宇宙論入門 佐藤勝彦著 岩波新書に対する考察1

宇宙論入門表紙

はじめに

 これは上記の本に対しての、私なりの考えです。いままでも、載せてきた、宇宙論の繰り返しになるところが多いですが、あしからず。

 (以下、最後まで「 」内は、上記の本からの引用)

T 「第1章 宇宙論の始まり」

1 ビッグバン宇宙

問題1 

「ビッグバン理論と定常宇宙論」のどちらが正しいかに対して、「宇宙背景放射」の発見で、「ビッグバン理論が勝利した」について。

考察1

 宇宙背景放射は、ビッグバン理論が提唱される以前からあった。それは宇宙の塵が放射している光の温度は3Kほどになるだろう、という理論である。これは複数の人が唱えていた。

 宇宙背景放射が、塵が出す光ではないという証拠がみつかっていないから、宇宙背景放射が「宇宙初期の「火の玉の化石」ともいうべき電波」と断定することはできない。

 (理由)

 宇宙に塵があることは観測されている。

 塵は温度があるから、光を出している可能性が非常に高い。

 したがって宇宙の塵の光が地球に降り注いでいる可能性が非常に高い。

 一方

 宇宙初期の光が、化石になるというが、光が化石になるという証拠は見つかっていない。

 宇宙初期の光が、今この時刻に地球上で観測されるのは、科学的に非常に疑問がある。(このことは以前にも他のところで理由と共に述べた。後ほど、詳しく)

結論1

 宇宙背景放射は、ビッグバンの証拠にはならない。定常宇宙論の証拠でもない。これは宇宙の塵の出す光にしか過ぎない。

 

 

2 アインシュタインの宇宙

問題1−1

 アインシュタインの特殊相対性理論において「物体が光速に近い速度で運動する場合、時間の進み方と空間のものさしが変化するのである。」について。

考察1−1

(1)このことは観測されていない。

 時間や空間が伸び縮みする現象は実測されていないから、まだ確定した事実ではない。これは仮説でしかない。したがって、このことを使った理論はすべて仮説にしか過ぎないことになる。

 「実際に観測するのは大変難しい」からといって、観測されていないのに事実であるということはできない。これは見つからない言い訳であるとも取れる。おそらくそうである。

(2)光速度で飛ぶ宇宙線や電子の時間

 宇宙線は日常的に観測されている。

 小柴氏の観測した、超新星のニュートリノを考える。

 この超新星は、大マゼラン星雲にあり、距離は17万光年先である。したがって、17万年前に爆発した超新星からのニュートリノが17万年かかって1987年の地球にやってきたといわれている。このとき飛んできたニュートリノも17万年の時間が経過している。ニュートリノの時間が止まっていたという話はない。

 ところが、この粒子は、光速度で飛んでいるから、特殊相対性理論では時間が完全に止まっているはずである。すると、17万年前に超新星ができ、ニュートリノが飛び出した瞬間にニュートリノの時刻は停止しているはずである。すなわち、紀元前16万8013年でニュートリの時刻はストップしているはずである。

 タイムマシーンを考えると、タイムマシーンの時刻を紀元100年に合わせると、タイムマシーンは紀元100年の世界に連れて行ってくれる。これと同じ原理なら、ニュートリノは、ニュートリノの時刻、紀元前16万8013年の地球にぶつかることになる。紀元前16万8013年の物質が紀元後1987年の地球と接触できるわけはない。

 ではどのようなときに、ニュートリノは地球にやって来れるのか。

地球が紀元前16万8013年のとき、紀元後1987年の超新星爆発があり、その瞬間ニュートリノの時間が止まったと仮定する。ニュートリノの時間はそのとき止まるので、紀元後1987年のままだ。

 すると、17万年かかって時間の止まったニュートリノは飛び続ける。地球は16万8013年かかって紀元後1987年の今の位置に来たとき、ニュートリノとぶつかることになるとうまくいきそうだ。

 しかし、これでは地球が17万年前のとき、同時に超新星が紀元後1987年にあるという奇妙なことが起こってしまう。昨日も今日も明日も、100年後も、宇宙に同時に存在するというのは、観測されていないから、現実には存在しないといえる。

240万年前のアンドロメダ銀河が見えるから、宇宙には過去と今が同時に存在するというのは勘違いである。240万年前にアンドロメダ銀河を出発した光が今地球に到達したということである。これは、2時間前に、京都駅を出発した、光号が、今東京駅についたというのと同じである。今光号が京都駅に無いのと同じように、今現在のアンドロメダ銀河は見えているところとは違うところにある。宇宙はすべて同時刻であると考えられる)

 

結論1−1

 このことから、少なくともニュートリノという物質においては、光速になっても、地球の時間の進み方と同じ速度で、時間が進んでいるということがわかる。すなわち、特殊相対性理論の、速度が速くなると、時間がゆっくり進むという理論は、決定的な例外があるということである。それに対して、速度が速くなると、時間がゆっくり進む現象はいまだ一度も観測されていないということであるから、この理論が間違っていることがわかる。また、このことから、「実際に観測するのは大変難しい」ということも、また間違いであることがわかる。

 ちなみに、相対性理論では、時刻が早くなったり遅くなったりするというが、時間とはなんだということがひとつも説明されていない。せいぜいアナログ時計の針が速くなったり遅くなったりするのが時間であるというくらいの説明である。ガモフという人は、相対性理論を説明する本の中で、速度が速くなったために遅れた時間を、指先で時計のノブを回して合わせている。それで全世界の時間に自分の時間が戻ったという。相対性理論の時間とはせいぜいその程度である。速度で遅れる時間も、指先で時計のノブを回すのも、同じ時間である。時計の針は時間ではないのは自明だ。子供だましの説明である。

問題1−2

 アインシュタインの理論では、時空は、質量で変形するそうである。網に、質量の大きな物を置くと「網は下にたわんでしまう。その近くに小さな物体を置くと、・・中略・・小さな物体はそちらに転がっていってしまうことになる。この作用がニュートンの万有引力である。」

考察1−2

 大きな質量を地球とする。小さな物体を月とする。

 すると、地球の質量によって時空が下にたわんでしまったために、月は地球の周りを回っていることになる。これが相対性理論の重力の仕組みである。

 すると、時空はかなり変形しているということがわかる。「(ただし、これらの「曲がり」や「遅れ」はきわめてわずかなので、実際に観測するのは大変難しいことをお断りしておく)」とあるが、月が地球の周りを周回しているのが空間の曲がりが原因なら空間はかなり曲がっていることになるはずだ。曲がりは観測可能なほど大きいと思われる。しかしこの曲がりは観測されていない。

 これは、大きな質量を太陽とし、地球を小さな物体としても、同じことがいえる。地球の周回軌道が、空間の曲がりによるなら、曲がりは観測されてもいいほど大きいはずである。

 ところが、この曲がりも観測されていない。重力レンズに言われるように、光は、重力による空間の曲がりに沿って進むという理論だから、地球の周りでも、光が重力による空間の曲がりに沿って進むはずである。するとこの光の曲がりは観測されなくてはならない。エディントンが、太陽の近くで観測したという、重力による星の光のように(注1)。

 しかしこれも観測されていない。

 引力は、ニュートンのいうように質量のあるものどうしが引っ張り合う力と考えると、実際の現象と一致する。もちろん引力は光を曲げることはないから、光は直進する。

(注1:私はエディトンが観測した、太陽近傍の星の光が曲がる現象は、太陽大気による屈折現象であると思う。太陽大気も光を屈折させるのは地球上の大気で同じ現象が見られるので実証済みである。また、観測された星は、みんな、太陽上層の太陽大気の中を通過している。ところが、太陽大気による屈折で無いという証明はされていないばかりか、触れられてもいない。反証を無視するのは非科学である)

 

結論1−2

 このように、質量で時空が曲がるという現象は一つも観測されていないばかりか、それに反する現象ばかりがあることから、これは、奇抜な思い付きではあっても、事実ではないといえる。

 

3 宇宙原理―宇宙はどこも同じ

問題3−1

ア 宇宙が一様である。イ 宇宙は等方的である。

 考察3−1

 ア 宇宙が一様である。について。

 100万光年といった小さなスケールで見ると宇宙は凸凹だらけだが、「1億光年を越えるようなスケールで見ると、一様という仮定は悪くはない。実際最近の観測では、1億光年にわたって銀河の分布を平均してしまうと、宇宙はほとんど一様なのである。」と述べている。平均すると、みんな平均になるのだから、一様になるのは当たりまえである。平均しないで、あるがままだとどうなるのかが問題である。1億光年を越えて、大きな構造があるのが観測されているのだから、一様ではないのである。

イ 等方的について

 宇宙に特別な方向はない、ということだが、ビッグバン宇宙論では、最初に、ビッグバンの始まった点が存在する。そこから、全方向に宇宙は広がっている。また、プロローグにあるように、ビッグクランチになるときも1点に向かって宇宙は収縮していく。このことから、ビッグバン宇宙には中心となる1点が存在するといえる。

 すなわち、方向性があるということである。

 これに対して、定常宇宙ならどこにも中心は無いから等方的になる。

結論3−1

 以上の2点から、「宇宙原理」は、ビッグバン宇宙においてはその根拠を失っている。この考え方は、ビッグバン宇宙が考えられる以前、まだ、銀河系が全宇宙であると考えられていたころから以前の、考え方であるから、定常宇宙論に近くなるのだろうか。あるいは、これはキリスト教の考えている宇宙観であるからだろうか、それとも、アインシュタインがいっているから変えられないのだろうか。

 ビッグバン宇宙論では、方向性があるしかなくなるのだから、宇宙は方向性があるが、あまりにも大きく広がりすぎて、その方向性は観測するのが、非常に、非常に、非常に難しい、とすれば解決するのだと思うのだが。それではやはりごまかしになるからだめか。

 どちらにしろ、矛盾は存在する。

 

 

4 宇宙の膨張と収縮

アインシュタインの方程式を宇宙原理に基づいて解くと、「銀河が分布する空間が膨張したり収縮したりする。」「宇宙の物質が多ければ重力によって収縮してしまい、物質が少なければどんどん膨張していくのである。」

問題4−1

 空間の膨張と収縮

考察4−1

 空間の膨張や収縮は、地球上では観測されていない。太陽系でも観測されていない。

 太陽系ができてから、45億年といわれている。宇宙の歴史の、ほぼ3分の1を経過しているから、地球や太陽系の空間はかなり膨張しているはずだが、その痕跡すら認められない。

 太陽や地球の重力でおさえられて空間膨張は現れないという意見を見るが、あの巨大な重力を持つ銀河団さえもやすやすと、超スピードで動かしているのだから、それに比べれば、塵にもならないほど小さな太陽の小さな重力で造られている太陽系になんら作用を及ぼすことができていないのは、非常に疑問である。

 平均1000億個の太陽で構成された銀河を、数百もまとめた銀河団を超スピードで動かすことができる空間膨張が、人間の髪の毛一筋動かせないのである。これは太陽系や地球では、空間は膨張していないと考えるほうが妥当であるだけでなく、空間膨張そのものが、かなり変則的な作用を及ぼす現象であると考えられる。

 そこで、宇宙空間では、本当に空間は膨張しているのだろうかを考える。銀河系は、およそ100億年の歴史を持っているという。この間銀河系の空間は膨張していたはずである。宇宙がこれまで膨張してきたほぼ70パーセント分膨張しているはずである。ところが、銀河系は微動だにしていない。これも、銀河系の重力のせいだという。何百もの銀河が集まった銀河団を空間膨張はやすやすと動かすのである。何で、小さな銀河系にかすかにも影響できないのだろうか。銀河を取り巻くハローなどは、物質密度も小さく重力も弱いから、少しは影響してもよさそうだが、それさえ一切ない。

 星からの紫外線でさえ、やすやすと、分子雲を吹き飛ばしている。その分子雲さえ空間膨張にはなんら影響されずに、収縮して、星を造っている。これも、銀河系内では、空間膨張はなかったと考えると、一番事実に合う。

 アンドロメダ銀河と銀河系とではどうだろう。いま、アンドロメダ銀河と、銀河系は接近しているという。空間膨張とは逆の現象である。このことから、銀河系と、アンドロメダ銀河の間では、空間膨張はないと考えるほうが事実と合う。

 ビッグバン論者も、局部銀河群は、固有の動きをしているので、空間膨張と違う動き方をしているといっている。

 結論4−1

 このことから二つのことがいえる。

 ひとつは、地球を中心として、観測が正確にできるところでは、空間膨張の直接の証拠はひとつもないということである。反対に空間膨張はないという証拠ばかりである。すなわち、観測の正確にできるところは空間膨張はなく、観測が不正確なところになるほど、空間膨張が現れるということがわかる。これは、かつて、望遠鏡がよく見えなかったとき、火星に運河が見えたということを思い出させる。

 また、次のこともいえる。

 太陽は普通の恒星である。銀河系も普通の銀河である。局部銀河群も普通の局部銀河群である。ということは全宇宙の恒星や、銀河や、銀河群で、空間膨張の影響はないということが推測される。

 すると、どこで、空間膨張が行われているのか。銀河団であるという人がいる。小さなのは重力の影響でだめだが、一番重力の大きな銀河団は動かせるというのである。不思議な現象である。

問題4−2

「宇宙の物質が多ければ重力によって収縮してしまい、物質が少なければどんどん膨張していく」

考察4−2

「あたかも地表から石を投げ上げるのに似て」とこの現象を説明している。

 この考えは間違っている。元々離れて存在している二つの物質は、引力だけではくっつかない。地球にボールを落とすと、跳ね返る現象がそうである。

 宇宙空間に二つの物質があると、引力で接近しやがてぶつかる。しかし、必ず跳ね返る。エネルギーの他への変換がなければ、必ず元の所に戻る。近くのものは勢いが弱いから少ししか跳ね返らない。遠いもの同士は加速度がつくから、遠くへ跳ね返る。位置エネルギーと、運動エネルギーの変換である。そのエネルギーは引力に由来する。エネルギー不変の法則から、必ずもとの位置に戻るのである。

 実際はボールはバウンドを繰り返して、やがて地表にくっつく。そのことから、引力はすべてのものをくっつけるという考え方になったのだろうが、上に書いたように実際はそうではない。

 ではなぜボールは地表に落ちてしまうのか。これは位置エネルギーから、運動エネルギーになった力が熱エネルギーに変化したためである。

運動エネルギーがなくなったために、元の位置エネルギーに返還できなくなったのである。しかし、エネルギーの総量は変わっていない。

 宇宙空間でも星ができるときは分子雲が集まっていく過程で、位置エネルギーが運動エネルギーになり、それが熱エネルギーに変化し、そのエネルギーを輻射やジェットとして周りに撒き散らしている。このために、星間雲の中のばらばらにあった分子や塵の位置エネルギーが減少し、収縮して星ができるのである。この輻射による、エネルギーの宇宙空間への移動がなければ星はできないといわれている。

 ではやはり、物質は収縮するといえそうである。しかしそうではない。出来立ての星の光は、集まっている分子雲の大半を吹き飛ばす。輻射が物質を吹き飛ばすのである。太陽もその熱で、つぶれるのを食い止められている。熱は物質を運動させるのである。銀河団や、巨大な楕円銀河が収縮していかないのも、熱のためではなかろうか。

結論4−2

 元々、地球上にあったものは地球に落ちてくる。元あったところに戻るのが基本である。したがって、宇宙が、1点から膨張したのが本当なら、宇宙はやがてもとのところに戻り、1点に収縮する。これが基本である。打ち上げる力が大きいとき、人工衛星や、人工惑星になるように、宇宙も拡散してしまうかもしれないが、元の力が、最初にあったものだけなら、拡散のための余分な力はなく、元に戻る。人工衛星は、ロケットという他からの力によって地球から脱出するが、宇宙には物質の引力と、あと3つの力だけしかないとしたら、自分の力を超えて、運動エネルギーを獲得できないから、必ず元の位置に戻るはずである。他の力、たとえば神の力がなければ。

 このようにビッグバン宇宙は1点が元の場所だから必ず収縮する。しかし、定常宇宙は、元に戻ると、最初にあったばらばらにもどる、拡散も収縮もしない。1点には収縮しないのである。このとき、元に戻す力(斥力)は熱エネルギーが物質を運動させる力である。元々、熱は原子の運動であるのだから。

 

5 宇宙項―斥力の重力

問題5−1

 「アインシュタインは、膨張も収縮もしない静的な宇宙をつくるために、「宇宙項」と呼ぶ一つの項を自分の式に加えた。」「宇宙項は、いわば空っぽの空間同士が互いに押し合うという奇妙な斥力である。」

考察5−1

 この世界は、4つの力でできているというのが、いままでの定説である。この本にも、強い力、弱い力、電磁力、重力の4つの力が基本的なちからだと説明されている。また、宇宙誕生から、4つの力が生まれることが図解入りで説明されている。ところが、宇宙項の斥力は基本的な力としてはどこにも説明されていない。もし、宇宙項があるなら、この世界は5つの力で構成されていることになるはずである。ところが、そうは言っていない。大きな矛盾である。

結論5−1

 困ったからといって、かってに、宇宙項を入れただけであるから、この力は、空想の産物から1歩も出ていない。仮説にもならないことである。

 空っぽの空間が押し合うというのは具体的にどのようなことなのか、実際にどのような力が空間のどこに働き、どのように押し合うのかひとつも説明されていない。

 また、この現象は観測されていないことから、理論もだめ、事実もだめであるから、ないない尽くしである。これでは仮説にもならない。たんに空想に過ぎない。 

問題5−2

 斥力は観測されたか

考察5−2

 「太陽系や、銀河系といった空間では万有引力の逆2乗則が厳密に成り立ており」とあることから、厳密に、斥力は存在しないことが述べらている。

 「宇宙項による斥力は、100億光年という宇宙スケールではじめて効果が現れような微弱な力である」

結論5−2

 銀河系や、太陽系は、宇宙では標準的な銀河や恒星である。このことから、宇宙のほぼすべての銀河や、恒星には、宇宙項は存在しないことがわかる。ではいったいどこに宇宙項は存在するのだろうか。否である。

 いつものように、観測の正確に行われるところには存在しないで、観測が不正確なところになると現れる現象である。

 科学ではない。

問題5−3

「こうして、アインシュタインは、万有引力と宇宙項がちょうどつりあって、収縮もしなければ膨張もしない静的な宇宙のモデルを作ったのである。」

考察5−3

 太陽系や、銀河系では、圧倒的に、引力が優勢であった。斥力はなかった。まったくつりあっていないことが観測からわかっている。

 また、「宇宙項による斥力は、100億光年という宇宙スケールではじめて効果が現れるような微弱な力である」と述べているのだから、斥力は、引力に比べて非常に微弱な力であるといえそうである。

 どのような根拠で、「ちょうどつりあって」といえるのだろうか。その説明がひとつも無い。まるで論理が通らない。

結論5−3

 これも、観測できないところに現れる現象である。観測できないから、否定の証拠もないということだろうか。もちろんこれは科学ではない。

 

 

6 宇宙は無限か

問題6

「アインシュタインの時空は(リーマン幾何学に基づくものであるが)、曲率が正の場合は「閉じた空間」となる」「風船の表面のような空間に相当する」「有限ではあるが、「果て」は存在しない」

考察6

 風船を考える。風船の表面は、有限である。そして、果てはないかもしれない。しかし、風船には中も外もある。これに目をつぶるわけにはいかない。風船の外は、果てしなく遠くまで続いている。無限か有限か今のところわからない。

 したがって曲率が正の場合の三次元空間にも、三次元空間を風船にたとえるなら、その外に四次元があることになる。すると、その外、四次元は、やはりどこまでも続いているのではないだろうか。

 これは、宇宙の果てには壁がある。そこで終わりだ、いやその壁の向こうはどうなっている、という話と同じである。壁の変わりに次元の壁を作っただけの話である。

 千代紙の円筒も同じである。円筒の外はどうなっている、と考えることができる。トーラスも、クラインの壷も同じである、その外はどうなっているという問題が残る。

 要するに、われわれのいる世界が、風船の表面であるとか、トーラストか、クラインのつぼとか考えるのは勝手だが、実際にそのようになっているという観測はひとつもない。「現在までの観測によると、宇宙の曲率はきわめてゼロに近く、また観測されている宇宙は有限な宇宙の一部だという証拠も見つかっていない」とあるように、宇宙はくねくね曲がりくねっていないのである。

結論6

 いろいろな可能性を考えるのは必要なことである。しかし、それが事実と一致しているかが科学では大切である。事実を無視するときは、空想科学では面白いが、科学とはいえない。 

 宇宙が有限か無限かという問題の解決は、かなり遠いと思われる。

 

2 膨張宇宙の発見

7 ハッブルの法則

問題7−1

「銀河の速度は、スペクトル線の「赤方偏移」から求められる。」

考察7−1

 近い星や銀河はそのように考えてもいいかもしれない。しかし、遠い銀河になるとそうとばかりはいえないのではないだろうか。

 たとえば、500万光年先の銀河からの光を考えてみる。この光は、500万年飛んできたわけだ。500万年前というと、まだ人類は生まれていなかった。そんなときに飛び出した光が、地球に届くまでに、猿は人間にまで進化したのである。そんなに長い間宇宙の様々な銀河間分子の中を飛び続けたら、光も変質する可能性があるのではないだろうか。猿から、人間まで進化させる時間は光も変化させると考えてもいいのではないか。

 赤方偏移を後退速度とすると、空間の膨張という、いままでにその原理は一つの理論もなく、実際の観測もされていない現象を、あるとしなければならなくなる。それより、銀河間分子による、光のエネルギーの減少のほうがよほど現実にあっている。これだと地球と銀河との距離に比例して光のエネルギーが減少するので、地球から遠いほど、赤方偏移が大きくなるので、無理なく事実を説明できる。

結論7−1

 遠い銀河の赤方偏移は、銀河の後退速度ではない可能性がある。後退速度であるという証拠もない。

 星間赤化など、光の赤化現象が空間膨張とは関係なく存在する。銀河間物質による、赤化現象を否定することができたとき、後退速度を考えてもよさそうである。

問題7−2

 銀河の後退速度のグラフと、表が載っている。

遠くなるほど後退速度が速くなっている。

 距離90万光年先の銀河は、後退速度125マイル/秒、同1億3500万光年先の銀河は、同14300マイル/秒になっている。

考察7−2

 宇宙膨張による速度であるという解釈である。これは、普通の物質が爆発して飛び散るのとは違う原理である。物質が爆発して飛び散るときは、距離に関係なく同じ速度で飛び散る。遠くなるほど速くはならない。遠いほど速度が速くなるのは、空間膨張のためであるというのが、一般的なビッグバン理論である。そこで、宇宙空間膨張として考えてみる。

 宇宙空間が膨張するとき、どういう原理で、銀河を引っ張っていくのだろう。銀河のどこに、どのような力を加えると、銀河全体が、その回転や形を崩さずに、高速度で一定方向に移動するのだろうか。

 地球ができてから、45億年たったといわれている。その間、地球は宇宙空間の中を空間の抵抗を何ひとつ受けることなく公転や自転をしている。ということは、宇宙空間の力を何一つ受けていないということである。

 それなのに、宇宙空間の力は、銀河や銀河団さえも、高速度で押しているのである。

結論7−2

 近くでは観測されないのに遠くになるほど現れる現象がここにもある。

 

問題7−3

「ハッブルの法則は、私たちがいる銀河系が宇宙の中心にあることを意味するのではなく、宇宙には中心がなく、銀河が互いに距離に比例した速度で一様に遠ざかっていることを意味する」

考察7−3

  上記ふたつの銀河の速度を考えて見る。

 地球は、背景放射に対して、700km/秒で宇宙空間を飛んでいる。背景放射は、光だから絶対速度である。したがって、地球の速度も絶対速度と考えられる。(特殊相対性理論では絶対速度は存在しないらしいが、その論でも、光の速度だけは空間や時間を超越した絶対速度である)

 宇宙背景放射はどこでも光速度である。それに対して、地球の速度は決まっている、その地球に対して決まった速度である他の銀河も、背景放射に対して決まった速度になる。

 このことから、距離90万光年先の銀河は、宇宙背景放射に対して1.609×125−700km/秒の速度で飛んでいることになる。これは約500km秒である。1億3500万光年先の銀河は、1.609×14300−700km/秒になる。宇宙背景放射に対して約22,300km/秒である。

 「一様に膨張する宇宙」が原因であると考える。1億3500万光年先の銀河を基準に考える。あちらから見ると、地球は約22,300km/秒で遠ざかっているように見えるはずである。その銀河は700km/秒前後で背景放射に対して進んでいることになる。それに対して約22,300km/秒で進んでいる地球は、背景放射に対して、約22,300km/秒で進まなくてはならなくなる。人工衛星が観測した、背景放射に対する地球の速度と一致しない。すると、光速で動いているのはあちらの銀河だけと考えるしかない。

 このことから、地球に近い銀河は、絶対速度が遅く、遠い銀河は絶対速度が速くなる。地球を中心にして、すべての銀河の絶対速度が決まる。

結論7−3

 これでは、地球が宇宙の中心であることになる。「宇宙には中心がなく、銀河が互いに距離に比例した速度で一様に遠ざかっていることを意味する」とはいえなくなる。

  これは天動説と同じである。

 なぜこのようになったか。赤方偏移を後退速度としたことからである。そのため、空間が膨張するという何一つ原理が解明されていないし、地球上や近くの宇宙では直接観測もされていない、奇妙な現象を考えなくては説明できなくなったのである。

 赤方偏移を、7−1で書いたように、銀河間に漂う分子による現象としたら、観測者からの距離に比例して光が通過する分子の量も増えるので赤方偏移も増加する。そうすると、距離によって銀河が速度を変えることもないし、空間膨張という奇妙な現象も必要なくなる。普通の出来事として処理できる。

問題7−4

膨張宇宙のモデル

「アインシュタインの宇宙項を取り入れつつ膨張宇宙のモデルを作った」

考察7−4

 宇宙項は謎の力である。先に書いたように、この力は、理論上も、実際にも存在が確認されていない。アインシュタインの思いつきのままである。仮説になれるかも怪しい理論である。

 定常宇宙論なら、位置エネルギーを、宇宙項とできる。これは位置エネルギーが、運動エネルギーに変化し、それが、熱エネルギーに変化し、また物質の運動エネルギーになると循環するから、斥力になる。しかしこの力は、元の位置に戻すだけの力で、それ以上の力はない。利点は、この力は実証済みの力であることである。

 しかし、ビッグバンモデルの斥力や、アインシュタインの斥力はこの力ではない。

問題7−5

 膨張の原理

考察7−5

 宇宙膨張の仕組みが明示されていない。

 物質の膨張を考えてみよう。たとえば鉄道線路である。熱で鉄の原子が振動する、すると、原子同士が互いに押し合って、互いの距離が広がる、それが、線路全体を膨らませる。このとき押し合いへしあいになるから、線路が曲がったりする。今は膨張に打ち勝つ力で線路を固定しているから、めったなことでは曲がらない。

 空間ではどうだろう。何が膨張するのだろう。部分部分の膨張はあるとおもわれる。そこで、月と地球を考える。月の空間が膨張する。地球の空間も膨張する。すると、月と地球の間で、空間同士がぶつかる。その境界線ではどうなっているのだろう。押し合った結果、どちらのほうに動くのだろう。重なり合うことは無いようだ。

 これは小さな部分でも同じである。こちらの部屋の空間と、となりの部屋の空間が膨張してぶつかったときどちらにどれだけ動くのだろう。

 風船は一様に膨らますことができる。それは小さいからだ。地球ほどの大きさの風船を、一様に膨らませるのは非常に困難である。こちらから、空気を入れても、あちらの端にその圧力が伝わるまでに時間がかかるから、一様に膨らませることはできない。

 ハッブルの法則では、1メガパーセクト(325万9000光年)で70.1km/秒の速度で広がっているといわれている。

 地球から1メガパーセクトの空間が広がったとき、それが次の1メガパーセクトの空間をきれいに押しやることができるのだろうか。10メガパーセクト先の空間では、それが積み重なって、701km/秒の速度で空間全体を押しやらなければならない。それまで積み重なった、空間膨張の力がどのように伝わっていくのだろうか。

 最初の空間の膨張が、10メガパーセクト(32,590,000光年)先の空間に伝わるのはどれだけの時間がかかるのだろうか。光速で伝わっても32,590,000年かかるのである。それとも、空間膨張は一瞬で宇宙の果てまで伝わるのだろうか。

結論7−5

 膨張の伝わり方が解明されていないから反論もしにくいが、風船を一様に膨らませるのは簡単だが、宇宙空間を一様に膨らませるのは至難の業であると思われる。多きさは重要な要素である。直径1cmの石は手のひらに乗る。その直径が100倍になっただけで、手はつぶれる。地球の直径が100倍になったら、太陽のように地球は燃え出す。

 宇宙は風船の100倍どころの大きさではない。一様に膨らませることなど不可能ではないだろうか。ビッグバン論者に、その辺りの原理をお聞きしたいものだ。

 

8 「ビッグバン理論の確立」

 火の玉宇宙論

宇宙は火の玉から始まったという理論である。

問題8−1

「宇宙は急速に膨張しており、それにつれて温度は低下していった。」

「誕生から、0.01秒後、温度は1000億度である。電離した物質(すなわち、陽子・中性子と電子)とともに大量の光が存在し」た。

考察8−1

「誕生から、0.01秒後」の宇宙の大きさを考える。

いま、宇宙で最速は光である。誕生した宇宙は、光を先頭に広がっていることと思われる。「電離した物質」も光速に近い速度で広がっていることと考える。すると、宇宙の物質の広がりは、最大で、半径0.01秒光年になる。ここに全宇宙の物質が詰め込まれている。最初、物質は少しできて、時間の経過と共に、宇宙の物質は生まれてきたとすれば、このときは、まだ少しの物質しかなかったかもしれないが、宇宙はビッグバンと共に始まったとすれば、この段階で宇宙のすべての物質の元はできていたと考えられる。

 0・01秒光年は、約3000kmである。手始めに、半径3000kmの球の中に太陽系を閉じ込めてみよう。太陽は半径約70万kmある。230分の1くらいに押し縮めないと入らない。

 銀河系を考えてみる。星だけで、約1000億個あるといわれている。これを、その中に押し込めるのである。かなり大変な作業がいりそうである。そのうえ、銀河系の中心には太陽の230万倍の質量のブラックホールまであるという。

 こんなものが詰め込まれたら、それだけで、「誕生から、0.01秒後」の宇宙全体がブラックホールになりそうである。少なくとも、「電離した物質(すなわち、陽子・中性子と電子」は存在することができないはずである。

結論8−1

 これだけではすまない、銀河は1000億個はあるといわれている。そんなものが半径3000kmの球の中に納まるのだろうか。非常に疑問である。よしんば収まったとしても、電離した物質などできるはずはない。

 

問題8−2

「宇宙誕生後30分ごろ、上記のような核反応が止む。」

(上記の核反応とは、「宇宙の最初の数分間で軽い原子核」が作られるという理論である)

考察8−2

「宇宙誕生後30分」は、同じように考えて、半径30分光年である。

「上記のような核反応が止む。」とあるから、このときまでには、いま在る全宇宙の物質ができていたと考えられる。もちろんまだ軽い原子核だけだが、それを元に、やがて星でいろいろな原子が出来ることになるから、量としては同じであるはずだ。

 すると、半径30分光年の空間に全宇宙の物質が詰まっていたことは確実になる。これでは半径5万光年の銀河系をそこにつめただけでも星と星の隙間は無くなり、圧縮しなければ入れない。宇宙全体がブラックホールか中性子星と同じ状態になってしまう。これに、全宇宙の物質を詰め込むとなると、少なくともその1000億倍の物質を詰め込むのである。その中で、水素やヘリウムがそのままの状態でいられるはずがない。中性子星でさえ、すべての物質が中性子になってしまうのに、である。

結論8−2

 「宇宙誕生後30分」の宇宙の大きさが述べられていないからわからないが、物質が、光速以下の速度で広がっているとする(今まで、観測されている物質の最高速度は光速度である)と、成り立たない理論である。物質が光速以上の速度で飛ぶというのは観測されていないが、光速の2倍でも、半径60分光年である。光速の48倍で1日光年である。これでもとても宇宙の全物質は入りきれない。光速の17,520倍で物質が飛んだら、宇宙誕生後30分で、半径1光年になる。

 それでも宇宙の全物質がその中に閉じ込められたら、ブラックホールになるだろう。とても、水素や、ヘリウムが存在できる状態ではない。

 このときの宇宙の大きさをどのように出してどれくらいの大きさと見積もっているのか知りたいところである。

 

火の玉の「化石」 宇宙背景放射

問題8−3

 宇宙が火の玉であったころの光が「宇宙全体を満たし、あらゆる方向からやってくるだろう」

考察8−3

光は光速度で直進する。いつまでもとどまってはいない。どのように宇宙全体を満たすのだろう。どこかで反射や屈折をしていったり来たりしているのだろうか。

結論8−3

このことは次のところでも考える。

 

宇宙の晴れ上がり

「宇宙背景放射が、なぜ宇宙開闢30万年ころの化石かという話を、ここでしておこう。」

問題8−4

「現在にいながら、100億年前の宇宙を見ることができる、さらに宇宙開闢の瞬間をも原理的には見ることができる」

考察8−4

「100億年前の宇宙を見ることができる、」ということと、「宇宙開闢の瞬間をも原理的には見ることができる」ということはまるで違う現象である。

 「100億年前の宇宙を見ることができる、」のは100億年前少なくともその宇宙から99.9億光年は離れたところに地球がなくてはならない。そうしないと、「100億年前の宇宙の光は地球を追い越してしまって見ることはできない。

 宇宙開闢の瞬間には地球は、宇宙開闢の中にあった。距離は0である。すると、開闢の光は、さっさと地球を追い越して、飛んでいってしまい、見ることはできない。

 なぜか、ビッグバン宇宙論者なのに、地球だけは大昔からここにあるという考え方だ。

結論8−4

 これは定常宇宙なら100億年前の宇宙を見ることができるといえる。しかし、ビッグバン宇宙では見ることはできないということである。

宇宙開闢の瞬間地球はどこにあったか。である。

 このことは次のところで考える。

問題8−5

 「宇宙が始まって約30万年後の、宇宙背景放射の光が放たれたときのことを「宇宙の晴れ上がり」という。」この光がいま地球にあらゆる方向から降り注いでいる宇宙背景放射である、というのだ。

考察8−5

 「宇宙が始まって約30万年後」のとき地球はどこにあったか。もちろん、宇宙の火の球の中である。もちろん形は違って、宇宙を陽子と電子の形で走り回っていたとビッグバン論者はいう。そして、「光が直進できるようになり、宇宙は透明になる」とある。それがビッグバン説である。

 「宇宙の晴れ上がり」のときから光は光速度で直進するようになった。すると、このときから、物質である地球(まだ軽い元素にしかなっていない段階。ほとんどが中性水素のはず)を置いて、光はさっさとどこかに飛んでいってしまうことになるはずだ。90億年後集まって地球になる、そのときはまだばらばらな分子の形であった地球の前身は光速度で宇宙背景放射になるという光とともに飛ばなくては、この光を見ることができないはずだ。

 たとえば、打ち上げ花火を見てみよう。この光は数秒で消えてしまう。なぜなら、地球は、秒速700kmほどであるが、光は秒速30万kmであるから、さっさと飛んでいってしまうからである。この花火をいつまでも見ようとすると、光速ロケットで飛んで花火の光とともに進まなくてはならない。それか光速より速く飛ぶロケットに乗って先回りして、光が追いついてくるのを見るしかない。

 だから、宇宙の晴れ上がりの光も、地球を置いて、さっさとどこかに飛んでいったはずだ。

 最初は、分子であったから、光速で飛んでいても、45億年前に地球に固まったとき、速度は700km/sになったのだから、あっという間に火の玉の光は通り過ぎていったはずだ。それより、100億年ほど前に、銀河系が形成されだしたころにはもう速度は数百kmほどに落ちていたはずだから、当然そのときに火の玉の光も飛び去っているはずだ。

結論8−5

 なぜいまごろ、火の玉の光が戻ってくるのだろう。どこで反射したのだろう。あるいは何度も屈折してきたのか。ともにありえない話だ。

 これも、火の玉があったとき地球はなくて、今から45億年前にとつぜん今の場所に地球が生まれたと考えているからだろうと推測できる。

 すべての物質は1点で誕生し、飛び散って、やがて星になったという理論のビッグバン論者が、地球は突然ここに生まれたと考えているようなのはどうしてなのだろう。

問題8−6

火の球の光は、いつまで見えているのだろうか。

考察8−6

 電球を10時間光らせる。2009年1月1日午前0時から午前10時までとする。すると、その間光は見えている。しかしその後はもうその光を二度と見ることはできない。

 これを1時間光年先で見るとする。この光は、2009年1月1日午前1時に見え始め、2009年1月1日午前11時に消える。

 これを3時間光年先で見るとする。この光は2009年1月1日午前3時に見え始め、2009年1月1日午後1時に消える。

 これを1光年先で見ることにする。この光は2010年1月1日午前0時に見えはじめ、午前10時に消える。その後は見えない。

 これは当たり前のことだ。

 これと同じように、火の球の光も、30万年光り続けていたら、見え始めてから30万年で消えるはずだ。地球が137億年前からここにあったとしても、爆発の光はやってきたらやがて通り過ぎてしまうはずだから。

 超新星というのがある、何億光年先の超新星でも、必ず見え始めたら、消えるときがある。それは超新星が起こっている時間と一致している。

 137億光年先で137億年前に超新星が起こったら、いま地球でそれを見ることができる。しかし、それもいつまでも見えているわけではない。数週間から長くて数ヶ月で消えてしまう。

 なぜ、火の玉だけは、いつまでも消えないのだろうか。

結論8−6

 これは、ガモフが、火の球の光は今も生きながらえていると言っているというだけで、その根拠となる理由は明記されていないので考えようがない。なぜ火の玉の光だけが特別いつまでも見え続けるのか不明である。

問題8−7

 過去が見えるか 

 アンドロメダ銀河は230万年前の姿を見ている。だから過去が見えるという。

考察8−7

 火の球のとき、地球は火の球の中にあったことは先に書いた。このことをもう少し考えてみる。

 火の玉の光には、地球の前身である陽子や電子が出した分も入っているはずだ。ということは、宇宙背景放射の中には昔地球が出した光が交じっているということだ。

 そこで考えてみる。

 昨日地球があった場所に望遠鏡を向けてみよう。昨日の地球が見えるだろうか。見えないのである。誰だって当たり前だと思うから、そんなところに望遠鏡を向けてみようとしない。

 1年前ではどうだろう。1年前の地球があった場所に望遠鏡を向けても、地球は見えない。これも当たり前だ。

 2億年前ではどうだろう。恐竜時代の地球が見えるだろうか。見えるわけはない。

 では43億年前はどうだろう。出来立ての地球は見えるだろうか。

 45億年前地球があった所を見ると、ガスから、地球が形成されつつある姿が見えるだろうか。見えないのである。もちろん遠いから見えないというわけではない。自分の過去はみえないのだ。ちび丸子の歌じゃないけど、そんなの常識、というものだ

 ではなせ、137億年前地球が出した光だけは、いまも背景放射として見えるのだろうか。1年前の地球は見えないのが当たり前なのに、137億年前の地球が見えるのが当たり前というのはどういう原理からだろう。そんなことはありえないはずだ。

 アンドロメダ銀河の光が見えるのは、230万年前アンドロメダ銀河と地球が230万光年離れていたからだ。だから、230万光年の距離を230万年かかっていま光が届いたから見えているのだ。

 だから,260万年前のアンドロメダ銀河は見えないし、1年前のアンドロメダ銀河の姿も見えないし、昨日のアンドロメダ銀河の姿も見えないのだ。260万年前のアンドロメダ銀河の姿は、30万前地球を通り過ぎて、いま30万光年先を進んでいるのだし、1年前のアンドロメダの姿は、229万9999光年先を、今地球に向かって進んできている。昨日のアンドロメダの姿は、アンドロメダから1日光年のところにあって地球に向かっているのだ。230万年前、地球がアンドロメダ銀河の中にあったら、地球からは230万年前のアンドロメダ銀河は絶対見えないのである。

 火の玉のとき、火の球の場所から137億光年離れた場所に地球があったなら、137億年経ったいま、火の球の光がやっと地球に届くことになって見える可能性がある。ただ、地球が、135億光年の位置なら、光は2億年前に通り過ぎていて、恐竜には見えても人間には見えないことになる。もちろん地球は火の球の中にあったのだから、今火の玉が見えるわけはない。

結論8−7

自分の過去は見えるわけが無い。

問題8−8

「現在見つかっている最も古い銀河は、宇宙誕生後7億年、現在から130億年前というものである」

考察8−8

 以下も、ビッグバン宇宙が正しいとして考える。

 このときの宇宙の大きさを考えてみる。

 光速度で広がったとしたら、半径7億光年の球形の宇宙であるだろう。

 そこで、宇宙誕生後7億年にあるこの最も古い銀河と、数十億年後固まって地球になった物質との距離を考えてみる。

 最も遠いところで、14億光年の距離になる。そこで、このとき最も古い銀河から出た光が、地球に到達するにはどれくらいの時間がかかるか考えてみる。地球の前駆物質がその場で、地球になったときは、130億年前にその銀河から出た光は、14億年後地球に到達する。それは、116億年前の出来事になる。まだ地球は丸くなっていない時代である。すると光は地球を通り過ぎてしまうから、最も古い銀河の光は見えなくなってしまう。

 今見えるということは、地球がその場所から移動しているからと考えれられる。そこで、地球がそのときから、最も古い銀河の光と同じ方向に飛んでいるとして計算してみる。地球の速度をX光速秒とする。光の速さは1光速秒。スタート地点の両者の距離は14億光年離れているとする。

 最も古い銀河からの光が、130億年後地球に追いつくには地球の速度はどれくらいでなければならないかを考える。

光が、地球に追いつくまでに飛ぶ距離は(130+14)億光年

地球が光に追いつかれるまでに移動する距離は130億光年

(130+14)÷1=130÷X

X=130÷144

X=0.903

地球が、平均速度、光速の0.903倍の速度で飛んでいるときに、最も古い銀河が130億年前に出した光が、21世紀の地球にちょうど届くことになる。

 地球がもっと速いと、光はまだ届かず、もっと古い光が届く。地球がそれより遅いと光は通り過ぎてしまい、もっと新しい光しか見ることができない。

 地球はいま、秒速700kmくらいである。光速の9割を超える速度は、夢物語である。

結論8−8

 これもやはり、最も古い銀河が光を出したとき、地球はすでにここにあると考えているからである。宇宙膨張説では130億年前には地球は、その銀河のすぐ傍にあったはずである。

 この考えは定常宇宙論なら成立するが、ビッグバン宇宙では成立しない。すなわち、ビッグバン宇宙では古い銀河の光はもうすでにことごとく地球を通り過ぎているので、古い銀河は観測されないはずである。

 

問題8−9

「全世界で重力波をとらえるさまざまな試みが行われているが現在のところ残念ながら、重力波を観測する技術は確立されていない。」

考察8−9

 このことからわかることは、重力波は存在しない可能性が高いということである。

 同じように、カミオカンデで陽子崩壊の検出ができないことは、陽子崩壊は無いという可能性が高いということである。

 相対性理論の場合、検出が非常に難しいということをアインシュタインが言っていることもあって、検出されないということが、技術が確立されていないということになるが、普通の場合は、検出されないときは、理論が間違っている可能性のほうを問うものである。

結論8−9

 もちろん、宇宙開闢の瞬間を見ることはできない。先ほども書いたように昨日の地球も見られないのに、どうして、137億年前の地球が見られるのか。昨日の過去は見られなくても、137億年前の過去は見られるというのは、観測の正確なところにはなくて非常に不正確なところには現れる現象である。

 今のところ実際の世界にタイムマシーンは存在しない。

 

9「4 宇宙の始まり」

「初期宇宙の困難―初期条件と因果律」

問題9−1

 フリードマンの宇宙モデルには3つの運命があるが、その「膨張の速度を決める存在はなく、物理学によって与えることもできない。そのため「神」を持ち出す人が現れることになる」

考察9−1

 宇宙の始まりは何も分かっていないということである。そればかりではなく、フリードマン宇宙論では、物理学では解決不可能であるということである。すなわちこの理論は根本のところが間違っているから、物理学がお手上げになるところが出てきたのではと思わせる。

問題9−2

 ブラックホールは「外部から観測不可能な時空ができる。ブラックホールはいろいろな情報を吸い込むだけで、特異点に因果を結ぶ曲線が入ってしまったらそれで終わってしまう、つまりそれ以後、何か結果を及ぼすことがないようになる。」

考察9−2

 銀河系の中心にブラックホールがあるという観測結果がある。Sgr Aという星が特定されている。この星の周りを巨大な星がたくさん回転しているのも観測されている。

 このことから、ブラックホールがこの世界の4つの力の内の引力においては外部の世界に対して影響力を行使しているのがわかる。この力は、銀河系のすべてにわたって影響していると思われる(引力は消えることなくどこまでも伝わる)ので、「何か結果を及ぼすことがないようになる。」とはいえない。

 このことから、電磁力も外に出ているのではないかと思われる。電磁力は、引力と相互作用をしないから、いくら引力が巨大でも、それによって作用されないと考えられるからである。強い力と弱い力は到達距離が非常に短いのでもともと外には出ないから、電磁力の問題だけである。これが外に出ないということは仮説であて、観測されたわけではない。

結論9−2

 ブラックホールは特異なものではなく、たんに物質のあるひとつの状態にしかすぎないのじゃないだろうか。

 

問題9−3

「「神」をなくするのが科学の役割とも言えるからである。」

考察9−3

 昔は地球上いたるところに「神」がいた。科学が発達するにつれ、「神」は少なくなり、いまは遠い宇宙の果てにまで追いやられてしまった。人は、人間に解けない謎は「神」のせいにしてきた。今回も、謎がとけたら、神は消えるだろう。

結論9−3

 人間がどれだけの謎を解くことができるか、物理学への期待が高まる。

10 「振動宇宙と特異点定理」

問題10−1

「以上のように、相対論だけでは宇宙の始まりに特異点という問題が残ってしまうのである」

考察10−1

 相対論だけでは、宇宙は説明できないということのようである。そのとおりであると思う。相対論そのものが、実証されていない、仮説にすぎないし、相対論は現実にはあてはまらないのだから、それを基にした理論が現実にあてはまらないのは当然である。

結論10−1

 ここまでの火の玉宇宙理論は、宇宙論の歴史としてみるほかないということのようである。昔、宇宙は亀の背中に乗っかっていた、という宇宙論と同じ仲間であるということのようだ。