うるう秒

相対論2012年表紙

著者 高田 敞

 うるう年の今年(2002年2月5日)うるう秒を入れて、時間を1秒遅らせたという。

 これとよく似たことに、全地球方位システムを担っている人工衛星の時刻も、速度により相対論的遅れを生じるために時刻を合わせるという。これが相対性理論の証拠の一つという人がいる。雑誌、「ニュートン」もその一つだ。

 このふたつは似て否なるものである。比較してみよう。

1 時刻を合わせる意味の違い

ア うるう秒

 グリニッチ標準時の時計の針が地球と太陽の位置と合わなくなったために、位置関係にあわせて時刻を調整した。時間調整のようであるが、本当の時間そのものは何一つ動いていない。

イ 人工衛星の時刻

 人工衛星が高速で飛行しているために、地球との速度差によって時間が遅れるために、地球の時刻とのずれが生じるのを合わせる。本当の時間そのものが動いている。

2 考察

 アとイは一見同じようだが、まるで事象が違う。

 アは、時計の針の動きと、地球の公転の動きが微妙に違うために狂ったので、その針の位置を地球と太陽の位置に合わせたということである。物質の位置があっていないのでそれを一致させたということである。本当の時刻とは関係のないことである。

 イは人工衛星の本当の時間が速度によって遅くなったのでそれに連れて、時計が遅れたということである。こちらは本当の時間が遅れている。そこで人工衛星の時計の針を、地球時刻に合わせたというのだが、人工衛星の時計を動かして、人工衛星の時間そのものは動いていない。だから、人工衛星と地球の本当の時間のずれは存在したまま残る。地球の本当の時刻との違いは、人間の今の科学では合わすことはできない。

 このことを詳しく見てみよう。

 たとえば、2012年1月1日0時0分0秒に人工衛星を打ち上げるとする。そのとき、人工衛星と地球の時刻は同時刻である。

 その後、特殊相対性理論によると、速度の違いから地球と人工衛星の時間の進み方が違ってしまう。(この時間は本当の時間の違いである)

 この時間差を分かりやすくするために、1日1秒違ってしまうとしてみよう。1年で、366秒(今年はうるう年)の違いが出る、

 地球の時刻が2013年1月1日0分0秒になったとき、人工衛星の時刻は2012年12月31日22時53分54秒になっている。これは時計の時刻ではなく本当の時刻の違いである。

 このとき本当の時刻はどちらが正しい時刻なのだろうか。どちらも正しい時刻である。

 しかしそれでは不都合が生じるので、この時刻を調整するために、人工衛星のほうの時計を合わせる。苗なら、地球のほうを動かすには世界中の時計の針を動かさなくてはならないが、人工衛星なら一つですむからである。

 一番最初の指令は、人間が指でボードに打つ。その命令に従ってコンピューターが衛星のコンピューターの時刻を2013年1月1日0分0秒にする。これで、衛星の時計の表示が地球の時計の表示に合う。

 これでいいのだろうか。表示はこれで合うが、人工衛星の本当の時刻は2002年12月31日22時53分54秒のままのはずだ。コンピューターの表示が変わったからといって、それに合わせて人工衛星の本当の時刻が変わるわけはない。人間が操作することで本当の時刻を変える装置(タイムマシーンがその代表例)は今のところできてはいない。

 特殊相対論が正しいとするなら、本当の時刻を合わせるためには、人工衛星を地球の速度より遅くして、地球の本当の時間の進み方より、人工衛星の本当の時間の進み方を早くして、人工衛星の本当の時刻が追いついてくるのを待つしかないはずだ。

 もちろん時計を合わせることは昔からできる。ノブをまわせばいくらでも時計の時間を早くしたり遅くしたりできる、時間を逆に進めることもできるし、止めることも簡単である。しかしそれは時計の針を動かしたり止めたりしているだけで本当の時間を早くしたり遅くしたりしているわけではない。

 時計はあたかも本当の時間を明示しているようだが、そうではない、時計は地球の自転の1回転に合わせて、2回転するように作られた機械に過ぎない。本当の時間に一致しているわけではない。

 ところが、ガモフは、特殊相対性理論を説明するとき、速度によって遅れた時間を、時計の時間を合わすことで合わせている。時計を進めたら本当の時間も進むというのである。

 相対性理論の考えている時間とはせいぜいその程度である。幼稚園レベルである。だから全地球方位システムの人工衛星の時間を合わせているから、特殊相対性理論の証拠になるということを平気で言っているのである。人工衛星の時計の時間を動かすと、人工衛星の本当の時間も動くというのである。ばかばかしい理論である。

 相対性理論家は、なぜ、2013年1月1日0分0秒の地球の上に、2012年12月31日22時59分54秒の人工衛星が浮かぶことができるかを、説明しなければならない。

 そんなに時間は違わないから良いというかもしれない。では、時間の違いが1年1秒とする。すると、2003年1月1日0分0秒の地球の上に、2002年12月31日23時59分59秒の人工衛星が浮かぶことができるというのだろうか。

 一般相対性理論によると、太陽は、重力の違いにより地球時間に対して1年に1分遅れるという。太陽系ができて46億年たつから、その違いは累積されて46億分遅れていることになるはずだ。すると、現在、太陽の時刻は約8751年前の時刻になっている。すなわち紀元前6739年の時刻を指しているはずである。

 なぜ2012年の空に、紀元前6739年の太陽が浮かんでいるのだろう。その時間の仕組みを相対性理論は明かさなくてはならない。

 まさか太陽に時計はないからなどというわけではあるまい。

 宇宙の果ての向こう側の時刻は分からないが、少なくとも、全地球方位システムの人工衛星の時刻と、太陽の時刻は地球上空にある以上、地球と同時刻であるはずである。数百キロ上空には、数分過去の人工衛星が浮かび、一天文単位の上空には、石器時代の太陽が浮かんでいるなどというおとぎ話が相対性理論なのである。

 このことから、少なくとも地球に関しては、特殊相対性理論及び一般相対性理論のいう、時間が遅れるという現象は存在しないだけでなく、それを否定する証拠しかないということがいえる。

 2012,2,6  高田敞