へいこく雑記帖



空間にあるもの

著者 高田敞
 2018,7,18

 

空間は真空であると言われている。これに対して、なにも無い、「無」はあり得ないということで、昔のヨーロッパでは、空間にはエーテルというものが詰まっていると考えていたという。これは最近まで信じられていて、マイケルソンとモーリーの実験は、このエーテルを検出しようとして行われた。しかし、エーテルがあれば起こるであろう現象は観測されなかった。そこで、アインシュタインがエーテルは存在しないという説を出した。このときからエーテルは存在しないという説が支持されるようになった。

 では、今空間の考え方はどうなっているだろう。神は「無」を作らないと考えて始まったのにその肝心なエーテルがなくなると、真空という「無」ができてしまう。キリスト教と関係ない人はそれでいいじゃないと思うだろうけど、やはり、「無」は困るという考えの人もいる。

 それとは関係あるかないか分からないけど、今は、空間は無ではなく、なにかであったり、なにかが詰まっていると考える人が物理学では主流になっている。それも分野によって思いおもいに出すから、空間がいろんな性質を持っていたり、いろんなものが空間に詰まっていたりする。それは、物質や、エネルギーや、謎のなにかとか、あるいは空間の構造そのものであったりする。空間はラッシュアワーである。

 

1 空間の構造

(1)ビッグバン論の空間

 ビッグバン論によると、空間は膨張しているとのことです。

 この宇宙の空間は137億年前、無の1点(それも超極微の1点)から生まれ、膨張し今の宇宙空間まで大きくなった(少なくとも、地球を中心としても、100億光年先まで果ては見つかっていないから、それ以上の大きさです)ということです。そして、今も膨張を続けているとのことです。

 空間は、ただ空間が膨張するだけではなく、その中にある、物質や電磁波や謎のダークマターもつれて一緒に膨張しているといっています。

 

ア 空間は、地球を137億年で100億光年以上の距離を運んできた機能を持っている。

 この地球は、昔はここにはなく、どこか遠くの、100億光年以上も離れた場所で、まだ極微の大きさしかなかった宇宙の中にこの宇宙のすべての物質と一緒に詰め込まれていたのが、空間によって、バラバラにされてここまで運ばれてきたということです。

現在地球の周りの空間は一見何もないようですが、その空間が地球をここまで、おそらく100億光年を超える距離を押してきた、あるいは引っ張ってきたということです。空間は、この地球を動かすすごい機能と力を持っているなにかということのようです。火山の爆発でも原爆の爆発でも、昔起こったといわれているジャイアントインパクトでもその他あらゆる爆発でも地球の軌道さえ変えられなかったのですから、それから考えるとすごい力と機能を空間は持っていると考えられます。どうやったんでしょうね。もちろんそのシステムは解明されていません。そんなすごい現象が何一つ解明されていないなんて、なぜだと思いますか。答えは簡単です。そんな現象は起こっていないからからです。現象ではなく幻想です。

イ 空間は、宇宙のすべての物質をバラバラにして、100億光年以上の距離を動かした。

地球からどの方向を見ても100億光年を超える遠くに銀河が観測されているということです。その銀河は、137億年前には、地球のすぐそばにあったというのがビッグバン理論です。たぶん1ミリメートルも離れていない所にです。定かではないですが(もちろん誰もわかっていないと思います)直径1cmとか、100mとか、1000kmとかの大きさの宇宙の中に、今あるすべての星の元(太陽が1000億の1000億倍集まった量)と、ガス(これもおそらく星の元になった物質より多い量)と、ダークマター(星の元と、ガスの元を足したものの6倍の量)がぎっしり詰まっていたということらしいです。それを、空間の膨張が切り刻み、バラバラにして、100億光年をはるかに超える距離を運んだのですからすごいことです。また、それだけの物質が集まっていたのだから、すごい引力だったことでしょうけど、それを粉々にしたのだから空間の力はすごい力です。もちろんその仕組みも力もなにもわかっていません。こんなだったといっていますが、机上の空論です。口では何とでも言えますから。実際、今空間の力は地球に対しては無力です。銀河団をやすやすと100億光年運んでもその1兆分の1丁分の1兆分の1兆分のそのまた1兆分の1の力でできる木の葉を1枚ちぎることさえできません。

私は木の葉を千切れるけれど、銀河団を動かすことはできません。空間のエネルギーは銀河団を動かすことはできても、木の葉をちぎることはできません。とても不思議な力です。

北天の100億光年離れた銀河と南天の100億光年離れた銀河は、200億光年離れています。地球から100億光年ということは100億年前の銀河が見えているということですから、宇宙年齢37億年の頃です。その時にすでに互いに200億光年も離れていたのですから、平均して光速の3倍近くの速度で離れていたということです。それが空間の膨張のためです。空間はすごいことをします。地球ものほほんとしてはいられません。小さな地球などいつどこに吹っ飛ばされるか分かったものじゃありません。銀河団どうしをバラバラに離れさせることができるのですから、太陽から地球を離れさせることなどたやすいことのように思われます。でもやっぱりそんなことはしません。空間膨張は小さなことには手を出さないようです。あるいは、遠くて観測が正確にはできない宇宙のかなたでは何でもするけれど、近くの観測がしっかりできるところでは何にもしないようです。監視カメラがあるところでは、泥棒は遠慮して空き巣に入らないのと似ています。似ていないか。まあ、木の葉をちぎったり、地球を太陽から引き離すというようなことはしないようですから安心です。そんなことになったら地球生命は全滅ですから困りますからね。

 

 このように、空間はなんにもない空っぽではなく、膨張することができる何かしっかりした構造があって、地球や太陽や銀河や銀河団をすごい力で押して、あるいは引っ張っているということです。空間のその構造とシステムが何かはまだ分かっていません。あまり研究もされていないようです。(ひょっとして:みんな、空間を研究しても、結局「構造は無い」しか出てこないことを知っているから研究していないのではないでしょうかと疑ったりします。実際なにも無いんですから)

 

(2)相対性理論の空間

 一般相対性理論では空間は物質によって曲がる、ということです。また特殊相対性理論では空間は速度によって伸び縮みするということです。

 このことから、相対性理論においても空間は何かしらがあって、構造を持っているということが分かります。 

 この構造がどのようなものかは、ビッグバン論と同じように今のところ分かっていません。空間が曲がったり伸びたりするのは、空間のなにがどのように変形することなのかは、だれにも分かっていません。もちろんこの空間の構造の変化について研究している気配はありません。伸びるんだから伸びるんだ、曲がるんだから曲がるんだ、ということのようです。

ア 特殊相対性理論の空間

 特殊相対性理論の説明では、動いているものから見ると(基準にすると)空間が動いていて、動いている空間は時間が遅くなり、空間は縮むということのようです。もし空間が縮まったとしたら、星と星が近づくことになります。あの巨大な太陽が、他の星に接近するということです。すると、星までの距離は、常に変化しているということになります。たとえば太陽光から見ると、光は光速だから特殊相対性理論では空間は無限大に縮むことになります。すると太陽は隣の星とくっついてしまいます。そんなことは観測されていません。

 また、小柴氏の観測した超新星を考えてみます。その超新星と地球の間の空間は光速で飛ぶニュートリノから見ると、非常に極端に縮むことになります。超新星が地球にくっついてしまいます。爆風をまともに受けることになります。大変です。やはりこんなことも起こっていません。

残念ながら空間が縮んだマクロの現象は何一つ観測されていません。ミクロの世界では、地球上空でできたミューオンが、本来上空で消えてしまうほずなのに地上に届いているのは、ミューオンから見ると、地球との距離が縮まっているからだということです。また、ミューオンの時間の進み方がゆっくりになっているからだということでもあるということです。時間がゆっくりになっても、進んだ距離は、時間かける速度だから、ゆっくりの1秒も、早い1秒も、1秒には変わらないのだから、進んだ距離も計算式上は変わらないはずですが。

まあ、時間が早くなったり遅くなったり、空間が伸びたり縮んだりとキツネにつままれたような話です。その、常識にとらわれないところが相対論の素晴らしいところだそうです。そんな現象があるというのが特殊相対性理論です。

ということで、空間が縮むという不思議な現象が起こるのが特殊相対性理論です。もちろん書いたようにその空間の仕組みや構造は何一つ解明されていません

イ 一般相対性理論の空間

 一般相対性理論の説明では、ゴム膜の上に鉄球を乗せるとゴム膜がへこむ。そのゴム膜の端にビー玉を乗せると、ビー玉はゴム膜のへこみに落ちていく。このゴム膜が空間だとすると、物質で曲がった空間を物質が落ちていくから、これが重力だという説明です。

 このような構造をしているというのが、一般相対性理論の空間です。地球を太陽が作った空間のへこみに転がり落とすというのです。

これも分かったようで分からない説明です。空間が、ゴム膜が鉄球やビー玉を支えるように、太陽や、地球を支えているとは到底思えません。空間がそんなにしっかりした弾力を持っていたら、地球は、公転するために進行方向にもあるしっかりした空間を突き破り、突き破り進んでいかなくてはなりません。ゴム膜は鉄球やビー玉の下だけにあるけれど、空間は太陽や地球の下だけにあるのではないのですから。

実際にはそんなことはありません。空間は地球の進行になんの抵抗もしていません。地球は太陽の作った空間のへこみ(そんなものがあればですが)に落ちていっているというのかもしれませんが、地球が公転している前方にある空間は地球に何一つ影響を与えていません。相対論に都合のいいことだけ空間は力を発揮しています。変な話です。

 実際の空間は、見えない、触れない、何の反応もないです。(重力がその反応だということでしょうが、それは上に書いたようにおかしな話です。重力ではなくニュートンの言うように物質が本質的に持っている引き合う力、万有引力としたら何の矛盾も生じません。物質が最初から本質的に空間を曲げる力を持っているとするなら、物質が最初から本質的に引き合う力を持っているとしても、何の不都合もありません。それでは引力がなぜ起こるのか分からないと相対論者は言っています。しかし、同じように、物質が空間を曲げるとしても、物質が空間を曲げるのがなぜ起こるのか分からないのと同じことです。どちらにしろ、分からないことは出てきます。それも、なにも無い空間を曲げるという、手品まがいの現象になります)

 

(3)量子論の空間

 真空はなにも無いのではなく、揺らぎがあるということです。ビッグバン論ではこのゆらぎの理論を拝借して、ここから物質が生まれ、この宇宙ができたということにしています。

 宇宙空間は何かしらの構造があって、それはじっとしていなくて揺らいでいるということのようです。もちろんそれはどのような構造をしていて、どの様な材質であるかは不明です。なにが揺らいでいるかも不明です。揺らぎのエネルギーやシステムももちろん不明です。宇宙全体の空間を揺するのですから、かなりのエネルギーがいると思われます。空間は質量がないからエネルギーはいらないかも。まあ、不思議な現象です。

 

(4)まとめ

 このように、空間は何かしらしっかりした構造を持っているようです。それも、銀河団を動かしたり、1か所に集まっていた宇宙の全物質を粉々にして、宇宙にばらまくことができるくらいすごい力も持っているということのようです。また、空間が曲がることで、物質を転がり落とすことで重量を生むということです。また、宇宙の全物質を生みだしたということですから、手品遣いのようでもあるということです。そのくせ、さわれない、見ることができない、何の反応もしない。まるっきりなんにもないようなのが空間です。本当は何にもないと思います。

 

2 空間につまっている物

(1)空間にはエネルギーが満ちている

 量子論によると、上に書いたように、真空は無ではなくエネルギーが満ちているということです。また、真空は揺らぎを持っていて粒子を生むともいっています。粒子と反粒子の対を生むといっています。プラスとマイナスで合わせると0になるから、0、すなわち無から生まれてもいいということのようです。空っぽの冷蔵庫から、ビールと反ビールが出てきて、合わさると0だから、空っぽの冷蔵庫からビールと反ビールが出てきてもいいというような理屈です。そんな冷蔵庫があればいいですね。

この粒子はすぐに合わさって対消滅します。そのとき、無に還らずに、エネルギーを残したりします。また、対で生まれているはずなのに、ときどき、10億回に1回ぐらい、消滅する相手が見付からなくなって、粒子だけが残ったりするそうです。その消滅できずに残った半端物の粒子がこの宇宙の星や、ガスになったということだそうです。ビッグバン論ではこれが一瞬で起こったということです。神様が瞬きしたら、そのすきに粒子がドバット出来て、その10億分の1が残って散らばってこの宇宙に見える星や銀河になったそうです。まあ、すごいことです。この宇宙にあるすべての物質の999999999個分の物質が、その対となる、99999999個分の反粒子と共に消えたということのようです。膨大な無駄をしたもんですね。でもそれでいいのかも。もし宇宙の物質がこの10億倍もあったら、空は10億倍の星が輝いていることになり、星だらけになってしまいそうです。太陽があと9億9999万9999個もあったら大変ですからね。地球なんか燃えてしまいます。

 エネルギーが揺らぎを生むのか、揺らぎがエネルギーを生むのか、卵が先か、鶏が先かのような話ですが、とにかく真空は揺らぎと真空のエネルギーで物質を生むということです。真空とはなにも無い状態ではなく物質を生むエネルギーや揺らぎに満たされているということのようです。ただ、残念ながら観測されたことはありません。そんなすごいものが何故かなんにも観測されていないのです。今のところ机上の空論です。

しかし、これがなければわれわれの住む地球もできなかったということですから、一番大切なエネルギーとシステムであるのでしょう。それなのになにもわかっていない不可思議な力とシステムであるといえます。ただ、この真空のエネルギーから粒子が生まれる現場は観測されていないから、今のところ仮説といえそうです。

ただ、空間には通常の物質からできた星や銀河や銀河団やガスや塵があることは観測されています。そのほかに、ニュートリノや、たまに反粒子も観測されていますから、これらは実際に存在します。ただ、それらが真空から生まれたということは仮説です。もちろんビッグバンで生まれたということも仮説です。机上の空論に近い仮説です。

 

(2)空間にはクオークが詰まっている

 上の考えを極端にした考えです。

 空間にはクオークがぎっしり詰まっているという考えがあります。

 (1)に書いたように、空間はなにも無いのではなくエネルギーと揺らぎがあります。このエネルギーは、常にクオークと反クオークを生みだしているというのです。この二つは、すぐに対消滅して元のエネルギーと揺らぎだけの空間に戻ります。ところが対称性の破れというのがあって、10億回に1個クオークが残ってしまいます。ここまでは上と同じです。違うのはこの後です。この残ってしまうクオークが宇宙空間に溜まっていき、今では、空間にぎっしり詰まっているというのです。

 確かに、ビッグバン宇宙論では一瞬で今宇宙にある全物質とエネルギーが生まれたというのですから、その後137億年もの時間があったのですから、クオークがその何百億倍も何千億倍も生まれる時間はあったということですから、それもあるかもしれません。

考察

これはもちろん観測されていない現象ですから仮説です。

 実際のことで考えてみます。

われわれは宇宙に暮らしています。すると、われわれの周りにもクオークがぎっしり詰まっているということになります。

 変なこと1

 われわれはクオークと電子でできています。地球も空気も、クオークと電子でできています。そのほかにも、力の素粒子もありますが、物質を構成している基本はクオークと電子です。

 私たちは空気抵抗を受けます。地球にもぐりこむことなく立っています。これは、クオークや電子が持つ電磁気力による相互作用です。また、加速器では、クオークでできている陽子どうしを衝突させています。宇宙を飛ぶニュートリノは、ごくまれですが、電子や、クオークに衝突します。

@ では私たちは、私たちの周りにぎっしり詰まっているというクオークとどうして反応しないのだろう、という疑問が出てきます。普通の物質を構成しているクオークとは必ず反応するのに、空間につまっているというクオークとは何一つ反応しないのはどうしてだろうという疑問が出てきます。

私たちの体は、クオークから見ると、スカスカで、隙間だらけです。空気もやはり隙間だらけです。それでも互いに反応します。クオークが空間にぎっしり詰まっていたら必ずそれと反応するはずです。そのクオークがぎっしり詰まった空間から何の影響も受けていないということは、私たちの周りにはクオークがないということを表しているということではないでしょうか。

A また、地球が、宇宙空間にぎっしり詰まっているクオークの中をかき分けかき分け公転していることになるのに、何一つ影響を受けていないということは、地球の公転軌道上にはクオークは存在しないということが言えそうです。

人工衛星は、空気の分子(クオークからできている)に衝突して速度を失い地球に落下したりします。けれど、人工衛星の軌道上にあるはずのクオークと衝突して人工衛星が落下するという現象は存在しません。人工衛星の軌道にあるかすかな空気分子(クオークからできている)に衝突して速度を落とすのに、ぎっしり詰まっているはずのクオークからは何の影響も受けないのは、そこに、クオークが詰まっているという仮説が間違いであるということを表しています。

B また、太陽や星の光が、宇宙空間にぎっしり詰まっているというクオークの影響を受けていないことから、地球と恒星との間の宇宙空間にもクオークはないということが言えます。

変なこと2

 物質を考えてみます。物質を構成している原子は、陽子と、中性子と、電子でできているということです。原子を東京ドームにたとえると、陽子はビー玉くらいだといいます。原子の中はスカスカだということです。陽子も中性子も、クオークからできています。陽子の大きさを東京ドームにたとえると、クオークの大きさはビー玉くらいだということです。原子を東京ドームにたとえると、物質であるクオークは、蟻の目玉の大きさもないということです。あとはスカスカでなにも無い空間のようです。すなわち真空ということになります。

 すると、この原子の中の空間も真空のエネルギーを持っていることになります。そして、このエネルギーからクオークと反クオークが対生成され対消滅していることになるはずです。そしてクオークが残ることになります。宇宙にぎっしりクオークが詰まっているように、原子の中にもぎっしりクオークが詰まっていても不思議ではないことになります。原子の外が宇宙なら、原子の中も宇宙の一部なのですから。

すると、原子の質量は大幅にアップすることになります。水素原子なんか、クオークが3個なんてことではなくて、何億個も詰まっているのじゃないでしょうか。

まあ、それでは困ってしまうので、そんなことは考えることではないと目をつぶっているのでしょうか。

 これも現実には存在しないことのようです。

変なこと3

クオークは質量を持っているということです。だからクオークで構成されている我々も質量を持っています。この質量は、アインシュタインは重力、ニュートンでは万有引力といっているものを持っています。すると、宇宙空間にびっしり詰まっているクオークのために宇宙空間は重力で満ちていることになります。ところがこの重力は観測されていません。太陽系は太陽や惑星の万有引力で計算した値と、実際の惑星の公転軌道はぴったり一致します。太陽系に詰まっているはずのクオークの引力は、実際の惑星や衛星の動きに現れていません。これは太陽系には、クオークはびっしり詰まってはいないということを表しています。

結論

 私たちの周りの、観測が正確にできる空間には、クオークはびっしりどころか、ほとんどないということが言えます。すなわち、空間に、クオークがびっしり詰まっているという考え方は、物理学者の机上にしか存在しないということが言えそうです。空間にクオークがぎっしり詰まっているという考え方は間違いであるといえます。

 

(3)ヒッグス粒子

 空間にはヒッグス粒子がびっしり詰まっているということです。この粒子は、物質に質量を与えたということです。ヒッグス粒子が詰まっていると、素粒子はヒッグス粒子に邪魔されて(どのように邪魔するのかは検討の余地がある)動きにくくなる。この動きにくさが質量であるということだそうです。(「動きにくさ=質量」というのは、物質が持つ他の性質、慣性の法則や万有引力は含まれていないので、単純に=であるとはいえないはずです。どうもヒッグス粒子に都合のいいところだけを質量としているようです。ご都合主義のきらいがあります)

ア ヒッグス粒子はわれわれの周りにあるか

 われわれが重いものを動かすとき動きにくさを感じる。これがヒッグス粒子のせいだということです。

 考えてみます。

 空気抵抗というのがあります。空気中を移動するとき、エネルギーを与えないと物質はやがて止まってしまいます。これは空気にぶつかるために物質の運動エネルギーが空気を動かすために奪われたためです。流星などは燃えてしまいます。

 ヒッグス粒子はどこにでもあるということですから、私たちの周りにも普通にびっしり詰まっているはずです。すると、動くとそのヒッグス粒子に邪魔をされて、運動エネルギーを奪われてしまうはずです。動いている限りヒッグス粒子に邪魔されるから、運動エネルギーを奪い取られ続け、やがて止まってしまうはずです。

 人工衛星を考えてみます。人工衛星の軌道にもヒッグス粒子は詰まっているはずです。すると人工衛星はヒッグス粒子に邪魔されて動きにくくなり、速度が落ち、やがて落下してしまうことになりそうです。しかし、実際にはそんなことは起こっていません。人工衛星は、軌道上にある非常に薄い空気分子にさえ邪魔されて速度が落ちて落下することはあっても、空間につまっているはずのヒッグス粒子によって速度が落ちて落下することはありません。これは、ヒッグス粒子があるけれど、物質の運動を邪魔することはないということか、あるいはヒッグス粒子は人工衛星の軌道上にはないということを表しています。しかし、ヒッグス粒子が邪魔することで物質は質量を得たのだから、ヒッグス粒子が運動を邪魔しないということは理論に反します。ヒッグス粒子は人工衛星の軌道上にはないということになります。

 流星を見てみます。流星は空気を圧縮することによって温度があがり、燃えてしまいます。ところが、びっしり空間につまっているヒッグス粒子の中を飛んでいるはずなのに、ヒッグス粒子を圧縮して燃えることはありません。それどころか、ヒッグス粒子からもらったという質量は、運動エネルギーを保存したり、万有引力で地球と引き合って加速さえします。ヒッグス粒子は流星の運動を邪魔(動きにくく)していません。これはそこにヒッグス粒子が存在しないということです。

 これは地上の物質の運動のすべてにいえます。大昔のヒッグス粒子は物質を動きにくくさせたけれど、現在の地球ではヒッグス粒子は物質の運動には何の作用もしないということです。

 物質の運動エネルギーは、mvの2分の1です。物質は動きにくいからではなく、動かすには運動エネルギーがいるということです。そして、そのエネルギーは保存されます。動きにくさとは言い切れません。ヒッグス粒子が動きにくさを物質に与えたとすると、運動エネルギーを保存する質量の性質はどこからもらったのでしょう。ヒッグス粒子に邪魔されて動きにくくなったとう説明だけでは説明不足です。

 

イ ヒッグス粒子の検出

 ヒッグス粒子を検出した加速器の中の陽子は、ほぼ光速で飛んでいたということです。この陽子は、加速機の中の空間にびっしり詰まっているはずのヒッグス粒子に光速で衝突しながら飛んでいたはずです。ところが、ほぼ光速でヒッグス粒子に衝突しているはずの陽子は、ヒッグス粒子から何の作用も受けていません。また、ヒッグス粒子も光速の陽子に弾き飛ばされたりしていません。ヒッグス粒子が現れたのは、陽子同士が衝突して粉々に分解して飛び散った中に少しヒッグス粒子の痕跡があったということだけです。陽子は、空間から、ヒッグス粒子を弾き飛ばしたのではなく、陽子の中から弾き飛ばしたようです。

 もちろん陽子の中にも空間があるからそこにヒッグス粒子が詰まっていてもおかしくはありません。しかし、空間にもヒッグス粒子はびっしり詰まっているのだから、空間のヒッグス粒子を弾き飛ばしてもよさそうです。ところがそれはありませんでした。

 物質の最高速度は光速の一歩手前であると言われています。ということは、加速器の中の陽子は物質の最高速度で飛んでいたということが言えます。それなのに、空間にびっしり詰まっているヒッグス粒子と相互作用しないということは、物質とヒッグス粒子は物質がどのような状態であっても相互作用をしないということが言えそうです。

 実際、太陽系内の太陽を始め、すべての惑星や彗星、流星、太陽風などは、太陽系内につまっているはずのヒッグス粒子と相互作用していないということが言えます。

結論

 このことから、ヒッグス粒子は、空間につまっていても、物質とは相互作用しないということがいえます。ヒッグス粒子は、加速器の中の、光速で飛ぶ陽子同士が衝突したときだけにかすかに表れるということのようです。あるいは、大昔、ビッグバンとかがあったときにだけヒッグス粒子は宇宙の物質ひとつ残らず(ひとつの見逃しも無くというのは宇宙にあるクオークの数を考えるとすごいことです)と作用し、宇宙のすべての物質を動きにくくさせたということのようです。ものすごく特殊な普通では絶対ないような状態のときだけに限って作用する特殊な粒子のようです。

このことから、今の宇宙のヒッグス粒子はその力を無くしたか隠しているか、あるいは、今の普通の空間にはヒッグス粒子は存在しないということがいえそうです。あるいはもともとヒッグス粒子は存在しなかった、ということです。

ヒッグス粒子がもともと物質に質量を与える機能を持って生まれたのが可能なら、物質がもともと質量を持って生まれるのも可能です。わざわざヒッグス粒子から質量をもらわなくてもいいわけですから、こちらの方がシンプルです。ただそれではビッグバン理論が困るようですが。理論が困るからといって、質量を「動きにくさ」とか矮小化させてまでわざわざそんなめんどくさいシステムを作る必要はないとおもうのですが。

 

(4)ダークマター

 これは、上記の二つの粒子のように、びっしりと詰まっているということではありません。宇宙には通常の物質の6倍ほど存在しているという謎の物質です。まあ、太陽が6個分、銀河が6個分、銀河団が6個分よけいにあるということのようです。

それは、重力を持っているということ以外なにも無いということです。見えないし触れないから、観測できないということです。これは、何にも無いから観測できないということほぼ同じです。ただ、銀河の回転や、銀河団の回転や、重力レンズから、重力ではダークマターは観測できているということです。それ以上に重要なことは、ビッグバン宇宙論には、ダークマターがなくては銀河や星が生まれないということです。すなわち、現在のように星や銀河がある宇宙を作るにはダークマターがなくてはならないという、学問上の必要性から生まれたということです。

それも、銀河などの回転異常は通常の物質でもかまわないのですが、ビッグバン宇宙論では、通常の物質では困るのです。なにか通常の物質以外の得体のしれない重力源がいっぱいなくては理論上星や銀河が生まれないのです。通常の物質がいくらあっても計算上星や銀河は生まれてこないのです。だから、銀河などの回転異常の原因も通常の物質では困ることになるのです。それがダークマターです。このことから、ダークマターは今まで直接観測できたことがないということと、通常の素粒子ではなさそうだということは共通した意見になったのです。通常の物質ではないのですから、観測できていないのは必然です。通常の物質の6倍もあるのですから、観測できるなら今までに観測できていたでしょう。そしてそれがなんであるかは、特定できたでしょう。素粒子がいろいろ発見されたように。

ただ、銀河団はガスに覆われているということが最近観測されました。ガスの中に埋もれていたのです。同じように、銀河も、すっぽりとガスに埋もれていることが観測されました。数十年前、銀河の回転異常が発見されたときにはわからなかった重力源(その当時はミッシングマスと呼ばれていた)が銀河の周りに発見されたのです。でもそれは無視され続けています。原因はそれが通常の星間ガスにしかすぎないからだと思われます。

最近渦巻銀河の周りにガスが発見され、それが、巨大な楕円銀河と同じほどに広がっていることが発見されました。それまで、回転異常だといわれていたけれど、楕円銀河とすると普通の現象ということでした。回転異常ではなくなったということです。

銀河も普通はガスに覆われているのが発見されています。銀河団の中はガスに満ちているのだから当然です。この天の川銀河の周りもガスが覆っていて、遠く、アンドロメダ銀河までつながっているということです。これも、このあたりの銀河群の構成員なのだから、当然のことです。銀河群はガスにすっぽり覆われているはずですから。ガスの固まりの中に、ぽつぽつと銀河が浮かんでいるのですから。

このように、数十年前には観測できなかった銀河を大きく取り巻くガスや、銀河団を埋め尽くし大きく覆っているガスが、観測技術の進歩によって見えてきています。これからも今まで見えなかったものが見えるようになるでしょう。おそらく銀河や銀河団の回転は、このガスが大きく寄与していることと思われます。しかし、それを言えなくさせているのがビッグバン宇宙論です。ビッグバン宇宙論に反すること、ビッグバン宇宙理論に不利になることはいえないのです。

 

ダークマターと重力について。

重力があるということから、重力レンズ現象で何かが宇宙に星雲状に広がっているということが観測されたといっています。星雲状に広がっているなら、ダークマターは集まることができるということです。銀河の周りにも集まっているということですから、重力で収縮することができるということです。しかし、星よりはるかに多く存在するのに、ダークマターでできた星は観測されたことがありません。また、ダークマターが混ざった星も観測されていないようです。もちろん地球も太陽も、通常の物質だけでできているようですから、通常の物質とダークマターは混ざり合わないようです。お互い重力で引き合っているのだから、くっついて、混ざって星を作ってもよさそうなのですがそれはないようです。あまり仲が良くないのかもしれません。

ただ、重力で収縮できるということは、普通の物質のように、収縮して、星までなっても不思議ではありません。いえ、ならないのが不思議です。

重力で少しでも収縮することができるなら、位置エネルギーを放出するシステムを持っているということです。それがほんの少しでも収縮するには位置エネルギーを何らかの形で放出しなければなりません。星雲状に集まったり、銀河や銀河団の周りに集まるには、位置エネルギーを放出しなくてはなりません。エネルギー不変則です。そうしたら、星にまで収縮しなければならないことになります。ところが、ダークマターの星も、普通の物質と混ざった星も観測されていませんから、ダークマターはあるところまで(ビッグバン論者の一番都合のいいところまでといえるかも)しか収縮できないという不思議な物質のようです。(重力でダークマターが近寄るなら加速されます。互いに、それを止める力がなければ、互いに加速しながら近づいてやがて衝突します。通常の物質なら、このとき位置エネルギーから運動エネルギーに変わったエネルギーの一部が衝突で熱エネルギーに変わってしまい元のところまで跳ね返ることができません。地上に落としたボールが跳ね返りながらやがて地球にくっつくように、物質は集まって、星になっていきます。もし、ダークマターが重力で引き合うなら、ダークマターどうし、あるいはダークマターと通常の物質同士が引き合い、やがて衝突するはずです。このときダークマターが熱を出さないなら、ダークマターどうしが衝突したならダークマターは元の位置まで跳ね返ります。エネルギー不変則です。通常の物質と衝突したなら、ダークマターは通常の物質とは相互作用をしないということですから、すりぬけて、最初にあった距離と同じ所まで飛んでいって止まるでしょう。そこからまた近づいて衝突することでしょう。際限なくそれを繰り返すことになります。ダークマターだけなら必ず元の位置まで戻って集まることはないのですが、物質が位置エネルギーを放出して、集まるとそれに引っ張られて、ダークマターもその周りに集まる可能性があります。しかし、ダークマターは通常の6倍もの量があるということですから、集まることができないダークマターに引きずられて、通常の物質は集まることの方が難しくなります。それでも、長い年月には、集まることになるでしょうが、それはダークマターがない時よりはるかに遅くなることでしょう。

 

 太陽系や地球にもダークマターは飛んできていると科学者はいっていますが、直接観測されたことはまだ一度もありません。ダークマターは、気配を感じるという人はいるのだけれど、見たことも、触ったこともないという幽霊と同じような性質を持っている、不可思議なものであるようです。

 

(5)ダークエネルギー

 ダークエルギーというエネルギーが宇宙空間には満ちているというのが、ビッグバン宇宙論です。これは、観測されている宇宙のエネルギーの数十倍あるということです。

 例えば、地震を考えてみます。日本列島を揺らします。大きなエネルギーです。津波の破壊力はすさまじいものがあります。火山のエネルギーもすごいものがあります。石をドロドロに溶かすのです。地球の運動エネルギーも感じないけれど大きなものがあります。それどころではありません。太陽の出しているエネルギーはすごいものです。宇宙にはそんな太陽が無数にあります。膨大なエネルギーを放出しています。銀河の回転も大きなエネルギーを持っています。それぞれの恒星が離れていることから持っている、位置エネルギーも莫大です。水爆でも、火山でも地球は破壊されません。でも月が落ちてきたら、地球は砕けるでしょう。恒星同士が衝突したら大変なことになります。位置エネルギーは巨大なのです。

 また、E=mcという式があります。物質はそれ自体莫大なエネルギーであるということです。星はいっぱいあります。

 これらの何十倍ものエネルギーが、ダークエネルギーです。宇宙を膨張させているエネルギーだそうです。直接観測されてはいませんが、宇宙が膨張しているという観測があります。でも宇宙の膨張の観測も直接の観測ではありません。銀河の赤方偏移が観測されていることからの推測です。

 これも、ビッグバン宇宙論からの要請です。

 このエネルギーはなにが担っているのでしょう。普通のエネルギーは上に書いたように、物質や、電磁波として存在します。ダークエネルギーはなにが持っているエネルギーなのでしょう。真空が持っているということのようですが、真空はなにもありません。なんにもないものが、エネルギーを保存できるのでしょうか。真空がエネルギーを持っている仕組みはまだ誰も解き明かしていません。そのエネルギーも何なのかは誰もわかっていません。普通のエネルギーは、物質を動かしたり、熱(これも、物質の運動)になったり、電磁波になったりしています。ただどのエネルギーも空間を膨張させることはできません。ダークエネルギーは、空間を膨張させます。そのほかにはなにもしません。そよ風一つ吹かしません。温度を0,1度も上げません。もちろんさざ波一つ立てません。ところが、巨大な銀河や銀河団を動かします。地球や太陽は動かさなくても、遠く離れた銀河団を超スピードで動かしているというのです。とても不思議な性質を持ったエネルギーです。だから、ダークエネルギーなのでしょうね。これもビッグバン科学者にはとっても都合のいいエネルギーといえます。

 

まとめ

1 空間の構造

・ 空間は伸び縮みする。

・ 空間は曲がる。曲がった空間が重力を生む仕組みである。

・ 空間は膨張している

・ 空間は揺らいでいる

2 空間につまっているもの

・ 物質を生む真空のエネルギー

・ 宇宙を膨張させるダークエネルギー

・ クオーク

・ ヒッグス粒子

・ ダークマター

3 結論

このように、宇宙空間はさまざまな構造を持っていて、様々なエネルギーや、粒子や、謎の何かが詰まっているということです。硬くてやわらかくて臨機応変で、宇宙さえ生みだす魔法の構造を持っているようです。また科学者が必要なものはなんでも詰め込んでいるようです。

科学者たちも少しは連絡を取り合って、整合性を持たせたらと思うのですが。まあ、みんな自分の専門が忙しくて、他のと折り合いをつけるのが難しいのでしょう。というより、みんな勝手なことを言っているので、折り合いをつけようがないのでしょう。

ところで、これらのどれも、今のところ直接には観測されていないものばかりです。空間はしっかりした構造があるはずなのに、観測できません。また、そこには様々なものがぎっしり詰まっているはずなのに、やはり観測できません。実際の空間は人間の観測上は「なにも無い」とそっくり同じなのです。観測できるのは、その中で一番少ない、通常の物質と光と熱だけです。なぜでしょう。簡単です。その他のものは存在しないからです。手を振り回して見れば分かります。そこには空気と、熱と、光しかありません。手だけでは分からないものや事象がある、ということでしょう。しかし、いろいろな最新観測機器を使っても今のところ、やはり、通常の物質と、光と、熱しか観測できていません。唯一観測できたのはヒッグス粒子です。しかし、観測できたヒッグス粒子は書いたように陽子の衝突の破片から出たというかすかな痕跡だけです。物質から叩きだしています。空間にぎっしり詰まっているヒッグス粒子をたたきだしたのではありません。

加速器の中で光速に近い速度で空間を切り裂いて飛ぶ陽子や電子が空間そのものや空間につまっているものと何一つ相互作用を起こしていないのは空間にはなにもないということを実証しています。

これらのものは今のところ科学者の空想にしかすぎないといえます。いつか観測機器の進歩で、これらのものが観測できるときが来るかもしれません。でもそれも、希望的観測にしかすぎません。それらはビッグバン宇宙論の机上の空論なのです。

 

私たちの周りに、さわることができたり、私たちの動きを邪魔したりする空間はありません。そこに通常の物資や光以外の何かが詰まっているということもありません。少なくとも私たちの周りにある空間はなにもありません。