Newton2010,5の4
{質量(動かしにくさ)を失うことによる「加速」



著者 高田敞

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1 問題

{質量(動かしにくさ)を失うことによる「加速」}は実際の現象として起こるか。

 

・ {発光器は,光(エネルギー)の放出と引き換えに,質量,すなわち「動かしにくさ」を失った。}

・ {光を放出することによる「減速」と、質量(動かしにくさ)を失うことによる「加速」がつりあえば,Bさんから見ても発光器は箱の中で静止したままでいられることが説明できます。}(注:今まで書いたように、本当は光を放出することによる「減速」はおきません。ここでは質量を失うことによる、「加速」があるかについて論じます)

・ {「エネルギーLの光を放出することで物体が失う質量」をmとすれば,この関係は、m=L/Vとあらわせます。}

 

2 考察

 光が放出されると、箱がBさんに対して動いている速度に比例して、発光器を押す力が生じる。するとそれと同じ大きさの反対の力が生じるというのが、アインシュタインの主張である。そして、そのエネルギーは、質量が減ることによって生じるというのである。

 このとき、3つの問題が生じる。

 一つは、光が出たことで、光が、発光器にどのような影響を与えて、光が押す力と同じ大きさで向きが反対の力を生じさせるかである。

 二つめは、{質量(動かしにくさ)を失うことによる「加速」}はどのような仕組みで起きるのかである。 

 三つ目は、どのような化学反応によって、質量が押し返すエネルギーに変化したかである。

(1) 質量をエネルギーに変えるスイッチはどのように入るのか。

 この理由については、発光器が静止するためには必要だという理由しか書いていない。これは科学的理由にはならない。たんに情緒的理由にしか過ぎない。科学では最も排除しなくてはならない考え方だ。

 光が、発光器に、加速のための、質量をエネルギーに変える科学反応を起こさせるスイッチを入れる仕組みを明記しなくてはならない。

 なぜ書いてないか。そのような科学的仕組みは現実世界には存在しないからである。もちろん、仮想実験の中でも、この、質量を、エネルギーん換えるためのスイッチを入れる方法は存在しない。

(2) {質量(動かしにくさ)を失うことによる「加速」}はどのような仕組みで起きるのか。 

 車は、タイヤが地面を押すことで、加速する。飛行機は、プロペラが、空気を押すことによって加速する。ロケットは、気体を後ろに噴出することで加速する。

 では、この発光器はどのような仕組みで加速するのであろうか。作用反作用の法則から、加速するには何かを押さなければならない。(溶鉱炉の中がいくら高温(大きなエネルギーを持っている)になっても溶鉱炉は加速しない)この発光器は、質量から発生したエネルギーを何らかの形で噴射したり、あるいは、箱を押したりはしていない。発光器には、車や、プロペラや、噴射装置は付いていない。加速装置は付いていないのである。ではどうやって加速するのか。その方法を明記しなくてはならない。それがない。

 実際の世界では、加速装置のない発光器はいくらエネルギーがあっても加速できないのである。

(3) 質量をエネルギーにする 

 質量をエネルギーに変えるのはひじょうに難しいことだ。核分裂反応はひじょうに大掛かりな装置を必要とする。核融合もそうだ。そしてそれを制御するのも非常に高度な技術がいる。

 ところが、ここではいとも簡単に質量がエネルギーに変化している。それも、特別な装置も、作業もいらない。動いている箱の中の発光器がただ光を出して、それをBさんが待ち受けていればそれだけで発光器の質量がエネルギーに変わっている。それも、光が押す力にぴったりの大きさと向きのエネルギーが生じるのだ。完全な制御がなされている。発光器のどの部分が、どのように化学反応をして質量をエネルギーに変え、それをどのような方法で制御しているのだろう。ここではそれについては一言もないので分からない。

 なぜ一言もないか。そんな反応は実際の世界では存在しないからである。

 車がライトをつけて走ると信号待ちをしている人に対する速度に応じて、光はライトを押す。するとライトは質量をエネルギーに変換して、ライトを押し返す。ライトは質量を失うことになる。ライトのどこの質量が、どのような化学反応を起こして、質量をエネルギーに変えているのだろう。フィラメントだろうか。それとも車全体だろうか。タイヤは回転しているから、速度が違う上に加速系だから、エネルギー変換の仕組みも違うのだろうか。

 家庭の蛍光灯も地球と共に動いているから、毎日質量をエネルギーに変えていることになる。しかもかなり高速だから、かなりの質量をエネルギーに変えていることになる。人も、赤外線という光を出しているから、毎日、質量をエネルギーに変えていることになる。体のどこの部分が、化学反応を起こして、質量をエネルギーに変えているのだろうか。

 

結論 

 以上のように{発光器は,光(エネルギー)の放出と引き換えに,質量,すなわち「動かしにくさ」を失った}という化学反応はこの世界には存在しない現象である。空想の世界の絵空事である。

 仮想実験だから、何でもありなのだろうけれど、実際には存在しない現象を持ち出して生まれた理論は、架空の理論にしか過ぎない。すなわち、m=L/Vという式は架空の現象から生まれた架空の式であるといえる。架空の現象で、この世界の物理現象を説明することはできない。この式は間違っているといえる。