見えない物質どう探す(朝日新聞2010,2,9)

(以下、{ }内は朝日新聞からの引用}
へいこく雑記帖
メッセージ

T 暗黒物質

1 宇宙に存在する物質の内訳

 {原子などでできている、光って見える物質・・・・1〜2%}

 {原子などでできている、見えない物質  ・・・・14〜16%}

 {暗黒物質               ・・・・83%}

2 暗黒物質

@ 名前 WIMP

A {重さはあるが、ほかの物質とほとんどかかわらない(未知の)粒子}
B {ウインプは宇宙のある空間にとどまっているのではなく、動き回っていて、地球や私たちの体を素通りしていると考えられている。}

3 暗黒物質のある場所

@「かみのけ座銀河団」(1930年代の観測)

{見えている星の重力だけでは足りず、その何百倍もの物質が必要だった。}

A 渦巻銀河

{暗黒物質が銀河の外側を球状に取り巻くようにある}

B 太陽や地球付近のウインプの量

 {富士山(1兆トン)につき、ウインプは400万分の1グラム含まれているはずだ。}

 

4 考察 

(1) かみのけ座銀河団についての考察

 1930年代の観測技術や、観測機器で見えた物質は今に比べて格段に少ない。典型的な例は、その後、X線探査により、銀河団にはX線を放射する高温のガスが見つかっている。それは、銀河団を埋め尽くしているだけではなく、銀河が観測できる範囲をはるかに超えて高温のガスが広がっていた。

 銀河団は星のある部分より、星のない空間がはるかに広大であるから、この質量はかなりのものになるはずである。

 この高温のガスが見つかったということは、低温の水素ガスも同じように存在することが推測できる。低温の水素ガスは光らないので観測がひじょうに難しいので有名である。当時は当然だが、現在でも、まだ銀河団の中や周辺に観測できていない水素ガスが大量にある可能性が十分ある。

 

 1930年代の観測結果から宇宙を判断するのは非常に危険である。アンドロメダ銀河が銀河系の外にあるということがやっと分かったのが1920年代であることから考えると、この資料がいかに古い資料であるかがわかる。その当時60万光年といわれたアンドロメダまでの距離が、今は250万光年(資料によって、230万光年から270万光年までばらつきがある。いかに宇宙の観測が難しいかが分かる)になっている。宇宙観測技術は日進月歩である。1930年代の使い物にならない資料にいまだに頼っているのはどうしてなのだろう。当時の観測機器で、アンドロメダ銀河よりはるかに遠い、かみのけ座銀河団のどれだけのものが見えたのだろう。非常に疑問である。少なくとも、この数百倍という数値は訂正されていなければならないはずだ。

 

 今後も、観測機器や技術の進歩とともに通常の物質が新たに観測されることが考えられる。この資料でも、観測されたものより、いまだに観測できていないものの方が7倍から16倍もあるということになっている。銀河団の暗黒物質の大半、あるいはほとんどすべてが通常の物質である可能性がある。いや、多分すべてが通常の物質でできていることになるだろう。

 少なくともウインプのでる幕はほとんどなくなるだろう。

 

 

(2) 渦巻き銀河の回転速度についての考察

{「暗黒物質が銀河の外側を球状に取り巻くようにある}ということだ。

 このことから、ウインプは銀河の内部より周辺に多くあることが分かる。

 どうしてなのだろう。{ウインプは宇宙のある空間にとどまっているのではなく、動き回っていて、地球や私たちの体を素通りしている}ということから来るのだろうか。

 ウインプは{重さ}を持っているということだから、銀河の引力と引き付けあっているはずである。銀河は中心に行くほど引力が強くなる。したがって普通の物質は中心にいくほど密度が高くなる。中心には高密度の星であるブラックホールさえあるといわれている。これに対して、ウインプは銀河の外側を球状に取り囲んでいる。万有引力による通常の物質の集まり方とはまるで違う集まり方をするようである。

 朝日新聞に載っている理論では、ウインプは通常の物質の5倍ほどある。見える物質に限ると、41倍から、最大で83倍もある。銀河が星間ガスが集まってできたとするなら、大量のウインプがこのように外側にあるとすると、その重力で銀河の種になる通常のガスは、外側に引き付けられて、球殻状に集まり、今観測されるような、中心に行くほど密度が高くなる銀河になるのは非常に困難になるだろう。

 また、ウインプがほぼ均一にあるとすると、普通の物質の5倍もあるのであるから、そちらの重力の影響が大きくなり、普通の物質は、その重力に引かれて、集まるのが非常に困難になり、宇宙誕生後すぐには銀河ができなくなるはずである。

 銀河は、銀河団の一員である。すると、銀河団に発見された、X線を放つガスは銀河の周辺にも存在するということである。そのほかにも、今まで、銀河に星が観測される限界の外側にも、大きく中性水素のガスの腕が伸びているのが電波望遠鏡で観測されだしている。そして星のある腕の間も星間ガスに満たされているのが観測されているから、この発見された腕の間も星間ガスに満たされているはずである。

(銀河回転の謎解き)

 水素分子を中心としたガスは銀河の中心に行くほど密度が高く、周辺に行くほど薄くなる。しかし、空間の体積は距離の3乗倍で増える。したがって、星間ガスが外側に行くほど薄くなっていっても質量はそんなに急激には少なくならない。銀河の回転が、周辺部でも急激に落ちないのはそのためである。

 また、上に書いたことは、まだ観測できない{原子などでできている、見えない物質}が、観測できた物質の10倍ほどあるという推測とも一致する。それだけあれば通常の物質だけで十分銀河の回転は説明できる。

 これなら、今観測されている銀河の構造に矛盾しない。また万有引力の法則にも矛盾しない。今分かっている物理学で手の出ないウインプという不思議も必要なくなる。

 

 (注:「ウインプは{重さはあるが}という表現について」:ニュートン以前は、物には重さがあるから落ちる、という考え方であった。その考えに対し、ニュートンは、物には引力があるから引き付け合うという考えを示した。これはどのように違うかというと、リンゴは重さがあるから地表に落ちる、というのと、リンゴと、地球は万有引力があるから、互いに引きつけ合う、というのとの違いである。どちらでも同じだ、というのは大きな間違いを生む。リンゴと地球は大きさに大きな差があるから現象は同じに見えるが、地球と月では違いがでる。月はただ地球に引っ張られているだけではない。地球を引っ張ってもいる。汐の満ち干は月が地球を引っ張っている目に見える形だ。人の感覚ではわからないけれど、地球は月の引力のために楕円運動をしている。太陽も惑星の引力のために楕円運動をしている。重いから落ちているのとは違うのである。

 それなのに、今なぜ{重さ}を使うかというと、アインシュタインの重力から来ている。アインシュタインが、ニュートンの万有引力から、また重力に変えたからである。一般相対性理論の根幹である等価原理には、この引き合うという概念はない。等価原理とは、加速度と、重力は同じであるという理論である。加速度は、アインシュタインが言うには、加速するエレベーターの中の人が床に押し付けられるとき感じる力であるという。加速するエレベーターに乗っている人は、床に押されるだけでなく床を押す(慣性の法則)。床と人は互いに押し合っている。等価原理は正しいようである(押し合うと、引き合うではまるで違う現象なのだが)。さらにアインシュタインは思考実験をする。無重力状態の中でこの人が手に持ったリンゴを離す。中の観察者が見ると、このリンゴは、加速しながら床に落ちたように見える。まるで、地上の落下するリンゴと変わらない。すなわち、加速度と、重力は同じである。という理論である。

 ところが、このリンゴは、床と接触するまでエレベーターとは何一つ力関係を持たない。一方的に、床がリンゴに接近するだけである。床がリンゴを引き付けているわけでもないし、リンゴが床を引き付けているわけでもない。エレベーターの動く力は、エレベーターを引っ張っているモーターによるだけである。これに対し、地上で、手から離したリンゴは、地球と、たえず互いに引き合っている。

 落ちるりんごに関しては、加速は、床がリンゴに加速しながら接近していく一方的な力である。万有引力は相互作用である。そこで、{重い}から落ちるりんごが出てくる。{重い}から落ちるりんごには引き付ける力はない。これなら、等価原理は過不足なく成り立つ。

 加速系の中の落ちるように見えるリンゴは、引き付ける力のない{重さ}には一致しても、引き付ける力のある万有引力には一致しない。等価原理は万有引力には一致しないのである。

 したがって、一般相対性理論は、{重さ}、すなわち、重力でなくてはならなくなったのである。このことから重力、すなわち{重さ}が復活したと思われる。さすがに{重さ}を全面復活させるわけには行かないから、重力として、万有引力とさも同じように扱っているが、一般相対性理論の根幹である等価原理のときに限っては、このように、引き合う力のない、一方的に作用する、{重さ}のほうにこっそりすり替えているのである。

 これは、万有引力では{重さ}が出てこないが、重力だと、{重さ}が出てきやすくなる。しかも普通は、万有引力だといっておくことができる。という言葉のトリックである)

 

(3)太陽や地球付近のウインプの量

 地球近辺には地球の、4×1024 分の1の暗黒物質があるという考えである。{富士山(1兆トン)につき、ウインプは400万分の1グラム含まれているはずだ。}ということから、6000000000兆tの地球には、およそ、15万トンくらいのウインプがあると推測できる。すると地球の130万倍の堆積のある太陽では、約1950億トン(富士山の五分の1くらい)ほどあることになる。

 普通の物質の、5倍、観測されている物質(太陽系では太陽や惑星など)の数十倍ほどあるはずのウインプがこのように非常に少ないのはどうしてなのだろう。

 書かれていないので分からないが、これは太陽や地球などの普通の物質が収縮しているのに対して、ウインプは収縮せずに散らばっているからなのだろうか。

 ウインプは{われわれの周囲で1平方センチに毎秒1万個以上も降り注いでいる}計算になるそうである。これは、通常の物質からなる、宇宙線が降り注いでいるのとどれくらい違うのだろう。地球には様々な宇宙線が降り注いでいる。通常の物質起源の宇宙線は観測されている。それらよりも、格段に大量に降り注いでいるだろうウインプが観測できていない。

 このことから、ここの一番の問題は、{1平方センチに毎秒1万個以上も降り注いでいる}はずであるということになる。降り注ぐ数も、降り注いでいるということも、科学的実証は何ひとつないということである。良くいって仮説、悪く言えば空想になる。

 普通の物質ではあるが、よく似た性質(見えない。普通の物質とはほとんど作用しない。少し質量がある)のニュートリノはカミオカンデの観測装置で普通に観測されているのに、これより格段に多いはずのウィンプはどうして今まで観測できなかったのだろう。

 

 他の観点から見ても、太陽や地球の中や周りにウインプは見当たらない。あってもごくごく少量であるはずである。これは、太陽と、地球の公転軌道から、通常の物質以外の重力源がこの両者にはない、あっても軌道には影響しないほど少量であることから判断できる。すると、ウインプは太陽や地球とは互いに重力的に影響しないで飛び回っているということが分かる。また太陽の引力に引かれて太陽の周りや中に多く存在するということもないようだから、普通の物質の重力には左右されないようである。

 また、通常の物質の5倍、見える星や銀河だけに限ると、41.5倍から83倍もありながら、ウインプだけで星や銀河を作ったりもしないことから、ウインプは重力では収縮しない物質であるようである。もしウインプの量に見合った銀河や星があったら、見えなくても重力源となって他の銀河や星の軌道に影響するのが観測されるはずである。たとえば銀河系の周辺に限っても、銀河系が後41個、アンドロメダ銀河が後41個、大、小マゼラン星雲がそれぞれ後41個というぐあいだ。最低でも、この辺りに164個の見えない銀河があることになる。最大だと、なんと332個もの見えない銀河があることになる。ウインプが、収縮できたら宇宙は重力だけの見えない銀河だらけになってしまいそうだ。宇宙の41分の1から83分の1しかない見える物質でできた銀河同士でも衝突している現象が多数観測されているのである。アンドロメダ銀河は、銀河系とそのうち衝突するといわれている。

 ウインプの銀河があると、この近辺でも、ウインプでできた銀河と、通常の銀河がつねに衝突しているはずだ。大変なことになってしまいそうだ。もしウインプの銀河が近くに来たら、それだけで、銀河の形は大きく乱れるはずである。しかしそんな現象は観測されていないから、ウインプでできた銀河は見えないから分からないのではなく、本当にないことが分かる。 このことから、ウインプは重力があっても収縮して銀河や星をつくらず宇宙全域に満遍なくほぼ均一に散らばっているのであろうと推測できる。

 しかし、銀河の外側には集中してあり、銀河団の中では、銀河と銀河の間に存在するというので、太陽や、地球の周りには集まらないが、銀河の周りには集まる傾向があるという、かなり特殊な性質を持っている物質のようである。

 まあ謎の何かであるのだから、通常の物質では考えられないような謎の性質を持っているのだろう。

 ウインプには、もうひとつ面白い性質がある。それは、観測の正確にできるところにはないが、遠くて観測が不正確なところには大量にあるという性質である。

 

 本来は、通常の物質の5倍、見える物質の数十倍もあるはずのものが、このように、近くでは完全に観測できないものであるというのは、謎の物質が存在しないということの証拠になるはずのものであるのだが。不思議な物質だ。

 

(4) ウインプの本当の存在理由

{宇宙の始まりの名残の電波が細かく調べられ、暗黒物質の中に占めるマッチョなどの普通の物質の割合は14〜16%で、残り約83%はウインプらしいことが分かってきた。」

 

考察

 ウインプは電波(電磁波の1種)を出さないことになっているから、この電波は通常の物質が出したものであることが分かる。したがって、ウインプの存在を直接観測したことにはならない。このことから、この考えはウィンプの存在を推測しただけであることが分かる。

 ウインプが存在すると判断した根拠が示されていないのでわからないが、普通いわれているウインプの存在理由は、ビッグバン後かなり早い段階で銀河ができていることになったからだ。ビッグバン理論では宇宙は137億年前にできたのに、100億年を越える昔の銀河が観測されたからだ。普通の物質の重力だけでは、そんなに速く銀河ができるのは不可能だということから、謎の重力源が大量になくてはならないことになった。それがウインプということだ。銀河団の重力の話も、銀河の回転異常の話もビッグバン理論を成立させるために必要な謎の重力を、架空の話から、事実にするために拾い出されたのだ。古い資料に頼っているのもそのためではないのだろうか。新しい資料では、謎の物質はドンドン減っていくからである。

 

 述べたように、ウインプは、新しい観測結果と、ビッグバン宇宙論が、あわなくなったために考え出された産物である。

 ビッグバン理論とはそのような代物である。謎が謎を生む理論である。

 たとえば、モノポール問題というのが生じると、インフレーションという現象を考え出す。一瞬でこの宇宙は小さな点から何百億光年の先まで広がったという。現代の物理学にはあてはまらない謎の現象である。すると物質が集まり銀河を作ることができなくなるので、今度は、インフレーションの後に、もう一度、1からビッグバンが始まって今の宇宙になったという理論が現れる、というように、まるっきり適当なのである。一度目のビッグバンも、インフレーションも、2度目のビッグバンも、科学的証拠は何一つない。単に空想である。

 ここにでてくる、{宇宙の始まりの名残の電波}もそうである。この電波は、一般的に、宇宙背景放射といわれている。これは観測されている。しかし、これが、{宇宙の始まりの名残の電波}である証拠は皆無である。(ビッグバン論者は、背景放射が黒体放射だから宇宙の名残の光である、と、さも、黒体放射が何か特別なことのように述べているが、そんなものは、下に述べるように、どこにでもあるありふれた現象である)ビッグバン理論家が大声で叫んだからそうなったというだけである。

 ビッグバン理論が出る以前から、宇宙には塵があり、その塵はマイクロ波を出しているという考えがあった。宇宙に塵があるのは観測されている。塵は必ず温度を持っている。すると必ず温度に応じた黒体放射をする。物質が温度に応じた黒体放射をするという現象は観測や実験で証明されている。その上、彼らが予想した塵の温度と、実際に観測された宇宙の電波(宇宙背景放射)が示す温度は一致していた。ともに2.7Kの、マイクロ波だった。

 これに対して、{宇宙の始まりの名残の電波}が現在の地球に届くというのは、ガモフという人の推測にしか過ぎない。科学的根拠は存在しない。

 しかも彼が予想した電波は、60Kほどのもので、まるで当たっていなかった。

{宇宙の始まりの名残の電波}といわれるものが、宇宙の塵から出ているとすれば、科学的にかなりの信頼性がある。新たに証明しなければならない原理はない。一方、{宇宙の始まりの名残の電波}とすると、空間が膨張しているという、今の物理学ではとても手の出ない現象を証明しなければならなくなる。また、詳しくは書かないが、137億年前に地球の前駆物質(形の違う地球)の出した光を写真に撮ることになる。これは大昔の地球の姿を撮っているということだ。これは、今、超すばらしい望遠鏡があれば、10年前に地球があったところに望遠鏡を向けると、10年前の地球の写真を撮ることができる、というのと同じことである。いま、10年前のあなたを写真に撮るというのである。ビッグバン論では、10年前の地球を撮ることはできないが、137億年前の地球なら撮ることができるということを証明しなければならなくなる。現在までの物理学では証明不可能な現象がふたつもあるのである。その上肯定的証拠は0である。

 だから、ビッグバン論者は大声でこの背景放射塵起源説の声を聞こえなくさせた。彼らは宇宙論とは関係のない人たちであったから、彼らの声はあっさりかき消された。ビッグバン論者は大声を出すこと以外の科学的根拠を示すことができないのだ。もちろん、いまだに宇宙背景放射が{宇宙の始まりの名残の電波}であることの証拠を示していないし、背景放射塵起源説を科学的に否定できてもいない。無視を決め込んでいるだけだ。

 

V 結論

1 宇宙は普通の物質だけでできている

 上に書いたように、銀河の回転も、銀河団の重力が足りないのも、まだ発見されていない普通の物質で説明できる。{原子などでできている、光って見える物質1〜2%}と{原子などでできている、見えない物質14〜16%}で十分である。

 では、{原子などでできている、見えない物質14〜16%}は何かというと、低温の水素分子を中心とした希薄なガスである。そしてこのガスに混ざっている塵が光りを出している。それが背景放射である。背景放射を、ビッグバン名残の光としたから、原子や分子などでできている見えない質量が大量に発生したのである。背景放射を塵の光とすれば、大量の物質があることになる。すべてをビッグバンに当てはめようとすることからでてきた、解釈の間違いである。

 

 今の宇宙論者は、ビッグバン理論の証拠を集めることに奔走している。宇宙の事実を追求しているのではない。だからビッグバン理論に有利な証拠は、拾い集めるが、不利なものは無視を決め込んでいる。背景放射塵説のように、科学的な否定の証拠を出せないから、無視するしかないのである。

 

 2 ビッグバン理論について

 ビッグバン理論の根拠は下のたったふたつきりである。

@ 銀河が赤方偏移している。遠くなるほど赤方偏移が大きくなる。

 これは、空間が膨張していることである。

A 宇宙背景放射がある。

 これは、ビッグバンの名残の光である。

 

@の、赤方偏移は、空間膨張のために起こっているという科学的証明はない。空間が膨張するという現象も、科学的に何一つ証明されていない。ビッグバン宇宙論者の、証明のひとつもない仮説にしか過ぎない。

 そして、他の考え、たとえば、光は宇宙空間を飛ぶ間に、原子や分子を通り抜けるから、そのためにエネルギーを減じるというような考え方は、光がエネルギーを減じるという科学的証拠がないから、だめだ。だから、空間膨張によって赤方偏移しているといっている。しかし空間膨張の証明がない事は黙っている。

Aの背景放射も、上に書いたように、宇宙の塵の光なら、科学的な証明はできるが、宇宙開闢の光なら、お話としては面白いが、科学的な証拠はひとつもない。かえって否定的証拠ばかりである。

 科学は、仮説が真であるとするためには、実証して証明すること、あらゆる疑問や反論を科学的に解決することが必要である。ビッグバン論者はそれを行っていない。反論できないことは無視である。でてくるのは荒唐無稽な話ばかりである。

 

 ビッグバン理論は科学の要件を満たしていないといえそうである。

 その結果次から次に荒唐無稽な考え方がでてきたのである。

 先の空間が膨張するということもそうである。常識ではそんなことは起こりえない。もちろん科学的には何一つ証明できていない。

 また、1秒より短い時間で、宇宙のすべてが100億光年の距離を広がるという、インフレーションという現象もそうだ。科学的根拠はない。このようなことが起こるわけがない。

 根幹である、針穴より小さい空間から、全宇宙の物質とエネルギーが一瞬より短い時間で生まれた、というのもそうだ。コップから地球が飛び出てきたといったら、誰が信じるだろう。せいぜいコップから出てくるのは、鳩ぐらいだろう。それだって、種があるとみんな知っている。

 太陽はその地球を130万個も集めた大きさだ。銀河は、その太陽を、1000億個も集めている。宇宙にはその銀河が、1000億とも2000億とも分からないほどあるという。それが針穴より小さい穴から一瞬より短い時間で飛び出てくるのだ。その上、その数十倍ものダークマターも同時に飛び出てくるという。

 まさか、ほら話は大きければ大きいほど信じられる、という原理ではないだろうけど、地球が、コップから出てきたというのは信じられなくても、針穴よりはるかに小さい真空から全宇宙が飛び出てくるのは信じるのである。こんなことの科学的根拠はもちろん0である。

 このウインプもそうである。ビッグバン理論では銀河ができるのに時間が足りなくなってしまった。そこで、銀河の収縮を早めるために、重力源が必要になった。そして生まれたのが、ウインプである。少しでは笑われるから、目いっぱい気張って83パーセントとしたのだろう。

 

 ウインプがなにひとつ観測されていないのは、元々そんなものが存在しないからとすれば簡単に説明がつく。ウインプはビッグバン宇宙論者の空想の産物にしか過ぎないのだ。

 

 では、なぜ、ビッグバン論は、こんなに隆盛を極めているのか。

 この理論は、ガリレオによって傾き、ニュートンによって、崩されてしまった、神の神殿(居場所)の再構築だからだ。キリスト教は、われわれの宇宙とは別の宇宙があり、そこに神が居て、神の一撃でこの宇宙が始まった、という考えかたである。ビッグバン理論はこの考えと瓜二つである。しかも常識や科学ではとても考えられないことが次々に起こる。これは人知を超えた、神のみに行えることである。神は科学をはるかに越えているということで、荒唐無稽であればあるほど神の存在はより裏付けられる。神の行いは科学では究明できるような簡単なものではないのである。キリスト教にとってこれほど待ち望まれた宇宙論はないのである。

 

 かつて、カミオカンデは、アインシュタインの予言する陽子崩壊を観測できなかった。誰も大きな声で言えないが本当は陽子崩壊がなかったからだ。今度も、神岡に作られる「XMASS」が何一つ発見できないことを予言しよう。謎のダークマターはないのだから。

 そう、X’masのプレゼントはないだろう。

 平成22年2月23日完  著者 高田敞