「カーナビからはじめる相対論」(二間瀬敏史、NTT出版)について

 

著者 高田敞 (2013年3月28日)



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(以下{ }内は「カーナビからはじめる相対論」からの引用)


主たる問題

カーナビは相対性理論の実証になるか

 

T ここで、考える問題

1 時間の進み方が早くなったGPS衛星は未来に進むか

2 相対論効果によって時間が早くなったとき、搭載している時計を遅らせることで時間を補正できるか?

(相対論効果で時間の速度が変わることと、時計の速度を人為的に変えることとは等価である、は真か、という問題)

3 時間が早くなったら、速度も速くなるか。

4 時間の遅速と、相対性(立場によって動いている方が変わる)の関係について。

5 GPS衛星は、相対性理論が正しいことの証拠になりうるか。

 

U この本が主張している「GPS衛星の時計は相対性理論の証拠である」、という理由。

特殊相対性理論によると、GPS衛星の時計は地球の時計に対して1日当たり7.1マイクロ秒遅れる。一般相対性理論によると、GPS衛星の時計は地球の時計に対して1日当たり45.7マイクロ秒早く進む。と「カーナビからはじめる相対論」にあります。

その結果、{GPSに積まれた原子時計は地上に置かれたものより1日当たり38.6マイクロ秒早く進むことになります。}

45.7−7.1=38.6ということなのでしょう。

この時間差は11kmの差になるということです。

もうひとつ、このとき、カーナビの時計は、{GPS衛星からの電波を受信して、時刻合わせをすることで精度を上げているのです。}とあります。

 

GPSの時計が地上の時計に対して相対論効果により遅れるので不正確になる。{したがって、何も対策を立てなければ、毎日毎日11kmずつ誤差が増えていくことになります。…そこで衛星の時計をこの効果の分だけ遅くして、電波を出すのです。}だから、相対性理論が証明された。ということだそうです。

時計が遅れるのだから、合わせればそれで済む、ということなのでしょう。でも、これでいいのでしょうか。検討してみます。

 

V 考察

1 時間の進み方が早くなったGPS衛星は未来に進むか

{GPSに積まれた原子時計は地上に置かれたものより1日当たり38.6マイクロ秒早く進むことになります。}とあります。

原子時計が早く進むのは、重力と、速度の影響ということです。するとGPS衛星にも同じ重力と、速度がかかっているので、GPS衛星そのものの時間も、原子時計と同じ、{1日当たり38.6マイクロ秒早く進むことになります。}となるはずです。時計のなかった石器時代でも、地球の時間は、地球の速度と重力による相対論効果を受けた時間の進み方で現在にいたっているはずだから、時計の有無とは関係なく、GPS衛星そのものの時間も相対論効果で速くなっていると考えられます。時計の進み方もそれに合わせて速くなっていると考えられます。時計の進み方だけ選択して速く進ませるとは考えられません。これは、時計がなくても、ブラックホールでは、その重力により時間が止まる、とか、太陽は、1年で1分時間が遅れるとか相対論者が述べていることからもうかがえます。

このことから、GPS衛星も、{1日当たり38.6マイクロ秒}づつ、地球より未来に進んでいるということがわかります。10日で、386マイクロ秒地上より未来にあるということになります。未来に行くのだからGPS衛星は一種のタイムマシーンだということです。人類もタイムマシーンを作ることができるようになったということです。素晴らしいことですね。

相対性理論が正しいとすると、そうなるはずです。

 

2 相対論効果によって時間の進み方が速くなったとき、搭載している時計を遅らせることで補正できるか?

(1) 時計は本当の時間を変えられるか。

この本では、GPS衛星の時間が相対論効果で速く進むので、時計の速度が速くなる。その速く進む分だけゆっくり進む時計を乗せると地球の時間と同じになるという主張です。

もちろん時計の指す時間はそれで合います。しかし、GPS衛星の本当の時間は変わるのでしょうか。

一般的には、時計の針の回転を速くしても、遅くしても、本当の時間は速くも遅くもなりません。遅刻しそう、というので腕時計の進み方を遅くしたら、間に合うなどということはありません。待ち合わせの時間が待てないから、時計の針を速く進めても、早く会えるわけはありません。

GPS衛星の時計を遅くしたからといって、GPS衛星本体の時間が遅くなるわけはありません。

時計の針の回転速度はいくらでも変えられます。しかし、それで本当の時間が変わったという現象はいまのところ地球上においては例がありません。反対に変わらないという例ばかりです。疑問なら試しに時計の針を回してみしょう。針の位置は変わっても、本当の時間は微動もしなかったでしょう。

相対論が正しいとするなら、相対論効果で時間の進み方が速くなったGPS衛星本体は、衛星の時計を遅らせても地上よりどんどん未来になっていきます。これを止めるには、相対論が正しいならば、重力と速度を地上と同じにするしか方法はないはずです。相対論以外に時間の速度が変わるという理論はいまのところどこにもありません。もちろん、時計の速度を変えると時間の速度が変わるという理論も実証もありません。

相対論者は、基本的に時間は時計の針であると思い込んでいます。ガモフも、特殊相対論効果で遅れた時間を取り戻すために、腕時計の針を指で動かして合わせて、元どおりの時間になったと言っています。特殊相対論効果で時間が遅れることと、時計の針を指で動かすことが、同じ意味を持っているのです。これはあきらかに間違いです。

もし、ガモフや、この本の主張が正しいとしたら、相対論効果は、指で動かす時計の針と等価である、ということになります。あの世界一難解と言われている相対性理論が、何のことはない、時計の針をくるくる指で回すことと等価であるということなのです。なんだ、相対論はそんなことなのか、です。

時計の時間の進み方を変えたら、本当の時間の進み方も変わるという主張をしているのが、相対性理論を信奉している科学者たちです。相対論者は、時計の進み方を変えると本当の時間の進み方も変わるということを思考実験(手前みそ妄想実験)ではなく、実際の実験で示す必要があります。まあ、アインシュタインも無理でしょう。アインシュタインは、相対論の実証を何一つ自身ではしていないのですから。でも、時計の進み方を変えても時間の進み方は変わらないという実験なら誰でも簡単にできますよ。

(思考実験が手前みそ妄想実験である例:光時計

相対論者の思考実験では、光時計の光は床と天井をまっすぐ往復すると言っている。しかし、実際には光行差という現象が観測されている。光が観測機器の速度に応じて観測機器に対して斜めになる現象である。思考実験では直行する、というのが相対論者だ、しかし、事実は斜行している。このように、事実と思考実験は異なる結果を生む。どちらが正しい実験か。事実が正しいに決まっている。思考実験は相対論のいうとおりの結果を妄想するのだから相対論のいう通りの結果が出るのは当たり前である。科学者なら事実を直視しなくてはならない)

(2)未来を見る

{GPSに積まれた原子時計は地上に置かれたものより1日当たり38.6マイクロ秒早く進むことになります。}

この本では時間は時計の進み方と限定しています。なぜなら、本当の時間だと、説明ができなくなるからです。都合のいいことだけ取り上げ、都合の悪いことは知らんぷりをするという、アインシュタイン元祖の相対論特有の論法です。

しかし、相対論が正しいとするなら、上に書いたように、GPS衛星の時間も、{1日当たり38.6マイクロ秒早く進むことにな}るはずですから、GPS衛星は毎日、地球より、38.6マイクロ秒ずつ未来になっているということです。

カーナビは未来にあるGPS衛星から発射された電波を現在にいる車で受信しているということです。

(注:相対論では、現在という共通の時刻は存在しません。車は、それぞれに違う速度や重力で走っていたはずですから、車によって、時間の進み方は異なっているはずですから、車ごとに時刻は違っています。もちろん地表とも、運転手とも、指している時刻は異なっています。相対論者は、それは非常に小さな差だから無視していいといっています。普通の速度や重力では、ニュートンで大丈夫であると言い訳しています。ではどれくらいの差から認めるのでしょうか。この本では38.6マイクロ秒、11kmの差は認めていますが、車の相対論効果による時間差は無視しています。車の場合は小さすぎるというのでしょうか。それとも都合が悪いからでしょうか。まあ、基準は相対論の都合次第ということなのでしょう)

望遠鏡で、GPS衛星を見てみましょう。あれは未来にある衛星なのです。すごいことです。未来が見えるのですから。相対性理論の思考実験ならそうなるのでしょうが、GPS衛星が実際に未来にあるということはありません。現在の地球上空に浮かんでいます。事実とは相いれません。思考実験が正しいのか事実が正しいのか、理論が正しいのか事実が正しいのかの2者択一です。私は理論が間違っていると思います。相対論者は、20世紀最大の天才の理論に間違いはないというのでしょうが、私たちに未来が見えるということはありません。

(宇宙ステーションも、人工衛星だから、時間が地上より速く進んでいるはずです。だから、地上より未来の時刻にあるはずです。スペースシャトルは、現在の地球から未来の宇宙ステーションに宇宙飛行士を運びます。宇宙飛行士は、未来の宇宙ステーションに着いて、そこで、何カ月か過ごします。そして、未来にある宇宙ステーションから、今の地上に戻ってきます。スペースシャトルは、今と未来を行き来する、タイムマシーンです。また、宇宙飛行士は、宇宙ステーションにいる間に相対論効果で地上より時間が速く進み少し未来になります。帰ってきた宇宙飛行士の時刻は未来を指しています。「未来」にいる人が「今」にいます。不思議な現象です)

(3) GPS衛星の時間合わせが正しいとする

相対論効果による時間の速度の変化は、時計の速度の調整で補正できるということです。

GPS衛星の時計を遅くすると、GPS衛星の時間の進み方が遅くなるということです。

時計の遅速と、本当の時間の遅速は一致するという理論です。すると、時計の針の速度を上げると、時間は早くなり、針の速度を遅くすると、時間も遅くなるということです。

そこで実験してみましょう。

腕時計、壁の時計、庭に日時計の3つです。

まず、腕時計の針を早く進めてみましょう。すると、時間がほかの二つに比べて、どんどん進んでいきます。腕時計をしている私はどんどん未来に進んでいきます。

すると、住む家は過去に取り残されてしまうので、住むところがなくなります。(これは、GPS衛星の時間がどんどん進み、地球の時間と合わなくなるという、この本の主張と同じ現象です)そこで、今度は、壁の時計も腕時計と同じ速度にします。壁の時計とともに、それにくっついた家もどんどん未来に行きます。これで、住む家がなくなるということは無くなりました。よかった、よかった!

しかし、地球が過去に取り残されてしまいます。そこで庭の日時計の時間を変えます。ところが、できません。日時計の時間を早く進ませるには地球の自転速度を変える必要があるのですが、今の科学では、地球の自転を変えることはできません。遠い将来地球の自転速度を自由に変えられるときには、日時計の時間も自由に変えられるでしょうが、それまでは、日時計の時間の速度は変えられないので、日時計は現在に残ってしまいます。日時計を固定してある地球も残ってしまいます。未来に行った私と私の家はどこに立ったらいいのでしょうか。困ったことです。(注;日時計の方を動かせばいい、という考えもあるが、それでは日時計ではなくなります。ただの影です。時計だって、本当は勝手にくるくる針を回したら、それはもう時計ではないのですがね。ただの回転するブリキの針にすぎないのですが)

それでは困るので現在に戻りましょう。簡単です。ガモフや、GPS衛星の時計を合わせたのと同じように、腕時計と壁の時計を、地球の時刻を指している日時計に合わせればいいのです。といっても、先に進めてはいけません、未来にいってしまいますから。ちゃんと、行き過ぎた分針を戻して日時計に合わせます。すると、ちゃんと現在に戻ります。めでたしめでたしです。

そんなあほな、と普通は思います。しかし、ガモフは、時計を回して、遅くなった時間を取り戻しています。GPS衛星でもこの方法で、何もしないと未来に進んでいく衛星を現在に引きとめている、とこの本では主張しています。これが相対論の手品です。

たとえば、GPS衛星の時間が早く進み、どんどん未来に行ってしまうのを、搭載している時計の時間をその差に合わせて遅くすることで、GPS衛星を現在にとどめておけるということが本当なら、GPS衛星の時計をもっと遅くすると、GPS衛星は地球より過去に行ってしまうということです。反対に速くすると、GPS衛星はもっと未来に行ってしまうということです。GPS衛星はタイムマシーンです。

こんなことは起こっていません。

時計をゆっくり進ませると、時計の針はゆっくりになります。しかし時間がゆっくりになるわけではありません。

時計はタイムマシーンではありません。ところがGPS衛星では時計がタイムマシーンだというのです。

まあ、1年で0.001489秒です。普通の時計だと、1月で1秒くらい普通に遅れたり進んだりしますから、誤差の範疇にも入りません。誰もGPS衛星が未来にあるなんて気が付かないでしょう。でも、未来から電波が届く、未来にある人工衛星が見える、でいいのですか?

 

付記1 時計の時間と本当の時間

この本では、カーナビ本体の時間の進み方は一言も出てこず、カーナビの時計のことしか述べていないので、本当の時間は関係ない、時計の時間が本当の時間だ、というのが相対論の考え方かもしれません。

これは根本的に間違っています。時計は、地球が1回転自転する間に、短針が2回転する機械にすぎません。本当の時間とは関係がありません。たんに、地球の自転数を測る機械なのです。だから時計=本当の時間という考え方はできません。

相対論者も、相対論効果で太陽の時間の進み方が変わると述べています。太陽に時計はないので、時計がなくても時間が変わるということです。相対論者も、時計の進み方だけでなく、時間そのものの進み方が変わると考えているようです。

付記2 異なる時間の進み方が累積されると大きな差が生まれる。

相対論者は、太陽は地球より相対論効果(GPS衛星と同じ原理)で1年1分遅れるといっています。このことから、太陽系ができてから46億年の間に、太陽は地球より46億分(約8750年)遅れていると考えられます。地球と太陽は、今、同時刻ではないということになります。8750年過去の太陽から出た光が8分後に地球に到達するという摩訶不思議な現象が起こっています。紀元前6737年の太陽から出た光が、紀元前6737年の地球に降り注ぐのではなく、紀元後2013年の地球に降り注いでいるのです。太陽の光は、タイムマシーンに乗り、8750年の時間を8分で飛び越し、現在の地球にやってきているのです。地球にやってきた太陽の光の一部は反射されて太陽に戻っていきます。今度は8分の間に、8750年の時間を逆にさかのぼって、過去の太陽に到達します。ものすごい現象です。こんなことがおこってるわけはありません。

太陽には時計がないので、GPS衛星のように時間合わせをすることはできません。また、太陽の時間を地球の時間に合わせたという記録も観測もありません。

相対論者は、この現象について、科学的に説明する必要があります。

また、46億分の時間差は、GPS衛星と地球の距離の差11kmから考えると、約5億天文単位くらいの距離の違いになります。46億年の間に、地球と太陽は相対論効果により、それくらい離れてしまっているのです。しかし、実際は、今も地球太陽間は1天文単位のままです。

 

3 時間が早くなったら、速度も速くなるか。

 GPS衛星と地球の時間差は11kmの差になる、ということです。

 理由は書いてありませんので推測してみます。たとえば、秒速10mの車が2台あるとします、こちらが1秒の間に、あちらの車が相対論効果で2秒進むとします。すると、こちらが1秒たって10m進んでいる間に、あちらは2秒進んでいるのだから、20m進んでいることになる、ということなのかなと解釈します。

すると、GPS衛星は時間が速く進むために、毎日、地上と同じ時間の進み方だと存在するはずの場所から、11km場所が変わるということになります。

すると、GPS衛星の時間が速く進むと、地球に対するGPS衛星の速度も上がり、本来の位置より先に進んだり、遠心力で地球から遠くなったりするはずです。そのことはこの本には書いてありませんが、10日で110kmです。これをどういう風に補正しているのでしょう。毎日、ロケットを噴射してブレーキをかけているのでしょうか。それについても何も書いていないので、おそらく何もしていないのでしょう。なにもしなくても、位置は変わらないようです。時計を補正しているから大丈夫なのでしょうか。するとGPS衛星の時計はそれに接触している衛星の時間も遅らせる効果があるということなのでしょうか。GPS衛星の時計を遅らせると、11kmの差はなくなると書いてある所から判断すると、時計を遅らせることで、速度の変化もなくなるということのようだから、やはり、GPSの時計の遅速が衛星の時間の遅速に一致しているということのようです。上に書いたようにそんなことが起こるはずはありません。

 ではなぜ、相対論効果で起こるはずの11kmの距離の違いは衛星に現れないのでしょうか。

まあ、そんなことは考えなかったのでしょうね。時計が狂うから、それに合わせて、カーナビの距離も狂うはずだということなのでしょう。実際に、GPS衛星の位置が毎日11km動くということではないのでしょう。だから、時計さえ合わせたらいいというくらいなのでしょう。相対論とはせいぜいそんなもので、いつも思考実験という妄想の中にしか現れないのです。計算上では11kmの差が出るから、カーナビの画面(バーチャル空間)には出ると思考実験では思いこんでいるが、実際の人工衛星には何一つ変化がないということなのでしょう。カーナビの画面は、人が作る映像にしかすぎません。アニメーションです。思考実験の類です。

 これも、本当の時間と、時計の時間との関係をはっきりさせてからでないと話になりません。でも、相対論者は、時間とは時計の針なのだから、言ってみても仕方がないかもしれません。相対論者に、本当の時間とは何かということに答えられる人は一人もいないのですから無理でしょうけど。

 

4 時間の遅速と、相対性(立場によって動いている方が変わる)の関係について。

 特殊相対論から考える(P10)

{どちらから見ても、相手の時間は遅れ、空間が縮むのです。}とあります。

考察

 この本では地球から見るとGPS衛星の時計が遅れることになっています。だから、45.77.138.6ということになります。しかし、10ページには、どちらから見ても相手の時間が遅れるということが書いてあります。したがって、GPS衛星が、地球時間に合わせようと地球を見ると、地球が動いているので特殊相対論効果で、動いている方の時間が遅れるので、地球の時間の方が遅れることになります。

 すると、今度は、45.77.152.8になります。GPS衛星は、時計を1日当たり52.8マイクロ秒遅くしなければなりません。

 どちらをとるのでしょうか。この本では38.6マイクロ秒をとっていますが、そちらをとる根拠は示されていません。

 アインシュタインの相対性原理の根幹はその名が示すように相対性原理です。どちらが動いているかは決められないという考え方です。基準によって速度は変わるという考え方です。光の速度以外はどちらが動いているか決められないといっています。

 しかし、GPSシステムでは速度は決定されています。動いている方はGPS衛星に決定されています。自己矛盾です。まあ、都合のいいことだけしか取り上げない、というのが、相対性理論の方法論の根本原理ですから、そういうことも有りなのでしょう。でも矛盾は矛盾です。

 

 

5 GPS衛星は、相対性理論が正しいことの証拠になりうるか。

GPS衛星の時計は、相対論効果があると信じている学者が勝手に時計を遅くしているだけです。GPS衛星は、時計とは関係なく現在にいます。未来にも過去にも行っていません。証拠は、望遠鏡で見えるからです。電波も届いているからです。人間は今のところ、未来を見ることはできません。未来からの電波も受け取れません。もちろん未来に行く乗り物、タイムマシーンも作ることはできていません。だからすべての人工衛星は現在にあるといえます。相対論効果は人工衛星には働いていないということです。

 

しかし、相対論効果がないと仮定すると、遅くしたGPS衛星の時計が狂っていることになり、GPSで正確な位置が出ないといえそうです。しかし、カーナビの時計はGPS衛星の時計に自動的に合うようにしてあるということですから時計同士は合っています。また、GPS衛星は、時間の遅速と関係なく、地球上空の同じ位置にいるようです。相対論効果によって衛星の位置が11km変わるということではないようです。そして、衛星も、地球も「今」という同じ時刻にいます。(注;相対論者がなんと言おうとも、地球の時刻も、人工衛星の時刻も、同じ「今」です。太陽は過去にありません。月は未来にはありません。太陽系はみんな同一時刻にあります。地球の時刻が2013218日で、上に見える人工衛星の時刻が、2013523日ということはありません。その違いがどんなに短い時間でもです。太陽の時刻が、紀元前6737年にあり、月の時刻が、紀元2159年を指しているということはありません。すべては「今」にあります。すなわち同一時刻です。思考実験という空想世界の中では相対時間で動いているのでしょうが、実際の現象はニュートンの絶対時間で動いています。)

以上から、このシステム(遅く進む時計を積む)でも、距離に狂いはなくなります。時計を、日本の標準時に合わせようがイギリスの標準時に合わせようが、インドの標準時に合わせようが、互いの時計が合っていれば、待ち合わせには大丈夫なのと同じで、カーナビの時計とGPS衛星の時計とが合っていたらそれで十分です。GPSの時計が、グリニッチ標準時を指していようが、明石標準時を指していようが、統一していたらそれで十分です。

カーナビの時計を遅く進むGPS衛星に合わせてあるから時計が狂っていることに気が付くかもしれません。でも大丈夫です。地球の標準時との時間差は、5年で、0.070455秒です。この違いは肉眼では確認できません。もちろん、小数点以下は普通表示もされません。一般の時計は、もっと大きく標準時との違いが出ます。これくらい気が付く人はいません。

ということで、相対論の補正は、科学者の勝手な妄想から行っていることだといえます。これで、相対論が証明されたとはとても言えません。かえって、未来にあるはずのGPS衛星が、なぜ、現在の地球に電波を送っているのかという、大きな問題が生じさえします。

未来にあるGPS衛星が見え、未来からの電波が現在の地球に届いていると相対論学者は言います。そんなことは起こっていないと思います。したがって、GPS衛星は、相対論の証明にはならないばかりか、反証になるといえます。

 

 

追記

問題1

P24{たとえば音は空気の振動が伝わる現象なので、静止した空気中での音の速さが分かっていれば、音の速さを調べることで音源が空気に対してどれだけの速さで運動しているかがわかるでしょう。}

考察

これは明らかな間違いです。中学校では、音は音源の速度にかかわらず、空気に対して、一定の速度(音速)になると習います。温度によるが、およそ340m/秒です。

これは、地上に立っている人が吹くラッパの音も、音速で飛ぶジェット機の出す音も、空気中では、音を伝える空気に対して340m/秒で伝わるということです。だから、伝わってきた音の速度を測っても、どれも340m/秒だから、そこから、音源の速度は出てきません。

 これは相対性理論では正しいかもしれませんが、中学校の物理では明らかに間違いです。

問題2 もし音源の速度を測りたいなら

 音源の速度を測るにはドプラー効果で測らなければなりません。音源の空気に対する速度によって、音はドップラー効果を起こします。近づいてくるときは高く、遠ざかるときは低くなります。だから、最初に出した音の本来の高さがわかっていれば、観測した音の高さと比較して観測者に対する音源の速度がわかります。しかし、これは空気の速度(風)によっても変わるので、正確に測定するのはなかなか難しいかもしれませんがかなりの精度でわかります。最初にドプラー効果を証明した時のように、トランペットでやれば、音源の高さがわかるので、いいのではないでしょうか。

 この方法は、宇宙観測でも使われています。光のドプラー効果の利用です。 

 系外惑星の探査で、星の揺れを見つけるために使われています。星が近づくときは星の光は青色に、遠ざかるときは赤色の方に変異します。これは光源と光が相対速度を変化させているということの実証になります。

また、宇宙背景放射は、地球の進行方向から来る光は青色に、後方から来る光は赤色に偏移しているということです。この観測から、地球の背景放射に対する速度が計算されています。これは、観測機械と光の相対速度が変化しているということの実証になります。光速度不変の原理(光は何物にも光速度である)を否定する現象です。

 光速度不変の原理の証拠の、マイケルソン・モーリーの非常に微妙で、検証実験でも正否がいまだに分かれているのとは大きな違いがあります。(相対論者は確定しているというけれど、否定的結果が出た実験もあることは否めません。アインシュタインは都合の悪いことは知らんふりしたけれど、現代科学の方法論は都合の悪いことを真っ先に取り上げなければならないことになっています。