等価原理


著者 高田敞

 アインシュタインの等価原理は、重力と、加速は同じであるという理論である。

 

 すると、人工衛星と地球のような関係が、加速する物と、落下するものとの間にも存在するはずである。

 

1 加速する宇宙ロケットの実験

 加速する宇宙ロケットの中で手から離したリンゴに横向きの速度を与えてみる。

 リンゴの横向きの速度が速くなれば、リンゴは、宇宙ロケットの周りを回るだろうか。実際は横向きに投げると壁に当たってしまうので実験できない。そこで、宇宙ロケットに窓をつけて、そこから投げられたリンゴが外に飛び出るようにする。

 体育館の中で投げたボールと、体育館から窓の外に投げたボールとでは、その軌跡は変わらない。ともに同じ落下の法則で飛ぶ。窓の有無は、重力とは関係ないといえる。等価原理からすると、重力と加速は同じだから、窓の有無と加速も関係ないといえる。

 

 加速する宇宙ロケットから外に投げたリンゴはどうなるか。飛び出てそのまますっ飛んでいく。宇宙ロケットから見ると、放物線を描いて加速しながら遠ざかるように見える。しかし、決して宇宙ロケットの回りを回ることはない。リンゴの横向きの速度をどのように変えても、地球を回る人工衛星のように宇宙ロケットの周りを回ることはない。

 重力と、加速は違う現象を生む。すなわち、重力と、加速は、等価ではないということである。

2 追記

 ついでに原因を考えてみよう。

 人工衛星は地球の周りのどこでも同じように地球の中心に引っ張られる万有引力のエネルギーを受けるが、加速する宇宙ロケットの周りにあるリンゴは、宇宙ロケットから離れた瞬間から何一つエネルギーを受け取らないからである。したがって宇宙ロケットの加速方向と反対方向に、放物線を描いて、遠ざかるように見えるだけである。

 しかし、実際の動きは、リンゴは等速直線運動をしている。ニュートンの慣性の法則である。

 リンゴが、宇宙ロケットから、加速しながら離れていくと見えても、実際に加速しているわけではない。加速しているのは、宇宙ロケットのほうである。宇宙ロケットには、加速していく力が加わり続けているからである。

 宇宙ロケットから見ると、宇宙ロケットが停止し、リンゴが動く、というのが相対性原理だが、そのときは、慣性の法則を否定しなくてはならない。慣性の法則を否定する実際の現象を、相対性理論は提示していない。見た目と実際は違のである。

 

 平成22年4月5日   高田 敞

 へいこく雑記帖