15000rpmのHDD

「98でUltra2」推進活動では2000年から2002年のHDDを中心に紹介しましたが、こちらは
2002年以降のHDDを紹介します。
各社の最上位にあたる15000rpm HDDのベンチマークを掲載します。
自作機でRAIDを組む為に購入したドライブが殆どなので、73Gbyteと36Gbyteが中心です。
テストに使用したカードはUltra320 SCSI対応ですので、HDDが持つ本当の転送性能を確認
出来ますし、同じシリーズの製品でも98で測定した18Gbyteモデルでの結果とは少し違う、
HDDの本当の性格が見えているかも知れません。


FUJITSU MAS3735NC

MAMの後継にあたる、2003年発表の富士通の15,000rpm HDD第二世代モデル。Ultra320 SCSI
対応HDDとしては第一世代に属する。
ベンチマークに使用したドライブはIBMのeServer Xシリーズ用のOEMで、ファームウェアは
C901となっていた。新古品で、RAIDのスペアとして購入したが2年程転がしていた物を使用
してベンチマークを測定している。ドライブのコンディションが良いので結果も申し分無い
ものが得られた。

IBM-ESXSMAS3735NC FN C901(FUJITSU MAS3735NC)
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI20320

74418

71960

28611

21000

5.57

79200

64800





内周部でも60Mbyte/s程度の速度を確保出来、しかも全容量の約半分の間は速度が落ちない。
高速なアクセスタイムも魅力的で、無理に最新のドライブを買う必要は無いのではないかと
思える程だ。現在でも文句なく主力として使える性能と考えて良いだろう。





FUJITSU MAU3036NC

MASの後継モデルにあたる製品。更に後継のモデルになるMAXとの違いは基本的にはRoHSへの
対応/非対応くらいの筈。最大容量モデルは147Gbyteとなります。
テストに使用したドライブはHP(Compaq) OEM品で型番はBF03688575となっていた。ファーム
ウェアはHPB2となっている。
最外周部で90Mbyte/sを越える極めて高いシーケンシャルRead/Writeの性能を持ち、内周部分
でも60Mbyte/s以上という数字を確保出来ている。

COMPAQ BF03688575 HPB2(FUJITSU MAU3036NC)
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI20320

90941

86195

29115

23914

5.87

93600

64200





転送レートは小刻みにブレ続けるのが気になるところだが、性能自体は極めて高い。
安く手に入るなら迷わずに買って良いドライブだろう。





FUJITSU MAX3073NC

MAUの後継モデルにあたる製品。と言っても基本的にはRoHSへの対応/非対応くらいしか差は
ありません。こちらも最大容量モデルは147Gbyteとなります。
テストに使用したドライブはNEC OEM品でファームウェアは2904となっており、NECへのOEM品
らしく通常70,002Mbyte程度ある容量が69,806Mbyteに制限されていました。性能の方もMAUと
全く同じと言う認識で良いと思います。
HDBENCHの結果で言えば、富士通のHDDはRRead/RWriteが早いのが長所になりますかね。

FUJITSU MAX3073NC 2904
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI22320R

89745

88428

29638

25396

5.92

94700

64900





転送レートのブレはMAUよりも小さめで、良好な結果と言うことで良いだろう。





FUJITSU MBA3073NC

MAXの後継モデルにあたる製品。最大容量は300Gbyteで、Ultrastar15K300やCheetah15K.5と
競合する製品になります。しかし、出荷が遅れたことでUltrastar15K300のシェアが増える
結果を招き、富士通のHDD事業を苦しくしたのも否定出来ないのではないでしょうか。
2009年2月17日に富士通はHDD事業を東芝に譲渡することを正式に公表したことから、MBAは
富士通最後の3.5インチHDDとなる可能性があります。
テストに使用したのはHP OEMの物で型名はBF0728AFEA、ファームウェアはHPB1となっており、
製造は2008年7月となっていました。
肝心の性能の方ですが、シーケンシャルリード/ライトの速度はCheetah15K.5よりやや下で、
Ultrastar15K300と良い勝負になります。ランダムリード/ライトの性能は、歴代の富士通製
15000rpm HDDと同様かなり高速で、総合的な性能は高いと判断出来るかと思います。

COMPAQ BF0728AFEA HPB1(FUJITSU MBA3073NC)
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI22320R

116894

116894

29646

29784

5.87

12400

79500





転送レートの軌跡はUltrastar15K300よりも綺麗。良好な結果となった。





HGST HUS151473VL3800(Ultrastar15K 147)

旧IBMの流れを汲む日立グローバルストレージの15,000rpm HDD。第三世代の15,000rpm HDDと
なり、Cheetah15K.4やMAU/MAXと競合する製品です。因みに、製品の外見や基板の作りは思い
きりIBM製HDDのまんまです。
手に入れたのはIBM eServer Xシリーズ用のOEMで、ファームウェアはS410となっていました。
容量は73Gbyte、Mbyteにすると700002Mbyteとなっており、上述のMASともきっちり合った容量
になっています。こちらのベンチマークを掲載します。

IBM-ESXS VPR073C3-ETS10FN S410(HGST HUS151473VL3800)
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI20320

88428

90941

21069

12045

6.02

93500

62900





最も速い領域はMAUよりも広いが、落ち込みは少し早い。
ランダムアクセス性能で富士通のドライブにやや見劣りするのが気になるところ。






HGST HUS153073VL3800(Ultrastar15K 300)

日立グローバルストレージの第四世代15,000rpm HDD。パラレルSCSI HDDに対応するのはこの
モデルで最後になります。競合製品はSeagateのCheetah15K.5と富士通のMBAの二つです。
裏返して基板を見てみれば旧IBMの流れを汲む製品と分かるのですが、その外見はどう見ても
IDE/SATAのDeskstar系と同じ・・・ 先代のUltrastar15K147までの特別な感じが無くなって
しまったのは少々残念なところです。
手に入れたのはHP OEMの物で型名はBF07284961、ファームウェアはHPB5となっていました。
容量は73Gbyte、Mbyteにすると69874Mbyteとなっており、容量的にはNEC OEMの物よりは多い
ですがIBM OEMの物よりは少な目でした。Diskのラベルから製造は2008年2月22日となっており、
Ultrastar15K450の発表まで残りあと僅かと言う時期に製造された比較的後期の物です。
こちらのベンチマークを掲載します。

COMPAQ BF07284961 HPB5(HGST HUS153073VL3800)
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI22320R

114798

112899

30476

22436

5.77

121000

77100





HGSTのHDDは遅いと思われていたHDBENCHでのRRead/RWrite値が大きく改善されている。
Transfer RateはCheetah15K.5に比べるとやや遅いが、それでも十分な性能。
HGSTのパラレルSCSI最後のフラッグシップモデルとして、相応しい性能を持っている。






Maxtor Atlas 15K

Maxtorの15,000rpm HDD第一世代。Ultra320対応HDDとしても第一世代にあたる。
ライバルとなるCheetah15K.3よりも半年近く遅れての登場となった分だけ、チューニングが
しっかり出来ているようで、高いランダムアクセス性能を見せてくれた。
テストに使用したのはファームウェアがDT60となっている物で、国内に登場したのはかなり
早い段階のもの。因みに、個人的には最後に新品で買ったHDDだったりします(笑)これは
2003年の話なので、随分と新品のHDDなんて買ってないことになりますね。

MAXTOR ATLAS15K_18WLS DT60
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI20320

68221

70426

47145

19382

5.59

73400

56000





98でテストした時と同様、転送レートは小刻みにぶれる。速度の落ち込みは同世代の競合
製品にあたるCheetah15K.3に比べるとやや少ない。Disk Access TimeとRandom readの数値は
今でもトップ級なので、安価に手に入るなら十分な戦力になるだろう。






Maxtor Atlas 15K II

Maxtorの第二世代にして最後の15,000rpm HDD。
2004年11月頃から2007年春頃まで店頭で売られていました。
競合製品はCheetah15K.4やMAU/MAX、Ultrastar15K147になります。
テストに使用したのは2005年5月製のもので、比較的早い時期のものと言えます。
アクセスタイムの速さと速度の落ち込みの少なさは同世代のHDDの中では群を抜いて優秀で、
特にアクセスタイムは全製品の中でもトップの数字を叩き出しました。
また、HDBENCHのRRead/RWriteでも優秀な数字を出していますのでランダムアクセスに強い
HDDと言えるのではないかと思います。

MAXTOR ATLAS15K2_36SCA JNZR
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI22320R

71960

92252

34478

31960

5.34

96800

74700





転送レートは小さなブレを見せるが気になる程ではなく、速度の落ち込みはかなり少なめ。
HDBENCHでReadの値が伸びないAtlas10K Vと同様の症状が出ているが、これは気にしない方が
良いだろう(HDBENCH2.61だと正常なRead値が出ていたことを書き添えておきます)。
Disk Access Timeは全ての15000rpm HDDの中でもトップの数字を出せるので、現在でも十分に
戦力になる製品だ。





Seagate ST336753LC(Cheetah 15K.3)

Seagateの15,000rpm HDD第三世代。他社の15,000rpm HDD第二世代モデルと競合する製品に
なっていた。Ultra320対応は先代のCheetah X15 36LPのI/F改修版があるのを考慮すると、
二世代目と言うことになるが、製品登場時からUltra320対応しているのはこのモデルから。
今回テストに使用したのは標準的な36Gbyte版。ファームウェアはDX10となっており、最近
じゃんぱらで売られている時によく見られるファームウェアである。

SEAGATE ST336753LC DX10
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI20320

72778

70426

17241

19215

5.89

76300

51300





転送レートは落ち方も描く軌跡も綺麗。他社より早く製品を出してもこれだけの性能の物を
世に出せるのだから、Seagateの技術力はやはり高いのだなと感じさせてくれる。





Seagate ST336754LC(Cheetah 15K.4)

Seagateの15,000rpm HDD第四世代。他社の15,000rpm HDD第三世代モデル(富士通ならMAUや
そのRoHS対応後継品のMAXと、日立ならUltrastar15K 147と競合する製品にあたる。
テストに使用したドライブはHP(Compaq) OEM品で型番はBF0368A4CAとなっており、ファーム
ウェアはHPB5となっていた。


COMPAQ BF0368A4CA HPB5(Seagate ST336754LC)
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI20320

88504

89667

16588

22750

5.67

95400

58800





MAUと比べると外周が少し速く、内周が少し遅い。また、アクセスタイムはMAUよりも若干上。
SCAの36Gbyte版であれば5000円以下で手に入るので、見つけたら入手してみてはどうだろうか。





Seagate ST373455LC(Cheetah 15K.5)

Seagateの15,000rpm HDD第五世代製品。性能的には競合他社の15,000rpm HDD第四世代モデル
(富士通ならMBA、日立ならUltrastar15K 300)と競合する。
但し、競合他社より遥かに早く出荷が行われているため、他社の第三世代製品と競合する形と
なっていたのが実情。そして、Seagateの15,000rpm HDDとして最後のパラレルSCSI対応モデル
と言うことになります。
今回テストに使用したドライブはSeagateが一般的に販売している物で、どこかのOEM品等では
ないです。ファームウェアは0001となっており、比較的初期の物のようです。

同じ時期に出荷された競合製品(MAU/MAXやUltrastar15K 147)と比べると一世代分進んだ性能
(特にRead/Write性能)を持っていることが分かります。但し、ランダムアクセス性能は殆ど
向上していませんので、この製品の最大の魅力は大容量(最大容量モデルは300Gbyte)と言う
部分にあると言う事で良いでしょう。
なお、このモデルのテストからはSCSIカードをLSI20320からLSI22320Rに変更しています。


Seagate ST373455LC 0001
 

HDBENCH3.40b6

WinBench99

Host Adapter

read

write

Random
read

Random
write

Disk Access Time

Transfer Rate (Beginning)

Transfer Rate (End)

LSI22320R

125798

130779

23825

22908

5.72

134000

84100





最外周で約130Mbyte/s、最内周でも約80Mbyte/sと言う凄まじいRead/Write性能を持っている。
但し、アクセスタイムは実質進化なし。Seagateでは最後かつ最速のパラレルSCSI HDD言うことで、
入手する価値は十分ある。安く手に入るなら抑えておきたいところだ。