「重力とはなにか」(大栗博司著)への手紙27

  著者 高田敞





(以下{ }内は上記本よりの引用)

問題1

{重力波はすべてを貫通し、一度発生すると減衰することはないため、宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後の姿が見えるだろうと考えられています。}

考察

これはビッグバン宇宙論にのっとっていると考えます。

 ビッグバン宇宙論では、宇宙のすべてはビッグバンで誕生したという理論です。なにが生まれたかというと、空間、時間、今宇宙にあるすべての物質、エネルギー、ダークマター、ダークエネルギーです。それと、ヒッグス粒子も生まれたのでしょう。その、最初にビッグバンで生まれたものが変化して今日の宇宙ができたという理論です。すなわち、ビッグバン後には何も生まれていないということです。

 すると、地球も、形は違っても、ビッグバンと共に誕生しているということです。それが46億年前に形が変化して、今の地球の形になったということになります。

 そこで考えてみます。{宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後}にはすでに、地球はそのビッグバンの中に存在したということです。すると、地球(形は違う)も他の宇宙の物質に混じって重力波を出していたと考えられます。地球もそこにあったはずなのですから。

 {人工衛星を使って、宇宙空間で重力波を観測する計画もあります。日本のDECGO計画もその一つです。それによって見えるのは、宇宙誕生後の姿です。}そして、{宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後の姿が見えるだろうと考えられています。}ということです。

 {宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後}に地球が出した重力波を137億年(ビッグバン宇宙論の宇宙年齢)後の地球で観測できるということです。生まれたての地球の姿を成人した地球が見るということです。それは、自分が生まれた姿を、大人になって、もう一度直接見ることができるということと同じです。写真や、ビデオで見るということではありません。直接です。人間の場合不可能です。

 では地球では可能か考えていきます。

 {重力波はすべてを貫通し、一度発生すると減衰することはない}ということです。また波であることから、発生源から、四方に広がって伝わっていくと考えられます。{重力波はすべてを貫通し}とあることから、何があっても突き抜けて四方に広がり、海の波のように岸にぶつかって跳ね返るということはないと考えられます。

 このことから考えます。宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後}に地球が出した重力波は、四方に広がっていきます。地球から遠ざかっていきます。跳ね返ってくることはありません。重力波は光速ということです。地球はそれより、かなり遅い速度です。現在宇宙背景放射に対して、数100キロ秒です。地球がいくら頑張っても光速で遠ざかっていく重力波には追いつけません。137億年後、重力波は、地球から、はるか遠く、130数億光年先(137億光年−地球の速度×137億年)を地球から光速で飛び去っていることでしょう。

 地球以外の重力波はどうでしょう。{宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後}の宇宙は、点であったと考えられます。すると、他の物質の出す重力波も地球と同じ位置から出ていると考えられます。したがって、それらの重力派も、今、地球から、130数億光年先を光速で遠ざかっているはずです。

 ビッグバン宇宙はまだ定まっていないようです。{宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後}の宇宙の大きさは、どれくらいかというのは人によってまちまちです。ピンポン玉ぐらいとか、いやこの今の宇宙より大きいとか。

ノミと、像を比べると、その大きさの違いは歴然としています。それが、ピンポン玉と、この宇宙より大きい、という差です。すなわち、大きさについては何にもわかっていないということです。

 それをもとに重力波を考えても仕方がなさそうです。ただこの宇宙より大きく広がっていたら、まとまって重力波を出すことはできないはずです。ある地点の重力波が10億光年離れたところの物質に伝わるには10億年かかるのですから。100億光年離れた所には、100億年かかるのですから、宇宙誕生から137億年では重力波を一緒に出しましょうという情報の伝達は不可能です。

 またピンポン玉の大きさでは、一斉に重力波を出せますが、上に書いたように、それを今の地球が観測するのは物理的に不可能です。銀河系くらいの大きさでも不可能です。

 すなわち{宇宙誕生の≪10億×10億×10億×10億≫分の1秒後}の宇宙が小さくても大きくても重力波の観測はできないということです。

 

結論

 何が間違ったかというと、簡単です。地球が46億年前にこの場所で誕生した、という考えが根底にあることです。だから、地球はビッグバンの場所から、137億光年離れていると考えているようです。ビッグバン論者がビッグバン論を証明するためにビッグバン論に反した仮定をしているということです。これは、宇宙背景放射についても同じです。