へいこく雑記帖 |
「敗者の生命史38億年」(稲垣栄洋)より考える恐竜絶滅
著者 田 敞
(以下{ }内は上記本よりの引用)
まえがき
現在は、隕石の衝突によって恐竜が滅びたという説が定説のようになっています。隕石衝突説以前には被子植物が恐竜を滅ぼしたという説がほぼ定説でした。もう、ずいぶん前になりますが、花に追われた恐竜の話をNHKが放送したことがあります。その時は多くの批判が寄せられたということです。その批判は隕石衝突説からの批判でした。NHKは釈明していたと記憶しています。昔のことだから定かではないですが。科学の世界でも、いろんな説が出ては絶滅していくようです。進化なのでしょう。
上記の本では、隕石衝突が恐竜絶滅の原因としながらも、被子植物も恐竜にダメージを与えたという考えを述べています。折衷案のようです。今は恐竜絶滅に被子植物は関係していないというのが一般的ですから、かなり変わった意見といえます。
ここでは、被子植物が、この本にあるようなことから恐竜にダメージを与え得たのかを検討してみます。そして、被子植物の台頭が恐竜絶滅に関係したかについても考えてみます。
注意したいのは、隕石衝突説の立場からの検討ではなく、自然選択説からの検討です。
地球上の生物は、誕生してから今日まで、自然選択でここまで進化してきたというのが生物学の考え方です。38億年前RNAの形でたった1度生まれた地球上の生命が、今の人間にまで複雑になったのは、すべて自然選択によるというのが進化論です。自然選択なくして、進化はないということです。白亜紀末の恐竜絶滅以外の何回かの大量絶滅も環境の激変があったとしても、それを乗り切った生きものは、自然選択による適者生存の法則による生き残りです。そのたびにすべてが滅びて、やりなおしたかというとそうではありません。細菌から多細胞生物まで、ほぼすべてが滅びることなく現代につながっています。形を変えてつながったもの(進化)もあり、ほぼ形を変えずに現在までつながっているものも多数あります。
なぜ、恐竜(鳥以外)だけが、あたかも神の逆鱗に触れたかのような天の雷による絶滅だったのでしょう。恐竜が滅びたから人間が生まれたといわれている、哺乳動物の天敵、悪魔の権化のようなおどろおどろしい姿の恐竜を滅ぼすのは天の雷が最も適しているのでしょうか。ここだけ、「種の起源」ではなく、なぜ「聖書」なのでしょう。その問題を考えていきます。
1 被子植物が恐竜を追い詰めた
稲垣栄洋氏の「敗者の生命史38億年」によると、{隕石が地球に衝突する以前から、恐竜は次第に衰退の道をたどっていた。そしてその要因として、植物の進化が恐竜を追い詰めていったのだろう。}と述べています。白亜紀になって現れた被子植物が恐竜を衰退させたというのです。白亜紀には、植物は、動物に先駆けて、すでに新しい時代、新植代に入っていました。そして、{進化のスピードを高めた被子植物に、恐竜の進化が追いついていくことができなかったのではないかと考えられているのである。}とこの本では述べています。
植物を食べて生きている動物にとって、植物が変化することは大きな環境変化です。それについていけるか否かで、繁栄と衰退が大きく左右されるのは確実です。
この本では、恐竜は被子植物の進化に追いつくことができなかったから衰退したと述べています。それは妥当な考えだろうかをまず検討してみます。
(1)進化した恐竜
この本では恐竜も被子植物に合わせて進化していると述べています。
{トリケラトプスは、花が咲く被子植物を食べるように進化したとされる恐竜の一つである。}{トリケラトプスは足が短く、背も低い。しかも頭は下向きについている。その姿はまるで草食動物のウシやサイのようだ。}とあります。
被子植物の進化に合わせてトリケラトプスが体ごとウシやサイのように進化できたということです。被子植物の進化に形体的には追いついているといえます。では被子植物のアルカロイドに対してはどうでしょう。被子植物を食べるように身体が変わったなら、草を食べても大丈夫な体に変化していたのではないでしょうか。身体の形が進化するほど長い間、おそらく、少なくとも数十万年の間、たぶん数百万年間草を食べ続けていても大丈夫だったのだから、アルカロイドに対しても、耐性をもつほど進化したと考えても妥当でしょう。耐性を持たなければ体が変化する前に滅びていたでしょう。
また、この本では述べていないが、恐竜の一種である鳥も、現在、やはり被子植物を食料にして暮らしています。そして大繁栄しています。哺乳類(約5000種)より鳥類の種数(約9000種)の方が多いのです。
また、{被子植物を食べるように進化したとされる恐竜の一つ}とあるように、被子植物に適応した恐竜もほかにいたということです。恐竜はおそらく他に何千種あるいは何万種もいたでしょうから、被子植物の進化に追いついた種がもっとあっても不思議ではないはずです。
{植物は、アルカロイドなどの毒性のある化学物質を次々に身に付けた。そして恐竜は植物がつくりだすそれらの物質に対応することができずに、消化不良を起こしたり、中毒死したのではないかと推察されている。実際に、白亜紀末期の恐竜の化石を見ると、器官が異常に肥大したり、卵の殻が薄くなるなど、中毒を思わせるような深刻な生理現象が見られるという。}
何千種もいただろう恐竜の中には被子植物に適応できなかった恐竜もいたかもしれません。環境に適応して生き残るものと、適応できずに滅びるものが出るのは普通のことですから、不適応な例があるのは当然です。けれど恐竜のすべてが不適応になったということはいえません。少なくともトリケラトプスと鳥はそうではなかったのですから。
また、昆虫と、爬虫類と、哺乳類は恐竜と同じように白亜紀を生きていました。これらの動物は被子植物の進化に取り残されてはいません。それどころか、昆虫や哺乳類は、被子植物の繁栄と歩調を合わせて繁栄しているようにさえ見えます。なぜこれらの動物が、{アルカロイドなどの毒性のある化学物質を次々に身に付けた}被子植物の進化に取り残されなくて、それまで地上の覇者であった恐竜(鳥以外)だけが被子植物の進化に取り残されてしまったのかの原因が見当たりません。
また、上記のトリケラトプスは、被子植物に適応して体を変化させています。それほど、被子植物に適応しているのに、なぜ滅んでしまったのかという疑問もあります。被子植物に適応した鳥は、様々に分化して、現在の空の覇者になっています。たった一種が進化して9000種ほどになっています。それならば、被子植物に適応したトリケラトプスが、数千種に進化し、地上の覇者になってもよさそうです。
鳥が繁栄し、トリケラトプスが絶滅した原因は、被子植物のアルカロイドではないといえます。鳥と、トリケラトプスの違いはなんでしょう。最大の違いは「飛ぶ」ことです。この能力の違いが、トリケラトプスを絶滅させ、鳥を繁栄させた最大の原因ではないでしょうか。
少なくとも、植物が身に付けたアルカロイドだけでは、地上性の恐竜だけが衰退させた理由を説明できないということはいえそうです。
(2)恐竜の進化
古生代後期に生まれた恐竜は、中世代に栄えたが、すべての恐竜が最初から最後まで存続していたわけではありません。恐竜が繁栄していた中世代でも、恐竜は新しい種が生まれては絶滅するのを繰り返していました。おそらく万を超す種類が生まれては絶滅していったことでしょう。前期は竜盤竜の種類が、後期は鳥盤竜が繁栄していたということです。これは自然選択によって起こったと考えられます。そして、白亜紀末に向かって、恐竜は衰退していったということです(これは科学者によって意見が分かれるようです)。では、恐竜は死に絶えたのかというと、そうではありません。現在は恐竜の中で鳥類だけだが生き残っています。生き残っているばかりか、哺乳類の倍近くの種数になって繁栄しています。恐竜は連綿と生き続けているのです。中世代と同じように、滅びた種と、滅びなかった種があるだけです。
この間のほとんどが自然淘汰によって恐竜の進化と、絶滅が起こったといえます。隕石衝突以外は。
2 恐竜絶滅の原因を考える
現在の地上の覇者は哺乳類です。空の覇者は鳥です。このことが、鳥とトリケラトプスの明暗を分けた原因ではないのだろうか、と考えてみます。
(1)6回目の大量絶滅と隕石衝突説
{絶滅の大きさは一年間に100万種あたり何種が絶滅するかという指標で表されている。通常この値は0.1程度である。・・(中略)・・地球史上最大の大量絶滅であったペルム紀末の大量絶滅の値は110と見積もられている。しかしどうだろう。現在から過去二百年間の脊椎動物の絶滅の値は、106である。史上最大の大量絶滅に匹敵する絶滅が、今私たちの目の前で起こっているのである。}
考察
このことから、ペルム紀末の大量絶滅より小さな絶滅であった白亜紀末期の恐竜の絶滅は、今起こっている程度の指数、106でも十分起こりうるということがいえます。何も、小惑星で一気に殺さなくても現在起こっている程度の自然選択だけでも恐竜は十分絶滅できるということです。
では、小惑星の衝突でないなら、何が恐竜の絶滅を起こしたのかということになります。今は否定されているけれど、稲垣栄洋氏が言うように白亜紀に始まった被子植物の台頭が関係している可能性をもう一度考えてみます。
しかし、被子植物のアルカロイドだけでは上に書いたように、必然性が不十分であることは否めません。
白亜紀に同じように被子植物に適応していたのに、トリケラトプスが滅び、鳥が繁栄していったことがこの謎を解く鍵になるのではないでしょうか。
(2)トリケラトプスが滅び鳥が繁栄した理由
先に書いたように、共に、被子植物には適応していました。このことは同じであるから、アルカロイドがトリケラトプスと鳥の明暗を分けたとは考えられません。では何が違っていたのでしょう。
先に少し書いたように、この2種の最大の違いは、鳥は飛べるが、トリケラトプスは飛べないということです。このことが明暗を分けたのではないかと考えてみます。この両種の適応能力の差に、自然選択がどのように働いたか考えてみます。
(3)ニッチの端と中央を考えてみる
真ん中は大陸で、端は、山岳、島、海、空であると考えます。すると、真ん中の一番住みやすいところを、一番強いものが占有します。それに追いやられて、山岳、島、海、空に、弱いものが住む、と考えてみます。
すると、鳥は、大陸から空に追いやられた生きものと考えられます。魚竜、クジラ、なども、陸から、海に追いやられたと考えます。
これとは少し違うのだけれど、生物は新たなニッチに進出していくという性質があるという考えもあります。川があればそこに海から進出し、陸があればそこに川から進出し、山があればそこに進出し、空があればそこに進出していくというように、生物は新たなニッチに進出して生存する場所を広げてきたという考え方です。しかし、
ここでは追いやられたということが大きな比重を持っていたとして考えてみます。
白亜紀になると、鳥が現れ、進化を始めます。これは強い恐竜に追われて空に生活の場を求めたのか、空という新たなニッチに積極的に鳥が進出したのかは分かりません。その両方であったかもしれません。飛ぶことで、空に生活の場を広がったことで、食料の獲得が広がり、また地上性の恐竜の脅威からも逃れられたという利点があったと考えられます。
白亜紀になって、光合成能力の高い被子植物が栄えていくにつれて、空気中の酸素濃度が増えていきました。それに伴って、活発に動けるようになった哺乳類が、恐竜のニッチに進出していったと考えたらどうでしょう。やがて、地上性の恐竜は哺乳類にニッチを奪われて滅びていきました。しかし、空に生活の場を広げていた鳥類は哺乳類との食料争奪戦から逃れられたし、攻撃からも逃れて繁栄していったと考えてはどうでしょう。すると、トリケラトプスは滅びるけれど、鳥は滅びることはないということになり、現在の状態になります。
このことを、もう少し考えてみます。
(4) そこでまず鳥類と哺乳類について考えてみます。
ア 哺乳類に対しての鳥類の優位性
・ 気嚢システムの優位性
哺乳類に比べ、酸素を多く取り入れることができる。
飛ぶにはエネルギーが多くいる。そのための酸素を供給できる。また、高度が高くなって気圧が下がり、酸素濃度が下がっても、酸素を多く取り入れることができる。
骨が空洞になっているので、身体を軽くできる。
・ 羽毛の優位性
コウモリ(哺乳類)の被膜より、羽毛の方が飛行には適している。
このことから、鳥は哺乳類に対して空では優位に立って、繁栄したと考えられる。
イ これらの証拠
・ 哺乳類のいなかった島では、地上性の鳥が増える。そこへ、哺乳類が入ると、地上性の鳥が減ったり絶滅したりする。また、そこで繁殖していた海鳥も減る。
・ コウモリの多くが夜行性である。
これは昼間のニッチを鳥に奪われているということである。中世代、恐竜に昼間のニッチを奪われた哺乳類が夜行性になっていたのと同じだ。
・ 強い鳥(猛禽類)のいない離島では、コウモリが昼行性になっている例がある。
・ 哺乳類に比べて、鳥は、おおむね小型である。これは、中生代の哺乳類が、恐竜に比べて、小型であったことと同じである。哺乳類のいない島では、地上性で大型の鳥、ドウドウなどがいたが、哺乳類が進出すると滅びている。
(5)地上性の恐竜と哺乳類
ア 隕石衝突説
一番受け入れられている説だが、隕石衝突によって、地上性の恐竜だけが滅んだという説は、隕石がなぜ地上性の恐竜だけを選択したのかの説明が不足している。一見自然選択のようだが、これはたんなる偶然にしかすぎない。なぜ衝突によって地上性の恐竜が滅びたのに、同じ恐竜の鳥類や、哺乳類がすべて生き残ったのかの必然性が存在しない。
イ 被子植物のアルカロイド
やはり、地上性の恐竜だけが滅びた必然性が存在しない。上に書いたように、鳥類や、トリケラトプスなどの被子植物に適応した恐竜もいるのだから、地上性の恐竜だけが滅びて、鳥類や、哺乳類や、昆虫などが生き残った必然性が存在しない。
ウ 哺乳類が恐竜のニッチを奪っている可能性のある例
{カナダ・アルバータ州のドラムヘラーからは、恐竜時代末期の化石が多く見つかっている。この地域の七千五百万年前の地層からは、トリケラトプスなど角竜が八種類も見つかっているのに対して、その1千万年後には、角竜の仲間はわずか一種類に減少してしまっているという。一方、この間に哺乳類の化石は、十種類から二十種類に増加している。確かに恐竜絶滅のきっかけは小惑星の衝突だったかもしれない。しかし、時代の移り変わりに対応できなかった恐竜たちは、次第に衰退の道を歩んでいたのである。}
この例は、哺乳類が恐竜のニッチに進出し、恐竜を絶滅させていった可能性を示唆している。
これは{カナダ・アルバータ州のドラムヘラー}だけの現象だけではなく、全世界に広がったと考えることもできるが、その証拠はない。ただ、このことから、1000万年かかると、哺乳類が恐竜をほぼ追いやることができるということを示していると考えられる。
エ 哺乳類が恐竜を追いやった原因
この本では、被子植物のアルカロイドが原因であると述べているが、先に書いたようにそれでは矛盾がある。
被子植物の繁栄によって、地球の酸素濃度が上昇したためではなかろうか。
古生代に、哺乳類の祖先と恐竜の祖先が爬虫類から進化している。最初に繁栄したのは哺乳類の祖先である。古生代の終わりから中世代の初めにかけて、酸素濃度が高かった時代である。その後、中世代が進むと、哺乳類は小型化し夜行性になる。変わって恐竜が大型化し、繁栄していく。この間大きく変化したのは、空気の酸素濃度である。酸素濃度の高かった古生代に比べ中世代は酸素濃度は落ちていく。炭酸ガスの濃度が増え、地球は温暖化していく。炭酸ガス濃度が高かった時は現在より5倍ほどにもなったという。これと並行して、哺乳類が衰退し、恐竜が繁栄していく。そして白亜紀になると炭酸ガス濃度が低くなっていきそれとともに酸素濃度が徐々に高くなっていく。そして現在の酸素濃度になる。
古生代から中生代初期の酸素濃度が高い時は哺乳類、中生代の酸素濃度が低い時は恐竜、酸素濃度が高い新生代は、また哺乳類と、どの生物が繁栄するかが酸素濃度と一致している。これが地上性の恐竜が絶滅した原因ではないのだろうか。
哺乳類の衰退と恐竜の繁栄の原因は呼吸システムではないだろうか。恐竜の呼吸の仕組みは、気嚢という呼吸法だ。これは肺のほかに気嚢という器官を持つことで、空気の流れを一方向にすることで、効率よく呼吸できるようになっている。一方、哺乳類は、横隔膜という器官によって呼吸をしている。これは、つねに呼吸することができるが、吐く、吸うを交互に行わなければならず、また呼気を完全に吐ききらない時は、新たな空気と混ざってしまって効率が良くない。
だから、中生代の酸素が少ない時代には、酸素不足で、4000メートルの山の上のようにのろのろしか動けない状態だったと考えられている。これでは酸素取り入れ能力の高い恐竜にかなわなかったと思われる。そのために恐竜にニッチを奪われ、小型化し、夜行性になったと考えられる。
白亜紀になって、被子速物の繁栄と共に、空気中の酸素濃度が増え、哺乳類の、運動能力が高まったと考えられる。そのことで、哺乳類が手に入れられる食物の量が増え、恐竜の捕食から逃れる率が高まり、生き残る個体数が増えていったのではないだろうか。また、食料が増えることで、子どもを育てるためのミルクの量や食料も増え、成獣になる数が増えたと考えられる。また繁殖能力も高まったのではないだろうか。その結果、哺乳類が増えていき、恐竜のニッチに進出していったのではないだろうか。
また、哺乳類を食料にしていた恐竜は、酸素濃度が高まったことで敏捷になった哺乳類を捕食することが困難になっていったのではないだろうか。それはその恐竜の衰退を招いたはずだ。
白亜紀の終わりには、哺乳類は、現代の哺乳類につながる類はすべて出そろっていたということだ。したがって、肉食の哺乳類も多く存在したことだろう。それらの中にはオオカミやライオンのように、集団で狩りをするものもいたであろう。哺乳類がまだ小さくても、恐竜の子どもは襲えたかもしれない。また、恐竜の卵を食べる哺乳類も出てきたかもしれない。鳥が、できる限り捕食者から卵を隠すのも、その時からの習性かもしれない。
このように、酸素濃度の変化で、哺乳類が台頭することで食物連鎖のピラミッドが大きく変化したと考えられる。その結果が、地上での哺乳類の繁栄がおこり、地上の恐竜の衰退から絶滅に至ったのではないだろうか。
恐竜の最大の利点は、酸素取り入れ能力であった。これは、酸素濃度が低い時には有利な能力であったろうが、酸素濃度が高くなると、優位な特徴ではなくなったと考えられる。
では哺乳類の優位性はなんだろうかということになる。推察だが、知能ではな
だろうか。知能により、運動性も、環境適応能力も恐竜に勝っていたのではないだろうか。この能力は、酸素濃度が低いときは、運動能力の低下ということで、酸素摂取能力の高い恐竜に対して有利に働かなかったのではないだろうか。
新生代になって、数千万年で、哺乳類は猿など、知能の高い種を生んでいるが、恐竜は中世代の二億年間でそれほど知能が発達していたとは思えない。鳥も知能が発達しているように見えるものもいるが、多くの哺乳類や猿にはかなわない。
結論
恐竜の絶滅は、隕石衝突でも、被子植物のアルカロイドでもなく、空気中の酸素濃度によると考える。すると、古生代から中世代、そして新生代と続いていた、恐竜と、哺乳類の栄枯盛衰が自然選択という仕組みで説明できる。
問題は、恐竜が哺乳類に勝っていたものが呼吸機能であるのは分かっているが、哺乳類が恐竜に勝っていたのが知能であるという仮定が証明されていないことだ。
完 2019年11月1日
記 田 敞