Mon on the Moon関連

マン・オン・ザ・ムーン (VHS/DVD)

 ここを見ている人にはもはや説明不要の映画なのではないでしょか。
 1999年にアメリカで公開、日本でも2000年に公開された、ミロシュ・フォアマン監督のこの映画。そもそもの始まりは、マイケル・ダグラスのお誕生日パーティーで偶然に会った、ダニー・デビートさん(アンディとは"Taxi"で共演。映画にはマネージャーのジョージ・シャピロ役としても出演)と、フォアマン監督が、アンディの話をしたことからなんだそう。
 アンディの伝記映画、というよりも、アンディの姿を描くことを通して、今観客として存在しているわたしたちに、当時のアンディに対する「え?何?ホントなの?それとも嘘なの?」というお客さん側の不思議な気分を味わわせてくれる、洒落たエンターテイメントという感じかな。
 2時間の中でアンディの全てを描き出すなんてとうていムリな話で、誇張されていたり、大幅に省略されていたり、アンディの性質の一部分だけ強調されてたり。この映画一本でアンディを知るのは不可能なこと。でも、どうしてアンディが多くの人々、特にコメディアンたちから今だに支持されて、愛されているのか、ということは、映画の中のアンディを通して理解できるのかも。もし、この映画を見て「アンディ・カフマンってすげーな。」と思ったら、その気持ちを100倍くらいにした気持ちが、実際にアンディの周りにいて驚かされたり騙されたり仰天させられたりした人達の気持ちなのかもーと思いました。
 ジム・キャリーの演じるアンディは、「ん?」と思う時もあるけれど、後から映画のことを思い出す時に、ジムじゃなくて、本物のアンディがあの映画に出てたかのような、記憶がごちゃまぜになってしまうような、そんなリアルさがあって、凄いなぁと思いました。時々ジムの目の中にうつる、深い深ーい悲しみみたいなものが感じられて、見ていてひりひり痛かったです。
 多くの人はジムを見てアンディのことをもっと知りたい!と思ったようだけど、わたしの場合は逆で、この映画を見て、ジムのことをもっと知りたい、と思うようになりました。
 興行成績はあまり良くなかったんだよね?確かに、アンディのことが殆ど知られてない日本では、いくらジム・キャリーの映画だって言っても、見知らぬコメディアンについての映画なんてそんなに興味はそそられないのかもしれないけど....。もったいないよねー、何で「恋愛映画」っぽく宣伝しちゃったんだろーねー。(笑)レンタルビデオでも、「コメディ」の棚にあったりして、探すのに時間かかったし!(笑えるけど、コメディっていうジャンルではないよねぇ。)

DVDには未公開映像(カットされたシーン)、メイキング、インタビュー、アンディの映像、R.E.M.のミュージッククリップが特典としてついています。詳しくは、ここをクリック

映画「マン・オン・ザ・ムーン」公式サイトはこちら→Man on the Moon-Web


01. Mighty Mouse Theme (Here I Come to Save the Day)- The Sandpipers
02. The Great Beyond- R.E.M.
03. Kiss You All Over- Exile
04. Angela (Theme from "Taxi")- Bob James
05. Tony Thrown Out- Score by R.E.M.
06. Man On The Moon- R.E.M.
07. This Friendly World- R.E.M., Andy and Tony
08. Miracle- Score by R.E.M.
09. Lynne & Andy
10. Rose Mary- Andy Kaufman
11. Andy Gets Fired- Score by R.E.M.
12. I Will Survive- Tony Clifton
13. Milk & Cookies- Score by R.E.M.
14. Man On The Moon (Orchestral)
15. One More Song For You- Andy Kaufman
Man on the Moon(サウンドトラックCD)

 "Man on the Moon"というタイトルは、映画のために考え出されたものではなく、もともとR.E.M.が1992年にリリースした「Automatic for the People」というアルバムの中に収められていた曲のタイトルだった。
 R.E.M.のマイケル・スタイプは昔からアンディのことがすごく好きで、アンディのことを題材に書いた歌につけたのが、この"Man on the Moon"。映画の脚本を書いたスコット・アレクサンダーとラリー・カラズウスキーの頭の中にも、この曲のことがあり、書き上げた脚本の表紙にためしに「Man on the Moon」と書いてみたらそれがそのまま映画のタイトルになったという。タイトルを見たフォアマン監督は、その時点ではR.E.M.の曲の存在は知らなかったのだけれど、曲を聞いて大いに感動し、すぐにR.E.M.に映画全体の音楽制作を依頼したのだそう。
 サントラは、このタイトル曲の他、R.E.M.が映画のために書き下ろした新曲、BGMの他、Mighty Mouseのテーマ、TAXIのテーマなど、アンディに関する色々な曲が収録されていてとても楽しい。"This Friendly World"では、R.E.M.とアンディ、トニーの夢のような共演が聞ける。この曲は、アンディが子供の頃エルヴィスの前に大好きだったFabianの曲で、アンディ自身がよくステージでお客さんに「隣の人と肩を組んで〜」と言い歌っていた曲。(映画では、お葬式で流れるアンディのビデオの中で歌われてましたね。)
 そして何と言っても、アンディ本人が歌う歌が2曲(Rose Mary, One More Song For You)収められていることが、何よりも嬉しい一枚。曲と曲の合間には、映画のシーンを思い出させてくれるセリフが入っていたりして、映画の雰囲気にじっくり浸れる。

シナリオ対訳 マン・オン・ザ・ムーン

 スコット・アレクサンダー&ラリー・カラズウスキー脚本。対訳版は愛育社刊。藤田真利子訳。
 「マン・オン・ザ・ムーン」の脚本に加え、スタッフ&キャストのプロフィール、二人が脚本を書くことになったきっかけや、書いている最中のエピソード、各シーンに関する二人の注釈(カットされたシーンのスクリプトも収録)、スチール写真集など、映画をさらに深く楽しむことができる一冊。
 伝記映画「エド・ウッド」の脚本を書いてから、二人は次に取り組むべき伝記映画の脚本のモデルになるような愛すべき変人を探していたという。その中の候補の一人がアンディだった。アンディの伝記を書こうと思った時に、アンディの人生に満ちあふれていたトリック、ジョーク、仕掛けなどを、どこまで描けばいいのか、どのように扱えばよいのかわからず、そのままアンディには手をつけずに自分達の中でボツにしていたのだそう。そして、別な脚本「ラリー・フリント」を完成させ、ミロシュ・フォアマンが監督をし、二人は「伝記作家」としてハリウッドでその名が定着するようになったそう。
 そんな二人に、フォアマン監督の方から「アンディについての映画を作ろうと思ってるんだけど」と話が来て、二人はびっくり。自分達が一度は手をつけかけて諦めた素材(アンディ)を、フォアマン監督の方から持ってくるなんて。
 この伝記映画のシナリオを書くことが、どんなに大変で困難なことかは始めに手をつけた時から気づいていた二人だけれど、沢山のアンディの映像、関係者のインタビュー、資料を元に書き進めていくと、それが本当に途方もなく困難なことだと再確認させられたそう。調べれば調べる程、本当のアンディ・カフマンという人間が見えなくなってゆく。落ち込む二人に、アンディのガールフレンド、リンがこんな言葉を言ったという。「ねぇ、本当のアンディなんていないのよ。」
 その言葉をきっかけに、現実なのか非現実なのか、本気なのか冗談なのかわからない、アンディを映画まるごとで表現してゆくアイディアが固まり、脚本は完成したんだって。
 脚本には、実際には撮影されなかったシーン、撮影前にカットされたシーンなどが全て収録されている。また、各シーンに関する二人の注釈では、そのシーンを裏付けるアンディの関係者の話や、二人のそのシーンに関する思い入れ、書いた時の気分などが書かれており、いろんな角度からこの映画を楽しむのにすごく役立つ本になっている。
(画像は原本のもの)
愛育社スクリーン対訳シリーズのページはこちら
パンフレット、チラシ、そのほか

 映画公開前に作られた最初のチラシは、お馴染みの深紅のカーテンの前にジム扮するアンディが立っているというデザインだったそう。上の方に大きく「アカデミー賞最有力候補」とかなんとか書いてあったらしく、(やっぱり)アカデミー賞にはかすりもしなかったことで、急きょ別デザインに変わったのだとかって。わたしが持っているのも、左の新しいデザインの方のチラシなんだけど、これはあんまり好きじゃなーい。配給会社が「恋愛映画」として宣伝したがってるのがミエミエな感じで、コピー「たとえ時代が彼に背をむけても、わたしは愛し続ける....」も何だかなぁ、というカンジで。裏にも「感動のラブストーリー」と書いてあった。ぺっぺっ。
 映画のパンフレットは、みのわあつおさん監修の「マン・オン・ザ・ムーン」に関連する語句集があったり、ちょっとした監督たちへのインタビューもあって、なかなか読みごたえあります。カーネギーホールの画像をピンナップ風に仕立てたのは良かったけど、そこに「Hello, my name is Andy and this is my poster.」って書いてあるのは何だかなぁ。ストーリーのところにThis Friendly Worldの歌詞が載ってるのはいいけど、アンディが歌詞の合間に言ってる「玉に合わせて」ってとこまで載ってるのは何だかなぁ。(ぼやいてばかり)
 その他、映画に関するものとして、アドカードとか、試写会ハガキとか、ポスターなんかがあって、Yahoo!オークションなどで常に出品されてるみたい。欲しいのは、映画公開時に作られたと思われるTシャツ。オフィシャルサイトなどでプレゼントしていたけれど、見事にはずれたもんね。