へいこく雑記帖

空間について

著者 田 敞

令和4年7月27日完

まえがき

 空間とは何だろう。

 アインシュタインは、空間は曲がると述べている。インフレーションビッグバン宇宙論では、空間は膨張すると述べている。このことから、空間は、曲がったり、膨張したりするなにかであると言っていることが分かる。

 空間は、曲がったり膨張したりするのだから、何らかの構造を持っているはずである。しかし、相対性理論も、インフレーションビッグバン宇宙論も、空間がなにでできていて、どのような構造をしているかを述べていない。(分からないから、あるいは本当は空間に構造などはないと考えているから、知らんふりをしているのだろう。両理論とも、都合の悪いことはしらんぷりするのが得意である)

これに対し、空間はなにもない、ただの入れものだ、という意見もある。そこで、これらの問題について考えてみたい。

 

T 相対性理論から考える空間

 空間は物質によって曲げられる。曲げられた空間が重力である。あるいは、曲げられた空間が重力を生む。というのが、相対性理論の主張だ。(重力が空間を曲げると言っている人もいる。そのときの都合次第である)どちらなのだろう。

また、空間の曲がりにも二通りの現象があるという。曲がりが直線であるという説明と、曲がりはへこみであるという説明だ。直線ならへこみではない、へこみなら直線ではないはずだ。どうなっているのだろう。考えてみる。

 

(1) 空間と光(空間の曲がりは真っ直ぐ)

ア 空間はどれくらい曲がっているか

物質によって曲げられた空間の曲がりは真っ直ぐである、と相対性理論者は言う。だから、光は直進するから空間の曲がり(=真っ直ぐ)に沿って飛ぶ、という意見だ。

このとき曲がりに沿って飛ぶ光は直進していることになるから、光を曲げるエネルギーはいらない。反対に、真っすぐ飛んでいるように見える光は、曲がって飛んでいることになる。

天文台から観測の揺らぎを調整するために夜空に向けて放たれるレーザー光は空間の曲がりに沿っているのだろうか。それは観測できたのだろうか。どうせ地球が作る空間の曲がりは小さすぎて観測できないというのだろうけど、そうだろうか。月は地球の作った空間のへこみのために地球を公転しているという。はっきり観測できるくらい空間を曲げているということだ。また、リンゴも地球が作った空間のへこみのために加速して落下している。これもはっきり観測されている。なぜレーザー光は曲がりが観測されないのだろう。

光に対しては地球の作る空間の曲がりは観測されないほど小さい。しかし、月やリンゴに対してははっきりと空間のへこみは観測されるくらい大きくへこんでいるということになる。不思議な現象だ。

イ 空間の曲がりの証明と言われている重力レンズは本当に重力レンズだろうか?

相対性理論によると、宇宙空間は星や銀河などによって曲げられていることになるから、宇宙空間を飛ぶ光は常に曲がって飛んでいるように見えることになる。このことを観測したのが、エディントンの観測した太陽の近くの星や、銀河などの重力レンズと言われている現象だ。

これが物質は空間を曲げるという理論の証拠であるとして、一般相対性理論は正しいとされている。本当だろか。

光は宇宙空間をグネグネ曲がって飛んでいるように見えるということだ。しかしそれは曲がって見えるだけで、実際はそちらが直進しているということらしい。

重力レンズと言われているが、光はただ真っすぐに飛んでいるだけだから、新たなエネルギーはいらない。だからこの現象には重力はいらない。また、ただ真っ直ぐなのだから重力が生まれる仕組みにはならない。また、重力が空間を曲げているという考えもあるが、空間の曲がりが重力であるという考えでは空間の曲がりが先である、結果として重力が生まれているだけだから、重力が空間を曲げているという考えは、間違いであると言える。

それはさておき、このことで、相対論者が無視している問題がある。

地球上では光は物質で屈折している。上記レーザー光も大気の揺らぎで曲がっているが空間の曲がりでは曲がっていない。空間の曲がりで曲がっている光は地球上では観測されていない。物質による屈折現象は日常的に見られるし、理論も確立されているから、宇宙空間でも、太陽コロナや、星間ガスで光が屈折してもおかしくない。

重力レンズと言われる現象が観測されるところには、太陽コロナや、銀河を大きく包むガスでできたハローや、銀河団を満たし、大きく覆っているガスが観測されている。重力レンズが起こっているという場所には、必ず物質(水素を中心としたガス)が存在しているのだから、この物質によって光は必ず屈折しているはずだ。重力レンズは、その名のとおり物資のレンズと同じ現象であることからも、物質による光の屈折現象の方が理論も実証にもより一致するといえる。

科学の方法論には、既成の理論で証明された現象は、他の理論の証明には使えないという原則がある。それだと、ガスによる屈折と言える現象を、重力による屈折ということの証明には使えないはずだ。

 

ウ 疑問

空間の曲がりが直進であるというのが相対性理論の原理なら、公転する月も、曲がっている空間の方が直進だから、曲がった空間に沿って飛んでいるだけ、ということになる。曲がって飛んでいるように見えても、月は本当は直進しているということになる。直進だから、慣性の法則だと新たな運動エネルギーはいらない。引っ張る力である重力はいらないということになる。

月は、光のように、曲がった空間が真っすぐだからそれに沿ってただ真っすぐ飛んでいるだけなのだろうか。

しかし、これだと、月の公転軌道が真っ直ぐになり、地球の周りを真っ直ぐが1周しているということになる。相対性理論ではそうなることも可能だ。すると光もこの曲がった真っ直ぐにそって飛ぶことになる。月の公転軌道と光の進む道筋が同じになることになる。しかし、光が地球を周回しているという現象は観測されていない。もちろん、月の公転軌道が空間の曲がりで真っ直ぐであるということは証明されていない。もちろん、そう言っている相対論者もいない。

人工衛星を考えてみよう。たくさんの衛星が地球を周回している。地球のすぐそばだ。これもみな、地球が作った空間の曲がりに沿って公転していることになる。曲がりが真っ直ぐだからそうなる。すると光もこの曲がりに沿って進むことになる。そのような現象は観測されていない。もちろん相対論者もそうは言っていない。

このことから、月や人工衛星が公転する仕組みは、光のように、空間の曲がりが真っ直ぐだからそれに沿って直進しているからだ、ということではないのが分かる。しかし、物質がなぜ光のように曲がりの真っ直ぐに沿って直進しないかの理由は述べられていない。不都合なことは無視するということなのかも。

落下するリンゴはどうなるのだろう。まっすぐ地球に向けて落下する道筋が、地球が作った空間の曲がりの直進になっているのだろうか。空間が地球の中心に向かって真っすぐ曲がっているということになる。光もこの道筋を通っているのだろうか。そんな現象はない。

また、リンゴは加速して落下する。空間の曲がりが直進だからその道筋を通っているだけなら加速しない。加速には新たなエネルギーが加わらなければならない。真っ直ぐだけではそのエネルギーが無い。この現象も、空間の曲がりに沿って動くということでは説明できないと言える。

このことから、曲がりが真っすぐであるから、それに沿って動くという相対性理論の考えは、光だけの現象で、物質には当てはまらないことが分かる。(理論が一般化されないということで、理論の破たんである可能性がある)

そこで、相対性理論家は物質には違う仕組みを述べている。

 

(2) 物質が落下する仕組み 

空間の曲がりのもうひとつの能力は物質を落下させることだ。

この仕組みを相対性理論家は、トランポリンに乗せたボーリングの玉とビー玉で説明している。

 トランポリンの上にボーリングの球を乗せると、トランポリンの膜がへこむ。その端にビー玉を乗せるとビー玉はへこみに加速しながら落ちて行く。これが重力の仕組みだということだ。

(類似の説明もトランポリンがゴム膜になったりするだけで、原理は同じである)

 相対性理論では次のように説明している。

 ボーリングの玉が太陽で、ビー玉が地球で、トランポリンの膜のへこみが空間の曲がりということだ。

 横向きの速度を持ったビー玉が膜のへこみに落ちるためにボーリングの玉を周回するように地球は太陽を公転するということだ。地球はまっすぐ進もうとしている。しかし、空間がへこんでいるので、地球は重いからそのへこみに落ちる。落ちても、進んでいる地球は太陽の先に進んでいるので、太陽に落ちない。この繰り返しで地球は太陽を公転する。これが地球の公転の仕組みだという。空間の曲がりが直線だからというのではなく。曲がりは、へこみだから重い地球は落ちるということだ。(ここでは曲がりは真っ直ぐではなくへこみということだから、曲がりは曲がりになっている。理論に矛盾がある)

(考察:万有引力による仕組みはこれとは異なる。慣性の法則で真っ直ぐ進む地球を太陽と地球が万有引力で引き合っているために地球の進路が曲げられる。その遠心力と万有引力が釣り合ったところで公転しているということだ。落下ではなく引っ張り合いである)

 この考えには問題がいくつかある。

ア 膜の問題

 ひとつはトランポリンの膜の問題だ。この原理からすると、ボーリングの玉を支えているトランポリンの膜や、ビー玉を支えて、かつ方向を変えているトランポリンの膜のように、空間の曲がりは太陽を支えたり地球の方向を変えたりする(へこみに落下させる)何かであるということが分かる。太陽を支えたり、地球をそのへこみに落下させるのだから、これはかなり強力な膜ということが分かる。トランポリンの膜どころではない。空間のどこにそんな弾性があるのだろう。その説明はもちろんない。(空間にそんな弾性があるわけはないからだ)

イ 何が曲げるのか

 トランポリンの比喩の場合トランポリンの膜をへこませているのは、ボーリングの玉と地球が万有引力で引き合っているからだ。

 この原理がそのまま太陽と空間にあてはまるなら、太陽は何かと引きあって空間を曲げているということになる。そんなことはないから、トランポリンの膜をへこませる原理は、太陽が空間を曲げている原理には使えない。まるで違う原理だからだ。

 また太陽の重力が空間を曲げているという意見は、二重に間違っている。

 ひとつは、相対論では空間の曲がりが重力であると述べているので、重力以前に空間の曲がりがあることになる。重力が先にあって空間を曲げていることにはならない。

 ふたつ目は、重力が万有引力と同じであるなら、物は空間の曲がりがなくても落下する。空間の曲がりの必要性がなくなる。ニュートンの云う万有引力だけで、リンゴは落下し、月の公転は起こる。

ウ 太陽と地球の公転

 地球が公転しているのは、太陽と地球が万有引力で引っ張り合っている力と地球の遠心力が釣り合っているからだ。トランポリンのボーリングの玉とビー玉の関係を考えてみる。ビー玉はボーリングの玉の重力によって回転しているのではない。地球の引力によって回転している。このことをそのまま地球に当てはめると、地球は太陽の重力によって公転しているのではなく、他のなにかの重力によって公転していることになる。そんなことはあり得ない。したがって、ボーリングの玉とビー玉の関係で地球と太陽の関係を説明することはできない。

空間の曲がりによって生まれた重力によって公転しているというかもしれない。その場合でもトランポリンの膜を曲げているのはボーリングの玉と地球が引き合っているからである。ボーリングの玉だけでトランポリンの膜を曲げているのではない。しかし、太陽を下に引っ張って空間を曲げさせているものはない。したがって、トランポリンの比喩は地球や月の公転の説明には使えない。

エ 運動エネルギー

トランポリンの膜は運動エネルギーを生まない。ビー玉を動かしているのは地球の引力である。同じように、空間が曲がっていても空間が曲がっただけでは地球は動かない。地球を引っ張る力が別にいる。それが太陽と地球が引っ張り合う万有引力である。引力は運動エネルギーを生むが、曲がりは運動エネルギーを生まない。曲がりだけだはものを動かすことはできない。

オ ビー玉の公転

 トランポリンの膜に横向きの速度を与えてビー玉を転がすと、らせんを描いて、トランポリンの膜のへこみの中心に落下する。いつまでも同じ所を周回していない。これは膜とビー玉が摩擦で横向きの運動エネルギーを減らすからだ。これが太陽の作る空間の曲がりのために地球が公転する原理だとすると、地球も空間との摩擦で横向きの運動エネルギーを失っていき、らせんを描いて太陽に落下することになる。空間が、地球の進路を曲げるほど強力な弾性を持ったなにかであるなら、そうなる。進路を曲げるにはそれなりの作用がいるはずだから。ところがそういうことは起こっていない。ということは、ここでもトランポリンの比喩は地球の公転には当てはまらならないと言える。

カ リンゴの落下

 ビー玉をトランポリンの端に置くと中心に加速しながら転がり落ちる。この運動エネルギーを与えているのは、地球の万有引力である。トランポリンの膜のへこみではない。

トランポリンの膜のへこみにはビー玉を動かすエネルギーはない。ビー玉が地表に落下するのを遮っているだけだ。そのエネルギーは地球の引力によって落下しようとしているビー玉の圧力に対する反作用だ。したがって、大元はすべて地球の万有引力である。

 リンゴの落下も、地球とリンゴの万有引力による引き付けあいだけで十分起こる。空間の曲がりは必要ない。トランポリンの膜のへこみに運動エネルギーが無いように、空間の曲がりには運動エネルギーはない。空間の曲がりだけではリンゴは加速しないはずだ。

キ 地球はどれだけ空間を曲げているか

上記リンゴの落下を考える。これが空間の曲がりのために起こっているとするとかなり空間は曲がっていることになる。また、人工衛星が地球を周回しているのも地球が曲げている空間のためだとすると空間はかなり曲がっていることが分かる。

先に書いたように、この曲がりに光は影響されていない。天体観測の時、レーザー光を照射するが、空間の曲がりで曲がっている現象は観測されていない。星の光が地球が作る空間の曲がりのために曲がっている現象は観測されていない。観測されているのは太陽によって曲がっているとされているエディントンの観測した星くらいだ。人工衛星の進路を曲げたり、リンゴを落下させるのだから、空間はかなり曲がっていると考えられるのに、光の進路にはそれが現れていない。これは空間が曲がっているためにリンゴが落下したり、人工衛星が公転したりするという考えが間違っていることを示している。リンゴの落下も、人工衛星の公転も万有引力が原因であると考えられる。

地球によって曲がっている空間は観測されていないと言える。

 

(万有引力はすなわち重力であるというかもしれない。しかし、ニュートンの万有引力は物質が持っている力である。一方、相対性理論の重力は空間の曲がりが作り出す力である。空間の曲がりに物質は重いから落ちるというのが重力である。リンゴは重いから落ちる、というニュートン以前の考えである。まるで考え方が違う。また、万有引力は、光や空間には作用しないが、重力は空間から生まれる現象であり、光に作用するということで根本的に異なる現象である)

ク まとめ

 このように、トランポリンのすべての現象は地球の万有引力のエネルギーが起こしていると言える。ボーリングの玉が原因ではない。トランポリンの膜そのものは曲がっても運動エネルギーを生まない。ビー玉を支えているのは膜の反作用という力だが、それも元の力は引力である。引力がなければ反作用もない。すべては、地球の万有引力のなせる業だということである。トランポリンの膜のへこみもビー玉の落下も万有引力のなせる技で、トランポリンの膜は関係ないということだ。万有引力がなければ何も起こらないということだ。太陽系も同じである。万有引力があれば太陽系は成立する。空間の曲がりは必要ない。相対性理論が言うように空間が曲がっていてもそれは運動エネルギーを生まないから惑星を公転させる力は生まれない。空間の曲がりだけでは太陽系はできないということだ。

相対論は、空間の曲がりがあるから重力が生まれるという理論だが、その仕組みは不明である。トランポリンの比喩からは何も説明できていないと言える。

そもそも、トランポリンは物質である。空間は物質ではない。まるで共通点のないもので、説明することが間違いである。科学は、そのものを説明しなくてはならない。それなのになぜトランポリンを持ちだしたかというと、空間の曲がりだけで重力が生まれる仕組みを説明できないからだ。なぜ説明できないかというと、空間とは何かが分かっていないからだ。曲がりが重力である、あるいは、曲がりが重力を生むという仕組みがなにひとつ分かっていないからだ。

結論

 光が曲がるのは空間の曲がりが真っ直ぐだから光はそれに沿って進むという原理では新たなエネルギーはいらない。しかし、物質の落下は、空間が曲がるだけでは起こらない。曲がりには運動エネルギーを起こす力がないからだ。万有引力なら、リンゴを加速しながら落下させることができる。月を地球の周りに公転させることができる。常に引っ張る力が働いているからだ。しかし、相対性理論の空間の曲がりでは月も地球も公転しない。リンゴも加速しない。空間の曲がりには運動エネルギーは存在しない。運動エネルギーを生む仕組みもない。

 空間の曲がりが、光を曲げる仕組みと、地球の進路を曲げる仕組みはまるで異なっている。なぜ空間の曲がりの真っ直ぐに地球は飛んで行かないで、空間の曲がりに落ちて行くのかの説明はない。光は重くないから落ちないが、地球は重いから落ちるではニュートン以前に逆戻りである。相手によって理屈を変えるというのはいかがなものだろう。

 

(3) 重力波

@ 相対性理論には重力波というものがある。中性子星などが合体するとこれが出るという。重力の変動によって、時空が波になって伝わっていくということだ。これが近年観測されたという。

 時空が波になってその波が何十万光年もの距離を伝わっていくというのだから、時空は波になることができるなにかであるということである。

これを、池に石を投げ入れたら波ができ、それが周りに伝わっていく、それに類似した現象のように説明していることからも、時空は波になるなにかであるというのが、相対性理論者の意見であることになる。

また、その波が、重力波検出器を伸ばしたりちぢめたりするということだから、時空は物質に直接作用する何かであることも分かる。

 

 水の波は、一つの山と谷が、隣の水の山と谷を造り、またその山と谷が、隣の水を山と谷にするというふうにと伝わっていく。これと同じ仕組みなら、重力波の波も、時空の山と谷ができ、それが隣の時空を山と谷にし、その山と谷がまた隣の時空を山と谷にし、と伝わっていくということだ。すると時空は、山と谷になることのできる何かでできたものが宇宙全体に満ちているということになる。もちろん、私の家の中もそれに満ちていることになる。私の体にもぴったりくっついて、重力波は、私の体を伸び縮みさせたはずだ。空気以外に家の中に何かがあるということなのだ。重力波が水の波に類似しているなら、水は波だけでなく他の作用もしているから、空間も他の作用をすることになりそうである。走る船は水の抵抗を受ける。重力波は物質をしっかり伸び縮みさせるのだから、それを伝える空間は、船を揺らす波が船の進行に大きな抵抗を与えているように普段も物質に作用していてもよさそうなのだが、重力波以外空間は身近な物質に作用していない。物質を伸び縮みさせるのだから、空間内を物質が移動するときは摩擦とか空間圧縮とかがありそうなものだが、それらのことは一切起きていない。作用が非常に小さいということかもしれない。しかし、何百万光年も遠くからの空間の普通では観測できないくらい小さなさざなみが物質をしっかり伸び縮みさせるのだから、空間を切り裂いて飛ぶ地球の動きになんらかの影響があってもよさそうなのだがなぜかそれはない。影響するのは重力波だけというのはどうしてだろう。

 

ところで観測機器の伸び縮みが重力波のためだという証明はできたのだろうか。アインシュタインが言っているから、というのは証拠ではない。たんなる権威主義だ。

 

 時空とは、時間と空間が合体したものだという。時間は、実態が観測されていない。物質でも電磁波でもヒッグス場でもエーテルでも真空でもない。なにか実態があるというものではない。なにも実態を持たない時間が波になるというのだ。時間の波とはどんなものなのだろうか。時間が波になると現実にどのような現象が起きるのだろうか。過去と現在と未来が揺れ動くのだろうか。それがどのようにして物質を揺れ動かすのだろう。説明できるのだろか。できないだろう。誰も説明していないことからもこれが分かる。もちろんそのような現象は観測されていない。

 では、空間の波とはどのようなものなのだろうか。空間にも実態はない。実態のない空間の波とは何がどのようになることなのだろうか。どのように何百万光年も実態のない空間の波が伝わっていくのだろうか。その空間がどのようにして検出器を揺らしたのだろう。説明はない。直接の観測もない。重力波観測器が観測したというが、それが空間の波のためだということは証明されていない。証拠もない。

水の波なら、仕組みは解明されている。しかし、空間の波は何一つ解明されていない。説明できる人はいるのだろうか。

 

 では、その二つが合わさった時空の波とはいったいどのようなものなのだろうか。先に書いたように、湖に石を投げ込むと波ができ、周囲に伝わっていくのと類似などという説明は科学ではない。水と時空とはなんの関係もない。類似点は何一つない。無関係のもので無関係なものを説明することはできない。情緒的なイメージを与えるだけで、本当の説明にはならない。そればかりか、関係ないことで納得するのは、真実を歪めて、真実を隠す結果になるだけだ。嘘にならない嘘、ということだ。上に書いた空間の曲がりと同じように、直接説明できないからごまかしているだけだ。

 そもそも、なにも実態のない時間と、やはりなにも実態が観測されていない空間をくっつけて、時空としたら、なにか実態のあるもののようにイメージさせるのが間違いである。0+0=0である。0−0=0である。0×0=0である。0÷0=0である。なにもないものと波をくっつけても、なにもないものの波はやはりなにもない。高等数学の式の中ではどうなのだろう。無と無をくっつけると有になるのだろうか。無の波は有になるのだろうか。もしそうだとしたら、水の波ではなく、時空の波そのもので重力波を説明するべきである。空間の波は空間がどのようになっているのか、その構造の変化とか、どのエネルギーが、空間のどこにどのように働いて波になるのかとかを説明する必要があるはずだ。(重力が空間を曲げるというのは間違いである。空間の曲がりが重力であるというのが相対性理論であるのだから)それが一切ない。そして、空間の何が物質にどのように働いて物質を伸び縮みさせるのかを説明しなくてはならない。難しすぎて、一般の人には、説明不可能だ、ということなのだろうか。分かっている人はいないのではないだろうか。だから、水で説明するしかないのだろう。

結論

 重力波は、時空の波であるというが、時空の波そのものの説明ができていない。では検出された重力波は何なのかということになる。これも万有引力である、と言える。中性子星どうしの高速回転と衝突で、地球との距離が高速で変わり、そのために地球に対する引力の強弱ができて、それが伝わってきたという解釈もできる。

 地球の公転も、月の公転も、万有引力と遠心力だけで説明できる。空間の曲がりでは説明しきれていない。重力波も万有引力で説明できる。空間の曲がりや波では説明できない。

 相対性理論の空間は、言葉の中にはあっても、実際にどのようなものかは何一つ説明されていない。現象の説明も、肝心なことは比喩というごまかしを使って何一つ述べていないと言える。

 相対性理論の曲がる空間も空間の波も、直接には何一つ説明されていないと言える。

空間が曲がったり波になったりするのは。理論の中にはあっても実際には存在しないと言える

 

U 宇宙論から考える空間

 宇宙論は、今はインフレーションビッグバン論が支持されている。それによると、ウイルスよりはるかに小さなミクロな空間が、空間も時間もない広がりの中で生まれて、それが今見る宇宙(見えない遠くまでも広がっているという。300億光年以上に広がっているという意見もある)まで137億年かけて膨張したということだ。佐藤勝彦氏の「宇宙論入門」によると、「現在見つかっているもっとも古い銀河は、宇宙誕生後七億年、現在から130億年前というものである。」とある。現在様々な観測で、地球から120億光年から、130億光年先の銀河がいろいろなところで見つかっている。それらの光は今から120億年から130億年前にその銀河から出たということだ。ということは、少なくとも120億年前には、宇宙は、地球の今ある場所を中心とした、半径120億光年には広がっていたということが分かる。地球は宇宙の中心ではないから、その当時の宇宙はもっと大きく広がっていたことになる。宇宙誕生後17億年で、宇宙は半径120億光年以上の広がりに膨張していたということである。光速の7倍以上の速度で膨張したということになる。

 このことから、空間は非常に膨張しやすい何かであるということが分かる。その何かの正体は不明である。分かっている人はいないようだ。

(銀河どうしも広がったということが分かる。巨大な質量の銀河を光速の7倍以上に加速するのにはどのようなエネルギーが必要だろう。全宇宙の物質を吹き飛ばすのだから、さぞかし、巨大なエネルギーがあったことだろう。どこから調達したのだろう。それについて次に考えてみる)

 

1 空間が膨張するとどのような変化があるか

 物質は膨張すると分子間が大きくなる。たとえば空気を膨張させると稀薄になる。1cmの空気を宇宙くらいに膨張させると、分子間は数億光年ほどは離れるのではないだろうか。間にはなにもない。では宇宙誕生直後の1cmの空間を今の宇宙にまで膨張させると空間はどう変化するのだろう。その当時の物質はぎゅうぎゅうに詰まっていたが、膨張して、現在はバラバラに散らばっている。ほとんど物質のない空間が広がっている。恒星でさえ、その当時の火の玉であったという物質に比べればすかすかになっている。空間もそれと同じようにすかすかにふくれたりしないのだろうか。空間は膨張によって銀河間を広げたりする作用をするなにかであるのだから、膨張するのなら空間自体に何らかの変化があってもいいのではないだろか。ところが誰も何とも云っていない所を見るとそれは一切ないようだ。なにもない空間は変化しないというなら、なにもない空間は曲がったり膨張したりしないということになる。

 

2 宇宙の膨張にはいくつかの段階があるということだ。

(1) インフレーションによる空間膨張

 最初に起こったのはインフレーションの膨張ということである。ミクロな1点で生まれた宇宙は、一瞬より短い間に急激な膨張をした。なにが膨張したのか定かでないが、空間が1点のままでは他のものは宇宙空間から飛び出してしまうから、宇宙空間も膨張したということなのだろう。

 この膨張速度は、人によってさまざまである。光速の何百倍から、何兆倍できかない速度までいろいろある。だから、広がりの大きさも、直径10センチから、何100億光年まで、人によってまるで違う。10cmと10.001cmなら誤差と言えるけれど、10cmと何100億光年では誤差とはいえない。まるででたらめだというしかない。

 それはさておき、この説では、空間は光速の何百倍あるいは何兆倍もの速度で膨張するということだ。先ほどの光速の7倍など目じゃないみたいだ。

 もちろん、空間が膨張する仕組みについては不明である。真空の相転移によるエネルギーが宇宙を膨張させたといっているが、空間のどこにどのように相転移のエネルギーが作用して空間を膨張させたのかは誰も何とも云っていない。また、空間を膨張させる相転移のエネルギーとはどのようなエネルギーかも誰も何とも云っていない。少なくとも現在特定されているエネルギーには空間に作用するエネルギーは存在しない。(ダークエネルギーといっているが、ダーク以外なにもわかっていない。なんにも分かっていないエネルギーということだ。今の科学を持ってしてもそうなのだ。ということは存在しないということなのではないだろうか)

ところで、ウイルスよりはるかに小さな空間の中の真空に、全宇宙を造るエネルギーがあったと宇宙論者はいうのだ。宇宙論者は真空が相転移すると巨大なエネルギーが生まれて宇宙を膨張させるといっているが本当だろうか。いくら真空がインフレーション宇宙論者の理論に必要なものは何でも出すといっても、ウイルスよりはるかに小さいミクロな空間の中の真空にそんなエネルギーを生む力があるはずがない。量子論者は、真空は最小のエネルギーを持っているといっている。インフレーション宇宙論者は、この宇宙の全エネルギー(恒星、星間物質、光など電磁波、恒星の核融合、恒星などの物質間の位置エネルギー、物質の運動エネルギー、ニュートリノ、ダークエネルギー、ダークマター)を生むといっている。量子論者とインフレーション論者とは考えが正反対だ。

ウイルスよりはるかに小さい空間の中の真空のどこにそんなエネルギーがあるというのだろう。10−45の水が相転移して氷になったら、どれくらいの潜熱が出るだろう。ところが、10−45の真空が相転移したら全宇宙を造るエネルギーが出るというのだ。これがよく似た仕組みだというのだ。量子論では、真空は最小のエネルギーなのだから水よりはるかにエネルギーが小さい。その真空が相転移して、どうして全宇宙を生むエネルギーを生むのだろう。もしそうなら、真空よりエネルギーの大きい水が相転移したら、宇宙を10個は生むエネルギーが出るだろう。(インフレーションを提唱した佐藤勝彦氏は、真空の相転移を、水の相転移、水が氷になるときの潜熱で説明している。しかし、水と真空とは類似点はない。まるで関係ないもので、異なるものの原理を説明している。これも、相対性理論と同じである。そのものでは説明できなので、違うもので説明している。間違いの元だ)

言うは易し、行うは難し」どころではない。まあ、大ボラの1045倍くらいにはなるだろう。

また、{真空といえども確定的に「無」であることはなく、必ずそこには「ゆらぎ」が存在しなければならないからだ。「ゆらぎ」の正体が物質と反物質の生成・消滅の状態であり、これが真空である}と述べている。ということは、今の宇宙の真空も「ゆらぎ」が存在し、常に物質と反物質の生成・消滅の状態であるということになる。これは最小のエネルギーであることから、観測はかなり難しいだろう。しかし、もし、真空がこの仕組みで、量子ではなく今の宇宙を生んだのなら、今も、宇宙は再現なく生まれることになる。もちろん、太陽系でも生まれるだろうし、観測可能な、半径130億光年の宇宙の中にも生まれることになる。こちらは観測可能である。巨大な宇宙が生まれるのだから肉眼でも見えるだろう。ところが観測できていない。起こっていないということだ。どうしてだろう。この宇宙を生んだ真空と今の真空は質が違うのだろうか。宇宙を生んだ真空の説明に今の真空を使っているのだから、同じであると考えているのだろう。不思議なことだ。

また、佐藤氏は、インフレーションが起こる前に、すでに宇宙は高温高圧であったとも述べている。「真空の相転移が起こったのは、温度にして1000兆度宇宙誕生からわずか10−11秒の時期である。」という意見である。

いったいこの高温高圧の宇宙はどのようにして生まれたのだろう。これについて、宇宙は空間も時間もない「無」から生まれたと述べている。それも10−11秒より短い時間で生まれている。「無」はなにもないのではなく、「無」にも真空と同じように揺らぎがあると言っている。その「無」の揺らぎからこの宇宙が生まれたと言っている。「無」なのに揺らぎがあると言っている。それじゃ「無」ではない。「ゆらぎ」である。都合のいいことは何でも起こるのがインフレーション宇宙ということだ。としてもその「無」が突然、1000兆度を上回る宇宙を生みだすことができるのだろうか。量子論では真空は最小の量子しか生みだせないのだから量子論は適用できない。「無」は巨大なエネルギーの揺らぎがあるのだろうか。どうもご都合主義にしか思われない。

現在の宇宙をさかのぼれば1点に収縮するから、今ある物質が1点に収縮したらそのときは高温高圧だったはずだと考えているようだが、時間は過去にさかのぼれない。実際の現象は過去にさかのぼれない。鶏を過去にさかのぼると、圧縮された鶏が、卵に入っているわけではない。鶏は卵には戻れない。現在の宇宙の全物質が過去に戻って1点に押し縮められるということは起こらない。始まりの方が先なのだ。現在はその結果なのだ。

(2) 第2の膨張・ビッグバンによる空間膨張

 インフレーションが終わった後、インフレーションでできた巨大なエネルギーが、宇宙を再び超高温高圧にして、それによって、宇宙は大爆発をして、膨張したという。これが宇宙の第2の膨張、ビッグバンだ。ここでも全宇宙を吹き飛ばすのだからとてつもない超高温高圧だ。

この膨張にも2種類ある。最初のビッグバンと、その後の静かな膨張だ。

 ところで、高温高圧は物質が担う現象である。温度は分子の振動であり、圧力は万有引力が起こす現象であるから、やはり物質の起こす現象である。したがって、空間自体にも真空自体にも高温高圧は存在しない。

 ビッグバンの爆発は物質の爆発と言える。ところが、空間も同時に爆発して、膨張している。その空間膨張の仕組みはやはり不明である。物質の爆発が空間を膨張させるという現象は観測されていない。この宇宙で現在までに観測されている最大の爆発、超新星の爆発においても、空間を吹き飛ばしたり膨張させたりしている現象は観測されていない。ブラックホールから出るジェットも空間を引きずったりしている現象は観測されていない。中性子星どうしの衝突で空間に波を起こしたということだが、超新星爆発で、空間が吹きとばされたり、空間に波が起こったりしたということは観測されていない。現在の物質の爆発では、空間を膨張させている現象はないと言える。ビッグバンの時は非常に特殊なことが起こっていたといえる。もちろんその仕組みについては説明していない。

またこんな問題もある。爆発で空間が飛び散ったとすると、空間が飛び散った後には何があるのだろう、という問題だ。物質が爆発すると物質は飛び散り爆発の中心には物質は無くなる。(Ta型超新星ではすべて吹き飛ぶ、U型超新星では中心に中性子星やブラックホールが残り、後は宇宙空間に飛び散っていく)空間ではどうなるのだろう。空間が飛び散った後には、宇宙空間ができる前の空間も時間もない「無」の広がりになるのだろうか。それともインフレーションビッグバン論の真空のように、空間も次から次に無尽蔵に生まれてくるのだろうか。

インフレーション論者が必要なものは、何だって無から生じるのがインフレーションビッグバン論だからありえるのかもしれない。そして不必要なものは一切生まれてこない、とても便利な宇宙論なのだから。

 

(3) 第3の膨張 現在までの膨張

インフレーションやビッグバンの膨張と違い、現在は、真空のエネルギーというものがあり、それがビッグバン後の宇宙空間を膨張させているようだ。このエネルギーも謎のエネルギーで、ダークエネルギーと呼ばれている。もちろん謎のエネルギーだから、空間のどこにどのように作用して空間を膨張させているのかも謎である。謎が謎を生むというサスペンスである。

現在知られているどのようなエネルギーも空間を膨張させてはいない。未知だからダークと名付けて知らんぷりである。宇宙を膨張させるエネルギーはとてつもなく巨大であるはずだ。それが影も見せないなんてあるだろうか。理論もない、観測もできないということは、それが無いということを示している。いや宇宙膨張は観測されている、というだろう。そうだろうか、証拠と言われているのは、遠い銀河の光ほど赤方偏移しているということと、宇宙背景放射である。空間が膨張しているという直接の観測ではない。これらが、膨張の証拠であるというのだが、それは証明されたのだろうか。銀河の光の赤方偏移は宇宙に浮かぶガスや塵に光が衝突することでも起こる。実際に観測もされている。宇宙背景放射も、やはり宇宙の塵がその温度に応じた光を出すことでも説明がつく。これも普通に地上の物質では観測されている。赤外線カメラで暗くても写るのはこのためだ。これらでないということが言えないので、宇宙論者はこれらを完全無視している。不都合なことを真っ先に取り上げよ、という科学の方法を完全無視して、不都合なことはないことにせよである。

ハッブルは、赤方偏移の単位が後退速度になっているからといって、それが実際の後退速度であると考えるのは慎重にと言っている。宇宙論者は、光の赤方偏移の原因を後退速度と、空間膨張の二つの理由を述べてその場その場で使い分けている。

この辺り数億光年の宇宙では空間膨張の現象は観測されていない。しかし、銀河系の星の光が銀河系に浮かぶ星間ガスのために赤方偏移しているのは観測されている。

このことから、赤方偏移が空間膨張の証拠であるというには不十分であると思われる。

(宇宙論では、銀河は互いに離れて行っているという。その原理にはふたつある、空間膨張のためだという意見と、最初の爆発(ビッグバン)のために慣性の法則で今も飛び散っているという意見だ。最初の意見は、真空は真空のエネルギーを生む。このエネルギーが空間を膨張させる。すると真空が増える。真空が増えると真空のエネルギーが増える。このエネルギーが空間を膨張させ、銀河間を離れさせているという考えだ。ふたつ目の意見では、宇宙は最初小さかったが、高温高圧であったために爆発し飛び散った。その後、重力が強いと重力によってやがて飛び散る速度が落ち、宇宙の物質は収縮を始めるかもしれないとか、重力が弱いと永遠に飛び散るとか言っている。このように考えがふたつある。二つ目の意見は、空間には適用されない。空間は高温高圧の結果からの爆発では吹き飛ばないし、重力では引き寄せられない。超新星の爆発でも空間は飛び散らないし、太陽も地球もブラックホールでさえ、空間を落下させているという現象は観測されていない。相対性理論では空間は物質で曲がるだけだ。ニュートンでは、万有引力は物質間の作用で、空間とは作用しない)

 

3 宇宙空間の膨張と銀河

 宇宙は膨張しているというのが、今の宇宙論だ。ひとつの考えでは、その仕組みは、空間が膨張することで銀河間が離れて行くということだ。

 このことから、空間は銀河を押しているということが分かる。空間はどのようなシステムで、銀河を押しているのだろう。われわれは、手を振り回しても空間の抵抗を受けない。その空間が、巨大な銀河を押しているという。もちろん、地球も月も押しているということだ。どちらに押しているかは不明だが。不思議な現象だ。(太陽が銀河系を回転し、銀河系はアンドロメダ銀河の方に動き、ともに、おとめ座銀河団の方向に動き、それらがグレートアトラターの方に動いているという観測はあるが、これらは万有引力による運動で、宇宙空間の膨張による動きではないということだ。空間膨張によって太陽系が動いているという具体的な観測はない。一番正確に観測ができる地球や太陽系に空間の膨張による観測ができなくて、何十億光年も離れたところの観測が不確かなところの銀河が空間膨張によって動いているという観測がなぜできるのだろう。不思議なことだ。

 現在、銀河系とアンドロメダ銀河は秒速122kmで接近しているという。両銀河の間の空間は膨張しているはずなので、両銀河を離れさせる方向に押している。その速度は、ハッブル定数によるとおよそ秒速45,8km(=230÷326×65km)くらいだ。しかし、実際は接近している。膨張する空間が両銀河を離れる方向に押す速度、22.9km〈=45.8÷2〉より、万有引力によって両銀河の接近する速度の方が大きくて、結果的に接近しているということだ。

このことから、両銀河を押し続けている空間を打ち破って、両銀河は接近していることになる。おそらく両銀河は空間との相対速度で、秒速80kmほどで、空間と衝突して空間を打ち破り続けていることになる。巨大な銀河団さえ押して動かすほどの空間である。その空間を、何千億個もの恒星が打ち破り続けているのだから、そこに何らかの衝撃が生じるのではないだろうか。ものすごい熱を発生させていたり、空間との衝突で星が砕け散ったり、そこまで行かなくても、星間物質が掃き集められて、あちこちで、星ができたりしそうである。地球も銀河系の一員として空間を打ち破って突進しているということになる。しかし、その気配さえない。そよかぜでさえ木の葉を揺らす。秒速数十kmで空間とすれ違っているのに、空間は木の葉1枚揺らさない。これは、地球は空間と衝突していない、ということの証であると言えそうである。すなわち、空間は銀河系を押していないということの証拠である。

 

宇宙膨張の原因が空間膨張なら、上のような疑問が生じる。空間が巨大な銀河を押す仕組みが不明である。月や地球や太陽を押しているという仕組みも不明である。もちろん、空間が、太陽や地球を押している現象は観測されていない。

銀河の赤方偏移が、銀河の後退速度、あるいは空間膨張であるという考えが間違っているからだ。

 

4 未来の宇宙

 未来の宇宙については、フリードマン宇宙とか、ルメートル宇宙とかが言われている。その中に、ビッグクランチというのがある。「膨張のエネルギーが不足で膨張がいつか重力によって収縮に転じてしまう場合である。大砲の弾を撃ちだして、人工衛星にしようと試みたのだが、脱出速度(ちょうど地球の重力を振り切る速度)まで至らなかったのでまた地面に落下する場合に対応する。」(佐藤勝彦宇宙論入門より引用)

物質の初速度の問題のようである。

上に書いた宇宙の膨張は、空間膨張によって、物質も離れ離れになっていくという考えだったが、こちらはビッグバンの爆発によって物質も空間も飛び散り離れ離れになっていくという考えだ。どちらかと言えば物質が飛び散ることで空間も膨張するという感じに近い。(空間膨張によるハッブル定数では距離に比例して銀河間が離れる速度は増加するが、たんなる爆発では距離は関係なく初速度によって速度は決まるから、距離によって離れる速度が速くなることはない)

 これでみると、重力が大きい場合は、宇宙は収縮して、また1点に集まるようだ。宇宙そのものも収縮するかのように言っているが、空間も収縮するかどうかは書いていない。かなりあいまいである。もし空間も収縮するなら、重力が空間を収縮させる仕組みを説明する必要がある。

今のところ、重力が空間を収縮させる現象は観測されていない。ニュートンの万有引力は物質どうしの相互作用で、空間とは作用しないことになっている。相対論の重力は空間の曲がりだから空間と作用するようだ。しかし、今の宇宙最大の重力源と言われているブラックホールも空間を収縮させている事例は観測されていない。極端に曲がっていると図には書いてあるが、収縮させているわけではないし、それはたんなる想像図であって事実ではない。もしブラックホールが空間を収縮しているなら、空間が収縮した後になにがあるのだろう。収縮で空間がなくなった後の空間は何なのだろうということになる。

無くならないとしても、収縮し圧縮された空間と、引き伸ばされ薄くなった空間の違いはどのようなものなのかは示す必要がある。なにもない空間が圧縮されたり、稀薄になったりするわけがない。ないものは濃くなったり薄くなったりしない。0は0である。

銀河の中心には巨大なブラックホールがある。それが銀河中心の空間を収縮させたら、その縮んだ空間の後には何があるのだろう。周りの空間が引き寄せられるということかもしれない。しかし引き寄せられたら、その空間はやがてブラックホールに引き込まれる。物質と違い、空間の圧縮を止めるものを空間は持っていないから、圧縮が停止する理由はないからだ。するといつか全宇宙の空間がブラックホールに引き込まれてしまう。そんな現象は観測されていない。空間は縮んでいないということだ。

したがって、宇宙空間はそのまま残り、物質だけが収縮することになる。巨大な空っぽの宇宙空間だけが残る。真空のエネルギーやダークエネルギーはどうなるのだろう。ウイルスよりはるかに小さな真空が、この宇宙のすべてを造るエネルギーを生んだのだから、宇宙空間の巨大な真空は宇宙を10100個作るほどのエネルギーを生み出すだろう。また相転移するのだろうか。あるいは氷が水になるように、相転移した真空が元の真空に戻ったりするのだろうか。

佐藤氏によると、インフレーションの時の真空のエネルギーはほとんど今の宇宙の物質やエネルギーを造るために消費され、残りはほんの少しだそうだ。それがダークエネルギーとして、現在も宇宙を膨張させているという。真空のエネルギー密度は小さくなっても、インフレーションのウイルスより小さな真空に比べて体積は膨大だ。ほんの少しでも真空にエネルギーがあれば、全量は厖大なエネルギーになる。そのうえ、また真空の相転移が起こらないとも限らない。

また、ほんの少ししか残っていないといっているエネルギーがダークエネルギーとして巨大な銀河団でさえ高速で動かしているという。それが全宇宙の銀河団に働いているというのだから、そのエネルギーは想像を絶する大きさだ。残りはほんの少しだという考えはどこから出たのだろう。インフレーションに比べるとそうなるのだろうが、今の宇宙膨張を支えるには膨大なエネルギーが必要になる。たとえば今観測されている全宇宙の星やエネルギーの十数倍のダークエネルギーがあるというのが、今の宇宙論である。十数倍のエネルギーが残っているという意見だ。真空のエネルギーはほとんど今の宇宙の物質やエネルギーを造るために消費され、残りはほんの少しだというが、その全エネルギーの十数倍の真空のエネルギーがあるというのだ。明らかに矛盾する。ここでも説明する事項に合わせて都合よく意見は変わるということのようだ。

また、インフレーションの時の真空のエネルギーはほとんど今の宇宙の物質やエネルギーを造るために消費されたといっているが、どれだけのエネルギーがいると考えているのだろう。水1ccを造るのに、E=mcとすると、30万×30万のエネルギーがいる。地球を造るにはどれくらいのエネルギーがいるのだろう。銀河を一つ作るのにどれくらいのエネルギーがいるだろう。その銀河が、数千億はあるという宇宙の物質をつくるエネルギーはどれくらい必要だろう。佐藤氏は、インフレーションは常伝導状態の真空が、超伝導状態になることだとも述べている。それで全宇宙のエネルギーを作り出せると考えているのだろうか。それも無から1秒とかからずに湧きだすというのだから、かなり無理があるのではないだろうか。余談だが、リニアモーターカーはどうなるのだろう。物資の伝導状態が、常伝導状態から、超伝導状態になっているから、かなりのエネルギーを生み出しそうである。真空より物質の方がはるかにエネルギーは大きいし、大きさもミクロではなくかなり大きいのだからそれが超伝導状態になるのだから、宇宙を1020個ほど生んでもよさそうである。そんなことはない。違いは何か。物質はほぼ科学で究明されているから、想像が入り込む余地はない。しかし、真空は謎である。ほとんどなにもわかっていない。だから、粒子を生んだり、ダークエネルギーを生んだりと学者の都合次第で何とでもできる。

インフレーション論者の都合のいいことは起こるけれど都合の悪いことや関係ないことはいっさい起こらないというのが、インフレーションビッグバン宇宙論の大きな特徴だから、まあ、あっさりビッグクランチになったりするかも。まあ、都合がいい話だ。

 

(余談:ビッグクランチでは、宇宙は1点に収縮するということだ。宇宙の始まりのインフレーションも1点から始まっている。1点で始まり1点に収縮するということは宇宙には中心があるということになる。ハッブルの法則では宇宙には中心がないことになっている。こんなところにも矛盾がある。1点で始まるのは、インフレーションビッグバン理論から出たことだ。宇宙に中心がないというのは観測から出たことだ。その違いを埋められないということだ)

 

5 空間膨張の仕組み

空間膨張の仕組みについていろいろな説明がされている。風船の表面に銀河や光を書いて膨らませると、それぞれが離れて行くという説明や、ゴムシートに銀河を書いて両端から引っ張ると銀河が離れて行くのとか、ぶどうパンが膨らむのとかである。

ア ゴムシートの場合

 ゴムシートにA,B,C,Dと離して銀河の絵を描いて両端から引っ張ると銀河どうしが離れて行く。これだと、どの銀河から見ても他の銀河が離れて行く。どこが中心かわからない、という考えだ。これには問題がある。ビッグバン論の宇宙は、宇宙の両端を引っ張って膨張しているのではない。空間が膨張している。中から押しているのだ。この場合ではA、B間が膨張するとCを押す。C、D間が膨張すると反対側からCを押す。Cは左右から押し縮められる。うまく膨張できない。B、C間も膨張するからいいということなのかもしれないが、BC間の膨張の力と、両方から押される力が同じだと膨張できない。弱いと圧縮されてしまう。両方に移動すればすむことかもしれないが、宇宙には何千億もの銀河がある、その銀河間がすべて勝手な方向に膨張しているのだから、押し合いへしあいになる。たとえば銀河が100並んでいるとすると、中心にある50番目と51番目の銀河間の膨張が、その両側の銀河間の膨張圧力を打ち破って1番目から49番目の銀河を左に、52番目から100番目の銀河を右に押しやることはできない。何千億個とある銀河間の空間膨張で宇宙の端に向かってすべての銀河が行儀よく移動できるわけがない。両側から引っ張るのとはわけが違う。だからゴムシートの比喩は宇宙膨張の説明にならない。

イ 風船の場合

 風船の表面に複数の銀河と光の波を書いて風船を膨らませる。すると銀河の間は広がり光は伸びる。これが宇宙膨張の仕組みであるという。

 これにも問題がいくつかある。

@ 風船の中身

 膨らませると風船の中が大きなっていく。これを宇宙にそのままあてはめると、この宇宙の真ん中に大きな空洞ができることになる。これは3次元の風船の2次元の表面と同じように、4次元の空間を3次元の今の宇宙が膜として覆っているというような解釈である。しかし、3次元の中に4次元目の空洞があるという現象は観測されていない。2次元から3次元が見えないように、3次元からは4次元は見えないといっているが、見えないのはないからだとも言える。そもそも2次元もこの世界には存在しない。2次元を観測した人はいない。言葉の中だけの次元だ。この世界は縦横高さが必ず存在する。縦と横だけの世界は存在しない。同じように縦と横と高さと後1次元の世界はこの世界には存在しない。それがあるのは言葉と計算式の中だけだ。4次元がなくてもこの宇宙は存在できる。しかし、4次元の世界はどんなものか想像することさえできない世界である。インフレーションビッグバン宇宙が、4次元がなければ成立しないのなら、それは間違った理論であるという証拠である。

 (膜宇宙の理論がある。高次元の世界にこの宇宙が膜になっているという考えだ。10次元とか、11次元の世界だ。それらもやはり、私たちはそちらにはいけないとか、小さくまとまっているとかいう理由で、この世界から見たり行ったりできないようだ。もちろんそれがどんな世界か図にも描けない。この3次元宇宙が、他の6次元とか、7次元の宇宙の膜になっているなら、何らかの影響がこの世界にありそうだが、それらは観測されたことがない。高次元があったとしても、こちらに何の影響もないなら、それらはないに等しいということだ。あろうとなかろうと、どちらでも同じということだ。頭の中だけの理論になってしまう。現実とは無関係であるといえる。

もし、この宇宙が他の次元の膜なら、他の次元と接している側と、その反対側があるはずだ。水に浮かんでいる氷は水に接している側と空気に接している側があるように。他次元の空間と接しているこの宇宙の空間はどうなっているのだろうか。反対側のこの宇宙の空間は何と接しているのだろうか。また、顕微鏡でも見えないほど小さくまるまっているという多次元の膜になっているというこの宇宙はどうなっているのだろう。膜だから取り巻いているということだから極端に曲がっているということなのだろうか。それとも太平洋に漂う1匹のプランクトンのようにただ呑み込んでいるだけということなのだろうか。ミクロな多次元宇宙を厚みが何百億光年もある膜が覆っているというのだ。そんなのが膜と言えるのだろうか。頭の中だけなら魔法だって自由自在だ。何にしろ、この現実世界とは何の関係もないことだから、どうでもいいことなのだ)

A 膨張の仕方1 銀河の膨張

 風船の銀河は、銀河間も広がっているが。銀河そのものの絵も、広がっている。ところが実際の銀河は膨張していない。銀河間だけが広がっているということになっている。(観測技術が上がった今、広がっているのは銀河間ではなく銀河団間が広がっているということになっている)

 なぜ銀河は空間膨張で広がらないかというと、空間膨張の力より、銀河の物質の重力が強くて、銀河は広がらないと宇宙論者はいう。もっともらしいが、言い訳ぽくも聞こえる。そこで考えてみる。銀河系やアンドロメダ銀河ができたと言われている100億年前は宇宙は小さくて、銀河はひしめき合うほど接近していたといっている。すると、現在、230万光年離れている銀河系とアンドロメダ銀河も今よりはるかに接近していたということになる。今でも重力が膨張速度より強くて接近しているのだから、その当時はもっと高速で接近しているはずである。それなのにいつの間にか、銀河系とアンドロメダ銀河は遠く離れてしまっている。そしてそこからあらためて重力で引き合って接近を始めたらしい。不可思議な現象だ。

 宇宙誕生から10万年後のことを考えてみよう。光速で宇宙が膨張しても半径10万光年だ。そこにこの宇宙の全物質が入っているとすると、銀河の密度どころではなくなる。膨張などできない。このころは物質と光はごちゃまぜで、火の玉だったということだが、重力はあったのだから、膨張速度より重力の方が強くて、宇宙は膨張できないのではないだろうか。それを火の玉だから可能だとするとする。では宇宙誕生から1億年後ではどうだろう。もう、火の玉ではない。光速で膨張しても半径1億光年だ。そこに宇宙の全物質と、ダークマターが詰まっている。銀河系の元になった物質と、アンドロメダ銀河の元になった物質もあったはずだ。互いはほぼ同じ位置にあっただろう。接触しているか一部は混ざり合っていただろう。今でも重力で接近しているというのだから、重力が強くて、離れることなどできないはずだ。

現在の観測では、地球から数億光年内にある銀河は空間膨張とは関係なく互いの重力のために秒速数100キロで動いているという。宇宙全体からすればたいした量でもない銀河の集まりでさえそうなのである。半径1億光年の中に宇宙全体の物質が集まったら、膨張などできるわけがない。10億光年以内に宇宙の全物質が詰め込まれていた過去の宇宙でも同じだ。今の銀河間より13分の1の距離しかなかったのだから、銀河(銀河の元になった物質)どうしは接近しすぎていて、重力で離れることはできなかっただろう。

 だから、銀河間は膨張するが銀河は膨張しないというのは重力のためだという考えは間違いであるといえる。

A 膨張の仕方2 光の膨張

 風船に書いた光の波は、波長も伸びているが、波高も高くなっている。これが宇宙にも当てはまるなら、光は波長も伸びるが、波高も高くなるということになる。すると遠い銀河の光ほど明るく見えることになる。現実の観測とは逆になる。学者は空間膨張によって波長が伸びて赤方偏移するから、宇宙は膨張しているといっている。しかし、同じ原理なら、波高も高くなるはずなのだがこれは無視している。都合のいいことだけ取り上げて、都合の悪いことは無視している。これは科学の方法論に反している。科学の方法論では、一番不都合なことを真っ先に取り上げよ、である。

 波光が高くなるのは光のエネルギーが増えることだから、エネルギー不変則に反するということになるなら、波長が伸びるのはエネルギーが減ることだから、これもエネルギー不変則に反する。共に原理に反しているということだ。

 このように、空間膨張で、波高が高くなるのが不都合なら、波長が伸びるのも不都合なはずだ。しかし、現実に遠い銀河からの光ほど波長が伸びる(赤方偏移)のが観測されている。ということは、波長が伸びるのは空間膨張が原因ではなく他のことが原因であるという可能性を示唆していると言える。

光が宇宙空間に浮かぶ物質に衝突することで、エネルギーを奪われていると考えた人がいる。ビッグバン論者は無視したけれど。

地球上では光が物質に衝突してエネルギーを下げ、赤方偏移している現象が日常的に観測されている。部屋の電気の光は、壁などに当たり、エネルギーを下げて電波領域にまで赤方偏移して部屋から飛び出て行く。そのエネルギーは部屋の壁などの温度を少し上げる。これなら、波高は高くならないが波長は伸びる。エネルギー不変則にも反しない。矛盾はない。

ウ ぶどうパンの場合

 ぶどうパンが膨らむように宇宙も膨らんでいる、という考えだ。中のガスが膨らんでぶどうパン全体を膨らませている。中の小さな空洞は、今観測されている宇宙の泡構造と似ているとも考えられる。もっともらしい。しかし、まず大きさが違う。大きさは重要な要素だ。地球ほどの大きさのパンを膨らませることはできるだろうか。不可能である。ガスの圧力は引力による収縮に負けてしまうだろう。まして、宇宙全体まで膨らませるなどということは無理な話だ。ガスの代わりに、宇宙は真空のエネルギーで膨張しているから大丈夫だということなのだろう(実際は、相転移や、初期の高温高圧による爆発など、いろいろな原因を持ちだしている。それらが重なって膨張したことなのかもしれないが、互いに矛盾している現象である。インフレーションはハブル定数を否定する現象であるし、爆発では一定速度か減速するので、遠くなるほど離れる速度が速くなるということはないので、やはりハッブル定数と矛盾する)。

しかし、真空は最低のエネルギーの存在であるということだ。ガスのエネルギーより小さいということである。それが宇宙全体を100億光年以上に膨張させることなどできるはずがない。実際手を振ると空気(ガス)の抵抗は感じる。しかし、真空や、空間の抵抗は感じない。小惑星探査から帰ってきたハヤブサは、宇宙空間を飛んでいるときは空間の抵抗はなかったが地球大気に入ると燃えあがった。空間は身の回りの物質には何の影響も与えないが、遠くの巨大な銀河団は、簡単に高速で押しているというのがインフレーションビッグバン宇宙論である。観測が正確にできるところにはないが、遠くて、観測が不正確なところには現れる現象だ。宵闇に現れるお化けと同じ現象だ。

 宇宙の全物質の質量は巨大である。それを1点から100億光年先まで吹き飛ばしたのである。それも、なかには光速を超えて吹きとばしているものもあるという。(137億年で、137億光年先までとんでいるのもあるという)ぶどうパンの比喩など話にもならないのがインフレーションビッグバン宇宙論だ。机上の空論である。

7 空間膨張の条件

 ハッブル定数は326万光年で60キロから100キロメートルほどである。この100倍3億2600万光年では6000キロから10000キロメートルになる。

 このことから考えてみる。宇宙が半径3億2600万光年に広がったとき、その端のひろがる速度は最大1万キロメートルである。光の速度は30万キロメートルである。光が、宇宙膨張を追い越して宇宙の外に飛び出してしまう。宇宙の外に飛び出した光はどうなるのだろう。

 宇宙の半径が3億光年に広がるにはどれくらいの時間がいるだろう。ハッブル定数では326万光年の宇宙が広がる速度は60km〜100km/秒にしかすぎない。今、地球が宇宙を飛んでいる速度より遅い。そのころには宇宙空間を飛びだす物質が出てきそうである。初期の宇宙はほとんど膨張しないと言える。この速度で3億光年にまで広がるにはどれくらいの年月がいるだろう。1光年進むのに3000年かかる。1億光年広がるのに3000億年だ。今の宇宙の年齢(137億年)には合わない。

また、宇宙膨張が光の速度を追い越すには、その30倍97億8000万光年の大きさにならなければならない。そのとき宇宙膨張の速度が30万kmを越えて光を追い越す。しかし、今130億光年先の銀河が観測されているということだ。光速より速く遠ざかっている銀河の光が見えるのはどうしてだろうという疑問も生じる。

 初期の宇宙はインフレーションやビッグバンで急激に広がり、その後ハッブル定数で広がっているということなのだろうか。

 まあ、矛盾だらけなのが今の宇宙論だと言える。

結論

空間が、なにか実質的なものであるという観測はない。地球上や、太陽系では、空間の作用は何一つ観測されていない。それを、何となく水の相転移や空気の膨張から連想させているのは科学ではない。物質とはまるで異なるものを、物質で説明しているのは、かえって真実を追求することにふたをしてしまうことになる。

 もちろん、宇宙空間を時空と呼び名を変えても同じである。ないものはないのである。

 

全体の結論

このように、相対性理論も、インフレーションビッグバン宇宙論も、空間とは何かということになにも答えていないのが現状である。相対性理論や、インフレーション宇宙論に必要なことだけ空間に行わせているだけだ。それも机上の理屈だけだ。

観測が正確にできる地球や太陽系では、空間の曲がりや、空間の膨張は観測されていない。空間の曲がりは月や地球などの公転で観測されているということかもしれないが、公転は万有引力で過不足なく説明できる。書いたように、空間の曲がりだけでは運動エネルギーは生まれないから地球の公転やリンゴの落下は説明できない。重力がある、というなら、重力だけで重い地球は公転し、リンゴは落下する。ここでも空間の曲がりは必要ない。

また空間の膨張はアンドロメダ銀河との230万光年の間の宇宙には存在しないといえる。地球から半径230万光年内の宇宙には空間膨張は観測されていない。また、地球から数億光年以内の銀河や銀河団も空間膨張とは関係なく動いているのが観測されている。観測が比較的良くできているところでは空間膨張の現象は観測されていないのだ。ということは、空間膨張は存在しないという観測はあるが、存在するという観測はないということになる。空間膨張は計算上にはあっても実際の現象としては観測されていない。

今のところ空間はたんなる入れ物であって、空間自体は物質にどのような作用もしないと考える方が、地球や太陽系や銀河系やその周辺の運動に一番ぴったりすると考える。

空間が膨張したり曲がったりして物質を動かすということは、相対性理論や、インフレーションビッグバン理論の高等数式のコンピューターのシュミレーションの中にはあっても、現実とは相いれないと考える。

なにもないものが曲がったり膨張したりするわけがない。元が空想しかないから、出てくるものも空想の産物になる。それを基本とするから、相対性理論や、インフレーションビッグバン宇宙論は、現実には存在しない奇想天外な現象に満ちることになる。机上の空論が空論を生む天才たちの数式ごっこではなく、実際の現象からもう一度空間を考え直す必要があるのではないだろうか。

相対性理論や、インフレーションビッグバン宇宙論を信じて多くの研究者が頑張っているのは、無駄としかおもえない、それどころか、間違った方向にエネルギーを使うことで、科学が、真実を追求できないことは非常な損失であると思う。