建設汚泥等造粒固化再資源化工法(オデッサシステム)の現状と今後について
宮城県リ・ソイル事業協同組合 事務局長 澁川眞彦
株式会社ピーエス三菱における環境事業への取り組み
潟sーエス三菱土木本部土木統括部環境関連部 副島隆広
1,工場閉鎖に伴う土壌調査と汚染土壌対策工事の事例
(1)指定区域の指定
本対象地は、東京都内にある敷地面積が約8,000m2ある工場解体にあたり、土壌汚染対策法第3条及
び東京都環境確保条例第116条の調査要件に該当し
調査を始めた。土壌汚染状況調査の結果、本対象地の土壌が特定有害物質による汚染状況が環境省令で定める基準に適合しないと認められた為、法第5
条により指定区域として指定された。その後、法第6条の指定区域台帳に公示された。
浄化対策工事完了後、行政に各完了報告書提出後、法第5条により指定区域が解除された。ちなみに、平成18年2月1日現在に於ける指定区域の状況として
は、指定区域として指定した件数が全国で100件あります。その内、指定区域解除件数は44件です。今回紹介した事例は、土壌汚染対策法第5条に於ける指
定区域の指定から解除まで行った事例です。
(3)浄化対策工事
土壌汚染対策法及び東京都環境確保条例に基づき汚染の除去工法等に関する汚染拡散防止計画を行
政に提出した。汚染拡散防止計画に於ける対策方法
のコンセプトとしては、本対象地の土質形成が現況 地盤から3mまでがローム層で、それ以深は礫層で対策深度までは地下水位がない地層である為、第一
種
特定有害物質汚染土壌は、原位置浄化(土壌ガス吸引法)を行うことにより掘削処理量を減らせること
で、コストの削減、工期短縮が可能であると判断し採用
した。故に土壌ガス吸引法と掘削除去法を併用した措置を行った。又、第二種特定有害物質に関しては、掘削除去措置を行った。
2,DeDIOX使用による焼却炉解体工事の事例
(1)焼却炉解体概要
本対象物は焼却能力が600kg/hある為、焼却炉解体を行う際には、労働安全衛生法第88条及び同規則第90条(火床面積2m2以上又は焼却能力が200kg/h以
上)により、所定の書類を作成し所轄労働基準 監督署に対し、計画届の提出が必要です。実施工に於いても、「ダイオキシン類特別措置法」「廃棄物焼
却施設
内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に
準拠し焼却炉解体工事を行った。焼却炉解体工事完了後、工
事報告書を作成し所轄労働基準監督署に提出しました。提出書類について
は、30年間の保存が義務付けられている。
(2)DeDIOX分解概要
焼却炉解体工事で使用した大気環境基準対応装置(DeDIOX)の分解概要については、排気ガス中のダイオキシン類を触媒と過酸化水素水により、低温(80〜
100℃)で分解し、水・炭酸ガス・塩酸を生成無害化して大気へ排気する。
3,ダイオキシン類無害化システム乾燥機(ディスクドライヤ)にダイオキシン類汚染物(飛灰・土壌・底質)を投入し、薬剤(ダイオカットA-10)を3〜5%程度添加しま
す。その後、400℃の低温で1時間程度加熱する事で、ダイオキシン類を無害化できます。
油汚染の調査・対策について〜ガソリンスタンドにおける油汚染対策の現状〜
日本地下水開発(株)事業本部
環境プロジェクトグループ 黒沢 亘
油汚染とは、油を製造・保管する施設において、老朽化、事故等の原因によって油が地下に漏洩し、土壌・地下水を汚染した状態のことを指しており、油臭や油膜によって容易に発見が可能で、かつ感覚的に障害を感じることができるものである。
油汚染問題は、土壌汚染対策法ではベンゼン一成分しか基準対象になっていないものの、土地取引時にトラブルとなるケースが多く、土地所有者による自主的な取り組みとして調査・対策をとることが慣例化してきた。しかしながら、基準がないために調査手法や処理目標が曖昧となっていたため、平成18年3月に油汚染対策ガイドラインが制定された。 油汚染対策ガイドラインでは、@生活環境保全を目的とし、油汚染対策の基本的な考え方、取りうる方策、A汚染の対象は鉱油類を原因とし、人の感覚によってとらえることができる油臭・油膜による障害、B画一的規制ではなく、現場の状況に応じた対応方策の検討に活用すること等を基本的な考え方として取りまとめられている。現在国内ガソリンスタンド業界においては、石油元売り会社の統廃合や競争の激化に伴い、ここ10年で不採算店舗の閉鎖が相次いでいるが、
ガソリンスタンドにおける油汚染の特徴としては、漏洩事故については、地下タンク、配管の腐食等劣化が原因であることが大半である。ガソリン等の軽質油は粘性が低いため、汚染が地下水に到達すると水平方向に汚染を拡大しやすく、重油等は高粘性であるため土壌・地下水中からの分離が難しく、浄化が困難となる場合が多い。
ガソリンスタンドにおける作業時の留意点としては、営業中のガソリンスタンドであれば埋設配管(油配管、電気、水道、排水等)の破損事故に注意しなければならず、給油作業を阻害しないような作業の実施が求められている。
当社では、油汚染の浄化方法として、フェントン反応剤を用いた浄化対策を用いている。フェントン法は、原位置化学酸化浄化処理技術に位置づけられており、土壌・地下水中でベンゼン等有機化合物と酸化剤を接触させることにより、化学的酸化反応をおこし、有機汚染化合物を無害な無機化合物にまで浄化させる浄化方法で、低コストで短期間の浄化が可能な技術として国内でも実施例が増加している。
「アクアセパレート」
錢高組東北支店・土木工務部工務課長 原田浩二
1.開発の背景
高さ76m,総貯水量901万m3の「出し平ダム」の湖内堆積土砂は、完成後7年で総貯水量の60%までした。このため貯水能力回復を目的に、1991年12月に「排砂ゲー
ト」を開けて大量の土砂を水とともに黒部川に排出し、富山湾の沿岸漁業に深刻な被害を与え問題になった。自然環境における河川や湖沼に堆積した泥土は、治
水面から国民の財産を守る目的で浚渫されるが、これらの泥土は高含水であるため浚渫後の処理方法や処分場所が課題となっている。土木建築工事においても
コスト縮減の政策と限られた処分場の延命化から、工事で発生する高濃度泥水の減量化が求められてきた。
2.「アクアセパレート」
既存の凝集技術では、高分子水溶液を原泥土と混合して凝集させるが減溶化率は80%にとどまるが、アクアセパレートを原泥土に投入攪拌すると、固液分離によ
って減溶化率を50〜40%にできる。「アクアセパレート」は粉末凝集剤で、汚染はそのまま存置して固液分離を助ける触媒的役割を有する。
3.減溶処理システム
小容量〜10m3/日、中容量10〜90m3/日、大容量100〜200m3/日の3タイプのシステムがあり、それぞれのタイプについてフロック形成設備、脱水設備がある。
4.適用事例、施工実験
4-1.小容量システムを河川浚渫土処理に適用
大型土のうで河川を仮締切してバキューム車で汲み上げ、袋で重力脱水した。分離水は水処理施設で水質検査し放流。分離土は土壌検査し適性処分。
4-2.中容量システムで公開施工実験
今までの凝集剤とアクアセパレートについて、分離水濁度と分離土性状を比較。固液分離効果を確認した。
4-3.大容量対応実験
標準型フィルタープレスと同様の条件で、模擬プレスによって高強度脱水ケーキを製造した。ケーキはコーン指400kN/m2の第三種建設発生土として再利用可能
である。
5.今後の展開
国土の75%が山岳であるわが国では、河川流域や臨海部に生活圏を求めざるをえないが、そこには大量のブラウンフィールドが 潜在する。用地リサイクルには、
適切な処理技術が求められる。
自然由来の重金属異常は,元来,土壌汚染対策法や水質汚濁防止法における‘汚染’とはされてない.しかし,平成15年
に「生活環境の保全に関する環境基準」という考え方が導入され,水棲昆虫や動植物を含めた生態系に少しでも影響を及ぼす惧れのある重金属異常は,全て環境悪化要因とする風潮が強まった.このため,土壌溶出試験において,鉛や砒素が0.01mg/kg(ppm)を超過する場合には,その異常原因が自然由来か人為由来かを厳密に議論されることなく,汚染土壌と同等の扱いを求められるケースが増大している. 東北地方の脊梁山地から日本海沿岸まで広く分布するグリーンタフと呼ばれる地層は,大部分が海底火山活動の産物であり,火山噴出物自体や火山活動に伴う熱水活動によって必然的に重金属に富む傾向がある.それらの火山岩類が,日本列島の隆起によって侵食され,浅海に再堆積する過程で,様々な地球科学的プロセスにより著しく重金属に濃集する層(レイヤー)が形成される.最近の,東北大学や産業技術総合研究所の研究によって,多くの地域から,この様な重金属異常レイヤーが報告され,多くの地点において,環境基準をはるかに超える鉛や砒素の溶出が確かめられている.とりわけ,環境省告示の定める公定法溶出試験において,塩酸抽出液を検液とした分析値には,環境基準はおろか排出基準をも上回るPbや,Asが検出される.この様な試料から重鉱物を濃縮し,顕微鏡で観察すると魚卵状の形状を持つ微粒の黄鉄鉱が多数含まれている.即ち,微粉状の黄鉄鉱を多く含むレイヤーが,何らかの理由,例えば,宅地造成とか,都市基盤整備事業とかで暴露されると,黄鉄鉱と雨水が反応して硫酸酸性水が形成され,pHが4以下になるとPbやAsの溶解度が急激に大きくなって河川水や地下水中に溶出されると考えられる.この溶出メカニズムが一時的なものか,あるいは長時間継続して環境悪化を引き起こすものか,今後の研究を待たなければならないが,露頭面に析出した鉄分(多くは2価鉄)が直ちに酸化されて毒々しい赤褐色の沈殿物が形成されるため,地域住民からの苦情によって,結果的に,工事の進捗が妨げられるケースが発生している.筆者らの予察的調査において,この様な微粒の魚卵状黄鉄鉱を多く含む地層は,浅海(内湾)〜内陸(湖)で形成された砂岩と泥岩やシルト岩との互層部分に多いことが判っている.当面,「リスクの高い地層」を正確に予測し,工事工程上やむを得ない場合には,可能な限り暴露を抑制する対策を講ずる必要があると考えられる.
セメント産業では近年、廃棄物・副産物をリサイクル資源として積極活用しており、2005年度の業界全体での活用実績は約3千万トンに達している。これは日本国内で毎年発生する産業廃棄物(約4億トン)と一般廃棄物(約5千トン)のおよそ7%弱に相当している。太平洋セメントにおいても、国内セメント工場にて廃棄物、副産物等をセメント原燃料として、738万トンを使用している。(セメント、固化材等生産高:約22百万トン)セメント協会では、2010年度の使用原単位を400kg/t−セメントとする努力目標を掲げており、太平洋セメントもこの目標達成に向け努力している。(05実績で351.8kg/t−セメント)廃棄物等のセメント資源化の特徴としては以下が挙げられる。
@受入れる廃棄物等は、石灰石、粘土、ケイ石、鉄原料、石膏等の代替原料として、また石炭、重油等の代替燃料として、全量を資源として有効に再生利用する。
Aセメント工場からは灰やスラグ等の残渣類が発生しないため、最終処分(埋立)が不要。
B焼成温度1,500℃、24時間連続運転での処理となるため、安全且つ大量に、また安定して、安価に処理することが可能。
Cセメントの品質や製造工程に影響を及ぼす含有成分(塩素や重金属類)に規制値を設けている。
太平洋セメントでは新たな取組みとして、2003年度より建設現場等で発生する汚染土壌をセメント資源化する事業を開始している。現在受入量は順調に伸びており、06年度実績で100万トンに達する見込みにある。現在物流体制の拠点として、また土壌の改質や異物除去等の前処理の拠点として首都圏4箇所に中継基地を設置している。さらに、環境省指定調査機関の認定を取得し、調査から工事、物流、工場での処理まで一貫して請け負える体制を整備した。 日本最大規模の不法投棄事件である青森・岩手県境産廃不法投棄事案にも取り組んでいる。岩手県側に埋設された有害物を含む汚泥状の産業廃棄物を04年度より大船渡工場で受入れ、06年度には累積処理量が8万トンを超える見込みにある。本件は00年度に岩手県から当社に対し処理依頼の打診があり、様々な実験・検証を経て現在に至っている。10年度までに総量18万トン程度の受入が想定されている。
2007年7月04日(水)発表
土壌汚染コンシェルジュサービスについて
2009年1月30日(金)発表
植物の重金属蓄積能とファイトレメディエーションへの利用
東北大学大学院環境科学研究科助教 畑山正美
2009年1月30日(金)発表
EDCによるVOC汚染浄化(国内外におけるEDC/EDC-E適用事例のご紹介)
エコサイクル株式会社開発部マネージャー 前田 信吾
環境汚染物質として知られる、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物(以下、VOC類)は、土壌中を浸透しやすく比重が水よりも大きいことから、漏洩後に地下深くまで浸透し、地下水に達すると溶解した一部が地下水流に乗って広域汚染を形成し、高濃度部位では、原液の溜りを形成するという特徴がある。こうしたVOC類による地質汚染に対しては、掘削処理、揚水曝気などの物理的手法、過酸化水素、鉄粉あるいはホットソイルなどの化学的手法などが浄化・対策技術として知られているが、浄化コスト、地上設備の制約、環境負荷といった面に課題があった。近年、微生物の汚染浄化能力を利用する、いわゆるバイオレメディエーションが脚光を浴びている。一般的に従来のバイオレメディエーションは、低コストに優位性がある反面、低濃度しか対応できないことや工期が数年単位となるといった点に課題があり、その適用範囲は、限定されていた。EDCは、VOC類による地質汚染を浄化するために開発された、土着の嫌気性微生物を活性化させ、増殖させることによりVOC類の自然浄化を促進するバイオレメディエーション用の栄養源製品である。EDCは、水に溶解させて地中に注入して使用する。その特長としては、@食品材料より構成されており、安全性が高い、A水溶性であることから、効果範囲が広く、注入井戸の設置コストが低減される、B分解性が高く、VOC分解に関る各種の微生物群に対して効果があり、それ故に効果発現が速やかであり、また有害な副生成物が残留しない、C簡易な設備で施工可能である。これらの機能により従来のバイオ工法に比べて短工期、低コストでの浄化施工を実現した。最近では、材料の効果を持続させることによりバイオレメディエーションの適用範囲の拡大を実現し、さらに適用事例数が増えている。この持続性の製品がEDC-Eである。EDC-Eは、食品材料から構成されている液体状の製品であり、EDCと併用することにより速効性のEDCに持続性を付加することができる。この持続性の付加によって、従来バイオレメディエーションの適用が困難とされていた、百mg/L超の高濃度のVOC汚染、粘土あるいはシルトなどの粘性土、塩分及び硫酸イオン濃度が高く潮汐による浄化剤の散逸が著しい沿岸部、域外流出・汚染流入の対策など様々な現場条件、汚染形態に対応することを可能とした。
2010年2月9日(火)発表
水,土壌,岩石環境中での元素の存在状態とその地球化学的意義
東北大学 大学院環境科学研究科 小川泰正
岩石,土壌中に存在する有害元素が人体に接近する最初のプロセスは,岩石,土壌中から“溶出”することである.溶出した有害元素は,地下水や河川などの水を移動媒体として“拡散”する.この水を飲用水として利用,あるいは,食物連鎖を通じて,有害元素は我々の人体へと取り込まれることになる.従って,環境リスク評価を行う上では,この“溶出”と“拡散”の2つのプロセスを考えなければならない.環境省告示18号試験は,汚染土壌中から溶出した有害元素が,地下水を経由して人体に取り込まれた場合の毒性評価であり,地球化学的に重要な“溶出”と“拡散”の2つの過程の評価が含まれている.溶液中での化学種は,フリーイオン,錯体,イオンペアなどの真溶存種とフミン酸等の有機コロイド,鉄やアルミニウムなどの酸化物,水酸化物,微細粘土鉱物などの無機コロイド,微粒子への吸着体に大別される.そして,有害元素がどのような化学種で存在するかにより,元素の移行メカニズムの差異が報告されている.そして,生体に対して害毒を与えるのがフリーイオンであり,錯体形成や微細粒子への吸着は,有害元素の持つ毒性を低減すると言われている.従って,どのような形態で有害元素が土壌や岩石中から溶出するのかは,重要な問題となる.環境省告示18号試験のような水による抽出実験では,土壌,岩石中に含まれる有機物,粘土鉱物,水酸化物等が,0.45?mフィルターでも除去することのできない微細なコロイド粒子として分散することがある.このろ液に対して限外ろ過(5000 dalton)を施したところ,コロイド粒子だけでなく有害元素の大部分が除去される傾向にある.このことは,有害元素は,溶存イオン(フリーイオン,錯体など)で存在しているのではなく,その大部分は微細コロイドへの吸着態として存在することを意味する.ここで問題となるのが毒性の評価である.植物は根から溶存イオンとして存在する成分を吸収する.故に,コロイド吸着態として存在する有害元素は,直接,吸収されることはない.しかし,植物は根から酸を出し,岩石成分を溶解して成分を吸収することもできる.土壌,岩石やコロイド粒子に存在する有害元素は,コロイドや岩石成分との結合が比較的に弱く溶出しやすいものから,自然界で起こり得る地球化学的作用では溶出する可能性が極めて低いものと,存在形態,溶出のしやすさは一様ではない.植物を起点とした食物連鎖からの有害元素の人体への移動を考える場合,有害元素の溶出時の形態(溶存イオンであるのか吸着態であるのか)のほか,吸着態として存在する場合は,根から分泌される酸により溶出し得るのかを考慮する必要があると思われる.さらには,有害元素が地下水経由で直接人体に取り込まれることを想定する場合も,コロイド粒子の地下水脈での移動性,及びコロイド粒子内で存在する有害元素が胃酸により溶出し得るものなのかを評価することも必要ではないかと考えられる.
土壌汚染対策法では,土壌汚染にかかわる基準値が定められその値は土地売買の契約や土地の活用に使用されるなど測定の重要性は明らかである。
従って,環境省ではその測定方法を平成15年環境省告示(環告)16号(土壌ガス調査),17号(地下水調査),18号(土壌溶出量調査)及び19号(土壌含有量調査)
に定めている。しかし,その工程で分析精度上明確化されていない部分があるため,多くの課題が浮き彫りとなっているのが現状である。それらの一部を報告し
たい。
1. 土壌溶出量調査に係る測定方法(環告18号)
(1)風乾から中小礫や木片除去及び疎砕
礫の大きさや木片の定義が明確でないため個人差が発生する。また,礫が大半の場合は対象とする土性を明確化する。この場合,顧客とのコミュニケーション
が重要となる。
(2)振とう
環告では振とう回数と振り幅及び時間が明確にされているが,縦振または横振の指定はないため,十分な攪拌が行われていることを浸透状況で目視観察し
分析機関のマニュアルに盛り込むことが繰り返し精度向上につながる。また,土壌の中には成分によって緩衝作用を持っていたり土壌のpHに左右されること
が多い。土壌が酸性の場合は金属の溶出量が増加する。水質と異なり均一性の低い土壌では値の再現性が低い。従って代表となる試料を採取すること,
均一な試料分取は値を変動させる重要ポイントである。出来上がった検液のpHはpH調製した同一溶媒で行うものの,先に述べたような理由から複数個の値
が同じにならない場合がある。
(3)遠心分離及びろ過
遠心分離することでコロイドを除去することになっているが,現状ではなかなか除去できない場合が多い。これらを0.45?mメンブランフィルターでろ過すると,
0.45?mでも通過するコロイドがあるためろ過初めと終わりのろ液性状が異なる。また,コロイドに溶出成分の吸着が起こるためろ過速度で濃度が変動する等
の影響を及ぼしている。
2. 土壌含有量調査に係る測定方法(環告19号)
(1)振とう及び静置
含有量試験では,土壌の誤飲を仮定し人体の胃酸濃度に合わせた塩酸濃度が溶媒となっている項目がある。この塩酸溶液で溶出した時,発泡する試料
には炭酸塩が含有されていると推測される。また,セメント成分が多く含まれるなどアルカリ性土壌では中和反応による発熱が伴う場合があるため,安全
な作業を行うためには反応が収まってから振とうするなどの注意を要する。
(2)遠心分離及びろ過
(1) に記載したような試料は2時間振とう後も反応が完了していると限らないため,観察後に次の操作に写ることが安全作業になる。しかし,塩酸による
溶解が完了しない場合は,放置時間やろ過時間で濃度に影響を与える。
3.分析
(1)前処理
含有量試験の場合,溶出の際,溶媒である塩酸と反応しガスになった砒素,セレン及び鉛が揮散し低濃度になる可能性がある。また,六価クロムは検液が
着色している場合に三価クロムとの分離操作が必要である。フッ素やシアン分析の蒸留操作では,油分を多く含む試料の場合にその油分成分が留出し
測定不能となることがあった。今後検討をしていきたい。
(2)測定
測定方法では様々な装置を選択できるが,試料のマトリックスなどを考慮して選択することが重要である。
3. まとめ
溶出試験の測定結果つまり分析の妥当性は試料性状と前処理から溶出し検液作成までの操作で決まってしまう。それは,溶出条件によって左右される
ため,試料の代表となる検液を作成するのは非常に困難ではあることが大きな要因である。測定した結果の妥当性を証明できるように操作の記録を
持つことが値を保証することにつながる。適正な品質管理と事前の試料情報入手などが短工期や信頼性の高い測定につながると考えそれらを実行し
ている。