「重力とはなにか」(大栗博司著)への手紙17


   著者 高田敞






(以下{ }内は上記本よりの引用)

問題

{私たちの三次元の空間で、地球が太陽のまわりを回り、月が地球の周りを回っているのも、空間や時間の歪みのせいで運動の方向が曲げられているのです。}

考察

地球や月は、曲がった空間に沿って動いているということのようです。ということは、月の軌道のあるところの空間は月の軌道に沿って曲がっているということです。するとそこん、地球上で作った立方体を持っていくと、空間の曲がりに沿って曲がるということです。ところが、地表の方が月の軌道上より、重力は強くなっています。すると、地表の方が、空間の曲がりは大きいということです。今地表にある立方体は、空間が曲がっていないところに持っていくと、{魔法の帽子}の曲がった線が直線になったように、形が変わるのでしょうか。それは、{三次元空間の住人である私たちには、空間がどのように歪むのかイメージすることができません}とあるように、フラットランドの住人が認識できなかったようにこの三次元の人間には認識できないことなのでしょう。ではどうして、曲がった空間によって曲がった月の公転を観測できるのでしょうか。軌道も計算できます。

これは、曲がった空間に沿って曲がるという事を、イメージするどころか、実測できるということです。三次元では曲がった線なのに2次元のフラットランドの住人には直線としか見えないというこの本の主張とは違います。この本の主張通りとするならフラットランドの住人と同じように、私たちには、空間の曲がりで曲がっている月の軌道は、直線にしか見えないはずです。フラットランドの説明とは明らかに違う現れ方をしています。
もちろん、エディントンの観測した、星の光も、空間の曲がりに沿っているというのだから、この、{三次元空間の住人である私たちには、空間がどのように歪むのかイメージすることができ}ないように、曲がりは認識できないはずです。

結論

架空の世界を持ちだして説明しても、現実とは食い違うということです。せめて、つじつまくらいは合わせてほしいものです。月は、空間の曲がりで曲がっているのではなく、万有引力と、慣性の法則で曲がっていると考えると何の矛盾もありません。アインシュタインでは矛盾が出るが、ニュートンなら、簡単なことです。

原因は簡単です。重力は空間の曲がりだという思い付きです。特に、その「空間」です。「空間」とは何かということが何ひとつ解っていないからです。空間の構造が解っていません。空間が曲がる原理が解っていません。物質と空間が相互作用をする仕組みももちろん解っていません。解っていることは何一つありません。たった一つもないのです。だからSF小説を借りなくては説明できなくなっているのです。そろそろ、空想科学から、科学に立ち戻ってもいいんじゃないでしょうか。