フリーターの問題
【フリーターの原因】
@社会の要因
/不況による企業の求人数の減少
A若者の心理的な要因
/夢を追いフリーターとなるかっこよさ
【フリーターの類型】
@モラトリアム型 2001[47%]
a.離学モラトリアム型…将来の見通しなく、教育機関を中退・修了したタイプ
b.離職モラトリアム型…離職時に、見通しがなかったタイプ
A夢追求型 2001[14%]
a.芸能志向型…バンドや演劇、俳優などを志向したタイプ
b.職人・フリーランス志向型…ケーキ職人、バーテンなど、自分の技能や技術で身を立てる職業を志向したタイプ
Bやむをえず型 2001[39%]
a.正規雇用志向型…正規雇用の志向があり、正社員に近い派遣を選んだタイプ(←企業の求人数の少なさによる?)
b.期間限定型…学費稼ぎのためなど、期間限定タイプ
c.プライベートトラブル型…本人や家族の病気、リストラ、異性関係のトラブルなどが契機になったタイプ
*『脱フリーター社会』2004東洋経済新報社/橘木俊詔
夢追求型はモラトリアム型の隠れ蓑になっている可能性もある。
夢追求型は「やりたいこと」があり、周囲の理解を得やすい反面、「やりたいこと」という言葉を使いさえすれば、
社会的に許されるだろうという甘えが見えてくる。
【フリーター学歴別】2001「就業構造基本調査」
1位高卒・中卒68%。 2位短大・高専22% 3位大学・大学院卒10% |
*フリーター率内訳、高卒は卒業者の10%(就職者の62%)、短大卒の19%(就職者の32%)、大卒は22%(就職者の38%)。
*女性が6割、男性が4割
*20代前半が多く、(65歳以上も多い)、男性は20代後半になると、ほとんど脱フリーターするが、女性は増える。
*男性20代後半におけるフリーター人口は、90年代2%にたいして2001年4%(増加)。
【フリーターは良いのか、悪いのか。】
@キャリア形成からみて、フリーター期間は、
・将来に向けてのキャリア形成意識があり、夢に歩みを進めていたり、方向転換をする者にとっては有効。
・具体的な努力や活動が欠け、「夢を持つ生き方」がかっこいいと思っているだけの者にとっては有効ではない。
Aマクロ視点(日本の経済力・産業力からの視点)で捉えると、
『大学生の職業意識』2003早稲田大学教育総合研究所 学文社
『フリーターって良いの、悪いの?』2005藤井哲也 ジャパン総研
■就職困難
就職氷河期、超氷河期
■若者自身の職業意識の問題
将来の方向性を自ら選択できない職業未決定
卒業年次を迎えても被扶養者の立場をとり続けるモラトリアム
仕事社会に算入したものの、早い時期から職場を退く早期離職(新卒大学生の3割が就職後3年以内に辞める)
「フ」原因:@不本意就職:愛社精神が足りない
A将来への不安:仕事に忙殺されスキルアップが不可能に見える
B意義喪失:やりがいの喪失
■教育の問題
・教育において、仕事について理解を深める体系的教育はなかった
・職業選択の指導や介入対策も十分ではなかった
・学生の職業選択について心理学的視座からの研究はなかった
■心理学的視座からの分析
・就業意識とパーソナリティ特性、職業価値観、成功回避動機の関係
・自己効力
『フリーターという生き方』2003 小杉礼子/剄草書房
日本労働研究機構キャリアガイダンス研究担当、主任研究員
フリーターの定義
・1980年代後半、アルバイト雑誌「フロム・エー」フリー・アルバイターの略語。
@学校を卒業しても定職に就かず、アルバイトで生計を立てるもの
A何らかの目標を実現するため、組織に縛られない生き方を望むため、
あえて、正社員ではなくアルバイトを希望するもの
B学生でも正社員でも主婦でもなく、アルバイトとして働いているもの。
(契約社員、派遣社員、嘱託以外)
本書C:15〜34歳で学生でも主婦でもない人のうち、パートタイマーやアルバイトという名称で雇用されているか、
無業でそうした形態で就業したいもの。
フリーターはどんな働き方をしているか
・週労働日数5日間、一日の労働時間は8時間、が最も多い。
・平均月収は、10万円から15万円
・正社員に比べて、販売とサービスが多い。必要な技能のレベルが低い。
・アルバイト・パートの仕事は、経験によって職業能力は伸びず、限定的。
フリーターの実態
・日本労働研究機構「就業構造基本調査2002」の調査によると、
90年代から増大し、女性が全体の6割前後を占める。
・90年代、既婚の中高年女性を中心にしていたアルバイト・パートタイムに、若い男女が算入してきた。
→原因/景気後退=若年層の採用減
・総務省「労働力調査特別調査2001」によると、
男性フリーターは20代後半になると激減するが、女性フリーターはむしろ増加している。
→フリーターになる意識、そこから離脱する意識の男女差
→しかし、20代後半男性フリーターの比率も、90年代半ば2%が、20001には4%と、増加している。
・就職者が多い四年生大学進学者のほとんどの進学校なら、学校の進路指導や友人たちの動向など、
周囲の大勢が一定の方向に向かっているため、進路が決まりやすい。
・一方、高校は多様な方向へ分岐する起点となりやすく、決められない状態を招きやすい。
・高校生、フリーター予定の生徒の特徴
…「色んな仕事を体験したい」「自分に合わない仕事はやりたくない」「有名になりたい」
「安定した職業生活」「人より高い収入」は望んでいたい
「やりたいこと」があるかないかは、若者共通の捉え方。
…高校生、フリーター志向の理由
「自由・気楽志向」=フリーターを選ぶ生徒達の意識を特徴付ける軸、無視できない。
時間の自由があり、人間関係が気楽で、気軽に関係を変えられるのが良い。
この志向は特に女性に多い。なぜなら、結婚が先にあり、(性別役割分業・夫への経済的依存)、
フリーター志向を理屈で納得させることが容易。その点、男性は「やりたいこと志向」が多い。
「進学費用が足りない」「いい就職先がないから」「勉強が好きではないから」「やりたいことがわからないから。やりたい志向」
・「まだ高校生とはいえ、彼らのアルバイト収入は5万円前後になっており、彼らは町の若者文化を担っている若者達でもある。
学校には欠席や遅刻が多く、学校にうまく適応していない面があるが、町の文化には適応し、その発信者になっている者もいる。
彼らが自分の将来の方向を、町の若者文化に重ねるのもごく自然な流れで、「やりたいこと」として、ダンスやバンドなど若者文化の担い手と
なることをあげるものが多いのは不思議なことではない。」
こういった高校生は、都市部の非新学校に多い。=都市部では高校の階層化が進んでいる
・フリーターを捕らえる上で、ジェンダーの視点は欠かせない。
・大学生の場合、卒業者は、92年44万人に対して、02年には55万人と増加。
大学院進学者の増加=産業界のニーズ+求人数の減少と供給量の増加
高卒者が、三年程度で3〜4割が正社員に移行しているのに対し、大学生は男性は2/3、女性は1/2がいこう。
「日本労働研究機構2001」 …「非正社員就業+無業」の比率が高いのは、芸術系・教育系・人文科学系で、経済・商学系、法学系は低い。
→その後、どのような職業に就いたかが問題。教員・弁護士などの専門職に就いたか、それとも民間企業(大学教育と関係ない職業)か。
…自由応募の大学生就職活動においては、本人の行動が就職の成否を決める。
意識→就職への意欲→行動
フリーターの学歴
・2002 高卒は卒業者の10%(就職者の62%)、短大卒の19%(就職者の32%)、大卒は22%(就職者の38%)。
・「就業構造基本調査2001」によると、フリーターの学歴別推計は、大学・大学院卒10%、短大・高専22%、高卒・中卒68%。
・大卒フリーター90年代2万人→2001年12万人、増加
フリーターであることの問題
最も問題であると考えられるのは、職業能力の獲得が遅れること。
若年期は、新しい知識や技能を修得しやすい時期で、入社後の数年は急速に職業能力が高まる。
キャリア形成的にも、方向性が明確化して育児期。
・フリーター期間にキャリアの方向性が明確化しているか
・アルバイト労働の中で、どのような職業能力が蓄積されたか。
・蓄積された能力と現実の就業機会の接点について。
フリーターの類型
「キャリア形成」という視点で捉える。
フリーター期間はキャリア形成上、どのような意味があるのか。
・メリット?ソーシャル・スキルレベルでの能力の向上(人と話せるようになった…)
・将来に向けてのキャリア形成意識があり、夢に歩みを進めていたり、方向転換をするものにとっては有効である。
・デメリット?フリーター期間の長期化は職業能力形成の遅滞を招く。
具体的な努力や活動が欠け、「夢を持つ生き方」がかっこいいと思っているだけや、何も行動を起こさないモラトリアム人間にとっては。
@モラトリアム型
・離学モラトリアム型…将来の見通しなく、教育機関を中退・修了したタイプ
・離職モラトリアム型…離職時に、見通しがなかったタイプ。
A夢追求型
・芸能志向型…バンドや演劇、俳優などを志向したタイプ
・職人・フリーランス志向型…ケーキ職人、バーテンなど、自分の技能や技術で身を立てる職業を志向したタイプ
→@求めた夢に向かってそれなりに着実な歩みの見られるケース
Aプロとしての可能性に疑問を持ち迷っているケース
B夢は語るものの、実現に向けての歩みがなく、ファッションとしての夢を語っているのに過ぎないケース
=夢のためのフリーター生活を送る=かっこいい。
→「やりたいこと」にこだわる。「やりたくないこと」はやりたくない。
Bやむをえず型
・正規雇用志向型…正規雇用の志向や、正社員に近い派遣を選んだタイプ
・期間限定型…学費稼ぎのためなど、期間限定タイプ
・プライベートトラブル型…本人や家族の病気、リストラ、異性関係のトラブルなどが契機になったタイプ
→「厚生労働省職業安定局「新規学卒者の労働市場」、90年代から求人激減。