パッチワークのセーター
 原宿の会社にいた頃、徹夜続きのある朝、表参道でコーヒーを仲間と飲んでいた時突然、「毎日ガンガン仕事しているうちに、世の中、もう春だよー!」と気づき、春のセーターを編みたいね、という事になった。その足で渋谷の西武デパートまで歩き、各自好きなイメージで毛糸を選んだ。
 私はパッチワークのセーターを編みたいと思い、でも、なかなか色のイメージが出来ないでいたら、Mさんが僕が選んであげるといった。Mさんの選ぶ色って・・・・・いつもの派手なファッションを考えるとちょっと心配になった。他の人は、それが良いと言う。自分の好きな色だけ選んでいると、普通すぎてつまらないよ、と。・・・・そして、「ひとつだけ自分の好きなのを選んで」と言われてモスグリーンを選んだ。後はMさんが決めて、このセーターが誕生した。
 自分だったら絶対使わなかったような、濃い紫や、鮮やかなピンク、オレンジ。それぞれ一玉ずつ選んで渡されて、しばし途方にくれたことを思い出す。不思議に、眺めていたら楽しくなってきて、編んでいる時も楽しんだ。編み込みもやった事が無かったのでるんるんと編んで、ふと見たらパッチワークの一つ一つが全然つながっていなくてビックリ。隣の糸をからませて次の色を編まなくてはいけないのに、そんなことも知らずにとりかかっていた。どうやったら独立した四角でなくつながった四角になるのだろう?と一人で悩んでいた事を思い出す。とても好きなセーターで、大事に着た。今で言うなら「勝負服」か?