 あるいは、ニュートラリーノは重力を持っているのだから、それ自身で収縮してニュートラリーノだけで星を造る可能性がある。太陽系にニュートラリーノだけでできた10個の太陽ができる勘定に成る。この星はできても見えないが、重力源としては存在が観測されるはずだ。ところがこのような重力源は太陽系には観測されていない。ニュートラリーノでできた星は存在しないということがわかる。

 また地球の内部にもニュートラリーノがなくてはならなくなる。ところが、地球の引力にはそれは存在しない。ニュートラリーノが地球にも降り注いでいるというのは、希望的思い込みで、事実とは一致しないといえる。

結論1−2

 以上のことから、暗黒物質を普通の物質とすると、太陽系に暗黒物質がない原因がうまく説明できるが、ニュートラリーノとすると、大きな矛盾が生じる。

 このことから暗黒物質は普通の物質であるといえる。

 太陽は直径130万kmである。太陽から一番近い星は、4光年離れている。直系4光年の膨大な空間に星は太陽だけである。その中に太陽の占める部分は針で突いたほどもない。空間の体積は膨大なのである。星間分子がいかに薄くとも、その質量はかなりのものがあるだろう。

 暗黒物質は、膨大な宇宙空間にある中性水素や、電離水素などが中心となった普通の物質であるといえる。地球の水素のだす光に隠れて見えないだけだ。

 

1−3インフレーションから銀河へ

問題1−3

 「2007年、国際プロジェクトCOSMOSは重力レンズ効果を使って、宇宙の大構造が暗黒物質で形成されている証拠ともいうべき、暗黒物質の三次元地図を描き出した。」

考察1−3

 暗黒物質の3次元地図が載っている。奥行き80億光年だという。今見えている宇宙のほぼ6割である。

 とすると、宇宙全体が暗黒物質で満たされているということだろう。

 ところで、この暗黒物質なるものの図を小さくすると、銀河の中にある、分子雲とそっくりの形状になる。

 暗黒物質は、今のところ、何なのか、どのような性質がある物なのかがわかっていない。それが未知の物質とすると、普通の物質の10倍も存在しているというのに、上に書いたように、地球や、太陽系にはほぼ確実に存在しないという不可思議な物質である。

 そこで、この図に描かれている、暗黒物質なるものが、中性水素を中心とした、ガスとしたらどうだろう。

(1)中性水素を中心としたガスとした場合  

@ 地球上にも太陽系にも存在するし、銀河系にも、銀河間にも普通に存在するのが観測されている。

A 形状も分子雲とそっくりであるから、観測された暗黒物質の形状になりえる。

B そのまま収縮して銀河や星になると、普通の銀河や星になる。

C これが非常に薄い水素ガスだったら、地球上空の水素ガスの光にまぎれて、直接見ることはできない。

 

 ここまでは、その暗黒物質が水素を中心としたガスでもありえることである。

  問題は、観測した科学者が述べている重力レンズ効果である。

D これが通常のガスであるなら、屈折現象が起こる。すると光が曲がるので、同じような地図が描ける。

 

(2)未知の物質でできた暗黒物質とした場合

@ もしこれが未知の暗黒物質なら、これが収縮すると、未知の暗黒物質を中心にしてできた銀河や星ができることになる。今ある銀河の10倍の暗黒物質でできた銀河があることになる。今のところ、太陽系内や、銀河系内に未知の物質でできた星は観測されていないので、未知の物質でできた星は存在しないと推測できる。また、未知の物質でできた銀河も観測されていないので、未知の物質でできた銀河も存在しないといえる。

  通常の物質の10倍あるのであれば、通常の星の10倍の星と10倍の銀河ができてもいいはずなのに、それがまるでないのはおかしい。

 もちろん見えないから観測されないというのは、先に書いたように間違っている。重力源として観測されるはずだ。

A 述べているように、銀河の周りに存在するとする。すると、暗黒物質の重力によって通常の物質が引き寄せられ銀河ができるということに矛盾が生じる。銀河の周りに暗黒物質が集中していると、通常の物質はそこに引き付けられて、ドーナツ型の銀河ができることになる。楕円銀河にしろ、渦巻銀河にしろ、中心に行くほど、密度が高くなっている。この観測事実に反する。

B 暗黒物質も、中心に行くほど密度が高くなっていくとする。すると、銀河の中心で濃く、周りでは薄くなり、やはり銀河の回転が、外側で遅くなるはずである。銀河の回転を暗黒物質で説明できなくなる。

C 未知の物質は、重力だけしかなく、光は出さないということだった。すると、この物質は集まることが非常に困難になる。

  通常の物質は、集まると、互いにぶつかり、跳ね返る。このとき、位置エネルギーが熱エネルギーになり、その熱エネルギーが電磁波になって放射されて失われる。したがって物質の持っていた位置エネルギーが減少し、元の位置まで跳ね返ることができなくなり、互いに近づくことができる。これは、ボールを落とすとバウンドしながらやがて地面に停止するのと同じような原理である。これは星ができる現場などで観測されてもいる。

  ニュートラリーノは電磁波を出さない。しかし、重力はあるのだから、重力による位置エネルギーは持っていると思われる。すると、集まって衝突したときのエネルギーを電磁波で放射することができないので、ぶつかったエネルギーはそのままになるから、元の位置まで跳ね返るしかなくなる。すると、いつまでもニュートラリーノは集まることができない。均一に宇宙に広がっているだけになる。銀河の種や、恒星の種になることができない。

  もし、何らかの方法でこのエネルギーを放出しているなら、そのエネルギーを観測できるはずだ。なんといっても通常の物質の10倍もあるのだから、そのエネルギーたるや膨大なものがあるはずだから。  

 

 以上のことから、中性水素を中心としたガスによってできているとすると、何の矛盾もなく、既存の観測や理論で過不足なく説明できる。

 しかし、これが未知の暗黒物質であるとすると、矛盾だらけになる。

 この本はそのあたりの説明がまるっきり欠如している。

 重要なのは、事実で裏づけるという、科学になくてはならない大切な作業が、見えないからあっても見つからないのだという理由であっさり事実を無視しているということである。

 「重力レンズ効果を使って」とあるが、重力レンズは、まだ仮説である。もしこれが、中性水素でできているならば、そのガスの濃淡によって光は屈折する。その屈折現象によって光が曲げられ、それによって、中性水素の存在場所が特定できたとも考えられる。

 重力レンズが仮説なのに比べ、気体による光の屈折は、実際の現象で証明されているから新たな証明の必要はない。

 重力レンズも、エディントンの観測や、アインシュタインレンズなどで確認されているという主張があるが、それが、太陽大気の屈折作用や、銀河の星間物質による屈折作用であるということも可能なのである。したがって、太陽大気の屈折現象や、星間物質による屈折現象でないという証明ができ、そのうえに重力によって光が曲がるという直接の観測ができたとき、初めて重力レンズは仮説から科学的事実に昇格するのである。その証明は今のところ無視されている。もし気体による屈折ではないという証明をするとなるとかなり困難な証明になると思う。気体が光を屈折させるのは事実であるのだから、そうでないというのは難しいと思える。重力レンズは、本当は、20世紀最大の天才であるアインシュタインが予言した、というだけの理由で正しいといわれているに過ぎないのではないだろうか。もしそうなら、それはただの権威主義にしかすぎない。実際、重力レンズも、エディントンの観測も、その値は、アインシュタインの理論とは一致していないのである。重力源の重力だけでは光が曲がりすぎるのである。気体による屈折であるとしたら一致するのに誰もそのことをいえないのである。

問題1−4

暗黒物質がふつうの物質ではない理由を

「バリオンがそれだけ多いと、宇宙初期にさかのぼってバリオンの密度がそれだけ高かったことになり、ヘリウムは優に現在の量を超えて合成されたであろう。したがって、暗黒物質はバリオンではなく何か「エキゾチックな」未知の物質であろう」

 としている。

考察1−4

 これは137億年前にインフレーションビッグバンが起こったということが大前提である。そうでない場合は、バリオンで大丈夫である。これは現在のヘリウムの量の推定も同じことである。何もビッグバン初期宇宙でヘリウムのほとんどができなくても、宇宙の年齢が、300億年とか、1,000億年とかあれば、定常宇宙の星の中で十分できるのである。現在の割合になるのは十分可能なのである。ビッグバンでヘリウムができるというのはまだ観測されていないのに対して、星の中で水素からヘリウムができているのは観測されているのだから新たな証明の必要もない。

 太陽系にかけらもない謎の物質が、宇宙に10倍もなくては成立しないという理論は間違っている可能性が非常に高いということを示唆している。理論に事実を曲げてあわせている。事実と理論が違ったときは、事実を考え直すのではなく、理論を考え直さなければならない。

結論1−4

「エキゾチックな」ものはSF小説には必ずでてくる。それがロマンというものだから必ず必要である。しかし、宇宙を構成するものが「エキゾチックな」ものである必要はなにもない。ふつうのありふれたもので十分である。宇宙にあるものはふつうのものばかりなのだから。

 

2 宇宙の本当の主役 ―暗黒エネルギー

宇宙膨張が加速している

問題2−1「宇宙斥力の発見」

「二つの大きな研究グループが、超新星を使って過去の宇宙膨張の速さを調べることによって、宇宙は加速膨張しているという結論を出したのである」

考察2−1

 宇宙膨張は空間膨張であるという。したがって、空間が膨張するという事実を何らかの形で、実証しなければ、これは仮説の域を出ない。しかし、今まで書いたように、空間とは何かということも、空間が膨張する仕組みも、実際の観測や実験でも、何一つ証明されていないのである。

 宇宙膨張があるなら、宇宙の標準的な銀河である銀河系や、普通の恒星である太陽系でも起こっているはずである。その一部である、地球上でも起こっているはずである。

 遠くて、観測誤差が大きな(距離も、明るさも推測をかなり含んでいる。遠くなればなるほど、距離の誤差は大きくなる。銀河の正確な距離は今のところ測りようがないのが現実であるという。みんなおおよその距離なのだ)超新星を使うより、地球上で観測すればより正確な答えが出るはずである。あまりにも変化が小さすぎるから、観測できないという言い訳は通用しないはずだ。あまりにも遠すぎて、正確な距離など到底測りようがない超新星を使っているのだから。

 太陽系ができて、46億年経っているという、その間に太陽系や地球の空間はかなり膨張しているはずだ。その影響が必ず現れているはずだ。巨大な銀河団と銀河団の間を広げて、銀河団を超高速で押しやるほどの力を持った空間膨張の力が、太陽ごときの重力のために46億年間何もできなかったなどというのは、考えられないことだ。

結論2−1

 これも、近くのしっかり観測や実験ができるところでは観測できないが、遠くて誤差の大きなところでは発見される現象のひとつである。

 もちろん、「二つの大きな研究グループが、」調べて結論を出したということと、それが科学的に本当かどうかとは関係ないことである。科学は多数決ではないのは常識だ。まして、科学は権威に脱帽してはならないのである。

 といっても、ふたつのグループが同じ結果であるというのは、発見と検証に当たるので、正しいかもしれない。まあ、その超新星までの距離がどれだけ正確に出せたかである。

問題2−2 

「加速膨張が発見されるまではフリードマン宇宙が標準ビッグバンモデルの基礎であったが、ルメートル宇宙がこれからの基礎として置き換えられた。」

考察2−2

 それまで信じられていた、仮説が次の時代には、他のものに取って代わられたり、修正されたりして科学は事実の発見に近づいていくものだ。

 フリードマン宇宙が、ルメートル宇宙に置き換えられたのは当然のなりゆきであろう。しかし、だからといって、ルメートル宇宙が事実であるということではない。書いてきたように、膨張宇宙には様々な矛盾が存在するのである。矛盾を解決するために新たな理論を打ち立てると、さらに新たな矛盾が生まれるというありさまである。天動説の末期のような状態だ。

結論2−2

 もちろん、ルメートル宇宙も、やがて他の宇宙論に取って代わられるだろう。仮説以外に何もないのだから。あるのは、なんでもありの真空と、神様だけのようだ。

3 暗黒エネルギー登場

問題3−1

「現在の宇宙には「真空のエネルギーが満ちており、それによって現在、宇宙は加速膨張をしている」「今日それは一般に「暗黒エネルギー」と呼ばれている。」

考察3−1

 このことから、真空のエネルギーは空間を膨張させる(「アインシュタインの宇宙項に対応する斥力」)ことができるようである。それを、「暗黒エネルギー」というようである。

 この力は、現在いわれている4つの力とはまるで違う性質であるということがいえる。4つの力は、普通の物質から生まれ、普通の物質に作用する力であるが、暗黒エネルギーは、何もない真空から生まれ、何もない空間を膨張させる不思議な性質を持っているのである。

すなわち第5の力であるといえる。

結論3−1

「その物理的実態は不明である」と述べているように、何もわかっていないエネルギーである。まだ、仮説の卵にもならない段階にあるといえる。

問題3−2

「宇宙を構成するエネルギー」は

「暗黒エネルギーが七三パーセント、暗黒物質が二三パーセント、そして、天体やガスなど普通の物質は四パーセントという割合になることが分かってきた」

考察3−2 暗黒エネルギーを見つける。

  暗黒エネルギーは、通常の物質の約18倍ほどあるようである。太陽系でいえば、太陽が18個あるという勘定になる。これだけあれば簡単に見つけられそうである。太陽1個だって肉眼で簡単に見つかるのだから。

 といってもエネルギーであるから、望遠鏡では見えないかもしれない。太陽のエネルギーのように、電磁波であったら見えるのだろうが、違う性質のエネルギーであるから見ることはできないかも知れない。

 探す方法はある。暗黒エネルギーは空間膨張を起こすということであるから、暗黒エネルギーを探すには、太陽系の中で、太陽の18倍ものエネルギーで、膨張しているものを探せばいいということである。そこに暗黒エネルギーがあるということである。

ア 地球上で暗黒エネルギーを探す

 宇宙にそれだけの比率であるなら、地球上にも無くてはならないはずだ。

 地球上では、暗黒エネルギーによる膨張現象は報告されていないようである。

 人工衛星の打ち上げや飛行機の揚力には、引力だけしか計算上は関係していない。物体の落下も引力だけで計算して、つじつまが合う。

 このことから、地球上には暗黒エネルギーによる斥力現象は存在しないといえる。したがって地球上や地球内部には暗黒エネルギーは存在しないといえる。

イ 太陽系で暗黒エネルギーを探す

 惑星の公転軌道や彗星の軌道は、太陽の引力だけで計算して、ぴったり説明できる。暗黒エネルギーの斥力による軌道の変化は観測されていない。すると、太陽系にも暗黒エネルギーは存在していないということがいえる。

ウ 銀河系で暗黒エネルギーを探す

 その回転には暗黒物質がかかわっているということが言われている。これは前章で話した。

 そこでも暗黒エネルギーのことは出てこなかったから、銀河の回転は通常の物質と、暗黒物質(その物質が何であるかは、私と、ビッグバン論者とでは意見が違うが)だけで、説明がつきそうである。

 銀河系の近辺の大、小マゼラン銀河は、暗黒エネルギーの斥力で動かされ、銀河系から離れているということはない。アンドロメダ銀河も近づいて来ているという。

 すると、このあたりの局所銀河群では、暗黒エネルギーより、引力のほうが勝っているか、あるいは暗黒エネルギーは存在しないかのどちらかであるといえる。するとここにも、暗黒エネルギーはおそらく存在しないことがわかる。

 太陽系も、銀河系も、このあたりの局所銀河群も普通の星や銀河や銀河群である。このことから、宇宙のすべての星や、銀河や、銀河群には暗黒エネルギーが存在していない可能性が高いということがいえそうである。もし暗黒エネルギーが存在する星や銀河があるとしても、それは例外的な銀河や、銀河群であるといえそうである。

エ 宇宙の大きな構造で暗黒物質を探す

 数百、数千の銀河を集めた銀河団も引力でまとまっており、暗黒エネルギーで拡散しているという兆候はない。ビッグバン宇宙論では、銀河団ができてから、少なくとも100億年は経過しているというから、宇宙膨張の137億分の100億パーセントは膨張しているはずだから、かなりその効果が現れてもいいはずなのにその気配さえない。

 このことから、銀河団の中にも、暗黒エネルギーはないか、あっても銀河団の構造に少しも影響しないくらい小さいということがわかる。

 以上のことから、宇宙の構造の、銀河団までには、暗黒エネルギーの存在はないか、あっても引力をはるかに下回っているということが分かる。

 暗黒エネルギーは73パーセント、普通の物質は4パーセントである。

暗黒物質が23パーセントあるというから、重力の元は27パーセントである。

 観測できる銀河団までの宇宙の構造では、73パーセントを占める暗黒エネルギーの斥力より、最大で27パーセントしか占めないはずの物質(普通の物質と暗黒物質)の持つ重力のほうが強いのである、しかもはるかに圧倒し、かすかにも影響させないのである。

 特に、太陽系では、先に述べたように暗黒物質の重力は存在しないようなので、太陽系に限っては73パーセントの暗黒エネルギーより、4パーセントの万有引力のほうが強いようである。しかも、暗黒エネルギーは何一つ作用していないのである。小さな彗星の軌道でさえ少しも曲げられないのである。

結論3−2

 地球から、銀河団までの宇宙構造の中には、暗黒エネルギーは存在しないということがほぼいえそうである。

 残るは銀河団と銀河団の間だけである。暗黒エネルギーが存在しているとすればそこだけである。不思議なエネルギーである。

 宇宙の膨張も、銀河団までは、重力が勝り、膨張しないという説もあるからその説と整合性があるかもしれない。

 それにしても、ここも相変わらず、観測の正確なところには存在せず、観測誤差が大きなところには現れる現象という、ビッグバン宇宙論の特徴がよく現れている。

問題3−3

「ふつうの物質は、宇宙全体の膨張や、運命を決める役割においては、ますます片隅の脇役にすぎないことになってきたのである。」

考察3−3

 3−2や今までに書いてきたことから、地球や太陽系では、すべてがふつうの物質で決められているということがいえる。暗黒物質や、暗黒エネルギーは髪の毛一筋さえ動かすことができていない。小さな彗星の軌道にさえ何一つ手出しできていない。また、銀河団までの大きさの宇宙の構造や運動も、ふつうの物質がすべてを決めているといえる。未知の暗黒物質や、暗黒エネルギーはなくても何一つ支障はないし、関与しているという証拠もない。

 「宇宙全体の膨張や、運命を決める役割において」重要な役目をしている暗黒物質や、暗黒エネルギーは、相変わらず、観測が正確にできる身近なところには現れず、遠くて観測が不正確なところには大きな顔をして現れているようだ。

(注; 4つの力のひとつ、引力は質量のあるもの同士の相互作用であるから空間とは相互作用をしない。したがって、空間を収縮させない。他の3つの力も、空間とは相互作用をしないから、宇宙全体の膨張には関係できない。

 したがって、ふつうの物質は、宇宙の空間膨張に関しては脇役ではなく、傍観者である)

結論3−3

 宇宙膨張は、空間膨張という謎の現象が中心である。その謎に関与しているのが、空間を膨張させる斥力である謎の暗黒エネルギーと、空間を収縮させる重力を持つ謎の暗黒物質である。これには、謎のない普通の物質やエネルギーは関与することはできない。

 ここは、謎が謎を支える不思議の世界である。

問題3−4

「宇宙項の復活は、インフレーション理論にとってはひじょうに都合がよい。」

考察3−4

 この理論はインフレーション理論家が考えたものである。都合がいいから復活させたのであるから、都合がいいに決まっている。都合の悪いことは無視しているのだから。背景放射が宇宙の塵の光であるという考え方など、完全無視の態度である。そんな考え方は有史以前から存在しないということである。すべてにわたって自分の理論につごうにいい事は誇張して取り上げ、都合の悪い考えや現象は完全無視である。

結論3−4

論争とはそういうものですけど。科学とはいえないかもしれません。

問題3−5

 宇宙を平坦にする暗黒エネルギーを考える。

考察3−5

 インフレーションビッグバン宇宙論では、宇宙が今観測されているように平坦であるためには、謎のエネルギーや、謎の物質や、空間膨張という謎の現象が不可欠であるようだ。宇宙は本来なぞなぞではないはずなのだから、謎のいらない宇宙論はできないか、他の考え方で平坦性を考えて見る。

(1)定常宇宙論で考える。(今の準定常宇宙論ではない)

 まず宇宙空間がある。ここまではビッグバン宇宙論でも同じである。ビッグバン宇宙論でもまず真空があった。その中に今われわれのいる宇宙が生まれ、膨らんだという二重構造になっている。

 ビッグバン宇宙は1点ですべての宇宙のエネルギーや物質ができるのに対して、定常宇宙論は宇宙の全ての空間にランダムに陽子や電子が生まれるという考え方だ。

 ビッグバン宇宙では1点に全宇宙のエネルギーが生まれるので、そんなに小さな真空に、宇宙全体の物質や、エネルギーや、暗黒エネルギーや、暗黒物質を生むエネルギーがあったとするのはかなり無理がある。

 しかし、定常宇宙では、たとえば太陽系くらいの真空に何億年か、何十億年かに1個の陽子が生まれるだけでいいのだから、エネルギー的にはそれほど無理はない。

 しかし、どちらにしろ、無から有が生じるのだから、現代物理学ではいまのところ説明ができないのは共通である。

 定常宇宙で空間にランダムに生まれた陽子は、引力を持っているから、互いに引き合う。ランダムに陽子ができるが、生成の条件は全宇宙でほぼ同じだから数多く生まれると全宇宙はほとんど均一になる。しかし、完全には同じにならないから。引き合って近づく陽子もある。反対にあちらに引かれていって遠ざかる陽子もある。陽子は、近づきながら速度が増すので、ぶつかると作用反作用の法則から、互いに跳ね返る。以前書いたように、エネルギーの他への転換がなければ元の位置に戻る。

 これは宇宙の物質の多少にかかわらず、原則的にそうなる。陽子の引力によって生まれた位置エネルギーと、運動エネルギーの関係である。エネルギー保存則である。

 しかし、ぶつかるとエネルギーの一部が熱になるので、元の位置には戻れない。そうして、やがて多くの分子が集まり分子雲になり、星になっていく。しかしそのとき放出された熱エネルギーは、他のものに取り込まれそれを動かすエネルギーになり、離れさせる力になる。

 物質の引力総量とそれによって生まれる位置エネルギー総量は変わらないので、一つのものがくっつくと、位置エネルギーは放出され、それは他の陽子の運動エネルギーになる。くっつくことで位置エネルギーを放出するものがあれば、そのエネルギーをもらって、他から離れ、位置エネルギーを獲得するものも出てくる。そのやり取りはプラスマイナス0である。エネルギー保存則である。

 銀河ができると、物質が集まるから、膨大な位置エネルギーが熱になって放出される。輻射や、ジェットになって宇宙空間に撒き散らされているのが観測されている。

 星ができるときも、収縮する分子雲が輻射で熱を放出したりジェットでエネルギーを撒き散らしているのが観測されている。そしてやがて、集まってきた分子雲の大半は吹き飛ばされ、できた何百もの星も、散り散りに飛び去ってしまう。太陽も、生まれたときは仲間がすぐ近くにたくさんあったのが散り散りになり、一番近くても、4光年先にしか星がないという状態になったといわれている。

 星ができる一方で、爆発してまた塵になって宇宙空間にバラマかれる星も出る。宇宙の物質は集散を果てしなく繰り返している。

 これが定常宇宙の平坦性である。位置エネルギーは引力に100パーセント依存しているから、引力の量と、位置エネルギーの量は一致する。位置エネルギーは、運動エネルギーになり、運動エネルギーは熱エネルギーになる。この熱エネルギーが斥力になる。引力によって位置エネルギーが運動エネルギーに変わり、熱エネルギーに代わるのだから、エネルギー保存則により、引力による収縮エネルギーと、熱による、発散エネルギーは同じである。基本的に宇宙は生まれたときの状態につねにもどろうとしているといえる。

 平坦を維持するエネルギーは万有引力そのものにあるのである。位置エネルギーそのものが、斥力になるのである。そして引力と位置エネルギーは同じであるから、つねに宇宙は平坦になる。

結論3−5

 定常宇宙なら、物質の量がどうであれ、関係なく物質がばらばらに生まれたら、もとあるところにもどろうとして平坦になる。ビッグバン宇宙論のように一箇所に集中して物質が生まれたら、位置エネルギー(斥力)が0だから、爆発してもいつかまた元の一点に戻ろうとする。

 このばらばらに物質が生まれたとする定常宇宙なら、謎の力は必要ない。すべてのエネルギーは、万有引力から生まれる位置エネルギーで賄われる。実際、星が熱を持つのも、万有引力から生まれる位置エネルギーの発散である。星の核融合もそのエネルギーが引き金になり、他の3つの力で起こるのである。4つの力だけで、十分今の宇宙の平坦性は維持できる。しかも、永遠に、である。また、今の宇宙が持っているエネルギーも陽子が空間にばらばらに生まれたということだけ十分生まれるのである。

問題3−6

「ブランク・エネルギーにおいて第1の総転移が起こり、重力が生まれた」

考察3−6

 前頁(135)の図3−6では、物質は、第2の総転移で作られている。したがってそれ以前の第1の総転移の宇宙にはまだ物質はできていないといっている。

 引力の場合は、物質の持つ力であったが、重力は物資ではなくそれ独自で宇宙に発生している。その重力はどのような過程で次の第二の総転移によって生まれて来た物質に取り込まれたのだろう。

 現在の宇宙には、物質から独立した、引力のみの力は観測されていないように思われる。

結論3−6

これは重力の根源の問題である。無知である私にはあまりよくわからないことである。あしからず。

 

4 精密に測定された火の玉宇宙

 宇宙背景放射観測衛星MAPの写した宇宙背景放射については、先に述べたので、ここでは触れない。繰り返せば、宇宙背景放射観測衛星MAPはタイムマシーンではないから、地球や銀河系の過去は写せないということだ。

問題4−1

「宇宙の晴れ上がりを飛行機が雲の中から飛び出したことにたとえると、背景放射の空間の揺らぎは、飛行機から後ろを振り返って見ることのできる、雲の表面なのである。」

考察4−1

 上のたとえは、雲が、晴れ上がり前の宇宙である、としている。飛行機は見ている側だから地球(宇宙背景放射観測衛星MAP)である。

 ところで、飛行機は雲から飛び出ることができるが、地球は宇宙から飛び出ることができるのだろう。

 理由

 飛行機は雲より速度が速いから、雲を置き去りにすることができる。

 しかし、地球は宇宙の膨張速度より遅いから宇宙を置き去りにできない。なぜなら、宇宙の光は地球より速度が速い。したがって宇宙は光と同じかそれより速く膨張しなくては、光が宇宙の外に出てしまうからである。

 したがって地球は飛行機のように、晴れ上がりの外に出て宇宙を振り返ることができるはずがない。

 第2点は、もし地球が晴れ上がりの外に出たら、そこは、他の宇宙になってしまうということである。なぜなら晴れ上がり前は宇宙全体が、隅から隅までことごとく曇っていたはずだから、そこから出るということは、宇宙の外に出るということである。宇宙の外に出た地球はどうなるのだろう。なぜ地球だけ、宇宙の外に出ることができるのだろう。

 第3点は、晴れ上がりから飛び出たら、外は晴れていたが、向こうはまだ雲のままだった、というのは論理が矛盾している。宇宙全体で、「温度が下がって電子と陽電子が消え、残った電子も原子に束縛され物質が中性のガスとなると、光は直進できるようになる(宇宙の晴れ上がり)」、ということだから、宇宙から雲がなくなったといっているのである。もはや見える雲は宇宙のどこにもないはずである。

 たとえるなら、霧の中にいて周りが見えなかったのが、霧がなくなって、周りが見通せるようになったというべきだろう。

 宇宙の晴れ上がりの瞬間だけがいつまでも残り続けられるはずはない。すべての現象は時間の経過とともに消滅していくのがこの世界の原理である。あるのはこの瞬間だけでありすべての過去はもはやどこにも存在しないのである。8分前の太陽が今見えるからといって、8分前の太陽が宇宙に存在することではない。8分前の太陽は今この瞬間には消えているのだ。あるのは、この瞬間の太陽だけだ。ただ、現在の瞬間に存在する太陽はわれわれには見えないだけだ。アンドロメダ銀河も同じだ。230万年前のアンドロメダ銀河が見えるからといって、230万年前のアンドロメダ銀河が存在することではない。今のアンドロメダ銀河はもうそこには存在しない。

 230万年前のアンドロメダ銀河が見えるからといって、137億年前の晴上がりが見えるということにはならないというのは先に書いた。自分の過去が見えないのは光の速度に比べ物質の速度が遅いことからくる。見える過去には条件と限界があるのだ。遠ければ過去は何でも見えるというわけにはいかないのだ。

 宇宙背景放射が晴れ上がりの光でない根拠は先に述べたので繰り返さない。

結論4−1

 なぜ火の玉宇宙だけ時間がたってもそのままそこに残り続けるのだろう。時間とともに晴れ上がり、やがて火の球ではなくなり、今の宇宙になったといっているのにである。

 火の玉宇宙の矛盾は前章でも書いた。それが今の地球から見えるわけなどない。宇宙背景放射観測衛星MAPがタイムマシーンであったら別だが。

 

問題4−2

 背景放射の揺らぎなどから、「やはり、通常の物質は宇宙エネルギーのうち、ほんのわずかしかない」

考察4−2

 先に述べたように、太陽系では、通常の物質しか観測されていない。ダークエネルギーやダークマターが、太陽系や地球にない理由が説明できないかぎり、137億年前の宇宙にあったという推測からだけで謎の物質や謎のエネルギーが宇宙に満ちているとはいえない。

 また、背景放射は、大昔の宇宙ではなく、宇宙の塵の出す光であるから、ビッグバン宇宙論のダークエネルギーとは関係ないのである。宇宙空間は膨大であるから、そこにある塵は希薄であっても膨大な量になる。するとその塵の持つ質量やエネルギーが、膨大になるから、宇宙全体の質量やエネルギーは見えている星以外にも膨大にあるということでは、ダークエネルギーや、ダークマターになる可能性は高い。それは、普通の物質であるが、人間にはまだそれを観測する技術がないということだけの話である。宇宙の塵の光は、背景放射として観測できている。

結論4−2

 どのようなすばらしいコンピューターの計算も、事実と食い違っていては仕方がない。そのコンピューターのシュミレーションで、宇宙の73%ものダークエネルギーや23%ものダークマターが、太陽系や地球にない理由を計算する必要があると思う。大昔のことが計算できるなら、現在のことも計算できるはずだ。

 事実が間違っているのか、計算が間違っているのか、どちらかひとつである。

 ここも、遠い宇宙や遠い過去には存在するが、現在や近いところには存在しない現象である。

 

 

第4章 宇宙の未来

「宇宙の未来を考えるとき、まず大きく二つに可能性が分けられる。」として、膨張を続ける宇宙と、収縮する宇宙が説明されている。

1 加速膨張を続ける宇宙

問題1−1

 宇宙膨張を続け、すべての銀河は視界から消える。しかし、「天の川銀河と重力的に結合している近くの銀河は宇宙膨張の影響は受けず、飛び去ることはない。」

考察1−2

(1)重力的結合

 「天の川銀河と重力的に結合している近くの銀河は」他の局所銀河群と重力的に結合して、銀河団を形成している。銀河団は、全体を包む大きなハローを持っていて、重力的に結合しているのが観測されている。

 このことから銀河団は膨張しないという考え方もある。膨張するのは、銀河団と銀河団の間だけという考え方だ。

 だが、銀河系と銀河群を作っている銀河も赤方偏移しているので、離れていっているという観測もある。このあたりも意見がばらばらである。

(2)アンドロメダ銀河と銀河系

 「アンドロメダ銀河と天の川銀河は今から20億年後に大接近してすれ違う。」

 ということだ。すると、時間をさかのぼると、銀河系とアンドロメダ銀河はもっと離れていたということになる。

 ビッグバン宇宙論では宇宙誕生後、数十億年で銀河系もアンドロメダ銀河もできたと考えられる。ともに、100億年は立っているといわれている。そのときどれくらい離れていたのだろう。できてからずっと接近していたとすると、二つの銀河はかなり離れていたことになる。100億年前には宇宙はかなり小さかったはずだ。その中でこのふたつの銀河は今より遠く離れていたのだろうか。

 このふたつの銀河が銀河になる前は、ガスの集まりだったはずだ。このガスは宇宙誕生のときはほとんど同じところにあったはずだ。それが誕生後空間膨張とともに一度今よりはるかに大きく離れて、それから銀河になるために収縮していったと考えられる。そして銀河になってから接近しだしたのだろうか。

 この時期に空間膨張の斥力より、銀河の重力が上回ったということができる。ガスの段階で離れていったものが、銀河になったら接近するのはどうしてだろう。ガスは分散していたから、重力が集中していないから斥力が上回り、銀河になると重力が大きくなるから重力のほうが上回るのは考えられる。ただ、ガスのときは、宇宙は小さかったから、ふたつの銀河のガスはかなり接近していたから、互いに及ぼしあう重力は強かったはずだ。重力は、距離の逆2乗に比例するから、距離の影響はかなり大きかったはずだ。また、「近くの銀河は宇宙膨張の影響は受けず」と述べられているように、斥力は、近くでは小さく遠くでは大きくなるようだから、途中で、膨張から収縮に転じたのはかなり困難があると思える。

(3)50億年前を考える

 上に述べたように、アンドロメダと、銀河系は、時間をさかのぼると、離れていたことになる。局所銀河群は、重力のために、膨張していないのだから、時間をさかのぼっても、そのままの大きさである。

 銀河団の間は膨張しているとすると、時間をさかのぼると、銀河団どうしは近くにあったことになる。ハッブル定数によると137億年さかのぼると、くっつくことになるというのだから。

 すると50億年前は、アンドロメダ銀河と銀河系の間は今より離れており、銀河群は同じ大きさで、銀河団の間だけ近かったということがいえそうである。

(4)70億年前を考える

 宇宙の大きさは、今のおよそ半分である。アンドロメダ銀河と銀河系は、さらに離れていただろう。局所銀河群はやはり今と同じである。銀河団同士さらに接近していた可能性がある。今の半分の距離になる。すると、銀河団の重力が斥力を上回っていた可能性がある。すると、70億年前の時点で、銀河団は膨張から収縮に転じていたはずである。収縮すると、重力はますます大きくなり斥力は小さくなるから、以後2度と膨張には転じられなくなるはずだ。

 

(5)100億年前

 もし銀河系ができていたら、アンドロメダ銀河との距離は、今とかなり離れていたはずだ。近くなら、今よりずっと前に合体していたはずだから。

 宇宙にある局所銀河群は、どれもわれわれの局所銀河群と同じように、今と同じ大きさか、それより大きかっただろう。銀河団の距離は小さく、となりの銀河団と重なっていたろう。重力は完全に斥力を上回っていたはずだ。

 したがって、局所銀河群も、銀河団も宇宙膨張の影響を受けず、膨張することはなかったとおもわれる。

結論1−1

 このように、宇宙の一部が膨張を続け、一部が収縮を続けてきたとすると、遡ると変なことになる。アンドロメダと銀河系の間のほうが、銀河団同士の間より大きくなったりする。

 なぜこんなことになるのか。これも、観測の正確なところではビッグバン理論でいう現象は見られないが、遠くて観測が不正確なところではビッグバン理論どおりの現象が現れる、ということからであろう。

 

あとがき

 これで、「宇宙論入門」(佐藤勝彦著・岩波新書)への反論を終わります。なんとなく尻切れトンボのようですがあしからず。

 これ以下については、あまり重要なことではないようなので、ここまでにします。

平成21年3月21日 平成21年12月改定     高田敞記

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