掛け軸 (一)


御軸物の扱い方御案内

 新装の御軸物は、お客様にさしあげる前に表具師の手もとでかなりのあいだ掛けならしておくことが、

京表具本来の仕きたりです。しかし当節はそうもできかねる場合が大変に多くなっています。

それでお客様がすぐ床の間に掛けて長時間そのままにしておかれたり、また一寸御覧になった後は箱に

しまったままにしておかれますと、いろいろと 「くるい」「ゆがみ」が生じて参ります。

 そうならないためには、 はじめ二、三カ月のあいだ四、五日毎に晴天の折り二、三時間ずつお掛け下さ

いますように。


 箱に収める場合は、ほどよく巻、ゆるく紐をかけられますと糊気がおのずと乾きまして「くるい」を防ぎます。

 また雨や風の強い日、直射日光や暖炉のある部屋などに永くお掛けになることは禁物です。防虫剤の類

は隅軸先の上におかれますとよろしい。そうして年に、二、三回は晴天の日にお掛け下さいまして、いつ

までも御愛蔵のほど念願しております。


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