へいこく雑記帖

ダークマターは何からできているか

 

2022年10月10日

著者 田 敞

 

1 ダークマターとは

 宇宙には目に見える物質の5,6倍の何かがあるといわれている。それは重力だけがあって、光も出さない、物質とはなんの反応もしない、宇宙とは重力以外一切かかわりを持たない不思議なものだという。そして、その重力さえ、われわれの日常生活には直接には何ら影響をもたらしてはいないから、われわれには一切関係ないものが、目に見えるもの(星や銀河や星間雲)の5,6倍もあるという。宇宙論者の多くが、それはなにかと探しているがいまだに見つかっていないといっている。

そこで、科学者でない私も考えてみる。素人が考えたってしかたがないというなかれ。科学者でない立場には意味がある。アメリカでは、宇宙を考える化学者は、今の主流であるインフレーションビッグバン宇宙論に異を唱えると、観測のための望遠鏡の使用を取り上げられるという。実際そのためにアメリカから、ドイツに拠点を移した科学者がいるということだ。これは宇宙を研究している科学者にとってはかなり大きな圧力だ。主流に反する考えを発表するということはそれ以後の研究ができなくなるという覚悟がいるということなのだから。思想の自由などないようなのだ。自由主義のアメリカなのに不思議なことだ。でも、科学者でない私は、何でも自由に言うことができる。ありがたいことだ。

科学者でないあなたが考えても分かるわけがない、というのももっともです。そうでしょうか。頭のいい人は数式で考えます。凡人の私は日常生活で考えます。それしかできないですからね。宇宙論者は数式の中に宇宙を見ます。私は日常から宇宙を見ます。数式ばかり見ている科学者が見向きもしない日常の現象から見た宇宙もそれなりに意味があるものですよ。

 

(1)観測から

1970年代、銀河の動きから、目に見えない物質が見えている物質の10倍はあるようだと言われだした。これが、当初ミッシングマスと言われ、後にダークマターといわれるようになった。

(2)宇宙論から

 ダークマターは{多くの理論家が好んでいる「インフレーション宇宙」というモデルが正しいとすると、その量は普通の物質の少なくとも10倍、場合によっては20倍以上もあることになる。宇宙の大半の物質が、私たちにとって未知の素粒子だということになってしまう。こんなことがありうるだろうか。あるとしたら、私たちはそれをどう考えたらよいのだろうか}と宇宙論学者デイビット・シュラムが述べている。(「宇宙の果てにせまる」野本陽代、岩波新書)

 インフレーション宇宙論からすると、現在の宇宙の構造、銀河や銀河団や泡構造をつくるためにダークマターが必要であると言われている。

 現在は、ダークマターは見えている物質の5,6倍あるということになっている。

(3)ダークマターの存在理由

 このようにダークマターの存在理由にはふたつある。ひとつは銀河や銀河団の動きに必要な重力源としての何か。当初、ミッシングマスと言われたものである。

 第2は、インフレーションビッグバン宇宙論に必要な重力源としての何かである。こちらは未知の素粒子が必要なようだ。

 

2 ダークマターの候補

ア 星や星間雲などをつくっている普通の物質。

イ 観測されているが質量がはっきりしない素粒子。ニュートリノ。

ウ 未知の素粒子。

 

2 問題点

アの場合。

ミッシングマスがいい出されたころに比べると、見えなかった小さな星(マッチョと言われている)、ブラックホール、銀河内外の星間ガス等、がかなり多く発見されているが、今のところまだ量が足りないと宇宙論者は言っている。

イの場合。

ニュートリノは速度が速い(ほぼ光速)ために、銀河の回転、宇宙の構造などに寄与するのが難しいし、重力の総量も足りないから、ダークマター候補から外れている。

ウの場合

まるっきり観測されていないが、一番有力視されている。というか、インフレーションビッグバン宇宙論者にはこちらでなければならないようだ。

3 考察

(1) アの場合について

 1970年代に宇宙に見える物質はほぼ可視光による観測であった。現在は、ガンマー線、エックス線、赤外線、電波と、様々な観測がおこなわれている。可視光以外で見えてきたものが多くある。ところが、ダークマターに関しては可視光以外のものはあまり考慮されていないようだ。新しい観測では、重力レンズでのダークマターの観測という方法が取り入れられているが、これも主に可視光で観測した結果からの推測である。(現在は、赤外線などでの観測もある)

 なぜ可視光以外の観測を取り入れないのか不思議なことである。インフレーションビッグバン宇宙論者は、ダークマターはウの未知の素粒子でなくては困るから、あるいはそう信じ切っているからということが理由ではないかと考えるのは、考えすぎだろうか。

 

(2)ウの場合について

 今まで発見されていない未知の素粒子が候補に挙がっている。

ア 問題点1 未発見である。

宇宙にある通常の物質の5〜6倍もあるといわれているのに、何一つ観測できないというのはデイビット・シュラム氏の言うように不思議なことである。普通なら、この観測結果は、そのような未知の素粒子は存在しない、ということを現わしている。しかし、インフレーション宇宙論者はそうは考えないようだ。

通常の物質は観測技術の発達と共に新たに発見されている量が年を追うごとに増えている。それでも足りないというので、ダークマターは通常の物質ではないということになっている。ところが、いつまでたってもまるで観測できていないのだから未知の物質を否定してもおかしくはないはずなのに、否定しないで何故かダークマターは未知の素粒子であるという考えが大勢を占めている。これはインフレーションビッグバン論にはなくてはならないものだからである。理論のために必要であるから存在する、という考えだ。

これは、科学の世界では、理論が先で、あとから実証されたということがよくあるといういいわけ付きである。

しかし、未知の素粒子が見つからない理由をいろいろ考えるのもいいが、理論が本当に正しいのかということも考えなければならない気がするのだが。

最近は、未知の素粒子からできているダークマターと言われているものも観測されている。

イ 問題点2 理論上の未知の素粒子

 今のところ発見されている素粒子は理論上にも存在する。しかし、この宇宙の大半をつくっていると云われているダークマターの素粒子は、観測だけでなく理論上にも存在しない。云われている素粒子もあるようだが、それは空想の域を超えていない。これはそんな素粒子は存在しないということを示唆している。

ウ 問題点3 観測例の問題点

 未知の素粒子からできているというダークマターの集まりが観測されている。それは銀河団の周りや、たんにダークマターだけが集まって銀河団間の雲のようになっていたりする。

 これらは、もちろん、未知の素粒子のダークマターが直接観測されたわけではない。重力レンズという現象を使って、間接的に観測されたことになっている。ダークマターは見えない素粒子であることになっているから、間接的に見つけるしかないということだ。

 問題は、ダークマターは、宇宙ができた当初から通常の物質を引き付け銀河や銀河団や巨大構造をつくったと宇宙論者が言っていることだ。それなら、このダークマターの集まった場所にも通常の物質でできたガスや塵も引きつけられて集まっていなければならない。宇宙ができて137億年と言っているのだから、その間純粋に未知の素粒子だけを保っているのはかなり難しいのではないだろうか。

通常の物質が引き付けられたとしたら、引きつけられた物質は水素を中心としたガスであるはずだ。ガスの濃淡は光を必ず屈折させる。ということは、重力レンズと言われたこの現象は、ガスによる屈折とも考えられる。だが何故かこれは無視されている。無視の理由は、重力レンズはアインシュタインが言っている、ではないだろうか。なら、権威主義にしかすぎない。

 もちろん、未知の素粒子がなくても、通常の中性水素が集まっただけでも星雲をつくることができる。銀河系内の星雲ではそちらの方が一般的だ。銀河系内の星雲では、通常の5,6倍はあるはずの未知の素粒子はなぜか混ざっていないようだし、未知の素粒子だけでできた星間雲も見つかっていない。

通常の物質が集まると、そこを通った光は屈折する。重力レンズを持ちださなくても普通のありふれた現象で説明できる。銀河系内の星雲は可視光で普通に観測されている。

エ 問題4 未知の素粒子のダークマターからできた星や銀河がなぜ無いか

 なぜ未知の素粒子のダークマターだけでできた星や、ダークマターが混ざったりしている星がないかという問題だ。ダークマターが通常の物質でできているとすると、それが収縮すると通常の物質でできた星になる。これは普通に存在する。同じようにダークマターが未知の素粒子なら、未知の素粒子でできた星があってもおかしくない。それも通常の星の5,6倍あってもいいはずだ。ところがそんな星はない。なぜだろう。

 未知の素粒子が集まってダークマターの雲やハローを作ったということは、ダークマターが収縮したということである。収縮できるならもっと収縮して星になるものも出てくるはずである。通常の物質でできた暗黒星雲の中ではガスが収縮していって星ができている。星まで収縮するのだ。ところが未知の素粒子でできたダークマターの場合には未知の素粒子でできた星がない。また重力で通常の物質を引き寄せて星をつくるなら、引き寄せた通常の物質と一緒に未知の素粒子が混ざった星ができるはずである。しかしそのような星もない。宇宙論者は考えないようだから、こちらで考えてみる。

 ダークマターが、星雲や、ハローをつくるまで収縮したのに、そこで収縮が止まる原因はなんだろう。その説明を見ない。考えてみる。

 物質の場合と比較してみよう。物質には星雲もある。銀河や銀河団のハローもつくる。そして、星もつくっている。この収縮は物質が光(電磁波)を出すことと関係がある。離れた物質は位置エネルギーを持っている。物質が引力を持っているからである。引力で引きあった物質は速度を上げながら接近する。このとき、位置エネルギーが運動エネルギーに変化していく。衝突すると跳ね返る。引力のために速度を落としながら離れていく。このとき、運動エネルギーが位置エネルギーに変化している。このとき最初に持っていた位置エネルギーが運動エネルギー以外に変化しなければ物質は元の位置まで戻る。エネルギー不変則である。

通常の物質では、衝突の時、運動エネルギーの一部が物質の温度を上げることに使われる。この熱は電磁波になって空中に放出される。したがって、跳ね返るための運動エネルギーの一部が減ることになる。だから元の位置には戻れない。これはボールを落としたときの動きに見られる。ボールは跳ね返る高さがだんだん小さくなり、やがて地面に停止する。位置エネルギーが運動エネルギーに変化し、運動エネルギーが熱エネルギーに変化し地面を温めたり、電磁波として放出されたりしたからだ。

 だから、宇宙空間に浮かんでいる通常の物質は電磁波を出すので、万有引力で接近し、星間雲や星になることができる。

 では未知の素粒子でできたダークマターではどうだろう。

 未知の素粒子でできたダークマターは電磁波を出さないという。しかし、重力は持っているという。だから、引き合って接近する。位置エネルギーが運動エネルギーに変化するので、速度を上げて、やがて衝突する(衝突しない場合は後述)。衝突すると跳ね返る。重力のために速度を落としながら離れていく。エネルギーの他への移動がなければ、元の距離まで離れて停止する。そして、また重力で接近する。これの繰り返しで、収縮することはない。

 では、通常の物質のように位置エネルギーの他への移動はあるのだろうかを考えてみる。

 未知の素粒子でできたダークマターが星間雲に似たものや、ハローに収縮したなら、ダークマターの位置エネルギーは減少していることになるから、エネルギー不変則から、そのエネルギーは必ずどこかに行っているはずだ。その仕組みがあるということだ。ということはボールの落下と同じで、いつかはくっつくということだ。すると未知の素粒子からできているダークマターも星になるはずだ。それが星間雲で収縮が止まったのはどうしてだろうか。理由がいるがそれがない。

電磁波を出さないのだから、それは何らかの形で、ダークマターの中に蓄えられているはずだ。熱は分子の振動である。だから全体は膨張する。空気や水などの物質が温度が上がると膨張する現象だ。未知の素粒子でできたダークマターが、エネルギーが放出されず、熱として内部に蓄えられた場合、収縮したダークマターは熱で膨張して、エネルギー保存則から元の大きさに戻り全体としては収縮も膨張もできないはずだ。星間雲や、ハローにもなれないことになる。現在の宇宙論者の意見と合わない。

ではなぜ星間雲状にまで収縮できたのだろう、そこでなぜ収縮が止まったのだろう、という問題が残る。

そのことを条件ごとに考えてみる。

a ダークマターどうしが衝突しない場合(上記の跳ね返った場合と条件を変えてみる)

これまで宇宙でダークマターどうしが衝突して何らかの変化が現れたという観測はない。通常の物質の5,6倍もあるのだから、衝突は頻繁に起こっているはずだから、何らかの反応があるならば観測されてもいいはずだが、それが無いところを見ると、衝突してもすりぬけるのではないかと考えられる。物質とは何の反応もしないと言われていることからも、なんの反応もせずにすり抜けると考えられる。反応をしないのだから、熱は生じない。すると、エネルギー不変則から、反対側に離れていって元の距離まで離れて停止する。そしてまた重力で接近していってすり抜ける。また元の距離に離れる、これを繰り返す。全体として収縮も膨張もしない。この場合はハローや星間雲状にはなれない。観測とは合わない。

b ダークマターと通常の物質が重力で引き合う場合

 やはり重力で加速しながら接近し衝突する。しかし、ダークマターは通常の物質とは反応しないということなので、衝突しないですり抜けていく。反応しないので熱は生じない。すりぬけると、重力で引き合っているために減速しながら離れていく。エネルギーの他への移動はないので、運動エネルギーは位置エネルギーに変わり、反対側に元の距離と同じ距離離れる。そして、また重力で引き合って、衝突し通過して元の距離に離れる。これを繰り返す。ダークマターと通常の物質は収縮もしないし、膨張もしない。未知の素粒子と通常の物質とが混ざってできた星間雲状のものにはなれない。もちろん星もできない。

 このとき、ダークマターに引きつけられた複数の通常の物質どうしが衝突することも考えられる。そのときは、通常の物質同士が熱を電磁波で放出して、くっつく可能性がある。ダークマターはバラバラでもその中で、通常の物質同士が星になっていく可能性がある。これなら星が中心で銀河をつくり、周りを未知の素粒子のハローが取り巻く銀河ができるかもしれない。

 この場合は未知の素粒子の中に通常の物質も混ざることになる。未知の素粒子だけのハローはできない。このときは収縮が進み、いつかは未知の素粒子と通常の物質の混ざった星ができる可能性がある。しかし、そういう雲もハローも観測されていない。こういうことは起こっていないということだ。

未知の素粒子でできた雲が、通常の物質を引き付けないというのは、ビッグバンの定義と異なる。ビッグバンののち、ダークマターの重力で物質が集まって星をつくったというのがビッグ場の定義なのだから、通常の物質を引きつけていないのはおかしいことになる。

この星雲状の雲が、通常の物質なら不思議はない。銀河系内の星雲が、通常の物質の引力だけで集まっているのから考えても、ありえることだ。

通常の物質の5,6倍はあるダークマターがバラバラに存在する場合、通常の物質をまとめるのではなくバラバラにするように働く。偶然通常の物質同士がぶつかったとしても、それは通常の物質どうしが重力で引き合って集まることよりはるかに少ないことになる。ダークマターが無い場合の方が、星や銀河をつくるには好都合であると思われる。ダークマターは星をつくるためには逆効果であるといえる。

c 通常の物質同士が重力で引き合う場合

 重力で引き合い、加速しながら衝突する。そのとき、運動エネルギーの一部が、物質を温めることに使われる。この熱は電磁波として宇宙空間に放出される。エネルギーが少なくなったのだから、跳ね返っても元の位置まで離れることができない。これを繰り返してやがて物質はくっつく。星ができる。

 現在、星が暗黒星雲の中でできる過程でダ―クマターの重力は考慮されていない。通常の物質だけで、星はできるようだ。

d 結論

ダークマターが未知の素粒子だとすると上に書いたように、未知の素粒子だけの星はできない。ばんばんざいかというと、そうではない、そのときは、収縮できないのだから、星雲状のダークマターもできないし、銀河や銀河団のハローにもなれない。最初にできたままの状態で膨張も収縮もできないことになる。

ダークマターが通常の物質の場合、今、分かっている物理理論で十分星も銀河も星間雲も出きる。もちろん銀河間星雲も、銀河団間の星雲もできる。銀河や銀河団ができる前はまず星雲ができただろうことからも、通常の物質の星雲があっても不思議はない。

 

カ 観測されたダークマターの正体

 では星間雲状やハローのダークマターは何からできているのだろう。

a 重力レンズで見つけたということだが、本当に重力レンズなのだろうか。

光が曲がる現象は、地球上では、水や、空気や、ガラスなどの物質による屈折である。重力による屈折現象は観測されていない。それが宇宙になると、物質による屈折は無くなり、重力による屈折だけになる。なぜ、地上と宇宙では原因が反対になるのだろう。その理由や実証は存在しない。

b ハローの構成物質と光

 銀河のハローは、水素などのガス(85年前にミッシングマスが言われたときは、これは観測されていなかった)でできているのが観測されている。銀河系を包んでいるガスは230万光年離れたアンドロメダ銀河のガスまで続いているのも最近観測されている。銀河団を包んで満たしているガス(これも1970年代には観測されていなかった)からなる銀河団ハローが観測されているのだから、それより小さい局部銀河群を形成している銀河系とアンドロメダ銀河が共通のガスに包まれ満たされているのは当然のことである。

 この銀河や銀河団のハローを通過する光はガスによって屈折するはずだ。地球上では空気(ガス)による屈折は日常的に起こっている。宇宙でも必ずそうなる。

c 重力レンズと言われている現象は、本当に重力による現象なのだろうか

エディントンの観測や、アインシュタインリングやその他の重力レンズの現象が証拠であるというかもしれないが、それらが起こっているところには必ずガスが存在している。太陽コロナ然り、銀河のハロー然り、銀河団のハロー然り。そのガスによる屈折は必ず起こっているはずだ。理論からも、地上の現象からもガスによる屈折は否定できない。反対に、重力による、という根拠はアインシュタインが言っているから、だけだ。実証はない。

重要なのは、ガスの存在しない所での重力レンズは観測されていないことだ。そして、宇宙論者や相対論者はガスによる屈折を完全無視していることだ。一番不都合なことを最初に取り上げよ、という科学の方法論に反している。

 このことから、重力レンズと言われている現象は、ガスによる屈折現象であると言える。(それまでに証明されている現象を新たな理論の証明には使えないという科学の方法論がある。この場合、物質による屈折といえる現象を、新たな、重力による光の曲がりという理論の証明には使えない)

d ダークマターの雲は何からできているか

 もし、未知の素粒子でできた星間雲状の雲があったとする。(上に書いたようにそのような現象は起こり得ないのだが)ダークマターは、通常の物質を引き寄せて、銀河をつくったと云われているのだから、未知の素粒子でできた星雲状のダークマターも星雲状になる間に通常の物質も引き寄せているはずだから、通常の物質のガスも混ざっているはずだ。純粋な未知の素粒子だけで構成されている雲ということはあり得ないはずだ。

すると、この集まった通常のガスも光を屈折させる。この場合も、観測されたのは重力レンズではなく。気体でできたレンズであるということが言える。宇宙論者はこれを無視している。

未知の素粒子だけでできた星や銀河が無いのだから、未知の素粒子だけでできた雲もないはずだ。もし未知の素粒子だけで雲ができるなら、未知の素粒子だけでできた星ができるはずだ。その星は観測されていない。上に書いたようにそんなことは起こらない。この星雲は通常の物質でできた星雲といえる。

e 結論

 発見されたダークマターの雲は、重力レンズで見つかったのではなく通常のガスによる屈折現象であるといえるから、通常の物質からできた銀河間雲であるといえる。銀河系の中の星間雲が通常の物質からできており、未知の素粒子だけでできた星間雲や、未知の素粒子と通常の物質と混合している星間雲が無いことからも類推できる。光らないから観測できないというのは言い訳に過ぎない。

 

キ ダークマター(未知の素粒子)はいつできたか

 通常の物質は、インフレーションのエネルギーにより起こったビッグバンでできたとされている。インフレーションの最中でも、重力や強い力などが生まれたということだから、インフレーションで物質が生まれていたということなのかもしれない。重力も強い力も物質に付属した力なのだから。それとも、単独でそれらは生まれるものなのだろうか。ただ物質が生まれたとしたら、それを光速の何万倍に加速するのはかなり無理があると思われる。また、加速された物質を通常の速度に落とすのにも同じだけのエネルギーがいる。それがどこから湧いてきたかが問題だ。加速はインフレーションだとして、減速はどのような仕組みなのかは不明だ。また、インフレーションでこの宇宙より大きく物質が飛び散ったのなら、ビッグバンでもう一度1点から宇宙が膨張する必要はない。銀河はいたるところでできるのだから。

インフレーションもビッグバンも「とてつもなくあり得ない現象×1036」くらいの現象だから、インフレーションビッグバン論者が欲しいものは必要な時に何でも出てくるし、邪魔なものは一切出てこないことになっているようだ。

 それはさておき、ダークマターはいつどのようにしてつくられたのだろう。

 ビッグバンで宇宙に物質ができてから(普通はこちらが言われている)、星や銀河などに物質が収縮するためには、ダークマターが必要だ、ということから、宇宙の晴れ上がりのときにはすでにダークマターは存在していたのだろう。(1点から強力な重力をものともせずにビッグバンでバラバラに飛び散った物質が、バラバラに飛び散ったら、今度は弱くなった重力に負けて、星や銀河に収縮する。密集して強い重力の時はバラバラになり、稀薄で弱い重力になったら、重力で収縮するという不思議な現象が起こっている。このように矛盾などものともせずになんだって起こるのがビッグバンだ)

宇宙の晴れ上がりの時の衛星写真と言われている写真に写っていたのは、宇宙開闢の光で、137億年前にあった光と電子が出した光ということだ。未知の素粒子のダークマターは光らないのであったとしても宇宙開闢の光とは直接関係ない。ダークマターの揺らぎが、宇宙の構造をつくったと言われているから、通常の光と物質の揺らぎで宇宙の構造ができたのではないらしい。だからこの衛星写真の揺らぎが宇宙の構造をつくったのではないはずなのだが、この揺らぎが宇宙の構造をつくったとも言っている。意見は様々に使い分けられているから、素人には何が何だか分からなくなってくる。

ダークマターがなければ宇宙の構造はできなかったという意見からすると、このとき、見えないけれどダークマターの揺らぎもすでにあったと考えられる。ダークマターの揺らぎが、背景放射(晴れ上がりの光)の揺らぎをつくったと云うことかもしれないが、その証拠はない。また、真空の揺らぎが背景放射の揺らぎの元であると云っている人もいる。考えは人さまざまだ。

ではどのようなシステムでダークマターはできたのだろう。それは不明のようだ。そもそも、ダークマターがなにかということが分かっていないのだから、いつできたとか、でき方とかが分かるわけがないと言える。謎のなにかだから神出鬼没である。科学者の都合のいい時に突然現れるようだ。とにかくすべてが謎に包まれ、重力と謎以外はなにもないというのが未知の素粒子でできたダークマターだといえる。UFOも顔負けだ。

問題点1

 ダークマターが宇宙の始まりから存在したとすると、大きな問題が生じる。

宇宙の晴れ上がりは宇宙誕生後36万年ころのことだという(人によって違うようで、30万年とか47万年前とかいう人もいたりするが、137億年前の10万年など誤差の範囲なのだろうし、分かりっこないことだ)。このころの宇宙の大きさはどれくらいだっただろう。ハッブル定数からすると微々たる大きさだ。宇宙の膨張速度は距離に比例しているという。基準は、326万光年離れていて離れる速度は60km/sから70km/sくらいといわれている。点から始まった宇宙(ビッグバンは1点から始まっていることになっている。インフレーションの終わりの10cmとか、この宇宙より大きくなったとかとは関係ない話になっている)の当初の膨張速度はほとんど0に近いだろう。これでは膨張など不可能だ。

ハッブルの法則ではなく、爆発で大きくなった(なぜか、最初は爆発で宇宙は始まっているという意見もある)ということにすると、その速度は光速を超えないだろう。相対論では光速を超える速度はないということなのだから、相対論を根幹とするビッグバン宇宙論では光速を超える物質はないと言える(インフレーションの時のように空間膨張だと光速を越えてもいいという考えもあるかもしれないが、ハッブルの法則での小さな宇宙の空間膨張はほぼ0だから空間膨張はないといえる)。最大の光速だとすると宇宙の晴れ上がりの時の宇宙の大きさは、半径36万光年(1点から爆発で広がったなら球状になる)ということになる。この球状の宇宙の中に宇宙全体の通常の物質とその5,6倍はあるダークマターが詰まっていたら、その重力で膨張など出来っこないだろう。銀河系とアンドロメダ銀河の距離は230万光年ある。その距離でも宇宙膨張の力を凌駕して両銀河は自分たちの引力で接近している。宇宙全体に比べればほんのわずかの、たったふたつの銀河の物質でさえ、引力が空間膨張の力を凌駕している。それなのに、もっと小さい空間の中に、その何千億倍もの物質と何兆倍ものダークマターが詰まっているのだから、膨張できるわけがない。もちろん銀河系の元になった物質もアンドロメダ銀河の元になった物質もその中に入っているから、この二つの重力だけでも膨張はできないことになる。爆発なら大丈夫ということかもしれないが、全宇宙の物質とダークマターが詰まっていたらブラックホールになってしまい、爆発もできないはずだ。光さえ吸い込むというのがブラックホールということだから、光速で物質が飛んだとしても落ちてしまう。ブラックホールの中で、光と電子が飛びまわっているとするなら別だが、電子さえつぶれるし、光が飛びまわる隙間など存在しないはずだ。

 普通なら、光さえも出られないと言われているブラックホールになってもおかしくない状態なのに、その光を人工衛星が観測しているという。不可思議な現象だ。

 この膨張の仕組みはどうなっているのだろう。宇宙開闢の頃は現在の物理学で解明されている理屈は関係ないということなのだろうか。まあ、とてもありえない現象である、とはいえる。

問題点2 未知の素粒子のダークマターは光を出さない、物質と作用しない

 このことから考えてみる。

ビッグバンの爆発で宇宙の膨張が始まったとする。高温高圧からの物質の爆発ということだ。未知の素粒子のダークマターは物質とは反応しないから、この爆発ではダークマターは飛び散らない。ビッグバンの膨張からは取り残されることになる。高温高圧(物質の現象である)以外の宇宙膨張の理由には、ハッブルの法則があり、これは、真空のエネルギーが空間を膨張させるという考えだ。これは326万光年で60km/s〜70km/sであるから、宇宙の大きさが1光年で、約0,02m/sくらいだ。これでは遅すぎて初期宇宙には適用できない。だから最初は爆発だったことにしているのだろうと思われる。宇宙論者はこのふたつの考えを適当に使い分けている。銀河の赤方偏移の原因を、ドプラー効果と空間膨張の二つをいい、説明する事項によってうまく使い分けているのと同じだ。

それはさておき、爆発後しばらくは、光と電子が反応しあい、光は直進できない状態が続いたということだ。未知の素粒子のダークマターは光とも電子とも反応しないから、このときも、独自の存在であったはずだ。ただ、重力で電子とは反応していただろうから、光にはじきとばされる電子を、膨張できずに元の位置にとどまっているダークマターが中心に引きよせる役をしていたかもしれない。反対に、その電子に重力で引き寄せられるために、ダークマターも拡散を始めたかもしれない。しかし、ダークマターの方が、5,6倍も多い。電子の方が中心に引き寄せられる方が大きいのではないだろうか。まあ、ありえないことだらけだ。

爆発によってダークマターが飛び散る理論はあるのだろうか。最初からハッブルの法則で広がるのでは137億年で137億光年には広がれない。

 

 問題点3 宇宙開闢の光

 人工衛星が写した宇宙晴れ上がりの光は何だろう。本当に宇宙開闢の光だろうか。137億年前に直進を始めた宇宙開闢の光が、なぜ、今地球に降り注いでいるのだろう。そんなことは可能なのだろうか。

 否定する現象1 花火

花火はすぐ見えなくなる。1分後、花火の光は1光分先の宇宙を地球から遠ざかるように光速で飛んでいる。翌日の夜には、花火の光は1光日先の宇宙を地球から離れるように飛んでいる。地球上では2度と花火は見られない。見るためには、翌日には、1光日先の宇宙に光速以上の速度で飛んでいって見るしかない。その後も、光速以上の速度で飛んで、先回りして宇宙で待ち構えていて、花火の光がやってくるのを待つしかない。137億年後には137億光年先まで飛んでいかなければならない。140億光年でも127億光年でもだめだ。もちろん、136億5000万光年でもだめだ、137億光年ぴったりでなければ花火の光は見られない。簡単な算数だ。

このことから、宇宙晴れ上がりの光は地球からは見えないはずだ。理由は、地球の前駆物質は(ビッグバンですべての宇宙の物質の元ができたなら、地球の元、形はまったく違うだろうが地球もできていた。それはビッグバンでできた水素が元であるということだ。そこから、137億年かけて地球の様々な元素が巨大な星の中でつくられてそれらが集まって地球になったと言われている)、すべて137億年前には、晴れ上がりの中にあった。そのとき花火を見るように晴れ上がりの光を地球の前駆物質は見ていたはずだ。もちろん地球の元も光っていた。その後晴れ上がりの光は光速で宇宙を直進したことになっている。晴れ上がりの光は地球の前駆物質から光速で飛び去ったはずだ。その光は花火の光のように、1分後には地球の前駆物質から、1光分遠くに、1日後には1日光遠くに、137億年後には137億光年遠くに飛んだはずだ。したがって、今ちょうどその光を見るには、137億年前、晴れ上がりの光が出たところ(地球もそこにあった)から、ちょうど137億光年の距離にぴったり地球は飛んできていなければならない。地球はここで晴れ上がりの光が来るのを137億年待ち続けていたわけではない。46億年前に突然この場所に現れて、待ち受けていたわけでもない。ビッグバンが正しければ、地球はビッグバンの最初からできていたはずだ。その後、地球は光速では飛んでいない。観測でも地球の速度は秒速数百キロだ。この速度では、晴れ上がりの後、光速で直進を始めた光を地球は追い抜くことはできない。だから、今晴れ上がりの光を見ることは不可能だ。

それなのに、今137億年前直進を始めた光に追いついてそれを見ているという。137億年前に見た出来事を137億年後また見ているということだ。

ビッグバン論者は、晴れ上がりの光が宇宙に満ちているから今も降り注いでいるという。そうだろうか。光が宇宙に満ちていたのは光が直進できなかった晴れ上がり以前の宇宙だ。しかし、晴れ上がり後は、光は直進したと言っている。光は光速で飛び去ったはずだ。何かが間違っているのである。簡単である、宇宙背景放射が晴れ上がりの光であるという考えが間違っているのだ。

では、背景放射はなにものなのだろう。

物質はその温度に応じた黒体放射をする。背景放射は宇宙に満ちている塵の出す光なのだ。光は満ちないが塵は満ちることができる。塵が浮かんでいるのは観測されている。物質が温度に応じた黒体放射をするのも実証されている。何の矛盾もない。星や物質や塵が出す光は宇宙を飛びかっている。その平均温度が2,7kの宇宙背景放射なのだ。理屈だけで実証されていない矛盾だらけの晴れ上がりの光という考えとは明らかに違う。

否定する現象2 継続時間

花火が2秒間で消えるとする。花火が見えるのは2秒限りだ。1光日先の宇宙で花火を見ても、見られるのは2秒限りだ。これは1光年先で見たとしても、50万光年先でみたと(見えたとして)しても、やはり2秒間しか見られない。それを過ぎると光は通り過ぎてしまう。

晴れ上がりの光が36万年続いたとしたら、見えるのは36万年間限りだ。2秒間続く花火はどこで見ても2秒間しか見られないように、晴れ上がりの光もどこで見ても36万年間しか見られないはずだ。地球は今、ちょうどその36万年の間にはいっているということだ。そのような偶然があるだろうか。不可能である。

宇宙に漂う塵の出す光としたら、宇宙に塵がある限り塵の出す光は地球に降り注ぐ。そして塵は観測されている。矛盾はない。

否定する現象3 自分の過去を見るすべは今のところ無い。

昨日の地球を見ることはできない。10年前の地球を見ることはできない。1億年前の地球を見ることはできない。1光日先の宇宙を見ても、10光年先の宇宙を見ても、1億光年先の宇宙を見てもどこにも地球は見えない。当たり前だ。地球は今ここにあるのだから。同じように、100億光年先の宇宙を見ても100億年前の地球を見ることはできない。137億光年先の宇宙を見ても137億年前の地球を見ることはできないはずだ。宇宙晴れ上がりが正しいとしても、宇宙晴れ上がりの時に、地球もまたその中で光を出していたはずだ。その光を137億年後また見ているという。137億年前の地球を見ているということだ。不可能である。137億年前の地球なら特別に見えるというのが、宇宙背景放射は宇宙の晴れ上がりの光だという意見だ。不可思議な意見だ。

否定する現象4 全天から降り注ぐ光

問題はもうひとつある。晴れ上がりの光が全天から降り注いでいることだ。晴れ上がり後、光は直進したということだから。北の空137億光年先に晴れ上がりの光が見えるということは、137億年前に137億光年先の北の宇宙でその光が出たということだ。南の空137億光年先に晴れ上がりの光が見えるということは、137億年前に137億光年先の南の宇宙でその光が出たということだ。地球に全方向から晴れ上がりの光が降り注いでいるということは、晴れ上がりの光が地球から全方向に137億光年先に見えるということだ。137億年前に現在の地球を中心とした半径137億光年先で晴れ上がりの光が出たということになる。宇宙開闢36万年後には宇宙はすでに、今地球がある場所を中心として半径137億光年に広がっていたということになる。137億年前、1点からハッブルの法則で宇宙は膨張してきたというビッグバン宇宙論とは相いれない。

この光が宇宙に散らばっている塵の出す光とすれば、矛盾はなくなる。

晴れ上がりの光は、ビッグバンを証明する現象ではなく、否定する現象である。

光速の何億倍の速度で広がったインフレーション宇宙では一致するというかもしれない。しかし、晴れ上がりの光はビッグバンの光と言っている。インフレーションとは関係ない。もしインフレーションで137億年前にすでに宇宙は137億光年以上に広がっていたとしたら、137億年前に宇宙は1点から膨張を始めたというハッブルの法則は無意味になる。その根拠とした、銀河の赤方偏移は銀河が後退しているからであるという考えは無意味になる。すると宇宙空間の膨張は根拠を失うことになり、ビッグバン自体が根拠を失うことになる。インフレーションも根拠がなくなることになる。元々インフレーションはビッグバン理論の矛盾解消のために生まれた理屈だから根拠はないのだが。

(銀河の光の赤方偏移は銀河の後退速度でもなく宇宙空間が膨張していることでもない)

3 未知の素粒子のダークマターが見えない理由(インフレーションビッグバン宇宙論から)

 未知の素粒子のダークマターは、インフレーションビッグバン宇宙論にはなくてはならない重力源である。これがなくては成り立たない宇宙論であるらしい。

そこで、インフレーションビッグバン宇宙はどのような宇宙であるか考えてみる。

(1) 始まり

 超高温超高圧の宇宙が、「無」から、10−36/s(これは本当だろうか。とにかくべらぼうに短い時間であるということだ。学者だってインフレーションの継続時間を実証したわけではない。一番短い時間ならいいか、くらいのあてずっぽうに近いはずだ)で誕生した。

 この宇宙が今の宇宙をつくるエネルギーを持っていた。

 全宇宙がこんな短い時間で生まれることは可能だろうか。小さければ良いのだろうか。その中に全宇宙のエネルギーを詰めこむことができるのだろうか。

計算式の中では楽々できても、現実世界ではありえない現象である。

問題1 エネルギー保存則 

 「無」から、この宇宙をつくるエネルギーがでてきたというのはエネルギー保存則に反する。それも生半可なエネルギーではない。全宇宙を1瞬より短い時間で超光速に加速しで膨張させるエネルギーである。そんなものが10−36秒で、「無」から湧いて来る筈がない。常識者だって、魔法使いだって考えつかない。神様だって、「光あれ」というのに1秒はかかってしまうだろう。神様だって、そんなに焦ってどうするのと、言うだろう。そんなことを考えつくのは、難しい式をこねくり回すビッグバン宇宙論者くらいだ。難しい数式上ならなんだって可能だから。0,0000001秒で地球を100億光年先に飛ばすのだって朝飯前だ。インフレーション論はそういうことを云っている。もちろん考えついただけで実証はない。こんな奇想天外なことが実際に起こるはずはないからだ。UFO1億機が東京上空に突然出現、の方が1036倍ほど現実味がある。

 これには巧みな駆け引きがある。最初は,ミクロな1点が生まれたと言う。量子論で「無」の揺らぎから生まれたという理由づけだ。エネルギーや物質のことは一切言わない。それを云うと、量子論では説明がつかないからだ。その後、何くわぬ顔で、真空のエネルギーや相転移を持ちだして、宇宙を光速の数億倍で膨張させる。ミクロな1点に、真空があるわけがない。そんなエネルギーがあるわけがない。このときは、量子論で生まれた1点ではなく、いつの間にか、宇宙を10−20秒で超光速に加速するエネルギーを持った1点になっている。謎のとてつもないエネルギーがどこからともなく湧いているのである。

問題2 超高温

 生まれたての宇宙は超高温であったという。温度は現在の宇宙では分子の振動である。生まれたての宇宙にはまだ分子や物質はできていないから、高温は物質の振動ではない。光だけがあったという人がいる。光が高温をつくっていたのかもしれない。では何が光を生んだのだろう。現在の電磁波はたいがい物質が生んでいる。「無」から光だけが生まれたのだろうか。キリスト教の聖書にある「光あれ」ですかね。としたら偉い牧師たちは大喜びでしょうね。神様ではなく科学者はいったいどこからどのようにして光が生まれたと考えているのでしょうね。それは超高温だからガンマー線だろうかね。可視光では宇宙をつくるエネルギーはないから。可視光は、いくら宇宙を飛んでも空間にぶつかっても(そんなことがあるわけないか)物質はできないから無理だよね。

 何にしろ、光が生まれた出どころはどこなんだろう。原子より小さい生まれたての宇宙の中にどれくらいの光子が詰まっていただろう。おそらく1個も入れないだろう。間違って10個くらいはいっていたとしても、その光子が高温をもたらすことは不可能だ。

 超高温だったというけれど、実際には、なにが高温をつくっていたかは不明である。

問題3 超高圧

 圧力は現在の宇宙では万有引力がつくっている。生まれたての宇宙には物質はないから万有引力はない。したがって圧力を担うものはない。何が圧力をつくっていたのだろう。宇宙はウイルスよりはるかに小さく生まれている。そんな小さなものに高圧を生む力はないはずだ。数式の中にはあるのだろうか。それともブラックホールなのかね。物質が無ければブラックホールもできないだろうし。

 高圧をつくるものは何もないのに、高圧であるという。これも言葉だけで、根拠はないといえる。

問題4 時間

 そのとき、時間も「無」から生まれたという。時間を生む仕組みはどのようなものなのだろう。分かっている人はいるのだろうか。「無」は時間が無かったのに、どうして変化できたのだろうか。そこらは適当にやり過ごせばいいということなのだろう。

 今の宇宙にはさいわい「無」がないようだから、新たな時間は生まれてはこないのだろう。また、0から始まる時間があちらこちらで生まれたら困りものだからね。でもマルチバースとかいって、宇宙が次から次に生れると言ってる人もいるから、それなら新しい時間がつぎつぎに生まれてくるかもしれない。まあ、言いたい放題だから、言った者勝ちなのだろうけど、マルチバースはどこにも観測されていないのは事実だ。違う宇宙だから観測はできないと言ってるけど、逃げにしかすぎない。ダークエネルギー然り、ダークマター然りである。「観測できない」を言い訳にしているにすぎない。「観測できない」すなわち、「そんなものは存在しない」の証拠と考えないのだろうか。「存在は観測できない」けれど。その方はいらっしゃる、というのは宗教の世界だ。

問題5 空間

 やはり空間もそのとき生まれたといっている。「無」からどのようにして空間が生まれたのだろう。なにもない「無」のどこにうまれたのだろう。「無」には「どこ」が存在しないのだから。

(ビッグバン論者はこのとき時間と空間が生まれたと言っているが、時間とは何か、いつからあるのかということは誰にも言明できないことだ。また、空間がいつからあるかも分かっていないことだ。だから、無から生まれたと言っているが、では無とは何か、いつからあるのかという問題がでてくる。無だから、時間も広がりもないからそれで決着というのかもしれないが、うまい逃げにしかすぎない。なにもないのなら「何かを生み出す力」もないということだ)

問題6 仕組み

 この超高温超高圧の宇宙が「無」から生まれた原因、仕組みは、まるで不明である。現在の宇宙には存在しない現象である。

注:「無」と「真空」の違い。

「真空」は物質が無い状態。現在の宇宙の真空は、空間と時間がある。そのほかに、光(電磁波)や万有引力が通過している。

「無」は空間も時間もない。光も引力もない。それこそなにもない。

 この「無」から、空間と時間と超高温の宇宙が一瞬より短い時間で生まれたという。なんと不可思議なことか。その原因は「無」の揺らぎであるという人がいる。真空も量子論から考えると揺らいでいるから、「無」も揺らいでいる。そのゆらぎから宇宙が生まれたという。「無」が真空と同じになっている。自分らの理屈に必要なら、「無」さへ形を変える。

「無」が揺らいだら「無」ではなくなる。揺らいでいる、という「有」になる。時間も空間もない「無」がどのようにして揺らぐのだろう。時間経過があるからゆらぎがある。経過がなければ動けないから揺らぐことはできない。また、時間がないなら宇宙を生むきっかけもできない。10−36秒の時間を「無」はどう生んだのだろう。時間を生む仕組みはどうなっているのだろう。やはり神様が時間あれ、とか、空間あれとか言ったのだろうか。神様だって時間がなければしゃべれないと思うのだが。神様は「無」を超越した存在で、自在に「無」の中を飛び回っているのだろうか。

何にしろ、今の宇宙では存在しないし起こりようがない現象である。まあ、今の宇宙には「無」はないからしかたがないか。

(2)初めの膨張(インフレーション)

問題

 できたての宇宙は光速の何千倍何万倍何億倍の速度で膨張したと宇宙論者は言う。これをインフレーションと呼ぶ。

継続時間はやはり1秒よりはるかに短い。その間に、宇宙はミクロな1点から10cmとか、この宇宙よりはるかに大きくなったとか言われている。学者によって意見は様々である。

 初期宇宙の膨張エネルギーは、真空の相転移から生まれたとのことである。

 インフレーションは、後述のビッグバン宇宙と違い、現実的な根拠から生まれたものではない。ビッグバン宇宙論ではうまくいかないことがたくさんあるので、それを解決するために考え出された現象がインフレーションである。今のところ実証はなく、頭の中にしかない現象であるということだ。

考察1 大きさ

宇宙の膨張速度が光速の何千倍から何億倍なんていうことや、膨張後の大きさが10cmから、この宇宙より大きいまでということは、完全に適当ということだ。たとえば、あの車のスピードは、と聞いたら、時速10センチから、時速9万キロくらいかな、と答えたら、何それとあきれるでしょう。答えになってないのだ。その数兆倍の数兆倍できかない差で答えているのが、インフレーション論者だ。せめて10センチから1万キロくらいには絞ってほしいものだ(笑)。とにかく基準があまりにも適当すぎるといえる。原因は、事実から出たことではなく、頭の中だけだから人によって考えが変わるからだ。実証はいらないから思いつきで言っても構わないのだ。今のところ空想にしかすぎないということだ。

考察2 継続時間

超新星だって、爆発の光が収まるまでに2年ほどかかる。ニュートリノが出て、光が出るまでに10秒かかるという。宇宙にあるすべての物質に比べてケシ粒にもならない星の爆発でもそうなのだ。それなのに宇宙全体が相転移とかいうのを起こして、ミクロな宇宙から巨大な宇宙になるのに1秒の何千万分の1で始まって終わるというのだから、常軌を逸していると言える。机上の数式では起こっても現実にそんなすばやい現象が起こるのは不可能である。もちろん、現在の宇宙では起こっていないし、起こり得ない現象である。

考察3 加速度

 0,00000001秒ほどで、光速の数千倍から数億倍、数兆倍まで加速している。現在の宇宙ではこれは不可能である。137億年前なら可能であるという根拠は示されていない。車だって、時速100kmに加速するのに10秒はかかるだろう。地球を1秒間に1km加速したらどうなるだろう。地球全体で、秒速1キロの風が吹き、秒速1キロの津波が起こるだろう。地表は壊滅的打撃を受けるだろう。損風や波を起こさせないためには、全地球の空気分子と、水分子を、ひとつ残らず1秒間に1km加速しなければならない。個体部分もそうだ。富士山だけ加速を忘れたとなると、富士山が秒速1キロで地表から遅れることになる。2時間もすれば東京が富士山に削り取られることになる。地球を均等に加速することなど不可能である。それなのに、宇宙全体を1秒以内に超光速に加速するという。不可能である。

 また、一瞬で超光速から減速している。どれくらい減速したかは不明であるが、減速も、加速と同じエネルギーがいる。そのエネルギーはどこから湧いたのだろうか。また巨大になった宇宙のどこにどのように作用して、巨大な宇宙を減速させたのだろうか。すべて不明である。

 言葉なら簡単である。言うだけなのだから。それでも、「宇宙を光速にする」というだけでも1秒では言えないだろう。「言うは易し行うは難し」というけれど、言うより簡単に宇宙は膨張している。何でも科学者の考えどおりに起こるのがインフレーション理論だ。宇宙は科学者の考え通りにどんな無理でも聞くようだ。忠犬だね。

考察4 仕組み

 膨張のエネルギーは、真空の相転移のエネルギーと言っているが、現在の宇宙には存在しない現象で、存在しないエネルギーである。宇宙論者の頭の中にはあっても実際には存在していないのが、インフレーションの真空の相転移という現象である。

 また、宇宙のどこにどのように作用して、宇宙を膨張させているのかも不明である。空間はなにもないものである。その空間のどこにどのような作用をすると、光速の何億倍もの速度で膨張させることができるのかを述べていない。光速で膨張する空間は膨張していない空間とどこがどのように違っているのだろう。なにも無い空間が膨張するとなにも無い空間がどのように変化しているのだろう。説明できる人はいるのだろうか。中身のないキャッチフレーズにしかすぎない。

考察5

 この膨張の速度は光速をはるかに超えているということだ。この宇宙論の元になる相対論では光速が最大の速度である。矛盾している。空間膨張だからいいということのようだが、都合のいい話だ。空間膨張の仕組みは何一つ分かっていないのだから、かえって何でもありになっている。分からないから反論のしようがないからといって何でもありはないだろう。

これも現在の宇宙では存在していない現象である。

考察6 相転移の仕組み・水から氷

 物質の相転移はあっても、真空の相転移は現在の宇宙には存在しない。水の相転移はよく引き合いに出されるが、水が氷に相転移したからといって、なにかが爆発することもない、水の相転移のエネルギーで暖かくなったね、なんていう人もいない。普通の相転移なんてそんなものだ。最初の、水1分子よりはるかに小さい宇宙の中の真空(そんなものがあればだが)が相転移してどれほどのエネルギーが出るものだろうか。真空とはエネルギーが最小の状態と言っている学者がいる。そのミクロな真空が、一瞬で空間をこの宇宙より大きく膨張させたり、巨大な熱を生んだりしている。真空は相転移で宇宙最大のエネルギーを生んでいる。水1ccが相転移すると80カロリーのエネルギーが出るという。そのエネルギーは、水がもともと持っていたエネルギーだ。それよりはるかに小さいエネルギーしか持たず、はるかに小さい真空が相転移したからといって、巨大なエネルギーが出るわけがない。エネルギー不変則はどうなっているのだろう。机上の空論である。

真空が倍になったら真空のエネルギーも倍になる。真空が倍々になれば、真空のエネルギーも倍々になる。と真空が倍々になっていくという倍々ゲームを解く人もいるが、真空が相転移したら真空が倍になる仕組みはあるのだろうか。水が相転移して氷になっても水が倍になることはない。体積が少し増えるが、それは分子間が大きくなるだけで実質的には水分子が増えるわけではない。真空は何もないからいくら倍にしてもかまわないのだろうか。しかも、真空はなぜかそっくり2倍になる。1,5倍とか、4,7倍とかではない。そっくり2倍になるというのはどのような仕組みなのだろう。考えた人が一番都合がいいからなのだろうかと邪推してしまう。それとも一休さんのとんちを真似したのかな。エネルギーが倍々ゲームで湧いてくるので計算しやすいと考えたのかな。いっそなら、100倍づつ増えていくとしたら、宇宙はもっと素早く大きくなるのに。さすがに遠慮したのかな。

エネルギー不変則はどこに行ったのだろうか。水が相転移したからといって、水のエネルギーが倍になることはない。水が持っていたエネルギーが放出されるだけだ。エネルギーは増えも減りもしない。真空が相転移したって、真空の持っていたエネルギーが放出されるだけではないのだろうか。それも、真空は最小のエネルギーしか持っていないという。水の持っているエネルギーよりはるかに小さなエネルギーしか持っていないはずだ。そのうえ水分子よりはるかに小さな真空から始まるのだ(生まれたてのミクロより小さな宇宙の中にどれほどの真空があるのだろう)。そこにどれほどのエネルギーがあるというのだろう。最初に超高温超高圧で生まれたからということかもしれないが、超高温高圧の真空はもはや真空ではないはずだ。そのうえ、そのエネルギーの出所は「無」だ。エネルギーがあるわけがない。「無」は、エネルギーも「無」なのだから。また、陽子ほどの生まれたての、原子よりはるかに小さいミクロな宇宙のそのまた中の真空(そんなものがあればだが)にどれほどのエネルギーを蓄えることができるのだろう。

あまりにも言葉だけ過ぎる。

考察7

インフレーションで、この宇宙より大きくなったという説だと、ハッブル定数は無意味になる。ビッグバンで1点から137億年かけて宇宙はここまで大きくなったというのがハッブルの法則だから、1秒より短い時間で、宇宙がこの宇宙より大きくなっていたら、ハッブル定数は無意味であることになる。もちろん10センチでも同じだ。始まりが1点ではなくなる。すると、ハッブルの法則の根拠となる銀河の光の赤方偏移は無意味になる。

ということは銀河の光の赤方偏移が宇宙膨張を示しているという根拠がなくなる。元々銀河の光が距離に比例して赤方偏移しているという観測から、宇宙が膨張しているという考えが生まれた。その銀河の光の赤方偏移から生み出されたハッブルの法則が無意味なら、宇宙膨張の根拠がなくなることになる。ということは宇宙が膨張しているという考えが間違いであるということになる。

もともと、ハッブルの法則はインフレーションとは無関係である。

銀河の光の赤方偏移→銀河の後退→宇宙空間の膨張→ビッグバン理論→ビッグバン理論の不備の修正→インフレーション理論→宇宙は急膨張した→1点からの膨張(ハッブルの法則)との矛盾→銀河の光の赤方偏移との矛盾ということになる。

元々、銀河の赤方偏移が銀河の後退速度(ドプラー効果)であるという考えが宇宙膨張の考えを生んだ。ところがそれでは地球が宇宙の中心になってしまうので、後退速度から、空間膨張に変えて、ビッグバン宇宙につなげた。

空間膨張では赤方偏移の原因がドプラー効果とはいえなくなる。そこで、銀河の光の赤方偏移は、空間膨張のために光が引き伸ばされるということにした。ところが、ドプラー効果の方も生き伸びている。ドプラー効果は実証されているが、空間膨張で光が引き伸ばされるという考えは、実証されていないし、矛盾もあるからだ。宇宙論者は説明する場面によりこの二つをうまく使い分けている。ずるいやり方である。もちろん、空間膨張そのものが直接観測されたことはない。

またインフレーションで宇宙空間が超超光速で膨張したなら、インフレーションでできた宇宙空間と、ビッグバンで新たにできた宇宙空間が二重になってしまう。宇宙は最初にあった「無」というなにかと、その中にできたインフレーションの宇宙空間と、その中にまたできたビッグバンの宇宙空間との3重構造になってしまう。これも困った問題だ。

考察8 謎の真空のエネルギー

 宇宙空間を膨張させたインフレーションのエネルギーは真空の相転移がつくったということだが、今のところ真空の相転移は考えの中だけで実際には観測されていないし、現在の真空は相転移を起こしそうにない。ビッグバンから今日までは、真空のエネルギー(ダークエネルギー)が宇宙を膨張させていると言われているが、そのエネルギーも名前以外のことは何一つ分かっていない。自分らの理屈の都合次第で謎のエネルギーを二つもつくったということだ。

結論

 何もかも現在の宇宙では起こっていないし、これからも起こりそうにない。ありえない奇想天外なことだけでできているのがインフレーション宇宙論である。それを変だと思はないのが、インフレーション論者だ。数式の中でならいくらでも起こるのだろうけど、現実には起こり得ない現象だけでできているのが、インフレーション宇宙論だ。

 

(3)続きの膨張(ビッグバン)

 インフレーションに続いて、ビッグバンということが起こったというのが今の宇宙論だ。インフレーションがつくった熱が、宇宙を火の玉にして、爆発させ、物質をつくり空間を膨張させたという論である。インフレーションでできた広大な宇宙の中の1点が高温高圧になりまた新たな宇宙が始まったという。宇宙膨張はたてつづけに2回起こったということのようだ。1回だってあり得ない現象なのに、それが2回も起こっている。いわゆる「言うは易し行うは難し」の典型だ。

 なぜまた1点からやり直したのだろう。インフレーションで宇宙空間はできたのだから、それを使えばよさそうなのに、また1点から始まる理由はなんだろう。ハッブルの法則が成り立たなければビッグバン宇宙が成り立たないからなのかもしれないが、それだけではインフレーションで広がった宇宙空間にまた超高温高圧の1点をつくりそこからすべてを作る理由にはならない。

 インフレーションで膨張した続きにビッグバンが始まったかのような図も見受ける。それだと、インフレーションとの続きだから、空間の二重構造はなくなる。

 しかし、インフレーションで巨大になった宇宙を火の玉にするのはかなり難しい。いくら真空が増えてエネルギーが増えてもそれに伴って空間も増えているというのがインフレーションだ。真空のエネルギーは最低のエネルギーだというのだから、真空が一緒に増えればその0据えた空間を灼熱にすることはできない。巨大になった真空がそのエネルギーを1点に集約するならなんとかなるかもしれないが、同じように巨大になった真空を温めることはできないはずだ。

また、インフレーションの超超光速膨張を、一気に減速して、ハッブル定数の速度にするのも難しい。減速のシステムとそのエネルギーが不明である。また、ビッグバンは1点から始まったという考えと食い違う。どちらにしろ矛盾だらけである。

 

問題 ビッグバンの膨張の問題

ビッグバンの膨張にもふたつある。

 ひとつはハッブルの法則による膨張。もうひとつは初期の急膨張である。このふたつの関係は不明である。

考察1 ハッブルの法則

 銀河の光が距離に比例して赤方偏移している。これは銀河が後退している(ドプラー効果)ということだ。だから、宇宙は膨張しているというのがハッブルの法則だ。この銀河の光の赤方偏移が宇宙膨張説の始まりで根幹である。

 現在考えられているハッブルの法則では、326万光年で60km/sから70km/sくらいの膨張速度であるということになっている。このことからすると、初期の宇宙は、ほとんど膨張できなかったと考えられる。宇宙が326万光年の大きさになったときでも端と端は、秒速60km、から70kmくらいの膨張速度である。現在の地球の速度よりはるかに遅い。これでは今の宇宙の大きさになるには137億年ではとても足りない。まして、インフレーションが終わった直後(もし10cmなら)の10cmでは137億年で1×10−20mmも膨張できないだろう。そのうえそこにぎゅうぎゅうに詰まっている宇宙全体の物質とダークマター(そんなものがあればだが)の巨大な重力があるはずだから膨張など不可能である。直径1万kmもある地球でさえ、できてから46億年経ってもハッブルの法則では1mmも膨張していないのだから。

 まして、ビッグバンは1点から始まったという説ではハッブルの法則では膨張どころではないだろう。

考察2 ビッグバンとハッブルの法則と宇宙の爆発

 ということで、ハッブルの法則では初期の小さな宇宙は膨張できそうにない。そこで、宇宙論者はインフレーションが終わったとき、宇宙は最初にビッグバン(大爆発)を起こしていたということにしている。相転移のエネルギーが宇宙を火の玉にしてそれで爆発したと言っている。爆発の初速度が大きいと開いた宇宙、小さいと閉じた宇宙とか言っている。

これはハッブルの法則による宇宙空間の膨張とは違う。高温高圧による爆発だから普通の爆発だ。空間膨張は、距離に応じて離れる速度が大きくなるという。しかし、爆発は、距離とは関係なく一定速度である。距離が離れても初速度から速くなることはない。そればかりか、宇宙にある物質の重力で速度が落ちると言っている。

例えば、ハッブルの法則では、A、Bふたつの銀河とC、Dふたつの銀河があるとき、A、Bより、C、Dの銀河の距離が大きいとC,Dの銀河の離れる速度の方が大きくなる。爆発では、AもBもCもDも同じ速度だから、AB間も、CD間も離れる速度は同じである。

また、EとFの離れた二つの銀河があるとする。ハッブルの法則では、50億年後、50億年前より二つの銀河の距離は離れているから、離れる速度は50億年前より速くなっているはずだ。爆発の場合は50億年後、距離は離れているが、速度は初速度より大きくなっていないから、離れる速度は50億年前と同じである。重力で離れる速度は落ちるから、離れる速度は落ちていることになる。このように、爆発の膨張とハッブルの法則による空間膨張は異なる現象を起こすはずである。

また、ハッブルの法則では、膨張のエネルギーは真空のエネルギー(ダークエネルギー)であると云っている。ビッグバンの始まりは火の玉の高圧高温による爆発と言っている。エネルギーが異なるから、違う現象であるといえる。

 ところが、どこまでが爆発の飛散りで、どこから空間膨張に変化したかを述べている人はいない。謎である。説明する事項によって都合よく使い分けているだけだ。

考察3 爆発で空間は飛びちるか

 高温高圧による爆発なら、空間は飛び散らないはずだ。現実に起こっている超新星は空間を膨張させていない。それは、ハッブルの法則の空間膨張に関するエネルギーで、高温高圧とは関係ない現象だ。

空間に作用するエネルギーは現在まで特定されていない。真空のエネルギーと科学者は言うが、それは謎以外なにもない自分たちでさえダークと名付けて涼しい顔をしているエネルギーだ。

考察4 爆発の飛散り方

 ビッグバンが爆発なら、地球と同方向に飛んだ銀河との相対速度は小さく、反対方向に飛ぶ銀河との相対速度は大きくなる。斜めや横に飛ぶ銀河ともそれぞれ異なる相対速度になる。距離に比例した赤方偏移にはならないから、爆発はハッブルの法則には当てはまらない。

ハッブルの法則による空間膨張によって宇宙が膨張していることにすると、初期の宇宙は膨張できない。インフレーションでかなりのところまで、直径10億光年ぐらいまで膨張していてそれから空間膨張が始まったとしたらなんとかなるかもしれない。しかし、そのときは宇宙を火の玉にするのはかなり難しくなりそうである。宇宙開闢36万年後の光と言われている、宇宙背景放射の元となった宇宙の晴れ上がりもかなり困難になりそうである。もちろん137億年前に宇宙は1点で始まったというハッブルの法則によるビッグバン論も考え直さなくてはならなくなる。そこで、最初は高温高圧による爆発ということにしたのだろうが、ご都合主義もいいところだ。

 

考察5

 普通1点から爆発すると爆発点から球状に広がる。すると宇宙には中心ができ、広がる方向ができる。物質は爆発で飛び散るので、時間と共に宇宙の中は空洞になっていく。ハッブルの法則による空間膨張の宇宙は中心が無いという考えと矛盾する。

考察6

 ハッブルの法則は、銀河の光の赤方偏移から空間膨張があるとして考え出された法則である。したがって、はじめに爆発があったということはハッブルの法則とは関係ない現象である。この爆発の根拠はない。今の宇宙を過去にさかのぼったら、1点に集まり、高温高圧になるという単純な考えから生まれたのだが、ハッブルの法則で遡ったのに、始まりはそれとは関係ない爆発である。論理にギャップがある。

この爆発で飛び散った物質はその後どうなったのだろう。ハッブルの法則で広がる空間膨張の中でどのようなふるまいをしているのだろう。たぶん得意の無視でしょうね。

結論

 ビッグバンの膨張は、爆発と空間膨張の二つがある。爆発は銀河の光の赤方偏移とは関係ない。空間膨張なら、銀河の光の赤方偏移は関係ある(銀河の光の赤方偏移からビッグバン宇宙が考えだされたのだから)かもしれないが、それでは初期の小さな宇宙時代は膨張できない。爆発なら、いくら高温高圧でも、宇宙の全物質の重力がかかったら火の玉はブラックホールになって爆発はできない。そのあたりは知らんふりして、都合のいいように高温高圧による爆発と真空のエネルギーによる膨張とを使い分けている。

どちらにしろ、現在の宇宙では起こらない現象である。どちらも、考えの中にはあっても現実には不可能な現象である。いわゆる机上の空論というものである。

 

(4)現在の膨張

 現在の宇宙は、ハッブルの法則で膨張している、ということである。

 そのエネルギー源は真空のエネルギーであるということだ。このエネルギーは謎のエネルギーである。今まで実際に観測されているエネルギーは、すべて空間を膨張させることはできないエネルギーである。先のインフレーションのエネルギーとビッグバンのエネルギーとこの真空のエネルギーは空間を膨張させるエネルギーである。ともに謎のエネルギーである。

このうち真空のエネルギーは現在も働いていると言っているが、人や、地球や、太陽にはなにひとつ影響が観測されていない不思議なエネルギーである。宇宙にはこのエネルギーが通常のエネルギーの20倍あるという。20倍もありながら、地球上では何一つ作用が観測されていない。

太陽のエネルギーを考えてみよう。太陽のエネルギーは私たちを温めている。その太陽は宇宙全体のエネルギーの何千兆×何千兆×20分の1もない。そのエネルギーが地球を暖めているのに、全宇宙のエネルギーの20倍もあるダークエネルギーは、私たちに何一つ影響していない。

風を考えてみよう。台風になると絶大な被害を出す。そよ風でも木の葉を揺らす。これは、太陽の出しているエネルギーの極々一部分の作用だ。その数千兆倍の数千兆倍の20倍ではきかない真空のエネルギーが木の葉1枚揺らせない。

もちろん太陽系でも真空のエネルギーは観測されていない。そればかりか、数億光年以内の銀河は空間膨張とは関係ない動きをしているということが観測されている。

エネルギーの小さい太陽や銀河のエネルギーが、20倍も大きいダークエネルギーを凌駕しているという。それどころかそよ風にも負けている。空間膨張を起こすダークエネルギーは遠い宇宙の銀河団を動かすけれど、地球を中心とした近くの星や銀河や地球上の物質には何一つ作用しないという不思議な作用をするエネルギーだ。

これは、そんなエネルギーが無いことを示している。

もし、すべての銀河に1個の知的生命体がいる星があると仮定したら、その生命体のある星から観測すると数億光年以内の銀河は宇宙膨張とは関係ない動きをしていることが分かるだろう。すると宇宙のどの銀河も宇宙膨張とは関係ない動きをしていることになる。ということは、宇宙全体の銀河が空間膨張とは関係ない動きをしていることになる。このことは知的生命体の有無とは関係なく、銀河はすべて宇宙空間膨張とは関係ない動きをしているということを示している。

(5)空間膨張の仕組み

風船に銀河の代わりにコインを張り付けて膨らませて、宇宙膨張はこれと同じだと言っている人がいるが、宇宙は風船を膨らませるのとはわけが違う。風船はゴム膜に空気という物質を入れることで膨らむ。共に物質だ。空間は物質ではない。宇宙には膜はない。外から空間を吹き込むこともない。銀河は空間に張り付いていない(現在の銀河は空間の中を秒速数百キロで飛んでいる。地球も空間に影響されずに公転している)。仕組みはまるで違うから、それで宇宙空間の膨張の仕組みを説明することはできない。その実験でさえ実際にやってみると何度も失敗したという。たった直径1メートルにも満たない風船を膨らませるのにである。風船を地球ほどに膨らませることはできないだろう。宇宙は半径百億光年以上に広がっているのが観測されている。どうやればそこまで膨らむというのだろう。風船の比喩は机上(机の上の風船)の空論の典型である。それで宇宙の膨張の仕組みが説明できたと考えているのが不思議だ。数式の中に宇宙を見て、現実の宇宙を見ていない典型である。

(6)銀河の光が赤方偏移している原因

空間膨張は観測されているというが、観測されているのは銀河の光が距離に比例して赤方偏移していることであって、空間の膨張が直接観測されたわけではない。銀河の光が距離に比例して赤方偏移する原因が空間膨張であるということは実証されていない。たとえば、銀河の光が宇宙の物質に衝突してエネルギーを下げる(赤方偏移)という考え方もある。これに対しては、そのときは遠くの銀河はぼやけてしまうはずだ。ところがぼやけてはいないからその考えは間違っている、と言っている学者がいる。そうだろうか。銀河の光のスペクトルに、暗線が入っているのが観測されている。これは宇宙空間の物質に光が衝突したからできた暗線だ。銀河の光が銀河間や銀河系内に浮かぶ物質に衝突していることは実証されているということだ。そして近くの銀河がぼやけていないのも観測されている。銀河の光が途中で物質に当たってもぼやけないことが実証されたということだから、先の科学者の否定の理由は間違っているということになる。ただ、ハッブルディープフィールドに写っている遠い銀河はぼやけている。遠くなるとぼやけるようだ。物質に衝突するのが多くなるとさすがにぼやけるようだ。

もちろん光が物質に衝突するとエネルギーが下がることも実証されている。反対に、空間膨張は実証されていない。空間が膨張すると光が赤方偏移(エネルギーを下げる)するということも実証されていない。これに対して、ドプラー効果が出てくる。ところが、ドプラー効果では地球が宇宙の中心になってしまう。

実証されている理論の方が、実証されていない理論より正しいといえる。

 

(7)宇宙の構成

 現在の宇宙は、通常の物質とエネルギーは5%弱で、95%強は、謎のエネルギー(真空のエネルギー)と謎の物質(ダークマター)で構成されているという。95%強が謎でつくられているのが、インフレーションビッグバン宇宙論がいう現在の宇宙だ。

 宇宙は謎に満ちている、というと、お話しとしてはとてもロマンチックだけど、科学はそれでいいのだろうか。95%ものエネルギーや物質が謎しかないという宇宙論は普通なら間違っているということである。

 

4 ア 星や星間雲などをつくっている普通の物質について

通常の物質と未知の素粒子の探求

 ダークマターの候補として、小さな星が見つかっている。しかしそれでは足りないという。また、銀河円盤の先にも水素の分子があるのが観測されている。それでも足りないということだ。だから、インフレーションビッグバン論者は、ダークマターは未知の素粒子だと言っている。ビッグバン論者は無視しているが、そのほかにも、銀河系のハローに水素が観測されている。これはアンドロメダ銀河まで続いているということも観測されている。なぜか、これは考慮されていないようだ。銀河団も然りである、銀河団を大きく包んでいる水素が観測されている。もちろんこれも考慮されていない。

 最近、スバル望遠鏡で、銀河系のハローが、52万光年先にまで広がっているのが観測されたという。直径10万光年、厚みは一番厚いところで1万光年の銀河系の光る円盤部分に対して、今まで見えなかった銀河系のハローは巨大である。直径104万光年の球体の真ん中に厚さ1万光年のバルジと、薄い円盤部でできた直径10万光年の銀河系があるのである。直径で10分の1、厚さで100分の1以下である、ハロー全体に比べて見える銀河系の占める体積がいかに小さいかが分かる。

半径に対して球の表面積は2乗倍で増えていく。体積になると3乗倍である。銀河の中心から遠くなって水素分子密度が小さくなっても、面積や体積は、銀河中心からの距離の2乗倍、3乗倍で大きくなるので、水素分子の量はほとんど減らない。これがハローの引力が減らない理由だ。そして、直径10万光年の円盤に対して、直径104万光年もの球体になっているのだ。通常の物質のハローが銀河系の回転を支えるにはじゅうぶんのはずだ。

ダークマターは銀河系に関しては、通常の物質であるといえるのではないだろうか。もちろん、インフレーションビッグバン論者はこれらを無視している。

 一方、未知の素粒子は発見されていない。理論もない。ないないづくしである。それなのに、未知の素粒子がダークマターであると言っているのはどうしてなのだろう。発見されたものは少ないからだめだから、何一つ発見されていない未知の素粒子だという考えはどうなのだろう。見つかったものでは足りないから、他のものであるという考えはもっともらしい。しかし、観測技術の発展に伴って発見されている物質は年と共に増えている。それを無視し、未知の素粒子に持っていこうとしているのは科学だろうか。なんとしても、「光あれ」に持っていきたいのではないだろうか。

宇宙論者はビッグバン理論に不利なことは無視する傾向がある。それを言ったら今でも科学界からのけ者にされるのだろうか。科学は自由でなくてはならないはずだ。中世のガリレオの時代じゃあるまいし、いまだに宗教が科学を縛っているなどとは考えたくはないのだが。インフレーションビッグバン論は「光あれ」そのものなのだから。

 

4 結論

「無」から時間や空間や超高温超高圧の、点よりはるかに小さい、電子顕微鏡で見ても見えないくらい小さな宇宙が忽然と現れ、それが光速の一億倍の速度で膨張し、巨大な熱を発し、観測されている宇宙のすべての物質とエネルギーをつくりだし、宇宙全体を爆発させ、空間まで爆発に巻き込んだという。このように、インフレーションビッグバン宇宙は、現在の宇宙では絶対にありえない奇想天外な現象でできている。その宇宙論から生まれたのが、未知の素粒子であるダークマターだ。だから宇宙論者に必要な重力だけあって、他はなにもない見えない物質になってしまったのだ。そして、今の宇宙は普通のエネルギーや物質は5%しかないという観測とはまるで違う宇宙ができ上ることになったのだろう。

 書いてきたように、ダークマターが未知の物質としたら問題が多すぎる。宇宙に散らばっている水素を中心としたガスで構成されているとしたら問題は起こらない。その場合はインフレーションビッグバン宇宙論が破綻することになるが、もともと、インフレーションビッグバン論は、すべてが証明されていない奇想天外な事象だけで成り立っているのだから、当然である。

 ダークマターが通常の物質でできていたら、宇宙は観測されているものだけでできていることになる。もちろんダークエネルギーもない。インフレーションもビッグバンも空間膨張もない。今まで分かっている物理理論と物質とエネルギーで説明できる宇宙になる。100%通常の物質と、通常のエネルギーでできている観測できる宇宙である。

 未知の素粒子のダークマターは、奇想天外な、謎だけでできているインフレーションビッグバン宇宙論が生んだ奇想天外な素粒子である。想像の産物でしかない。